Q&A集
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Q 国土交通省は政策評価にどのように取組んでいるのですか?
Q

国土交通省は統合後間もない平成13年1月に、「国土交通省政策評価実施要領」(省議決定)を策定、さらに5月に「平成13年度政策評価運営方針」(省議決定)を策定しました。平成14年4月からは、行政評価法に基づき「基本計画」「事後評価実施計画」を定めました。
その概要を以下に紹介します。
なお、評価方式の名称について、次のように、「政策アセスメント」等、国土交通省独自の呼称も用いることとしています。これは、日本語の「評価」という言葉は、あたかも「権威者」が絶対的な価値判断を下すような印象を与えることから、組織一丸となってマネジメント改革を推進していく上で、評価をネガティブにではなく、改善へ向けた前向きな努力として位置づけたいとの思いからです。

1)21世紀の新たな課題へ向けた政策アセスメント(事前評価)

新規施策について、必要性、有効性、効率性を厳しくチェック、21世紀型の真に必要な施策の企画立案を目指すものです。具体的には、欧米のODA等の事前評価に用いられている次のような論理的分析方法(ロジカル・フレームワーク)を活用して、企画立案過程をわかりやすく明らかにします
 1アウトカム目標、関連する指標等
 2目標と現状のギャップ、その原因、現状の改善に向けた課題は何か
 3課題を解決するために当該施策の導入が必要であること
 4当該施策の効果が大きいと見込まれること、他の代替手段に比べ効率的であること等
 5当該施策が目標実現にどのように寄与するか
国土交通省では、平成13年8月、次年度予算概算要求、税制改正要望等を行うにあたり、38の新規施策について、以上の要領で事前評価を実施し、評価書をすべて公表しました。要求の時点で、施策ごとの個票をすべて公表したのははじめてのことです。その後も毎年新規施策について事前評価を実施し、評価書を公表しています。

2)目標と成果を示す政策チェックアップ(業績測定)

国土交通省として、主要な行政分野に係る現状と将来の展望をまず明らかにし、施策等の企画立案に当たっては、これらの目標実現を目指すものとします。その上で、その達成度を測定し、国民に対して、目標の達成状況についての情報を提供することで、説明責任を果たすとともに、成果重視・目標による行政運営の確立を目指します。なお、「チェックアップ」とは、定期健康診断のような意味です。

国土交通省では、パブリックコメントに付した上で、平成13年8月に、27の政策目標(アウトカム目標)及び112の業績指標を設定、公表しました。また、それぞれの指標ごとに、5年以内の目標値を明らかにしました。その後、平成15年10月の重点計画策定を踏まえ、27の政策目標、116の業績指標に改定し、公表しました。
27の政策目標は、国土交通省の主要な政策分野をカバーし、一覧性を持たせることに留意したほか、アウトカムに着目し、できるだけ部局横断的に設定しました。
業績指標と目標値の設定の考え方と事例は次のとおりです。

指標の例
〇アウトカムに着目したもの
 ・東京圏における都市鉄道の混雑率
 ・朝夕の三大都市圏人口集中地区の自動車走行速度
〇顧客満足度に着目したもの
 ・住宅に関する満足度評価
〇現場での業績改善に向けた動機づけとなり得るもの
 ・台風中心位置予報の精度

目標の例
〇ニーズを踏まえたもの
 ・地方中小鉄道におけるATS設置率
  【H12】92.6% →【H18】100%
〇内外の優れた事例(ベストプラクティス)を参考にしたもの
 ・ハザードマップ認知率(洪水)
  【H12】4% →【H18】70%
〇意欲的な目標として宣言したもの
 ・直轄工事におけるリサイクル率
  【H7】47%〜 →【H17】100%

3)効果の検証と改善に向けた政策レビュー(プログラム評価)

既存の施策について、国民の関心の高いテーマ等を選定し、総合的で掘り下げた分析・評価を実施するものです。ある政策目標について、その目標達成の手段として機能する施策、事業をセット(プログラム)にして、関連性や因果関係等を含めて評価するものです。プログラムを構成する各施策や事業を個別に評価しても、プログラム全体として、所期の目標達成のために効果的、効率的に機能するかを見ることができません。この評価で得られた知見を活用すれば、部局横断的な施策、事業の連携・融合が推進されることが期待できます。
政策レビューは重点的・計画的に実施することが必要であることから、今後、「ダム事業」「リゾート地域の整備」等、29のテーマについて実施することを決定し、そのうち11テーマについてすでに実施中です。

これらの方式は、独立して存在するのではなく、政策のマネジメントサイクルの各段階に対応したものとして、相互に有機的に関連した一つのシステム(国土交通省の新政策評価システム)として、全省的に取組むこととしています。
これを示したのが図です。

例えば、政策チェックアップで前提とする政策目標は、評価を行うために設定したものではなく、省として目指すべき目標として意思決定したものですから、「目標によるマネジメント」の考え方から、新規施策の企画立案に係る政策アセスメントでも、それらの政策目標のうち、どの目標に関係し、どういう効果が期待できるのかを明らかにする必要があります。(事務事業評価のように、評価対象ごとに、目標を「考える」ということとは異なります。)また、政策レビューのテーマが、政策チェックアップの結果踏まえても決められることは前に述べたとおりです。一方、政策レビューの結果、政策目標について見直すべきだということになることもあります。こうした政策のマネジメントサイクルを確立することで、常に目標を意識した仕事をすることにつながります。

中央省庁等改革により、各府省に政策評価を担当する課以上の組織を設けることとされていましたが、国土交通省では、大臣直結の政策統括官(局長級)を長とする組織を設置しています。

また、政策評価を実施する上で、第三者の知見を活用することが必要なことから、学識経験者、経営コンサルタント、公認会計士等から構成される「国土交通省政策評価会」(座長:金本良嗣東京大学教授)を定期的に開催し、ご意見を頂戴しています。

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