1 経営状況の推移


  国鉄は, 〔2−4−1表〕のとおり,昭和39年度に赤字に転じて以来,30年代の利益積立金は41年度中にはすべてとりくずすこととなり,以降,財政状況は悪化の一途をたどることとなった。この間,44年に制定された田本国有鉄道財政再建促進特別措置法」に基づいて,44年度及び48年度の二度にわたって国鉄の財政再建に関する基本方針が閣議決定され,国鉄財政の健全性を回復するための各種の再建対策が推進されてきた。

  しかしながら,構造的には,エネルギー革命,産業構造等の変革に伴う輸送構造の変化により,また直接的には運賃改定の遅れ等による運輸収入の伸び悩み,人件費及び物件費の大幅な上昇等による経費の増高のため,46年度には償却前の赤字を計上し,48年度には負債総額が資産総額を上回るいわゆる資本マイナスの状態に追い込まれるなど,その財政状態は悪化の一途をたどってきた。このような財政上の事態に対処するため,政府としては,50年12月に閣議了解により新たに「日本国有鉄道再建対策要綱」を定め,50年度末累積赤字3兆1,610億円の一部2兆5,404億円に相当する債務を棚上げするとともに,51年11月から名目50%に及ぶ運賃の値上げを行ったが,51年度は収入1兆9,931億円に対し,経費は2兆9,156億円に達し,営業外損益とあわせ,9,141億円の赤字となり,累積赤字は前年度の累積赤字3兆1,610億円より債務棚上げ分2兆5,404億円及び固定資産再評価積立金のとりくずし分5,604億円を減じた額に51年度赤字9,141億円を加えた9,742億円,長期負債の残高は5兆4,582億円にのぼっている。


表紙へ戻る 次へ進む