2 航空ネットワークの拡大とジェット化・大型化の進展


  この10年における国内航空ネットワークの広がりを路線数で示したのが 〔2−4−7表〕である。

  我が国の航空路線網は,輸送量の大きさを線の太さに置き換えていえば,札幌,東京,大阪,福岡,那覇の幹線空港相互間を結ぶ太い幹線路線と,東京,大阪の二大都市圏を起点として地方諸都市に放射状に広がるやや細めのビーム路線と,地方諸都市相互間を結ぶ細いローカル・トゥ・ローカル路線とによって構成されているといえようが,この10年では,東京,大阪を起点とするビーム化も進んだものの,路線数でみる限り,ローカル・トゥ・ローカルはこれを大きく上まわる勢いで拡大してきたことがわかる。
  この路線網の整備は,国土の均衡ある発展実現のための大きな足がかりとなるものといえよう。しかしながら,各分野の輸送量については,54年度で 〔2−4−8表〕のとおりであり,この面での幹線中心の構造は基本的には変わっていない。
  また,この10年間の航空輸送の拡大を支えた要因として,ローカル線のジェット化,機材の大型化の進展は特に注目されなければならない。

  ジェット化は我が国においては30年代半ばから始まり,国際線にあっては36年に,国内幹線にあっては41年に完了しているが,ローカル線のジェット化はこの10年で精力的に進められ,なお引き続き進行中である。ジェット機就航路線数は45年16路線から55年74路線になっている。また,機材の大型化については,45年の日航国際線でのB-747(定員361名)導入を皮切りに,47年から51年にかけて国内線でも日航のB-747SR(定員498名),全日空のL-1011(定員306名)等の大型機導入が進められ,現在では主要ローカル線にも大型機が投入されるに至っている。このようなジェット化・大型化の進展により,航空輸送力は飛躍的に増強され,輸送需要の急速な増大の吸収に大きく寄与してきた。


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