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第1節 運輸行政におけるエネルギー政策の基本的課題
最近の国際石油情勢はますます緊迫の度合いを強めており,1980年代半ばにも石油供給不足が発生するとの見方が強くなっている。79年5月に開催されたIEAの閣僚理事会は,5%の石油節約措置を80年も継続することを決めており,同年6月に開催された主要国首脳会議においても,今後85年まで石油輸入量をできる限り抑さえていくよう各国の輸入枠が合意された。このような状況下で,エネルギー供給構造において石油への依存度が高く,しかもそのほとんどを輸入に依存している我が国は世界のエネルギー需給の不均衡の影響を直接こうむる立場にあり,今後我が国が安定した経済発展と国民生活の充実を図っていくためには,エネルギーの安定供給の確保,石油代替エネルギーの開発導入を推進するとともに「省エネルギー型社会」への移行を推進することが重要な課題となっている。昭和54年8月総合エネルギー調査会の需給部会で報告された「長期エネルギー需給暫定見通し」(中間報告)においても,石油代替エネルギーの開発を推進するとともに,60年度,65年度,70年度にそれぞれ12.1%,14.8%,17.1%の省エネルギーを達成しなければエネルギーの需給バランスが保たれないとしている。
また,新経済社会7カ年計画では,我が国の60年度の国民総生産は約310兆円(53年度価格),同年度のエネルギー需要は原油換算で6億Kl程度と見込んでおり,我が国は省エネルギーと代替エネルギーの開発に最大限の努力を傾注しなければならない情勢となっている。同計画では60年度の輸送需要は52年度の実績に比べ旅客3割,貨物5割程度増加すると見通しており,今後我が国の経済・社会及び国民生活の発展充実につれ輸送需要も相当伸びることが予想され,運輸部門において必要なエネルギー量も相当増大するものと予想される。このような情勢の中で運輸部門のエネルギーについては,電力依存率の大きい鉄道を除き,石油を直接燃料油として使用する関係上極めて石油依存率が高く,しかも運輸部門は代替エネルギー利用の困難性が高く,将来とも石油依存度の大幅低下は望めない状態にある。このため,国民の日常生活や経済活動の基盤をなす運輸部門における石油の確保が運輸行政上重要な課題となっている。
更に,運輸部門はガソリン,軽油等の軽質油の消費量が多く,世界的な軽質油の需要増が今後とも続くことを考え合わせれば,近い将来特にこれらの軽質油が不足することが懸念され,このままでは人と物の円滑なモビリティーの確保が困難になるおそれがあり,運輸部門においても今後省エネルギー対策を更に一層積極的に推進する必要性が高まっている。
エネルギー制約下での運輸行政の基本的課題は,運輸が通勤・通学,業務,買物等の国民生活や経済活動の基盤をなすものであることから,今後とも国民の求める安全で良質な輸送サービスを保障するため,環境の保全等他の社会的要請にも配慮しながら全体として運輸部門における省エネルギーの効果を高めていくことである。
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