第6章 高度化する物流サービスへの対応

 ○ 消費者物流の著しい伸長に伴い,標準約款の制定,運賃・料金制度の整備等消費者の保護を中心とした施策を推進するとともに,「フレイトビラ構想」の具体化を図る。
 ○ 国際複合一貫輸送,国際宅配便の進展に対応し,標準約款の検討等を進めるとともに,国際産直システムの普及・充実を図る。
 ○ 物流ニーズの高度化・多様化に対応して,「物流近代化ターミナル」の整備等により物流拠点の高度化を推進する。
 第6章の要旨
  物流事業者は荷主ニーズの高度化・多様化に応え,新しい物流サービスの創出に努力しているが,運輸省でも,これらの活力と創意工夫の発揮を基本に,物流事業の活性化を図るための施策を進めている。
 1. 一般消費者を対象とする消費者物流は,宅配便,引越運送,トランクルーム・サービス等を中心に著しく伸長しており,運輸省としても,消費者保護のための各種施策を講じている。また,住宅内の当面使用しない家庭用品等を過疎地域等に保管し,必要な場合の輸送を宅配便等で行うシステム「フレイトビラ構想」を推進している。
  国際物流の分野では,国際複合一貫輸送と国際宅配便が進展している。前者についてはその担い手のフレイト・フォワーダーの活動基盤整備を,後者についてはこれを利用した個人輸入の推進を図っている。
 2. 情報システムの整備は業務の効率化,サービス向上等の観点から,物流の分野においても重要であり,物流VAN,シップネッツ(港湾貨物情報ネットワーク)が整備されてきているが,運輸省でも情報システムを用いた共同輸送実験事業を行う等の施策を講じている。
  物流技術の導入に関しては,その促進のため技術情報の収集・提供,人材の養成等を行う(財)物流技術情報センターが設立された。
 3. 物流施設の整備については,従来の混載積換を中心とした機能に加えて流通加工・情報処理等の機能を付加した「物流近代化ターミナル」の建設計画が進められている。また,これを更に発展させたものとして,物流施設を高層化し,物流近代化ターミナルの機能に加えてオフィススペース・研修施設等を併設し高付加価値のものとする「物流高度化基盤施設整備構想」が提唱されている。
 4. 物流企業はそのほとんどが中小企業であり,経営も厳しい状況にあることから,その体質改善を図るため,中小企業の近代化対策,不況対策,供給力過剰対策を進めている。


第1節 新しい物流サービスの進展とその推進

第2節 物流企業の活性化の推進

第3節 物流事業対策の推進