2 再建対策の経緯


(1) 日本国有鉄道再建促進特別措置法に基づく再建対策

  国鉄の経営状況の悪化に対処するため,国及び国鉄は,44年度以降3次にわたり再建対策を講じてきたが,いずれも所期の自的を達することができず,国鉄の経営状況は好転しないまま,54年度末の長期債務残高は12兆6,894億円に達した。
  このような国鉄経営の危機的状況に対処するため,55年12月,「日本国有鉄道経営再建促進特別措置法」が公布,施行された。国鉄は同法に基づき,56年5月に経営改善計画を策定し,59年5月には職員数を32万人(原計画35万人)とする等の計画変更を行った。国鉄は,変更後の計画に基づき,経営改善施策の深度化を図ってきたが,その結果,計画の最終年度である60年度においては,一般営業損益(営業損益から退職手当及び年金負担金の急増に伴う増加分を特定人件費として除外したもの)で3,189億円,幹線の損益で3,406億円の益金をそれぞれ出し,一般営業損益においてできるだけ多くの益金を出し,幹線の損益において収支均衡を達成するという収支改善の一応の目標を達成した。

  しかしながら,全体収支においては,地方交通線・地方バスの損失及び特定人件費の増大により,改善の目途がたたない状況にあり,将来の国民負担の軽減や鉄道の果たしている使命の維持のためには,経営形態を含めた抜本的な改革が必要となっている。

(2) 再建監理委員会の発足・審議

  57年7月の臨時行政調査会の第3次答申を受け,58年5月,「日本国有鉄道の経営する事業の再建の推進に関する臨時措置法」(以下「再建臨時措置法」という。)が制定され,同年6周目本国肩鉄道再建監理委員会(以下「再建監理委員会」という。)が発足した。再建監理委員会は,130回を超える審議を重ね,その間に2次にわたる緊急提言をはじめ,国鉄予算,経営改善計画に対する意見を提出し,60年7月26日には「国鉄改革に関する意見」を内閣総理大臣に提出した。


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