自動車アセスメント・チャイルドシートアセスメント

歩行者頭部保護性能試験の試験方法

自動車が一定の速度で歩行者をはね、歩行者の頭部が自動車のボンネット及びフロントウィンドウ等に衝突したことを想定して、大人及び子供の頭部を模擬したダミー(頭部インパクタ)を試験機からボンネット等に発射させ、頭部インパクタが受ける衝撃を測定し、頭部傷害値(HIC)として評価します。

発射する速度は、国内基準では時速32q(自動車の歩行者に対する衝突速度は時速40㎞相当)とされていますが、自動車アセスメントでは1割増の時速35㎞(同じく時速44㎞相当)としています。

衝撃角度は車両前部の形状により、セダン、SUV、ワンボックスの3種で異なります。

  1. (1)衝撃試験エリア

    事故によって歩行者の頭部が自動車にぶつかる部位の長さによって、地上から車両の該当する地点までの距離WAD(Wrap Around Distance)を測定し、実際の事故データを基にして大人、子供の頭部の衝撃位置エリアを定めます。また、左右方向については、フェンダー部に対し45 度の傾きで接する点を求め、前後方向に移動させた線(側面基準線)から頭部インパクタ半径分内側を衝撃試験エリアの側端とします。

  2. (2)車両分類と衝撃条件

    試験は、自動車を車両分類によって区分し、試験エリア毎に それぞれの衝撃条件で試験を行います。

ページトップ

歩行者頭部保護性能試験の評価方法

歩行者頭部保護性能試験の評価エリアの図

エリアⅠ、Ⅱを左右方向に6分割、エリアⅢ、を3分割、合計15に細分化します。

更に、細分化した各エリアを4つに再細分化します。

15に細分化したエリア内で最も傷害値が高いと思われる1点又は2点(ただし、同一の再細分化エリア内では2点を選定しない)を選定し、試験により得られた傷害値を代表値としてスライディングスケールを用いて得点化します。

これらの試験の得点を細分化したエリアごとに平均化し総合平均得点により評価します。

ページトップ

歩行者頭部保護性能試験の結果の見方

総合平均得点を傷害値に換算してから、頭部に重大な傷害を受ける確率(AIS4+)が約50%(HIC1436)の得点1.67を基礎点とし、その確率が約10%(HIC876)の得点3.33以上をレベル5として、その間を4等分した5段階で区分し評価します。

なお、歩行者保護において、現在の車両技術では、車室内乗員と比べて事故による頭部傷害値の程度が高くならざるを得ません。このため、評価領域については、今後の歩行者保護技術の開発を促す観点から、一定の救出効果が見込まれる幅広い領域において評価することとしました。

傷害確率及び傷害値と評価区分の図
ページトップ