1 保有台数の急激な増加


  我が国における自動車普及の過程をみると,最近までトラック中心であったことがわかる 〔2−3−3図〕

  乗用車は,昭和30年代前半を中心とした二輪車の普及の後を受けて,ようやく35年頃から全国的に普及し始め,40年代の発展となる。
  我が国の40年代の自動車保有台数の推移は, 〔2−3−4図〕のとおりであり,50年度末には2,914万3,000台と40年度末の3.6倍となっている。なかでも乗用車の伸びが著しく,46年度にはついに全自動車保有台数の50%をこえた。40年代後半においても前半に比較すると伸び率こそ年平均31.8%から14.5%へと鈍化してきているが,絶対数は毎年150万台位ずつ増加しており,49及び50の両年度も不況にもかかわらず同様に増加している。

  乗用車の増加を営業用,自家用別にみると,営業用は40年度末から50年度末の10年間に1.6倍になったにすぎないが,自家用は8.0倍と急増し,50年度末には1,713万4,000台と自家用だけで全自動車保有台数の58.8%を占めている。なお,自家用乗用車の保有者別構成をみると,個人保有の構成比が年々上昇しており,50年度末には全国で88%程度が個人保有と推定されるが,東京,大阪等の大都市においては個人保有の割合はこれより低くなっている。
  このような自家用乗用車の保有台数の増加には,40-48年で平均10%を越す経済成長を背景とする個人所得の増大が預って大きい。この10年間に給与額は4.4倍となっているのに対して,乗用車の価格上昇は35%アップにとどまっている 〔2−3−5図〕

  自家用乗用車の保有台数の飛躍的増加に伴って自家用乗用車による輸送量も10年間に人キロで8.6倍と同様の増加を示し,50年度には人キロで自動車輸送量の65.2%(40年度24.4%),旅客総輸送量の33.1%(40年度7.7%)を占めるに至っている。
  次に,数は少ないけれども自家用バスも小型車を主体に,この10年間に4.8倍と増加しており,輸送量も人キロで4.4倍になり,自動車輸送量に占める分担率は8.3%(40年度53%)に増加している。
  自動車の国内旅客輸送に占める人キロ分担率は,自家用乗用車の発展により年々増大し,46年度にはついに鉄道を上回り,そのまま現在まで推移している。


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