2 日米航空交渉をめぐる動き
日米航空協定は,27年に締結されたが,当初より不均衡があるとして,数次にわたり協定改定交渉を行ってきたが,いまだ基本的な不均衡の是正は十分行われていなかった。
51年10月,我が国は現行航空協定に存する不均衡を根本的に是正するため,日米航空交渉を開始し,現在まで6回にわたって交渉を重ねている。
現行協定において,我が国に不均衡となっているのは,以下の3点である。
@路線権については,自国発地点が特定されず,かつ米国が米国企業が出発している地点へ我が国企業が乗り入れることを制限しているため,米国企業は日米間のほとんど全ての路線を運航しうるのに対して,日本企業の路線は制限されていること,A以遠権については,米国が無制限であるのに対して,日本はニューヨーク以遠欧州への権益しか与えられていないこと,B輸送力については,企業の自由な判断に委ねているため,複数企業の指定と相まって数多くの強大な企業を有する米国に有利となっており,実際には米国側は日本側の約1.5倍の輸送力を提供していることである。
52年7月に行われた第4回交渉において,協定改定交渉に入る前提問題であった,サイパン〜日本の新規航空企業の乗入れ,貨物輸送における機材の大型化について両国間で合意をみたため,爾後本格的改定交渉が行われることとなった。
52年10月の第5回交渉は,本格的協定改定交渉として,日本側が現行協定の改定を具体的に提案したのに対し,米国側はある程度の理解を示しつつも,チャーターに関する取決めの締結等を強く主張し妥結に至らなかった。
53年3月の第6回交渉においては,日本側が現行協定に存する不均衡是正の第一段階として,米国乗入れ地点や以遠権の拡大等を求めたのに対して,米国側は,新東京国際空港の空港処理能力からみて受け入れ難い米国企業に対する大幅な増便枠の保証を求め,また,チャーターの自由化,低運賃等の急速な導入を求めてきた。ここにおいて議論は再び平行線をたどり,解決は次回交渉にもちこされた。
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