第3節 国鉄新線の建設


  在来線規格の国鉄新線の建設は専ら日本鉄道建設公団により行われている。現在,同公団に対し建設の指示を行っているものは,地方開発線及び地方幹線(AB線)40線,主要幹線及び大都市交通線(CD線)9線並びに青函トンネル(E線)であり,昭和53年度には,AB線に294億円,CDに358億円,E線に484億円をそれぞれ投資した。この結果,いわゆる東京外環状線の一環をなす小金線(営業線名:武蔵野線,区間:新松戸・西船橋間)14.3kmが53年10月2日開通に至り,京葉地区の通勤・通学輸送の利便の向上が図られた。
  なお,AB線の建設については,地域の交通事情の変化,国鉄財政の悪化等の状況からみで慎重な配慮が必要であり,また,54年1月の運輸政策審議会委員等による国鉄地方交通線問題小委員会の報告においても,ローカル線対策の一環として所要の措置を講ずることが必要であるとされている。現在,報告の趣旨に沿って具体的対策を検討中であるが,とりあえず,54年度においては,輸送需要及び工事の進捗状況を勘案し,具体的対策が決定された場合,関係地方公共団体が,地域の実態に応じて適切に対処することが確認できた路線について工事を進めることとした。
  次に,本州四国連絡鉄道は,本州四国連絡橋公団により神戸・鳴門ルート(Aルート)の大鳴門橋及び児島・坂出ルート(Dルート)において建設中である。
  このうち,Dルートについては環境影響評価手続き等を経て,53年10月10日本格的に着工された。
  また,大鳴門橋の建設については,同橋を通ることが予定されている四国新幹線の建設の具体的目途が立っていない状況に鑑み,従来の道路・鉄道負担比率59対41を89対11に変更することが関係機関の間において確認された。
  本四架橋の建設により影響を受けることが予測される旅客船等の問題については,53年9月の本州四国連絡橋旅客船問題協議会決定による「本州四国連絡橋の建設に伴う旅客船問題等に関する対策の基本方針」に基づき諸措置が進められている(U-(I)海運第2章第2節参照)。この基本方針においては,港湾・陸上運送関係雇用問題について,架橋が個々の港湾に与える影響が明らかでないので,今後調査検討を継続して行うこととされ,更に,同年10月に関係者の間で交わされた「本州四国連絡橋に伴う港湾・陸上運送関係雇用問題等に関する協定書」においては,交通運輸等関係労働者の雇用の確保について十分な態勢をもって対策に当ることとされた。
  これらを受けて,54年8月,港湾等の労働者の雇用に対する検討を行うため,本州四国連絡橋雇用対策協議会が,また,同年9月には個々の港湾調査のため港湾労働調査委員会がそれぞれ設置され,調査検討が開始された。

表紙へ戻る 目次へ戻る