4 労働問題


  国鉄における労働組合の組織状況は,〔I一(I)-15表〕 〔I−(I)−15表〕のとおりであり,全職員42万1,335人のうち組合加入者は約36万1,000人である。

  50年秋とは,労働基本権をめぐって労働運動が高まり,国労及び動労は,公労協の統一闘争として計画された11月26日から10日間以上の長期のストライキ行動に加わり,25日から長距離列車の指名ストライキに入った。26日からは,一部の地方において通勤列軍が一部運行されたほかはほほ全国にわたって列車の運行が停止された。28日には闘争強化指令も発せられ,12月5日まで全面ストライキを継続することが決定されたが,12月1日に労働基本権問題等についての政府見解が出されるに至り,同月3日公労協のスト収拾の指令に基づき,ストライキは192時間ぶりに中止された。また,全動労は11月26日から28日まで72時間のストライキを実行した。
  この闘争による影響は大きく,国鉄自身の直接の影響だけについてみても,旅客列車14万3,111本,貨物列車4万3.893本の運休,影響人員15,120万人に及び,ストライキ前後の影響も含めて減収は,262億円に達した。
  この闘争の責任者及び参加者に対しては51年1月31日に解雇者15名を含む5,405名の懲戒処分が行われた。また,国鉄当局は,51年2月14日国労及び動労の者を被告としてこの違法ストライキによる損害202億円(減収額262億円から経費節約額60億円と控除して得た額)の賠償請求を東京地方裁判所に提訴した。
  51年春闘に際して,国労及び動労は,大幅値上げ(国労3万9,186円,動労3万9,500円),処分撤回,ロッキード事件追及等の要求を掲げ,数波の争議行為を行った。これに対し,当局側は,4月17日51年度予算の成立し国有鉄道運賃法等の改正法案の予定どおりの施行を条件として,組合員一人当り平均5,522円,定昇込み8,771円を提示したが,組合側は,この回答を不満として計画どおり同月20日から72時間ストに突入した。22日には調停委員長見解が提出されたが,調停は不調となり仲裁移行が決定し,ストライキは52時間ぶりに中止された。その後賃金問題については,5月22日調停委員長見解どおり,45%+2,750円の仲裁裁定が下された。
  51年春闘による影響は,旅客列車5万2,351本,貨物列車2万2,174本の運休,影響人員6,690万人に及び,これによる直接の減収は185億円に達した。
  労働基本権問題等については,公共企業体等関係閣僚協議会専門委員懇談会において検討が行われ,49年8月の第1回会合以降32回にわたる会合を経て,50年11月26日意見書が提出された。これを受けて政府は,12月1日この意見書の趣旨を尊重し,その内容の具現化を検討する等,五項目を内容とする「基本方針」を閣議決定するとともに,51年1月20日には内閣に公共企業体等関係閣僚協議会が新たに設置され,三公社五現業等の経営のあり方等と労働基本権問題について検討することとした。同協議会においては,専門的事項を調査検討するため設けられた公共企業体等基本問題会議(学識経験者97名)を中心に検討しているところである。


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