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2 気象情報と地震対策
(1) 気象情報による災害の予防・軽減
台風や集中豪雨雪,干ばつ,異状高低温等による災害の予防・軽減には適時適切な気象情報の提供が不可欠であり,このためには,大気の状態を的確・迅速に常時把握することが必要である。
気象庁では静止気象衛星観測,レーダー気象観測,地上気象観測,高層気象観測,海上気象・海洋観測等に必要な観測施設の基盤整備を進めるとともに観測業務を定常的に実施している。
(ひまわり・ひまわり2号の不具合及び3号の打上げ成功)
静止気象衛星は,53年度以来順調に運用されてきたが,58年11月以降,ひまわり2号の可視赤外走査放射計の走査鏡の駆動部に不具合を生じ,59年1月待機中のひまわりの運用を再開したが,これも2号と同様の原因により全球観測が不可能になったため再び2号による運用に切り替えた。画像取得回数は正常時に比して減少したが,防災上必要な気象データの取得に最大限の努力を払った。また,ひまわり3号が59年8月に打上げられ,9月末から通常の運用(3時間毎)にはいった。
(気象レーダーのデジタル化)
一方,気象レーダーについては,引き続きデジタル化を進め(58年度富士山)アメダス資料と組合せたレーダー・アメダス雨量合成図を作成し,関係官署への配信を開始した。アメダス(AMeDAS:地域気象観測システム)については,積雪深計の整備を進めており,58年度には,豪雪地帯の25か所に新たに展開した。
気象災害の防止軽減を図るため,気象庁では適時適切な予・警報等の発表に努めている。警報については,防災上の効果を高めるため,「いつ」「どこで」「何が起こるか」を警報文の冒頭に簡明に表現した周知方法を58年10月から採り入れた。
このほか,航空機の安全運航を図るための航空気象情報及び海洋気象サービスのための海洋気象情報の提供等についても情報の充実を図っている。
(2) 地震・火山対策
(地震観測網の強化)
気象庁長官は「地震防災対策強化地域判定会」(気象庁に設置)の結果を基に,大規模地震対策特別措置法に基づき,内閣総理大臣に地震予知情報を報告することとされている。このため,気象庁では,東海・南関東地域について海底地震計,体積歪計の整備を行い関係機関の協力を得て常時監視体制の強化を図っている。58年度には,房総沖の海底地震計を年次計画に従って整備するとともに,東海地域の体積歪観測の高精度化を図った。また,直下型地震予知に関する実験的及び理論的研究の推進を図るため,58年10月に気象研究所に地震予知を専門に担当する研究室を設置した。
また気象庁は,全国の大中小地震観測網による地震活動の常時監視を行い,津波予報,地震情報等防災上必要な情報を提供している。58年度には,観測網を構成する地震計の改良,資料伝送網の整備により,地震業務関連資料の収集・配信・処理の強化を図った。
(日本海中部地震のフォローアップ)
58年5月の日本海中部地震では,津波によって大きな被害が発生し,津波予報の発表の迅速化等が強く求められた。気象庁では,津波予報作業手順の改善等,津波予報の発表時間短縮を図っており,また,日本海側の津波監視体制を充実するため,59年度に日本海側4か所の検潮所に,記録を最寄りの気象台へリアル・タイム送信することとしている。
(海底地形調査の実施)
一方,海上保安庁においては,地震予知に必要な基礎資料を得るため,相模,駿河,南海トラフなどの海底地形,地質構造調査を含む測地,測量,潮汐観測及び地磁気観測,地下の電気抵抗の測定等を実施している。
(火山対策の推進)
火山対策については,気象庁は適時「火山情報」を発表し火山現象による被害の軽減に努めている。全国約70の火山のうち,特に活動的な17火山については常時観測を行い,その他の火山についても機動観測班による臨時観測を適宜実施している。58年度には浅間山及び那須岳の観測施設の整備を実施した。また,58年10月の三宅島噴火災害を契機として,全国の活動的火山に係る観測体制,情報発表体制の総点検を実施した。
一方,海上保安庁においても,航空機により,南方諸島方面と南西諸島方面の海底火山周辺海域の火山活動観測を実施している。
(3) 気候変動対策
気候変動が社会・経済に与える影響は大きく,各国とも54年4月に世界気象機関(WMO)総会で採択された世界気候計画(WCP)に準拠して,気候変動対策に取組んできている。我が国においても,気象庁を中心に気候問題懇談会,気候変動対策関係省庁連絡会を随時開催して,気候問題について学際的な検討を進めるとともに,気候情報の行政への利活用を図ってきた。また,気象庁は気候資料利用案内書の作成,異常天候の地域産業に及ぼす影響の実態の調査,気候研究基本計画の策定等を行い,国際的にも,国際衛星雲気候計画に積極的に参加して,この計画を推進している。
(「近年における世界の異常気象の実態調査とその長期見通しについて(V)」の刊行)
さらに,内外の異常気象の実態や気候変動の様相,気候変動の要因,今後の気候変動の見通し等について種々の調査を行い,その結果をまとめ,59年3月に「近年における世界の異常気象の実態調査とその長期見通しについて(V)」として刊行した。本書では,気候変動予測について「1980年以降も引き続き,年々の天候は変動が大きく,異常気象が発生しやすい」としており,気候変動対策及び気候にかかわる研究の推進の重要性が強調されている。
近年,社会の各方面から気候変動対策に関する要請が強まってきており,今後も,施策の具体化のための検討を進めることとしている。
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