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委員長記者会見要旨(平成25年6月26日)

平成25年6月26日(水)14:00~14:33
国土交通省会見室
後藤昇弘委員長

発言要旨

 運輸安全委員会委員長の後藤でございます。ただいまより、6月の月例記者会見を始めさせていただきます。
 本日は、お手元の資料にありますように、事故調査の進捗状況報告として、船舶の案件を1件ご報告いたします。

1.事故調査の進捗状況報告

(1)自動車運搬船AUTO BANNER練習艦しまゆき安全阻害

 6月11日(火)20時50分ごろ関門港関門航路西口付近で発生しました自動車運搬船AUTO BANNER練習艦しまゆきの安全阻害について、調査の進捗状況を報告します。
 資料1をご覧下さい。
 安全阻害の概要は、AUTO BANNERが関門航路西口から山口県下関市六連島東方沖の関門航路屈曲部に向けて南進中、しまゆきが同屈曲部に向けて北進中、関門航路の中央部付近において、両船が右舷を対して通過しました。
 資料の2ページに、民間会社が受信した船舶自動識別装置(AIS)の情報記録による両船等の運航状況を示しております。
 関門航路を点線で示しており、六連島側の航路端付近を航行しているのがAUTO BANNERの前方を航行していた南下船で、反対側の航路端付近を航行しているのがしまゆきの前方を航行していた北上船です。
 そして、関門航路の中央部付近で六連島側に針路を転じたのち北上しているのがしまゆきで、しまゆきの針路と交差して南下しているのがAUTO BANNERです。
 当委員会では、引き続きAUTO BANNERの関係者からお話を聞くなどの調査を行い、両船がこのような航跡をとることとなった状況を分析し、関門航路西口付近における船舶事故等を防止するための教訓を得たいと考えております。

(2)その他の調査の進捗状況

 次に現在、運輸安全委員会が調査を行っている事故及び重大インシデントの調査状況について、ご報告いたします。説明は省略させていただきますが詳細は、資料2をご覧下さい。

 私からご説明するものは、以上です。
 何か質問等があればお受けします。

2.質疑応答

(自動車運搬船AUTO BANNER練習艦しまゆき安全阻害関連)

問: こういう安全阻害のようなケースというのは頻繁にあるわけではなく、レアケースということでよろしいでしょうか。
答: 我々もそう思っております。

問: 地形的な何かがあるのでしょうか。
答: その辺がよくわからないんですが、やはり航行する船舶が多いということでしょうね。狭い海域でもありますしね。

問: 分析結果というのはまだですか。
答: 今分析を進めているところでありますが、過去の事故あるいはインシデントを参考にして、海峡の状況の問題なのか、ハザードマップなども参考にしながら、今後、どのようなことが言えるのか検討していきたいと思っております。

問: 別の船を追い越したことがニアミスの要因ではないかという指摘と、海上自衛隊の方はしまゆきに追い越しはなかったという認識なんですが、その辺りはいかがでしょうか。
答: その辺はまだ解析できておりません。

問: この問題に対して防衛大臣は、運搬船としまゆきの間が250メートルくらいあって、それほど危険な状況ではなかったと認識していると述べられているのですが。
答: そのような報道があることは承知しておりますが、二船が接近したときに危険だと感じる距離は、そのときの状況、即ち、船の大きさ、接近時の態勢、周囲の状況、操船していた人の心理的な影響等によって異なりますので、慎重に調査をしたいと考えております。一概に言えないということをご理解頂きたいと思います。

問: もう一度、図の6本の線についてご説明頂きたいのと、ピンクの線が航路ということでしょうか。
答: ピンクで示していますのが、航路の端を示しています。真ん中の4つの点線がそれぞれの航跡を示しています。

問: この一番右端の線はしまゆきの先行船でいいんですよね。
答: AUTO BANNERの先に進んでいた他の船ですね。これは右側航行を義務付けられておりますので、一般的に南下する船はこのようなコースで航行しています。それから、右端の方の北上する船はこんな感じで航行していますという例も併せて出しております。

問: しまゆきのですね、20時48分から49分にかけての間の動きなんですけども、航路の中央よりもやや左側に、膨らむような形で動いているように見えますけども、これは位置からすると航路の中央よりも更に左に寄っているというのは確認されたということなのでしょうか。
答: AISデータではこのような航跡が出たということで、このときにどうしてこのようになったかということはこれから調べますし、口述に関係してきますので、この場ではお答えすることは出来ません。

問: この航路の48分から49分の間の、48分2、30秒だと思いますけど、このところの航路の幅は何メートルありますか。
答: 下に尺度がありますので、それで測って頂くとわかると思いますが、約700から800くらいですね。広いところで800メートル位だったと思います。

問: これは中央よりも左に行っていると言ってもいいんでしょうか。
答: そうですね。この赤い丸が描いてあるところが、一番近づいたところで、250メートル位じゃないかと思っています。

問: 8時50分の直前頃に一番左側に行っている理由というのがまだ言えないということですか。
答: そうです。調査中です。

問: これより前の段階、20時48分より前の段階ですけども、それはAISデータから分析はされているんですか。
答: はい、データは得ております。

問: そのときのしまゆきの航路というのは、これとほぼ同じで中央付近にいるんでしょうか。
答: そこに点線が出ていますが、その延長線のような感じです。

問: 中央の辺りを航行していて、ややニアミスの直前では中央よりも左に動いているという航跡がAISで確認されたということですか。
答: はい。

問: この航跡を見る限り、先行している船よりも約200メートルくらい左側を航行していたということが言えるわけですか。
答: はい。航跡は実際の位置になります。

問: 海上交通センターが無線で針路を右側にとるようにという指示をしたことに対して、応答が無かったというような話もあるようなんですが、この辺りの事実関係というのは何か確認されていますか。
答: 海上交通センターから呼び出しがあったということは、私共も承知しております。その点の状況については現在調査中でございますので、どうでしたということは今のところ申し上げられません。ご了解頂ければと思います。

問: ニアミスの直前にしまゆきが別の船舶を追い越したかどうかについては、資料1の航跡図でわかるのでしょうか。
答: しまゆきの航跡の右に記載した船は、しまゆきの前方を航行している船ですので、追い越した船ではありません。我々も、民間の会社からAISデータを入手しており、そのデータを見る限り、しまゆきが追い越した船らしいAISデータはありません。但し、AISを装備していない船もありますので、追い越しがあったのかどうかについては、現段階ではわかりません。今後、はっきりするようになると思います。

問: 資料1には4隻の船の航跡が記載されていますが、これは省略したもので、同じ時間帯にここを航行している船舶はほかにもあるということですか。
答: その時間帯ではこの4隻だけです。

問: AISを装備していない船があるかも知れないということですか。
答: そういうことです。

問: それはAIS以外でどういったところから調べていくとわかるのですか。
答: 先ず、話を聞いていることと、それからレーダー情報があればそこからもわかりますので、これからの調査になります。

問: レーダーに映っていれば簡単にわかるということですか。
答: AUTO BANNERについてはそのVDRをみれば分かるかも知れませんが、今、外地に向けて航行していますので直ぐにはわからないと思います。

問: 他の小さい船とかがあったかどうかというのは、海上交通センターのレーダーを見れば比較的早くわかるのではないでしょうか。
答: 海上交通センターでもレーダー映像をとっていますので、そういうのもわかるかも知れませんが、島陰や船陰になっていれば映りませんし、そういう点も含め、幅広く調べていきたいと考えています。どういう状況だったのかについては、最終報告書で明らかにできるのかと思います。

問: AUTO BANNER側には、現時点では調査ができていないのでしょうか。
答: 我々が知ったのは当該事象発生から1週間後で、その時点では既に太平洋を走っていました。自動車専用船ですのでいずれ帰って来るかも知れません。その際、乗組員が替わっていなければ話を聞けるかも知れません。

問: VDRの収集とかは先に行っておくことはしないのですか。
答: VDRは、機種又は会社によっては24時間保存というものもありますが、基本的には最低12時間の保存となっており、1週間経過した状態では明らかにデータとして残っていないと思います。

問: この航跡図を見れば、AUTO BANNERは、その先行船に比べれば、20時48分の段階でかなり中央の方にいるように見えますが、何か理由が考えられますか。
答: 一つは、船の大きさが違うということです。AUTO BANNERの先行船は内航船で、AUTO BANNERに比べればかなり小さい船なので、操船者としてもそんなに危険性を感じないですが、一方、AUTO BANNERは大きく風を受けやすいので、安全優先に動くと、このような航跡になるのかと思います。

問: 今の話はしまゆきには適用されないのですか。
答: 大型船ではないので、しまゆきはそうではないと思いますが、操船者がどういうふうに考えていたのか、今後分析していきたいと思います。

問: AUTO BANNERはどこに向かっているのですか。
答: 南米の方だった思います。

問: また日本に来たとしても同じ乗組員の保証はないということですが、海外へ調査官を派遣するか、他国の調査機関へ調査をお願いする可能性はあるのですか。
答: 必要があればそういう可能性もあるかも知れませんが、現時点では検討中です。

問: 本事象の場合、運輸安全委員会の認知が1週間後になったのですが、そういうことがAUTO BANNERの調査に支障を生じさせた事態に結びついているのではないかと思いますが、どうでしょうか。
答: 海上保安庁からは、船体及び船体以外の損傷或いは人の死傷などがあった場合、すべての件で情報をいただいていますが、今回のような場合については、我々は安全阻害というかたちで捉えましたが、その捉え方が多少違っていれば、今回のようなことも起こりうるかもしれないのかと考えています。

問: 調査を始めるまでに1週間経ったということについては、海自なり海保なりに対し、もっと速やかに情報提供するようにという要請をすることはあるのでしょうか。
答: あり得ると思います。先程も申しあげたとおり、インシデントの捉え方をどう捉えるかで、考え方が違うときにこのようなことが起こるわけで、そのあたりは距離を縮めていかなければならないと思います。

問: 具体的に、今後、海自或いは海保に対し改善を申し入れることはありますか。
答: 調査の結果次第ですが、あり得ると思います。

問: 最終的な報告書が出てからということでしょうか。
答: そうです。

(漁船第七勇仁丸転覆関連)

問: 一昨日、金華山沖で自動車運搬船が関与したかどうかわかりませんが、漁船が衝突されて今現在まだ一人が行方不明という事案がありますが、昨日、塩釜の方に運輸安全委員会の調査官を3名派遣していますが、今現在の調査状況を教えて頂けますか。
答: 現在の調査状況ですけど、まだこの船が衝突した船かはまだわかっておりません。そういう段階ですけれど、事実確認を行うために本船の乗組員から口述聴取を行いました。それから、本船のVDR情報は抽出しております。また、本日午前中に船体の塗料を採取しております。現在そういう状況です。

問: 乗組員からの聴取状況はどのようなものなのでしょうか。ぶつかったということを認識しているのか、それともしていないのか。
答: この件につきましては、船長や乗組員からお話聞いておりますけど、口述の内容に入ってきますので、現段階ではお話しすることは出来ません。

問: 会社側はですね、取材に対してはぶつかったという認識はないと乗組員から聞いているという風に言っていますけども、そこは同じ内容ということなんでしょうか。
答: そういう情報があるということは聞いておりますが、乗組員がどういう風に話しているかということは、現段階ではお話しできないということでご理解ください。

問: 自動車運搬船の船体塗料を採取したということですが、船体のどの部分の塗料を採取したのですか。
答: 船首部分に塗膜がかなり破損している部分あり、そのあたりを中心に採取していると思います。本船とは違う塗料があれば、それをメインに採ると思います。

問: 今後、漁船の塗料との照合をするのですか。
答: 調査状況によりますが、自動車運搬船から採取した塗料と、勇仁丸の塗料との照合が必要になってくるかも知れません。現段階では、早めに情報を得ようということで、色々な情報を収集している段階です。

問: 先程言われた本船とは、自動車運搬船のことですか。
答: そうです。

(全日本空輸(株)所属ボーイング式787型重大インシデント関連)

問: 発生からもうすぐ半年が経つんですが、現在の調査状況と今後の見通しについてお聞かせ下さい。
答: 前回も申し上げたことでありますが、DFDR等の記録、バッテリーの損傷の状況、高松での充放電試験のデータ等、様々なデータを収集しておりまして、これらの収集したデータから、事象がどの様な経過をたどったかを分析し、更に発端が何故生じたか究明していきたいと考えております。引き続き調査に全力を尽くしていきます。ただ、根本原因の究明には、今申し上げたように、何が起こったのかを時系列を含め明らかにする必要があり、収集されたデータと矛盾しないで説明できるようにしなければなりません。引き続きNTSBと緊密に連携すると共に、今後、必要に応じて試験を行う等、発生経緯を明らかにして根本原因を究明していきたいと考えておりますので、少し時間がかかりますということであります。

問: 前回からここが進んだという部分と、今後の見通しの部分は如何でしょうか。
答: そうですね、例えば原因が絞り込まれたかという点では、まだ、詳細には現在の段階では申し上げることは出来ません。出来るだけ早く原因究明が出来るように全力を挙げて取り組んでいきたいと思います。従って、調査報告書についてもいつ頃がメドかということは現段階ではなかなか申し上げることはできないということでありまして、NTSBの調査とも協力しながら、今後早急に根本原因について、調査を進めていきたいと思っております。

問: 何かこの部分が壁になっているとか、そういうところはあるのでしょうか。
答: 特にはありませんが、根本原因をたどっていくところが、逆にたどっていってどうなるのかというところ、その辺がなかなか難しいところです。この前申しましたように、ボーイングでまとめた結果が80項目等の原因の絞り込みになっているわけですけど、それを、実際に起こった段階から逆にたどっていかなければならないんです。どこに根本原因があるかということをいくつかに絞っていくためには、相当の時間が必要ですし、試験も必要だと思いますので、そのようにお考え頂ければと思います。なかなか早急には出てこないです。

問: 試験は具体的に何かやることはあるのですか。
答: 高松でも、これは情報収集が主でしたけども、似たような現象として試験的なものを行っておりますし、今後とも調査に応じて必要な試験が出てくれば、ユアサとも協力しながらやっていこうと思っております。

問: 1年をメドに報告書ということを前回もおっしゃっていたんですけれども、途中で中間報告書のようなものを発表することを考えていますか。
答: 出すような状況になれば出したいと思っておりますが、今のところ考えておりません。出来るだけ早く調査を進めていって、NTSBとも共同歩調を取りながら、出来るだけ近い時期に報告書を出せればと考えております。

問: 前回、前々回もおっしゃっていた、ボーイングのまとめた80項目の外に出るものは想定していないということですか。
答: 今のところ発見されておりません。

問: 1年を目標にというところも変わってませんか。
答: 目標ですけども、努力を致します。

資料

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