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委員長記者会見要旨(平成25年5月29日)

平成25年5月29日(水)14:00~14:36
国土交通省会見室
後藤昇弘委員長

発言要旨

 運輸安全委員会委員長の後藤でございます。ただいまより、5月の月例記者会見を始めさせていただきます。
 本日は、お手元の資料にありますように、事故調査の進捗状況報告として、航空の案件を1件、3月にも紹介いたしましたが、船舶事故ハザードマップについて、ご報告いたします。

1.事故調査の進捗状況報告

(1)(株)ジェイエア所属ボンバルディア式CL-600-2B19型JA206J重大インシデント関連

 はじめに5月上旬に発生しました航空重大インシデントについての調査状況をご報告いたします。資料1をご覧下さい。ジェイエア所属のボンバルディア式CL-600-2B19型JA206Jは、平成25年5月6日、日本航空2362便として大分空港を離陸し、大阪国際空港(伊丹)A滑走路32Rに着陸いたしました。着陸後の午後12時16分ごろ、地上走行中のA4誘導路上におきまして、右エンジンに火災が発生したことを示す計器表示があったため、当該エンジンを停止し消火装置を作動させたところ、表示が消えたため、自走により駐機場まで移動したものです。
 当該機には乗員3名、乗客52名の合計55名の搭乗者がいましたが、けが人等はありませんでした。
 現在までの調査状況ですが、5月7日から8日の日程で航空事故調査官3名を現地に派遣し、初動の調査を実施しました。
 調査内容としては、乗員、誘導員及び整備士からの口述聴取並びに事象を発生した右エンジンを中心に機体の調査を実施いたしました。また、飛行記録装置などの確保も行いました。
 これまでの調査で判明した事項として、右エンジンを後ろから見まして9時から10時方向にあたる円環状の燃料配管付近に約50センチメートル四方の範囲で煤などの火炎が発生したと考えられる痕跡がありました。
 特に円環状の燃料配管から18本ある燃料噴射ノズルへ延びる燃料フレキシブルチューブのうち、12番、13番及び14番の焼損状態が顕著でした。
 今後の調査といたしましては当該型式エンジンの分解検査の実施が可能な施設におきまして、焼損状況や原因となった箇所の特定などを行う予定です。

(2)その他の調査の進捗状況

 次に現在、運輸安全委員会が調査を行っている事故及び重大インシデントの調査状況について、ご報告いたします。説明は省略させて頂きますが詳細は、資料2をご覧下さい。

2.船舶事故ハザードマップについて

 3月のこの場でもご紹介申し上げましたが、運輸安全委員会では、船舶交通のさらなる安全向上に資するため、地図上に過去の事故を表示させるのみならず、その海域が抱える危険性、リスクについて、事故の発生場所に重ねて表示させる「船舶事故ハザードマップ」を本日公表することといたしました。
 資料3の2ページ目をご覧下さい。このような画面が表示されます。3ページ目がハザードマップに表示されるマークの例です。
 2ページは、仮に航行の難所といわれている「来島海峡」で検索した場合、同海峡を中心にこのような画面が表示されます。
  航路の西側入り口付近や航路の屈曲した狭い部分に衝突や乗揚事故が多く発生しているのが分かると思います。
 また、資料4ページですが、地図上に表示されている船舶事故のマークをクリックしていただきますと、事故に関する教訓などの情報を簡潔に説明する吹き出しが表示されます。
 吹き出しでは、船舶名を記載している事故名や事故の概要等を表示し、さらに、事故について詳しく知りたい場合は、事故名をクリックすると実際の事故等調査報告書が表示されます。
 5ページは、「東京湾」付近に「交通量」としてAIS(船舶自動識別装置)から作成したデータを重ねたものです。赤枠内にある紺色の部分は、交通量が多いことを表しています。交通量の多いところに沿って衝突事故が多いことが分かると思います。
 事前に海事・水産関係者等と意見交換を行い、「船員の教育・安全講習に利用したい。」「季節や時間帯で検索し、自社船の安全運航に役立てたい。」といった期待の声をいただいておりますので、適切な情報提供に努め、さらなる内容の充実に努めて参ります。是非ご活用願います。
 私からご説明するものは、以上です。
 何か質問等があればお受けします。

3.質疑応答

(全日本空輸(株)所属ボーイング式787型重大インシデント関連)

問: ボーイング787型機の調査について、今現在どういうことを行っているのかということと、最近新たに判明した事実があるかないかということですが、その辺り教えて頂けますか。
答: 調査の進捗状況についてということでありますが、現在までにDFDR等の記録、バッテリーの損傷の状況、それから4月の前半に行ったものでありますが高松での充放電試験等様々なデータを収集しております。これら収集したデータから、事象がどのような経過を辿ったかを分析し、更に発端が何故生じたかを究明していきたいと考えています。現在その究明、解析作業にあたっているところでありまして、引き続き調査に全力を尽くしていきたいと思います。ただ、今後どういう時系列でどういう風なことがわかるかということは解析状況を見ないとわかりませんので、現時点で申し上げることは出来ないということをご了承頂きたいと思います。

問: 先日ボーイング787型機が臨時便として運航再開しまして、6月1日から本格的に運航を再開しますけど、このことについてご所感をお願いします。
答: 運航再開については、調査に携わっているものとしては特に申し上げることはありませんが、日本航空と全日本空輸は運航中でもバッテリーの電圧を機上のみならず地上からでもモニターすることができるなど追加的な措置を行っているということを聞いておりますので、安全・安心な運航に努めて頂ければと思ってる次第であります。

問: 利用者にとっては、本当に安全なのかというような思いもあると思います。その辺は運輸安全委員会としてはどの様にお考えでしょうか。
答: 安全・安心を確保して運航再開する、現在のところそのような状況だと聞いております。ただし、変化がある部分についてどうなったかということについては我々は直接の報告を受けておりませんので、それの調査そのものは行っておりません。しかしながら、前回の会見でも申し上げたとおり、約80項目に及ぶ原因に繋がる、あるいは事故の経過に繋がる事象に対する対応がされていると聞いているわけですけども、それ以上のものは我々も現在のところ見つけておりませんし、それに対する十分な対応はされているとは聞いておりますので、そういう面で先程申しましたように安全・安心という点では大丈夫だろうという風に私は考えております。

問: 先程、変化がある部分については直接の報告を受けていないとおっしゃいましたが、それはつまりボーイングの改善策ということでしょうか。
答: はい。そういうことです。

問: 以前、委員長が原因について、バッテリー本体か、あるいはバッテリーと充電器の相性、この二つが考えられるということだったんですけど、これに関してはよりどちらかに絞り込めてきたのかということと、バッテリーと充電器の接続試験の経過というのはどのようになっているのでしょうか。
答: 原因が二つだけという訳ではありませんが、二つが外部の機器と繋がっているという点では今おっしゃったとおりであります。現在そういうことも含めて、先月高松で実施した充放電試験では、様々なデータを収集し、今おっしゃったようなところが解明できればと思って現在データ解析を急いでいるところであります。今のところはそれしか申し上げようがないということをご承知頂ければと思います。

問: アメリカで行った充電器とバッテリーの接続試験の方の解析はいかがですか。
答: 充電器は事案機と、別の物の両方を使って試験しました。現在も解析中です。

問: どちらかという絞り込みにはまだ至っていないということでしょうか。
答: はい。至っておりません。

問: 時間的なことに関しては申し上げられないということですが、調査の見通しについてはいかがでしょうか。
答: NTSBは今年中というようなことを言っておりますけども、我々も同じように出来るかどうかというところは何とも申し上げられないところです。現在の解析状況を見ながら追加の試験が必要になるかどうかというようなこともこれからの解析次第で判明してくると思いますのでそういうことも含めれば少し時間がかかることも予想されますので、その辺も承知して頂きたいと思います。

問: 1年以内ということのメドを目標にされるんですか。
答: NTSBはそういう風に進めたいと言っており、我々も緊密に連絡を取っておりますので、出来ればそういう風にしたいと思っておりますが、何とも申し上げられません。

問: 前回の会見の際、ボーイングが想定している80項目以外の原因は考えられないという趣旨の説明がありましたが、その後、一ヶ月程度経って調査が進展した段階でも、その考えは変わっていないのでしょうか。
答: 新しい事実の発見はまだありませんので変わっておりません。

問: 80項目を大きく分けた4分類のなかで、原因の可能性として考えられるものの強弱についてはいかがでしょうか。
答: まだそこまで言えるような調査段階ではありません。これまでに集めた資料を整理中です。

問: 根本的原因の特定について、中間発表など、スケジュール的なもので委員長としての目標はありますか。
答: ボーイングのやり方に従えば、4つの分類のどれが一番大きいかということを確かめるため、いくつか仮定を立てることはできますが、それに対する答えの調査の部分がそこまで至っていないので、申し上げることは控えたいと思います。

問: 根本的原因が特定できないまま終わる可能性もあるということですか。
答: その可能性が無いとは言えないと思います。コバルト酸リチウムの結晶構造まで考えなければいけない、セルの劣化のメカニズムを明らかにするには、そういう化学的或いは物理的なところに関わる電気的なことまで解明しないといけないこともあり得るということであり、そのあたりの解析は今からということです。

(ジェイエア所属ボンバルディア式CL-600-2B19型重大インシデント関連)

問: 確認ですが、資料の写真では、右エンジンの後方から見て9時から10時の方向ということは、胴体側を向いているということですか。
答: はい。そのとおりです。

問: 燃料噴射ノズルへ延びるチューブのうち、12番、13番及び14番の焼損状態が顕著であったというのは何か特徴はあるんですか。
答: お手元の資料で50センチ四方の煤があります。その範疇に配置されているチューブということで理解して頂ければと思います。

問: 18本あるチューブは、それぞれ機能は別々なんでしょうか。
答: エンジンの内部が燃焼室になっております。そこに燃料を吹き込むためのノズルが円周上に配置されており、そのうちの一部が3本です。

問: その3本が9時から10時の辺りにあるという意味合いでよろしいでしょうか。
答: そうです。エンジンの周りの円周上に配置されております。

問: そこが何かに近いとか、推測されるという話ではないということですか。
答: それはまだわかりません。

問: 煤等の痕跡があったということですが、煤以外に何かありましたか。
答: 我々が確認したのは、エンジンを覆っているカウリングというのがあるんですが、それを開けて初めて調査官が煤等を確認しました。基本的に燃えた痕跡というと煤だけです。それ以上のものは特にこれだというものはないです。それから、火炎が出たのではないかと、そういう痕跡は確認できております。チューブが高温になって白くなっていたということで、たぶん火炎の痕跡ではないかということです。

問: 実際に煙だけでなく火も出たということですか。また、目撃証言はなかったですか。
答: 煙も炎も乗っている人からはわからなかったようです。外から見た人もいなかったようです。

問: エンジンの分解検査はいつ行ったものなんですか。
答: このエンジンの分解検査はこれは定期整備です。これは2009年7月に実施されて、その年の12月に当該機に搭載されております。

問: これまでの点検では異常は見当たらなかったということでしょうか。
答: そうです。

問: 一番近い、目視点検以上の少し詳しい点検というのはいつ行ったのですか。
答: 2009年のものは結構大きく、取り下ろして子細に見るという点検になっております。

問: 2009年7月より前から付けていたものを7月に取り下ろして詳しく点検して付け直したということですか。
答: そうです。

問: 調査のための分解はどこでやられるんですか。
答: 国内でやる予定でおります。

問: 12番、13番、14番のところから出火というか問題になった可能性があると見て調査されているということでよろしいのでしょうか。
答: そうです。外部的に見るとそういうことです。

問: チューブというのは金属製の配管みたいなものということですか。
答: 材質については今手元に資料がありません。いずれにしてもここは燃焼室のすぐ外側にありますので、日常的にも温度が上がりやすいところなのでそれに耐える素材ということは当然かと思います。

問: 覆われているのは断熱材ですか。
答: 強度を上げるとかあるいは燃えにくくするとか色々な意味があると思います。

問: 大きさはどのくらいですか。
答: 写真にスケールが見えますが、手元にデータがありません。

問: 大きな赤丸が全体状況で、小さい赤丸が12番、13番、14番のところのことなんでしょうか。
答: そうです。

問: 熱損が激しいという根拠は煤以外に何か変色したとか何かボロボロになってるとか、どういうことがあるのでしょうか。
答: 火炎の発生で煤の痕跡があったということです。

問: ここが煤が一番多かったということですか。
答: 多かったといいますか普通は付かないところですから。煤が付いていたということは火炎が発生したのではないかという推測をしているそういう意味です。

問: 煤が付いていたのは50センチメートル四方の範囲ですよね。特にここが顕著だったと言っているのはどういうことですか。
答: チューブが白く変色していたということもあり、白く変色したのはそういうことがあったのでしょうということで、そのように考えております。それと、写真で見る限り原形は留めています。ちぎれたとかあるいは焼けて原形を留めていないとかそういうことはありません。原形を留めて白くなっているというのが現状です。

問: 変色があったのはここだけだから、ここが熱損が激しいということですか。
答: そのように考えています。ここは恐らく高温になったから白くなったのでしょうと。こういう所が3カ所あります。やはり道理としてこの辺を中心に調べましょうという段取りで進めております。

問: 白く変色していたということなんですけど、元々は何色だったのでしょうか。何かが付いて白くなったんじゃなくてということですか。
答: つまり灰が付いて白っぽくなりますよね。

問: 材質そのものが変わったのではなくて、付着したということですか。
答: そういうことです。

問: 先程、燃焼室に近いとおっしゃったんですけど、12番、13番、14番が燃焼室に近いということですか。
答: 18本全部が燃焼室の周りを囲んでいます。すべて同じです。

問: 白くなったのは灰ということでいいんですか。材質が高温化したことによって燃焼現象を起こすといったことではないんですか。煤というのは黒っぽいものですよね。黒く変色しているのであればそこにも煤が付いているというのもわかるんですけど、白く変色しているというのはどういう現象でしょうか。
答: そこまでまだ調査が進んでおりませんのではっきりとは申し上げられません。つまり、白くなっていたのがどういう物質で出来ていて、どういうところから出てきたかということを突き止めた上で、それが周りの物質とどういう風な相互干渉を起こしたかというのは、今から調べてみないとわかりません。

問: 原因については、これではないかというところまでには至っていないのでしょうか。
答: そこまでの段階ではないです。現象としてこういうことが認められるということを調べて解析はこれからになります。

問: これから行われる分解検査はいつ頃になるのでしょうか。
答: できるだけ早く行いたいと考えています。

問: 燃料とかエンジンオイルが漏れた痕跡があるということですか。
答: 燃料漏れの公算が大きいと思います。ただ、漏れた燃料で濡れているところはなく、火炎の痕跡範囲がそれほど広くないことから、仮に漏れていたとしても、ごく少量と思われます。その他に、一般的には電気の接触やエンジンオイルの漏れということも疑われますが、電気接触特有の刺激臭はなく、オイル漏れによる汚れなども発見できませんでしたので、これらの要因の可能性は少ないと思われます。

問: 漏れていたとは断定していないのですか。漏れた燃料で濡れているところはない、電気接触特有の異臭もない、オイル漏れ特有の汚れもない、そうすると、ほかに可能性は何が考えられるのでしょうか。
答: それを今から調査、解析するわけです。

問: よくある事案という感じではないのですね。
答: それも調べてみないと何とも言えません。このタイプのエンジンで、過去にどういうことが起こったのか、今、調査中であります。

(神戸電鉄列車脱線事故関連)

問: 昨日の神戸電鉄有馬口駅の脱線事故には鉄道調査官を派遣されたばかりですが、同社では、同じ駅で2006年にも二度にわたって脱線が起きています。同じ駅で何度もこのような事故が起きていることについて、何かコメントを頂けますか。
答: 本日、派遣したばかりで、事故原因が分からない状況であり、しっかりと調査を行いたいと考えています。

資料

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