1 収支概況


  昭和54年度の経営成績は,一般勘定では営業収入が2兆9,021億円,営業経費が3兆7,446億円で,差引き8,425億円の営業損失となり,これに営業外利益207億円を加えると,純損失は8,218億円となった。純損失を前年度と比較すると649億円,7%の減少となっている。
  なお,純損失のうち,職員構成の歪みによる退職手当の異常な増加に係る特定退職手当純損失936億円を除いた一般純損失は7,282億円となり,前年度に比べ817億円減少した。
  また,繰越欠損金は,前年度末2兆6,949億円に本年度純損失8,218億円を加えた3兆5,167億円となった。
  特定債務整理特別勘定では,政府から財政再建利子補給金1,709億円を受け入れ,特定長期借入金利子として同額が支世されたほか,一般勘定から財政再建借入金償還のため3億円を受け入れた。

(1) 収入

  営業収入は,総額で2兆9,021億円と前年度に比べ13%増加した。このうち,旅客収入は,前年度比11%増の2兆1,550億円で,普通旅客収入は,輸送量が若干減少したものの運賃改定により新幹線が前年度比7%増の6,919億円,在来線が同11%増の1兆762億円となり,全体で1兆7,681億円と前年度に比べ9%増加した。定期旅客収入は,割引率の是正を含む運賃改定により前年度比21%増の3,270億円と大幅に増加した。手小荷物収入は,前年度比6%減の420億円で輸送量ともに逐年減少している。貨物収入は,輸送トンキロが9年ぶりに増加したこともあってコンテナ貨物,車扱貨物とも増加し,前年度比14%増の3,539億円となった。雑収入は,関連事業収入等の増加により前年度比9%増の968億円となった。助成金受入れは,工事費補助金が前年度比9%増,地方交通線特別交付金が同127%増,更に,53年度から始まった特定退職手当補給金が同167%増となったこと等により全体として34%増の2,964億円となった。
  また,営業外収入では,固定資産の売却収入の増加等により前年度比28%増の239億円となった。

(2) 経費

  営業経費は,総額で3兆7,446億円と前年度に比べ8%増加した。このうち,人件費は,公共企業体等労働委員会(公労委)仲裁裁定の実施,退職手当の増加,共済組合の負担金の増大があったが,要鼻の縮減等もあり全体としては1兆7,303億円と前年度に比べ4%の増加にとどまった。動力費は,第2次石油危機による燃料油価格の高騰に加え,前年度が円高により電力,燃料油の価格が低額であったことから,前年度比20%増の1,482億円と大幅な増加となった。修繕費は,安全輸送の確保及び向上のため緊急度の高い施設,電気設備等を重点的に整備したことにより,前年度比9%増の6,409億円となり,業務費は,物価上昇による影響やコンテナ集配,車両清掃等の部外委託費の増加により,前年度比6%増の2,716億円となった。資本経費は,運営費,設備資金に係る借入れに伴う利子及び債務取扱諸費,減価償却費等の増加により前年度比13%増の9,263億円となった。
  また,営業外経費は,前年度比24%減の32億円となった 〔I−(I)−6表〕


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