4 東京国際空港の沖合展開計画


  東京国際空港は,新東京国際空港の開港により国際線が移転し,暫くの間は余裕が生じるが,航空需要の増加傾向に鑑ると,近い将来再び処理能力の限界に達するものと考えられる。
  したがって本空港が首都圏での国内航空輸送の拠点としての機能を将来にわたって確保するためには,空港能力を向上するとともに航空機騒音問題を抜本的に解消し,地元との調和を図ることが肝要であるということから,運輸省では,かねてより長期的視点にたって整備計画の検討を進めてきた。
  また,52年3月8日,東京都知事から@東京国際空港の羽田沖への移転A移転する場合には地元を含めて話し合いの場を設けることについて要望があった。これを受けて運輸省,東京都及び大田,品川両区の三者で構成される協議会が設けられ,意見の交換を図ってきた。
  53年12月4日,運輸省は,東京都が廃棄物処理場としている羽田沖埋立地を活用し,現在の空港を沖合に展開することによって,前に述べたような課題を解決できるという検討結果をまとめ,運輸省の試案として東京都知事に提示した。
  この試案で示した東京国際空港整備計画は,現在の空港の沖合にC滑走路を移設するとともに,更に沖合を埋立て,この滑走路と平行に1,700メールの間隔でD渇走路を新設し,現在のB滑走路と合せて3本の滑走路を整備しようとするものである。この全体計画が完成すれば空港面積は現在の408ヘクタールから約1,000ヘクタールになり,沖合展開で生じる空港跡地の一部を開放することとしている。
  なお,この計画のねらいは次の5点である。
 @ C滑走路を移設し,さらに滑走路を沖合に1本新設することにより,現在騒音問題の原因となっているC滑走路の北側への離陸,北側からの着陸およびB滑走路の北側への離陸を原則として取り止め騒音問題を抜本的に解消すること。
 A 離着陸処理能力を現在の約17万回から24万回程度まで向上させることができ,長期にわたって国内航空の拠点としての機能を確保すること。
 B 現在の空港用地の一部を開放し,都市施設整備のために有効に利用すること。
 C 廃棄物の埋立地に新しい滑走路と空港ターミナル施設を建設することにより,廃棄物処理事業と空港整備の両立を図ること。
 D 羽田沖合に建設される東京湾岸道路と空港を直接結ぶことによって,空港周辺市街地の通過交通をなくし,交通混雑等自動車による公害を大幅に緩和すること。
  本計画については,現在,地方公共団体等関係諸機関と積極的に調整を進めているところであり,本計画の早期実現が望まれる。


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