第4章 新局面を迎える航空

  昭和53年5月20日,長年の懸案であった新東京国際空港の開港が実現した。
  首都圏に新しい国際空港を建設することの必要性は,羽田空港の処理能力の限界が懸念されるようになり,また,航空機の大型化,高速化が予想されるようになった30年代後半から航空関係者の間で強く認識され,46年の開港を目途にその建設が開始された。しかし,用地買収の難航,航空機燃料の確保問題等の諸問題により,当初の予定より大幅に開港が遅れてしまった。
  今般開港をみたのは,4,000メートル溜走路を中心とする第一期計画の部分であり,国際空港としての機能を十分発揮させるには,横風用滑走路平行滑走路の建設を含む第二期計画を完成させ,また航空機燃料を安定的に供給するパイプラインを完成させる必要がある。新東京国際空港を長期にわたって我が国の空の表玄関として,その役割を果すことができる空港として育てていくには,引き続き努力を積み重ねていくことが必要である。
  一方,国際航空秩序は大きな変革を迎えようとしつつある。すなわち,現行の米国優位のバミューダ体制の見直し,経済問題に関する分野での国際民間航空機関(ICAO)の役割の高まり,さらにはチャーター輸送の進展と国際航空は新しい秩序を求めて大きく動きだしている。
  また,国内航空にあっては,急増する航空輸送需要への対応と,近年とみに厳しさを増した環境問題への対応という二つの大きな課題を抱えており,これらの相反する要請の調整を図りつつ,航空を輿に国民の交通機関として育てていく必要がある。


第1節 新東京国際空港の開港

第2節 国際線の諸問題

第3節 国内航空の新たな展望