平成20年横審第29号
勧 告
護衛艦あたご漁船清徳丸衝突事件
指定海難関係人 海上自衛隊第3護衛隊群第3護衛隊(旧第63護衛隊)
代 表 者 第3護衛隊司令 E
本件に関し,当海難審判所は,平成21年1月22日指定海難関係人海上自衛隊第3護衛隊群第3護衛隊(旧第63護衛隊)(以下「第3護衛隊」という。)に対し,国土交通省設置法等の一部を改正する法律(平成20年法律第26号)附則第4条の規定に基づき,同法第3条の規定による改正前の海難審判法第4条第3項の規定により,勧告する旨の裁決を行った。
本件は,平成20年2月19日04時07分少し前,千葉県野島埼南方沖合において,北上中のあたごと西行中の清徳丸が互いに進路を横切り衝突のおそれのある態勢で接近する状況となった際,避航船であるあたごが,保持船である清徳丸に対する動静監視不十分で,その進路を避けなかったことが主たる原因となって両船が衝突し,清徳丸は船体が分断されて廃船とされ,同船の乗組員2人が行方不明のまま,のちいずれも死亡と認定された事件である。
これは,第3護衛隊が,あたごの乗組員の教育訓練にあたり,艦橋と戦闘情報センター間の連絡・報告体制並びに艦橋及び戦闘情報センターにおける見張り体制を十分に構築していなかったことから,あたごに艦全体としての安全運航を阻害する複合的な要因が存在していたことによるものである。
本件発生後,あたごにおいては,艦橋と戦闘情報センター間におけるレーダー情報共有体制の改善,戦闘情報センターにおける航行補佐機能の活用及び乗組員に対する再教育など,再発防止対策が講じられたほか,組織として,運航安全総点検を行って艦橋及び戦闘情報センターにおける資源活用のための方策を導入するなど,同種海難の再発防止対策が取りまとめられたものの,これらによって艦全体としての安全運航を阻害する複合的な要因が除去されたものとは認められない。
以上のことから,第3護衛隊に対し,導入した再発防止対策の実効性を検証したうえで,対策の見直しと検証の過程を繰り返すことにより,艦橋と戦闘情報センター間の連絡・報告体制並びに艦橋及び戦闘情報センターにおける見張り体制をそれぞれ構築し,所属艦船の安全運航を確保するよう勧告する。
平成21年1月22日
横浜地方海難審判所
審判長 審判官 織 戸 孝 治
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