1 経営状況の推移


  国鉄は昭和39年度に赤字に転じて以来,30年代の利益積立金は41年度中にはすべてとりくずすこととなり,以降財政状況は悪化の一途をたどることとなった。この間,44年に制定された「日本国有鉄道財政再建促進特別措置法」に基づいて,44年度及び48年度の二度にわたって国鉄の財政再建に関する基本方針が閣議決定され,国鉄財政の健全性を回復するための各種の再建対策が推進されてきた。
  しかしながら,構造的には,エネルギー革命,産業構造等の変革に伴う輸送構造の変化により,また直接的には運賃改定の遅れ等による運輸収入の伸び悩み,人件費及び物件費の大幅な上昇等による経費の増高のため,46年度には償却前の赤字を計上し,48年度には負債総額が資産総額を上回るいわゆる資本マイナスの状態に追いこまれるなど,いずれの再建対策も計画と実績との間に大きな乖離を生ずる結果となった。
  50年度には,収入1兆8,200億円に対し,経費は2兆7,400億円に達し,営業外損益とあわせ,9,100億円の赤字となり,累積赤字は3兆1,600億円,長期負債の残高は6兆7,800億円にのぼっている 〔2−5−1表〕


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