第1章 国際経済変動と我が国運輸

  我が国経済社会におげる国際化が進展し,国際的な相互依存関係が強まるなかで,世界経済に占める我が国のウェイトはますます増大している。これに伴い国際運輸市場における我が国の地位も向上し,その影響が大きなものとなってきている反面国際的動向の影響もそれだけ強く受けざるを得ない状況となっている。
  このような状況に加え,近年,我が国の運輸をめぐる国際環境,国際間の物的・人的交流の構造は大きく変化しており,これらの変化に適切に対応していくことが重要な課題となっている。特に,この1年の大幅な円高・ドル安の進行,原油価格の大幅下落という我が国をめぐる国際経済環境の変化は急激なものであり,かつ,我が国運輸に大きな影響を与えるものであった。
 この章では,これらの変化が我が国運輸に与える影響と今後のあり方について述べることとする。まず,第1節「円高・原油安等の国際経済環境の変化と運輸」では,この1年の国際経済環境の最大の変化であった円高と原油安の急速な進展に焦点をあて,その影響と対応について述べ,第2節以降においては,国際物流,造船国際的な人的交流,国際協調について,世界の産業構造の変化,アジアNICS(新興工業国家群)の工業化の進展等の近年の基調としての国際環境変化の影響とその対応を中心に述べることとする。


第1節 円高・原油安等の国際経済環境の変化と運輸

第2節 国際物流の変化と深刻化する海運不況への対応

第3節 造船不況克服への新たな展開

第4節 高まる国際的な人的交流の必要性

第5節 国際協調の充実