5 企業構造の改善と内航海運の活動強化


(1) 企業構造の改善

  内航海運業は,一般に比較的特定少数の荷主を相手方とし,これらの荷主に比べ極めて規模の小さい多数の事業者によって運営されており,これらの事業者は,利害関係,経営意識が必ずしも一致しない元請運送事業者,下請運送事業者,船舶貸渡事業者及び取扱事業者が併存するという複雑な構造をなしている。したがって,小規模事業者の質の向上,事業規模の適正化,内航海運業種相互間の協調関係の確立等により,輸送秩序の維持,企業基盤の強化を図り,安定的な輸送の確保や流通の近代化の要請に対応していくことが課題となっている。

(2) 内航海運組合等の現状

  内航海運事業者が経済的地位の改善を図るため組織している内航海運組合及び内航海運組合連合会は,55年4月1日現在,151組合(内航海運組合連合会10,内航海運組合141)が設立認可されている。
  こうした内航海運組合のなかにおいて,日本内航海運組合総連合会は,これら組合の統一的な中央組織として大部分の内航海運事業者を傘下に擁し,内航海運業界の秩序維持に重要な役割を果たしている。同総連合会は,内航海運組合法に基づき運輸大臣の認可を受けて,船腹調整事業を行っており,また,この船腹調整事業を補完し,その円滑な実施を図るため,同法に基づく共同事業として53年度からは組合員から不要船舶等を買上げること及び適正な船型の船舶建造等のため必要な船腹を組合員に譲渡することを内容とする船舶等融通事業を行うほか,各種の広範な活動を行っている。

(3) 内航海運組合等の活動強化

  内航海運事業者の経済的地位の向上,内航海運事業者間の協調関係の確立のためには,内航海運事業者が構成する内航海運組合の活動を通してその推進を図ることが重要であるが,内航海運組合の活動は必ずしも十分であるとはいい難く,その活動の強化を図る必要がある。このためには,その活動の基礎となる構成規模の適正化のほか,事務処理体制の整備等組合の組織強化を図ることが不可欠である。


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