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委員長記者会見要旨(平成24年8月29日)

平成24年8月29日(水)14:00~14:30
国土交通省会見室
後藤昇弘委員長

発言要旨

 運輸安全委員会 委員長の後藤でございます。ただいまより、8月の定例記者会見を始めさせて頂きます。
 それでは、本日はお手元の資料にありますように、事故調査の進捗状況として、船舶の案件を1件と、運輸安全委員会年報2012の発行の順にご報告いたします。

1.事故調査の進捗状況

(1)モーターボートにおける爆発事故防止について

 まず最初に、昨年5月に発生しました「モーターボート建友爆発事故」について、現時点での調査の状況を報告いたします。資料1をご覧下さい。
 この事故は、モーターボート建友が大牟田市大牟田川の船だまりにおいて出航準備中、エンジンの上部をスプレー缶で洗浄して機関室を閉鎖し、エンジンを始動したところ、機関室内で爆発が発生し、同乗者2人が骨折したというものです。
 過去に同様な事故が3件発生しております。いずれも、閉鎖状態にある機関室でスプレー缶を用いてエンジンの外部を洗浄したのち、エンジンの始動等を行い、発生した電気スパーク等がスプレー剤等の可燃性ガスに着火して爆発しております。
 これらの事故で、6人が重度のやけどを負い、1人が骨折しており、船体にも大きな損傷を生じております。
 現在、調査の取りまとめを行っておりますが、公表までに今しばらく時間を要すること、及び同様の事故が起きる可能性があることから、関係者に情報を周知した方がよいと判断いたしました。
 プレジャーボート等を運航される皆様におかれましては、狭い閉鎖的な機関室で洗浄用スプレー缶等を使用するときには、空気より重い可燃性ガスが機関室内に滞留し、エンジンを始動した際、爆発する可能性がありますので、その使用には十分注意していただきたいと思います。
 なお、これらの情報につきましては、経済産業省原子力安全・保安院及び国土交通省海事局に提供いたします。

(2)その他の調査の進捗状況

 ・水上オートバイ斑鳩乗組員行方不明事故調査報告書について

 調査の進捗状況について、一点ご報告させて頂きます。
 先月公表しました水上オートバイ斑鳩乗組員行方不明事故の調査報告書につきまして、報告書に記載した事実情報に誤りがあることが判明しました。同報告書の取り扱いについては検討中であり、海事部会での結論が出ましたところで改めて報告させて頂きます。

 次に、現在、運輸安全委員会が調査を行っている事故及び重大インシデントの調査状況について、ご報告致します。詳細は、資料2をご覧下さい。
 航空の調査中の案件が34件、そのうち審議中のものが6件、意見照会中のものが5件あります。
 鉄道は調査中の案件が28件、そのうち審議中のものが5件であります。
 船舶は東京案件と申しているものですが、33件、そのうち審議中のものが10件となっております。

2.運輸安全委員会年報2012の発行

 本日、運輸安全委員会年報2012を発行しましたので、ご案内いたします。お手元に年報を配付させて頂きましたのでご参照下さい。
 本年報は、昨年1年間の当委員会の活動状況をコンパクトに取りまとめたものでございます。国民の皆様には、当委員会のホームページから、全文ダウンロードできますので、各方面でご活用いただければ幸いでございます。
 2012年版の内容でございますが、冒頭に特集として、「運輸安全委員会のミッション、行動指針及び業務改善アクションプランの策定」について、その概要を掲載しております。
 今までの記者会見でもご説明しておりますが、福知山線列車脱線事故調査に係る検証を契機としまして、有識者のご指導を頂きながら、本年3月に、組織のミッションを決定し、ミッションの内容を具体化した4つの柱からなる行動指針及び31項目で構成する業務改善アクションプランを策定し、取り組んでいるところであります。そこに至る検討経過などを取りまとめております。
 特集のほか、平成23年に発生した航空、鉄道、船舶の事故等の調査状況や公表した報告書の概要を紹介しております。
 23年に発生した事故等の調査件数につきましては、航空分野では、航空事故が前年比2件増の14件、航空重大インシデントが前年比6件減の6件でありました。
 鉄道分野では、鉄道事故が前年比5件増の14件、鉄道重大インシデントが前年比5件減の2件でありました。
 船舶分野では、船舶事故が前年比188件減の998件、船舶インシデントが前年比2件減の142件でありました。
 また、23年に発生した主な事故等を挙げてみますと、まず、航空事故等では、9月6日に静岡県浜松市南方上空を飛行中の旅客機(エアーニッポン(株)所属ボーイング式737-700型)の飛行姿勢が異常な状態になって、約6,300ft(1,900m)急降下し、乗務員2名が負傷した航空重大インシデントがありました。
 鉄道事故等では、5月27日に発生したJR北海道石勝線列車脱線事故がありました。
 これは、特急列車が石勝線清風山(せいふうざん)信号場付近を走行中に脱線し、その後発生した火災により白煙が列車内に充満し乗客248名、乗務員4名がトンネル内を歩いて避難し、このうち、乗客78名、乗務員1名が負傷したというものです。
 船舶事故等では、8月17日に発生した旅客船第十一天竜丸転覆事故がありました。
 これは、天竜川を川下り中の本船が、左岸の岩場に乗り揚げたのちに転覆し、2歳のお子様を含む乗客4人及び船頭1人が死亡、乗客5人が負傷したというものです。
 これらの事故等につきましては、事故等の発生について、報道で大きく取り上げられたところでもあります。すでに経過報告を公表したものもありますが、報告書作成に向けて、現在、鋭意、調査を進めているところでございます。
 また、運輸関係の事故調査の分野は、国際的な調査協力や情報交換が進んでいます。4章では、「事故防止への国際的な取組み」としまして、国際機関である国際民間航空機関(ICAO)や国際海事機関(IMO)の取組みと我が国の関わり、各国事故調査機関との協力や意見交換、海外研修への参加などについて紹介しております。
 主なものといたしましては、航空分野では国際民間航空機関(ICAO)の安全管理に関する専門家会議に、船舶分野では国際海事機関(IMO)の事故分析に関する専門家会議に、それぞれ参加しております。
 また、本年も開催いたしましたが、昨年5月にノルウェーのオスロで開催された国際運輸安全連合(ITSA)の委員長会議に私が参加いたしましたが、本会議についても掲載しております。
 続きまして、今回、初めてコラム欄を設け、事故調査官の日頃の調査活動の苦労話などを紹介しております。
 事故調査は様々な場所で、またいろいろな気象条件の中で行っており、航空事故調査官から、真夏の8月に40度を超える中での調査、真冬の2月氷点下20度以下の北海道での山頂で冬山装備を持参しての調査、あるいはヒグマの出没を警戒しながらの調査について、「航空事故調査官奮闘記」と題して書いてもらいました。
 鉄道事故調査官からも、大雪の影響で交通機関が乱れ、空港からのバス、タクシーが利用できないため、慣れない雪道を運転しながら現場へ急行しての調査について、「事故現場は遙か遠く」と題する文書をもらいました。
 船舶事故調査官からは、オーストラリアの依頼により、「1980年代に旅客船を建造した造船所が広島にあるらしい」という少ない情報の糸をたどって、あるご婦人の協力を得て図面を探すことができたという話を「広島とオーストラリア連邦を繋いだ“こころの糸”」と題してまとめてもらいました。
 また、委員長会見の関係でございますが、昨年9月の会見におきまして、静岡県浜松市南方上空で、旅客機が急降下し乗務員2名が負傷した重大インシデントの進捗状況として、急降下していく状況をDFDRデータを基に作成したアニメーションを用いて紹介している状況を掲載しております。
 ほかにも、運輸安全委員会の日頃の活動を巡るエピソードを掲載しておりますので、是非、ご一読して頂ければと存じます。
 以上、概略をご紹介いたしましたが、本年報に関するご質問等がございましたら、当委員会事務局までお寄せください。
 なお、本年報は今年より、英語版を作成しホームページで公表することとしております。作成まで今しばらく時間がかかりますので、よろしくお願いいたします。

 私からご報告するものは、以上です。
 何か質問等がございましたらお受けします。

3.質疑応答

(モーターボート建友爆発事故関連)

問: モーターボート建友爆発事故の件についてですが、今後、最終的な報告が出ると思いますが、類似の事故がこれだけ起こっている中で、さしあたって例えばどういうことに気をつければよいのでしょうか。
答: まず、可燃性ガスがどういうものがあるかということですが、スプレー缶には洗浄剤と噴射剤が入っておりまして、洗浄剤の成分であるシクロヘキサン、イソヘキサン、エタノール及び噴射剤のLPG共に、可燃性ガスでありまして、機関室に滞留したものと考えております。スプレー缶本体には、「火気と高温に注意」として、炎や火気の近くで使用しないこと、火気を使用している室内では大量には使用しないこと、高温にすると破裂の危険があるため、直射日光の当たるところや火気の近くなど温度が40度以上になる所に置かないこと、などが記載されておりますが、洗浄剤等の気化した可燃性ガスが閉鎖的な場所に滞留することの注意書きは記載されておりません。つまりドアを閉めて洗浄をする、そうすると室内に溜まります。エンジンが始動したときに火花が飛んだりして、それで火が付く、そういうことで怪我をするということでありますので、その辺の使用状況を十分注意して頂きたい、そういうことでございます。

問: 具体的にはドアを開けた状態で、行えということですか。
答: そうです。空気を入れ換えられる状態で行わないといけないということです。

問: モーターボートの事故の件で、過去3件とありますが、これはいつから遡って3件かということと、この事故に関しては特定のメーカーとか特定のエンジンの問題ではないという認識でよろしいのでしょうか。
答: 我々がまとめました過去3件と申しましたのは、運輸安全委員会になってからとらえたものは3件ということです。今後、スプレー缶の取り扱いには十分注意しなければいけないということをあまねく知ってもらいたいということであります。また、特定のメーカーとかエンジンということではなくスプレー缶というのは大体同じような中身が入っております。

(運輸安全委員会年報2012関連)

問: 運輸安全委員会年報を見ると、船の事故が平成22年に比べて188件減になり、かなり大幅に減っていますが、何か特別な取り組みだとか、周知したとか、どういったことからこういう数値になったと思いますか。
答: 確かに船舶の方では少し数が減っておりますけれども、やはり数年、傾向を探って見ないとわからないと思います。

(自動車事故調査に係る検討関連)

問: 調査対象に、自動車を加える時期にきているというように思いますが、現状の検討状況と、もし加える場合について、法改正等も必要になるかとは思いますが、課題について教えてください。
答: 現在、重大な事業用自動車事故等の要因分析は、自動車局で行っておりますので、自動車局において所要の検討がなされていると我々は承知しております。運輸安全委員会といたしましても、自動車局における検討状況を踏まえつつ、十分連携・協力しながら検討して参りたいと考えております。ただし、時期的にどうかということを申しますと、なかなかはっきり言えない状況であります。自動車局による検討状況を見守りながら、我々も協力しながら検討していきたいと、そういうことであります。他の航空、鉄道、船舶の3モードにつきましても、航空については航空局が、鉄道については鉄道局を中心にして検討を行った結果、事故調査委員会が行うということでまとめられたわけです。船舶についても海難審判庁が懲戒と併せて調査を行っていたわけですが、その事故調査部門をこちらへ移すということについての話が、海難審判庁で進められて運輸安全委員会になりました。そういうわけで、自動車局で所要の検討が行われておりますので、それを我々は注目して見守っているところであります。

(アシアナ航空機体動揺事故関連)

問: 最近起きましたアシアナ航空の機体動揺の件ですが、出発がホノルルで、ソウル行きで、中には日本のお客さんもいたかもしれませんが、発生国が日本だったということで調査を行っているというのはICAOのルール上、理解はしておりますが、今後例えば韓国に調査を移してみるとか、そういう対応が現実的にはリーズナブルではないかなと思えてしまうのですが、その辺は如何でしょうか。
答: これは基本的に、日本の領空上で起こった時には日本が調べるということは、国際的なルールでありますので、当委員会が行います。過去の例で、米国の旅客機ですが、日本の近くで乱気流に揉まれて怪我人が出ました。それで日本が行うことにしたのですが、よく調べてみたら公海上でした。そこで、調査をアメリカがやりますか、と投げかけたところ、もうせっかく始めているのだから行ってくださいということで、我々が報告書を出したことがあります。このような例もありますが、基本的には領空上で起こったものはその国が行うということであります。本件が起こったのは8月21日15時19分頃、ハワイのホノルルから韓国の仁川(インチョン)に向かっていたアシアナ航空エアバスのA330-300型機が、出雲空港の北西約26キロメートル、飛行高度12,200メートルを飛行中、機体が動揺して、乗客3名が負傷したというものですが、当委員会には翌日の22日の夜に航空局から正式な事故の通知がありました。また、韓国の事故調査機関から当委員会にも直接、22日の夜に連絡がありました。もう少し早く報告があってもということですけども、いずれも夜だったので、活動が出来たかどうかはわかりません。運航会社本社、機体や乗員、それから、負傷された方などは全部韓国におられますので、今後韓国側の事故調査機関と協力していきたいと考えております。なお、当日の気象の状況や、管制記録など、国内で収集するものについては国内の関係機関に提供依頼することとしております。ということで、基本的に我々が行うということです。もちろん韓国の事故調査機関の協力を仰がなければなりません。

問: そういうルール自体はどのようにお考えですか。
答: それはですね、どこの国の航空機だからどこが行うということではなく、調査を行う国を決めるルールがなければ、みんなが出てくることになりかねないこともありますし、どこも行わないことも考えられます。まず調査する国はどこかということを決めておかないと、取りかかりが悪いことになりますし、その後の調査もどこが主導権を握って行っていくのかと、これをはっきり発生地域で決められるようにしておくというのがICAOのルールであります。こちらの主観的な判断で何かを始めますと、必ず混乱を生じます。そういうことでICAOのルールが出来たということが、我々の理解しているところです。

問: 例えば韓国のエアラインであるとか、他のケースもあったと思うのですが、運航国当局には報告したものの、日本の運輸安全委員会には報告してないケースです。日本の領域でトラブルがあったら当然報告する義務があるにもかかわらず、それが周知されてないような状況に見受けられますが如何でしょうか。
答: 数週間前にもアメリカの航空機がアメリカ当局に報告しましたが、実はアメリカではない、我々が取り扱う案件だったということはあります。いくつか事例があります。必ずしも搭乗員が、事故が発生した場合、どこに報告すればいいのかということを理解している訳じゃないと考えられます。そういうこともあり得るわけです。日本が関連するときには、出来るだけ早く通報をして頂きたいということを、我が国として注文をしているところであります。

問: 国際的なルールに則って日本が責任を持って調べなければいけない以上は、ちゃんと日本に報告しろと、それはICAOに対して言っているのですか。それとも各エアラインに対して周知しているのですか。
答: 日本においては、事故発生の通報は直接運輸安全委員会に来るわけではなくて、国土交通省の航空局から頂いております。過去に、事故の発生の通報が遅かった外国エアラインについては、その都度、航空局から注意喚起が出されているというように伺っております。

以上

資料

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