5 新交通システム


  現在内外で新交通システムの研究開発が進められている。これは今日の都市交通が,路面交通の混雑激化,交通公害の増加等により,輸送効率の低下,都市環境の悪化を招くに至っていること,また,ニュータウン,空港,港湾等において施設内部における交通あるいはこれらと市街地を結ぶ輸送,新幹線駅と既存鉄道を結ぶ輸送等新しい交通手段にふさわしい交通需要が発生していること等に対応するものである。
  新交通システムとは,コンピュータ等の導入により既存交通手段のもつ有利な特性を更に改良発展したシステムと,既存交通手段にない新しい特性,機能を付与した交通システムを総称したものであり,その種類には,連続輸送システム(動く歩道等),軌道システム(中量軌道システム,個別軌道システム),無軌道システム(デマンドバス,シティーカーシステム等),複合輸送システム(デュアルモードシステム等)がある。
  このうち旅客輸送の面では鉄道車両メーカー等で中量軌道システムを中心に研究開発が進められている。
  中量軌道システムは,20〜60人乗りの小型車両がライン状又はループ状の軌道をコンピュータ制御により自動走行するシステムで,従来の鉄道とバスの中間の輸送力を有し,在来の交通機関と比べて@コンピュータ技術の活用により,将来無人化を指向しており,経済性を高めているほか,労働力不足に対処しうるシステムであることA電気駆動,ゴムタイヤの車両を用いているため,排出ガス,騒音等が少ないことB車両の小型,軽量化により,使用空間及び軌道コストの低減を図っていること等種々のすぐれた特性を有している。現在多くの都市において中量軌道システムの導入が検討されているが,このうち大阪南港,神戸ポートアイランド等では50年度にそれぞれ事業化に着手する計画がある。
  また,物流面における新交通システムとして,ベルトコンベアシステム,モノレール方式,チューブ鉄道方式等の開発が進められている。これは物資別適合輸送で対応しえない小口雑貨に対応する輸送システムとして,路面以外の空間の活用及び自動的・計画的制御,積みおろしの簡素化等の多くのメリットを持つ点で注目されている。


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