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委員長記者会見要旨(平成26年3月26日)

平成26年3月26日(水)14:00~14:58
国土交通省会見室
後藤昇弘委員長

発言要旨

 運輸安全委員会委員長の後藤でございます。
 ただいまより、3月の月例記者会見を始めさせていただきます。
 本日は、お手元の資料にありますように、事故調査の進捗状況として航空の案件を1件、並びに船舶の案件2件をご報告するとともに、勧告に基づき講じられた措置として2件をご報告させていただきます。

1.事故調査の進捗状況報告

(1)セスナ式172Mラム型JA3853航空事故関連
 はじめに、3月上旬に発生しました航空事故についてご報告します。
 資料1の2ページをご覧下さい。個人所属のセスナ式172Mラム型JA3853は、平成26年3月5日、訓練のため11時39分ごろ愛知県営名古屋飛行場を離陸し、愛知県豊田市上空を飛行中の11時47分ごろ、同市篠原町大沢に設置してあります高電圧送電線用18番鉄塔に衝突しました。
 当該機には、機長ほか同乗者1名が搭乗していましたが、お二人とも死亡となり、機体は大破、飛散しました。お二人のご冥福を心からお祈りいたします。
 調査内容としては、散乱した機体残がいなどの状態や位置の調査を実施しました。また、機内に持ち込まれておりました、GPS記録装置などの確保も行いました。
 3ページをご覧ください。これまでの調査で判明した事項として、事故当日の朝、名古屋飛行場の視程が悪く、計器気象状態でありましたが、11時25分に有視界気象状態となりました直後の11時39分に名古屋飛行場を離陸しました。
 なお、衝突しました鉄塔の高さは63メートルで、鉄塔頂部の高さは海抜約265メートルでした。その頂部から5.5メートルほど下の部分に衝突したと考えられます。名古屋飛行場から鉄塔までの距離は概ね12海里、約22キロメートルです。
 また、現在のところ、機体の故障などが関与したような情報はありません。
 今後の調査としましてはレーダー航跡や気象情報の入手、確保しましたGPSの解析を行います。また、当日の気象状況などを調査する予定です。

(2)漁船第八海星丸 火災事故関連
 次に、3月2日(日)早朝に発生しました漁船第八海星丸火災事故につきまして、調査の進捗状況を報告させていただきますが、まず、亡くなられた第八海星丸乗組員のご冥福を、また、一日でも早く、行方不明となっておられる方々の手がかりがつかめますことを心からお祈りいたします。
 それでは、資料2の1ページをご覧下さい。本事故は、高知県室戸岬南方沖約230海里において、3月2日06時12分ごろ船長、機関長及びインドネシア共和国籍乗組員5人、計7人が乗り組んだ第八海星丸の僚船から第八海星丸との連絡がとれなくなった旨の通報がありました。
 第八海星丸は、海上保安庁の航空機により火災が発生した状態で発見され、その後、4人が救助されましたが、このうち、船長、機関長及び乗組員1人の死亡が確認され、残りの乗組員3人及び第八海星丸が行方不明になっているというものです。
 資料の2ページに事故発生場所を、3ページに第八海星丸の主要目及び写真を、4ページに第八海星丸の一般配置図を示しております。
 5ページに海上保安庁から提供して頂いた第八海星丸の火災状況を示しております。
 当委員会は、船舶事故調査官2人を高知県高知市、室戸市、須崎(すさき)市、千葉県勝浦市、和歌山県那智勝浦町に派遣し、生存者、造船所、救助に携わった船長等からの口述聴取及び同型船の構造等について初動調査を行いました。
 現在、入手した情報を整理しながら、追加調査を行っているところです。
 当委員会では、原因の究明に努力すると共に被害の軽減という観点からも調査を行い、できる限り早期に報告書を公表したいと考えております。

(3)貨物船BEAGLEⅢコンテナ船PEGASUS PRIME 衝突事故関連
 続きまして、3月18日(火)早朝に発生しました貨物船BEAGLE(ビーグル) Ⅲコンテナ船PEGASUS PRIME(ペガサスプライム)衝突事故につきまして、調査の進捗状況を報告させていただきますが、亡くなられた方のご冥福を、また、一日も早く、行方不明者の手がかりがつかめ、負傷された方が回復されますことを心からお祈りいたします。それでは、資料3の1ページをご覧下さい。
 本事故は、神奈川県三浦半島沖において、浦賀水道航路を出て南進していたBEAGLE Ⅲ(乗組員20人、全員中華人民共和国籍)と同航路に向けて北進していたPEGASUS PRIME(乗組員14人、大韓民国籍6人及びミャンマー国籍8人)が衝突し、BEAGLE Ⅲが沈没したものです。
 この事故で、BEAGLE Ⅲの機関長が死亡し、乗組員8人が行方不明となっております。また、乗組員11人が救助されましたが、4人が入院し、他の3人が病院で治療を受けました。
 一方、PEGASUS PRIMEの乗組員3人は、BEAGLE Ⅲの乗組員を救助しようとした際に負傷した模様です。
 資料の2ページに事故の発生場所を、3ページにBEAGLE Ⅲ及びPEGASUS PRIMEの主要目を示しております。
 資料の4ページにPEGASUS PRIMEの船首部の損傷写真を示しておりますが、船首端部に圧壊、船首部の外板及び甲板に座屈等が生じております。
 当委員会は、船舶事故調査官5人を神奈川県横須賀市及び横浜市に派遣し、BEAGLEⅢの乗組員、PEGASUS PRIMEの船体調査及び乗組員からの口述聴取を行い、現在、入手した情報を整理しながら、追加調査を行っているところです。
 この事故が発生しました海域での衝突事故例について、簡単に紹介させていただきます。
 資料の5ページ、船舶事故ハザードマップをご覧下さい。
 図の中心付近に今回の事故発生場所を示しました。
 ご覧のように、今回と同じような形態で4件の衝突事故が発生しておりますが、この付近は、浦賀水道、伊豆大島北側海域、房総半島西側海域等の各方面からの航路の分岐点となっております。
 当委員会では、このような環境等の要因も分析して報告書を公表したいと考えております。

 続きまして、現在、運輸安全委員会が調査を行っている事故及び重大インシデントの調査状況について、ご報告致します。説明は省略させていただきますが、詳細は資料4をご覧下さい。

2.勧告に基づき講じられた施策

 次に、勧告に基づき講じられた措置について、ご紹介いたします。

(1)富山地方鉄道上滝線列車脱線事故に係る勧告に基づく実施計画
 平成24年7月28日に発生した富山地方鉄道株式会社上滝(かみだき)線列車脱線事故についてでございます。資料5をご覧ください。
 本事故は、運転士がワンマン運転で上堀駅に停車する際、車両に異音と衝撃を感知したため非常ブレーキを使用し、列車を直ちに停車させ確認したところ、車両の全8軸が脱線していたというものです。死傷者はいませんでした。
 本調査結果につきましては、平成25年7月26日に調査報告書を公表するとともに、原因関係者である富山地方鉄道株式会社に対して勧告を行いました。
 同社から提出された実施計画では、軌道の検査及び整備は、計画的かつ早急に行うことを徹底し、本社管理部門と現場部門が安全について共通した認識を持つよう改めることとしております。
 また、軌道検査の管理体制の構築、不適正箇所の是正などの取組計画については、安全マネジメント委員会を活用し、経営管理部門が取りまとめ、実施状況についても継続して適切に管理していくこととしております。
 これらについては、勧告の内容を反映したものとなっていると考えております。今後は、実施計画に沿って実行していただくことになりますが、これにより、安全性の一層の向上に努めていただきたいと考えます。措置が完了した段階で、完了報告が提出されましたら改めてお知らせいたします。

(2)四国航空株式会社所属ユーロコプター式AS350B3型機の事故に係る安全勧告に関する措置状況
 次に、安全勧告に基づき講じられた措置について、既に先週の3月18日に公表したものですが、改めてご報告させていただきます。
 平成23年9月22日に発生した四国航空株式会社所属ユーロコプター式AS350B3型JA6522の火災事故についてでございます。資料6をご覧ください。
 本事故は、高松空港を離陸し、送電線監視飛行を実施中に機内に焦げくさい臭い及び白煙が発生し、香川県東かがわ市の野球場に不時着し、その後、炎上し大破したというものです。死傷者はいませんでした。
 本事故の調査結果につきましては、平成25年6月28日に調査報告書を公表するとともに、関係国である欧州安全航空局(EASA)に対して安全勧告を行いました。
 今般、EASAから、安全勧告に基づく措置の状況について、通知を受けました。その回答内容について、ご説明します。
 EASAは、事故直後、当面の対策として求めていたストロボライトシステムの不作動又は繰り返し点検の実施に関する緊急AD(耐空性改善命令)に代わるものとして、配線とストロボライト・パワーサプライの保護覆いの設置を要求するADを発出した、との回答でありました。
 今回のEASAの措置は、当委員会の指摘をしっかりと受けとめた、妥当な対応をしていただいたものと考えております。

(3)鉄道事故調査対象の改正
 最後に、鉄道事故の調査対象の改正について、資料はございませんが、ご説明いたします。先般よりご説明していますように、平成26年4月1日より、運輸安全委員会の鉄道事故の調査対象の改正を予定しております。
 これは、第9次交通安全基本計画で目標としている鉄道事故の死者数減少を目指すため、また、踏切事故のご遺族からの強い要望にも応えるため、鉄道事故のうち「事故発生リスクが高い踏切道(いわゆる第3種踏切道及び第4種踏切道)における死亡事故」について、運輸安全委員会の調査対象に追加すること等を内容とするものです。
 運輸安全委員会としては、原因究明のための適確な調査を行うことで、踏切障害事故の再発防止及び被害軽減に寄与して参りたいと考えております。

 私からご説明するものは、以上です。
 何か質問等があればお受けします。

4.質疑応答

(鉄道事故調査対象の改正関連)

問: 鉄道事故調査拡大について、背景をもう少し詳しく、どうしてこういうことをするのかということと、第3種と4種に限定しているというところで、それがどうしてなのかということをご説明いただけないでしょうか。
答:  先程もご説明しましたように、今回鉄道事故の調査対象の拡大につきましては、第9次交通安全基本計画で目標としております、鉄道事故の死亡者数減少を目指しまして、事故リスクが高い踏切道、いわゆる3種、4種の踏切におきます死亡事故について、運輸安全委員会の調査対象に追加すること等とする内容でございます。背景と致しましては運転事故の約9割が踏切障害事故及び人身傷害事故である中で、人身傷害事故につきましては減少傾向にあるものの、鉄軌道における踏切障害事故につきましては、死者数が120人前後で推移しており、下げ止まっています。このため新たな取り組みと致しまして、事故リスクが高い踏切道、いわゆる3種、4種踏切道における死亡事故につきまして調査対象としたわけでございます。この改正と併せまして、前段と致しまして、鉄道局への速報対象とすることによりまして、早期の事故概要の把握あるいは鉄道事業者や踏切に係る関係者を含め事実調査あるいは再発防止等に向けたより効果的な施策の展開を行うこととしたものでございます。公布は3月28日、施行は4月1日ということでございます。

問: 新たな調査対象を3種及び4種に限った理由は、事故リスクが高いからということだったのですが、都市部に住んでいる人間からすると、1種踏切でも、渡っている途中に亡くなられた例とか、最近では高齢者が渡りきれずにとか、ガラガラ(キャリーケース)を引いているときにキャスターが引っ掛かって渡れずにとかの事故があって、十分に、事故リスクが高いのではないかと思うのですが、3種4種と仕分けした理由は何でしょうか。
答: 3種及び4種の踏切事故については、従来、視点が当たらなかったところであり、今回新たに調査対象とすることで、下げ止まっている踏切死亡事故を減らしていこうとするものです。3種4種については、規模が小さいということから、これまで調査の対象になりづらかったのですが、事故リスクの高さからいいますと3種4種の方が高いということで、死亡者が生じた場合には対象とするかたちで、今回、改正することにしたものです。

問: 3種4種の方がリスクが高いというのは、鉄道局の報告書をみると、100件あたりの場合ですが、当然、事故件数では1種の方が踏切がたくさんあるので高く、(事故件数を踏切数で)割ると(3種4種に比べて)少ないということなんだと思いますけど、そういう数ベースということで良いのですか。
答: 発生リスクという観点から、100件あたりの発生件数から申しますと、3種4種の方が高いということについても着目するということです。

問: 一方、踏切事故というのは、踏切に入りさえしなければ基本的には起きない事故だと思いますが、3種4種を、対象を広げて運輸安全委員会として分析することによって、どのような再発防止に繋がっていくのですか。端的に言って、踏切に入ってはいけないのだから入るなということを、歩行者なり横断側に徹底すれば事故は起きないと思います。遮断機や警報機があろうがなかろうが、それ(踏切死亡事故)を分析することで再発防止にどのように寄与できるのでしょうか。
答: それは個々の事例を調査・分析したうえでのことになります。例えば、亡くなれば聞きようがないのですが、どういう状況で入ったのか、亡くなられていなくて聞けるとすればどうして入ったのか、 勿論入らなければいい、都心であれば多くが立体交差になっていますから入らないですが、都心を離れますと立体交差ではなく平面交差になっており、どうして入ってしまったのかということを過去も含めて、統計的観点から調べなければならないことも出て来る、それによって我々ができることは、例えばこういうことが増加傾向にあるから勧告を出すというようなことも可能なわけです。どこをどういうふうに取り上げていけば良いかということを、実情をみながら解析していって必要なことから、或いはできることからやって行かなければならない、そういう提言をするのが我々の役割だと思っています。仰るようにたいへん難しいことですが、しかしきちんと調べないとなかなかわかってこない、統計上ではここはこういうのが多い、じゃあどうして起きたのかということを調べるのが我々の任務で、今後それを無くするためにはどうすれば良いか、再発防止のためにどうすれば良いか、そのへんのことを今後きちんとやっていきましょうという決断をしたということを了解していただきたいと思います。

問: 今言われたなかで、何故踏切に入ったのかということを負傷者に聞くと言われたが、3種4種での死亡事故が対象ではないのですか。
答: 仰ることはわかるのですが、1種も含めるとまず数が多いこと、我々が調べるためには事故が起きたという通報が直ちに入らなければならないといけないわけです。理想を言えば、特に異例というものは調べるわけですが、起きた時点でそれが特に異例かどうかということを判断するための情報が十分に我々のところに来るかどうか難しいということもあり、3種4種は少なくとも安全度は1種に比べて低いわけで、改善点は当然あるだろうと考えて調査対象としました。例えば1種に格上げするという改善点があるわけですが、そういった面で機械的に切り分けをしたことで、鉄道局を経て情報が我々に直ちに来る、それによって速やかに我々が調査に行ける、ということで、先ずは3種4種に限って調査をやろうということです。3種4種の事故には行って、1種は行かないということではありませんので、状況によって、1種でも特に異例なものは調査対象にするつもりであります。3種4種に限って死亡者が出たものは全部やろうというものです。

問: さっき負傷者の話については、恐らく全体で横断的な要因というのは調べられるということなのかと思うのですが。
答: それは鉄道局に統計データが出てはいます。どこを押さえれば良いのか、どういうのを調べてそれから出て来る教訓をどのようにするのかということがまだまとまっていません。なにが共通して言えることなのか、そのへんのことをきちんとまとめていかなければならないので、本来は少ない方が良いのですが、事故調査の数をこなして、個別の事例を調査分析することで我々は学んでいかなければならないと思っています。

(セスナ式172Mラム型JA3853航空事故関連)

問: 愛知のセスナ機の事故の進捗状況で、3ページの名古屋飛行場の天候が悪かったので、計器飛行状態だったということは、有視界飛行を禁じる状態だったということでしょうか。
答: そういうご理解で結構です。飛行場から出発する時に有視界飛行方式で出発できる気象条件がありまして、最初の段階ではそれを充たしていない、有視界方式では出られないという状況でした。時間の経過とともに、有視界方式で出られるところまで改善されたということです。

問: この小型機は、計器飛行もできたのでしょうか。
答: パイロットは計器飛行証明をお持ちでないので、計器飛行方式で飛ぶことはできないということです。

問: 機体には計器飛行の装置はあったのか、パイロットが計器飛行で操縦する資格がなかったのか、ということはいかがでしょうか。
答: 機体の装備はありました。パイロットの資格がありませんでした。

問: 雲が低いとあったのですが、雨が降っていたとか、雲が垂れ込めていたということですか。
答: 今後の調査予定の中に、気象情報もしっかり集めて確定したいと思っています。ご存じのように、この週は関東甲信地区は天候が良くなかったのですが、具体的には今後、当時の状況をできるだけ把握したいと思っております。

問: 鉄塔が雲に隠れていたという情報も口述とかではあるのですか。
答: そこも我々として、まだ確定的な見解はないので、今後、客観的な情報とともに判断したいと思います。

問: 現在までのところ、機体の不具合が事故に関係したという情報がないということですが、機体の不具合自体があったかなかったかということは、いかがですか。
答: 確定的なことは申し上げられないですが、エンジンの状態とか残がいを見たところ、損傷が激しいのですが、事故になる前にそういう状況になるということは、今のところ見受けられません。

問: 天候がかなり悪かったので、視界不良という可能性が高いということでしょうか。
答: 断定はできませんので、その点も含めて調査中ということです。

問: 機長が操縦していたというふうに認定していますか。
答: そうですね、最終的に確認したいと思っています。お二人とも亡くなっているので、推測していくことになります。

問: 警察の捜査で最高速度に近い時速230キロで鉄塔に衝突したのではないか、ということが言われているのですが、速度に関してはいかがですか。
答:  警察の情報がどこからなのかということはわかりません。レーダー情報とGPSの情報から、航跡を見れば確かなスピードを算出できるのではないかと思っています。

問: まだ公表できないということですか。
答: GPSのデータが戻ってきたばかりなので、これからということです。GPS装置が損傷を受けていますので、復元するのはなかなか難しいのです。ちょっと時間がかかると思います。

問: 鉄塔の頂部から約5.5m下部に衝突したと考えられるとありますが、まず最初にここにぶつかってそれから墜落したという事実関係の認定なのでしょうか。
答: そうとも考えられるということです。事実関係としては、調べてみるとその場所に衝突痕が残っていて一部破片が付いているということです。鉄塔の傷から見て、そういう判断も可能かということです。

問: そういう可能性が高いという認識ということでしょうか。
答: そうです。

問: 気象情報を詳しく見ていくということですが、資料にある、東海~関東地方の天候は悪く、経路上の雲がかなり低い状況というのは、何に基づいているのでしょうか。
答: 詳しい分析はこれからですが、今まで集めた気象の情報とか周辺でお話を伺った方とか、気象状況はよろしくないということでした。確定ではないということです。

問: 雲がかなり低いというのはどう捉えて良いかわからないのですが。何か具体的に示すようなものはあるのでしょうか。
答: 今はまだ具体的な数字としてはありません。

問: 口述の主観で雲がかなり低いという情報が集まっているということでしょうか。
答: 天気が悪かったというのは、他の客観的なデータと突き合わせて確定していきたいと思っています。

問: 事故直後に小牧の方に行かれていろいろ調べられて、直前の高度とかわかっていると思うのですが、どのくらいの高度で飛んでいたかということはわからないのでしょうか。
答: 高度についても、GPSデータとレーダーデータを入手して、解析していけば判明していくと思います。ただ、鉄塔の頂上から約5m下にぶつかったということで、直前では相当低い高度で飛んでいたということは現場の状況からしてわかります。

問: その前はどのくらいだったのか、というのはわかりますか。
答: そこはこれから客観データで判明することになります。

問: 機長が操縦していたかどうかはまだ確定ではないという話だったと思いますが、同乗者が操縦していた可能性はあるのでしょうか。資格だとか技能からいっていかがでしょうか。確かカメラマンだったと思うのですが。
答: お二人とも亡くなっているので、話を伺うことはできません。また、現場は損傷が激しくバラバラになり広く散らばっている状況で、現場だけではだれがどこに乗っていたのかを確定するのは難しいということです。ご遺体の状況とか、残された痕跡を詳しく調べて決めていくことになりますと申し上げました。

問: 資格とか技能とか客観的なところからいったらどうなのでしょうか。
答: 同乗者の方は免許をお持ちではないです。

問: 機長は、有視界飛行の資格のみを持っていたということですね。
答: そうです。

問: 雲の高さなのですが、数字では言えないということでしたが、例えば目撃証言で言えば、鉄塔よりも下に雲がかかっていたかどうかということはいかがでしょうか。
答: 目撃者の方も鉄塔にぶつかると思ってみているわけではありませんので、今後の解析・分析で推定していく部分です。ご覧になってわかりますように、3ページの上に右主翼の先端側半分がひっかかっていた状況で発見されておりますので、後から類推することになりますが、どういう状態で飛んでいたか解析をして見ないといけないということです。

問: 半分というのは、具体的に右主翼何mのうち、鉄塔に引っかかっていたのは何mというのはいかがでしょうか。
答: データは持ち合わせていないのです。

問: 資料の写真ですと青空ですが、事故当時は雲が一面に広がっていたということでしょうか。
答: そこまで把握しておりません。繰り返しになりますが、いろいろな方からお話を伺っていますし、客観的な気象情報を得て分析で推測するということです。

(貨物船BEAGLEⅢコンテナ船PEGASUS PRIME 衝突事故関連)

問: 浦賀水道の貨物船とコンテナ船の衝突の進捗の資料のハザードマップで、貨物船同士の衝突事故が近くで4件起きているというお話ですが、期間としてはいつからいつにかけて起きている事故ということで、事故発生場所から言うと、だいたい半径5キロくらいで起きているということでしょうか。
答: 期間は平成11年、13年、14年、19年に4件起きているということです。範囲につきましては、横にちょっと長いと言いますか、東西方向にだいたい5キロくらいかなと、南北方向はだいたい3キロくらいです。資料左下の縮尺を見ていただくとおわかりのとおり、5キロと3キロの間で4件発生しているということです。

問: 死亡事故というのは中に含まれるのでしょうか。
答: 死亡までは確認していませんが、沈没したという事故は1件あります。

問: 何年ですか。
答: 19年です。資料5ページの一番下です。

問: 委員長は、事故の場所が各方面からの分岐点にあたるところで、環境面も考慮して報告書を公表したいと仰っていましたが、このような交通が集中するような場所だったので、こういう事故が起きたのではないかという見立てをしていらっしゃるということでしょうか。
答: 過去の例をみていただくとわかるのですが、それが本当の原因だったのか、そういう見方ができるかどうかを含めて、調査中です。どこに重点が置かれるかというのは難しいところです。

問: ハザードマップで例を示されたというのは、やはりこの辺で事故が起きやすいということでしょうか。
答: 過去のデータとしてはそういうことも言えるということです。

問: 今までの調査内容で事故原因に繫がるような、わかっていることはいかがでしょうか。
答: 報道のお話ですが、AISの情報としてビーグルⅢは右転しているのではないかということも流れています。そういうことも含めて操船状況だけではなく環境要因を含めて当時の天候や波の状況等も含めて調査しておりますので、少し時間がかかります。現在どれが主だったかということはなかなか言えないということをご了解いただきたい。

問: AISの話は報道では出ていますけれど、運輸安全委員会としては確認されているのでしょうか。
答: AISの情報は、確認しようとしている最中であります。現在もまだ関係者からの口述をとっている段階ですので、この場でお話しすることは、これから口述をとる方に予断を与える可能性が高いものですから、コメントを控えさせていただきたい。

問: 報道ベースの話でしか承知していないということなのか、運輸安全委員会として直前の右転を確認したということでしょうか。
答: 記録は確認中です。

問: 確認中で、それはオーソライズされていないということですか。
答: そう捉えていただいて結構です。

(輸送艦おおすみ小型船とびうお衝突事故関連)

問: 調査中なのでGPSの解析もまだ進めていないという表現でしたが、その後の進展はどうでしょうか。
答: 関係者から話を聴いているところなので、現時点でお話しできる情報はありません。

(全日本空輸(株)所属ボーイング式787型重大インシデント関連)

問: 報告書案審議中ということですが、現状と見通しはいかがか。
答: 事務局から調査報告書の案が部会に付議され、委員による審議を開始したところですが、審議内容については結論が出るまでは申し上げることはできませんのでご了解いただきたいと思います。出来る限り早期に調査報告書を公表すべく全力で取り組んでまいります。

問: NTSBと協力してやっているということですか。
答: もちろん参考になりますので、お互いに出来うる限り情報交換しながら行っています。ただし、報告書についてはそれぞれ独立してやるということで、情報そのものはお互いに交換しながらも、判断その他報告書にまとめるときはこちらはこちらの判断で、あちらはあちらの判断でやりますので、必ずしも一致するとは限りません。それぞれがどういうふうな見方をしていたかということが今後少しずつ明らかになっていくものと思います。ただ、我々が公表するときは報告書が出来上がってからということでありますので、途中段階はなかなか、申し上げられませんが、そういうやりとりは既にやっているということです。

(漁船第八海星丸 火災事故関連)

問: これまでの調査で火災に至った状況は何かわかったことはありますか。
答: 初動調査の結果は現在整理中であってなかなかお話しできるものはないのですが、例えば出火元は機関室という報道もありますが、そういうことも含めてあらゆる可能性を検討していきたいと思っています。また、今回の事故では、僚船からの通報が事故認知の端緒となっており、7人中生存者は1人だけであり、事故の初期段階での海星丸からの情報発信があれば、人命及び船体の被害軽減ができたのではないかという見方もできるのですが、こういう点も含め調査を行っていきたいと考えています。現時点ではっきりと申し上げるものはありません。

問: 救命筏の使用状況については判明していますか。
答:  資料の3ページの写真で左船舶尾に白いカプセルが積んでありますが、これが救命筏です。救助時に救命筏の話が出てきておりませんが、救命筏が使用されたのか使用されていないのか、現在調査中です。

問: 救命筏が燃えていたとか、回収されたなどの情報はあるのですか。
答: そういう情報は入ってきておりません。

問: それは口述でもですか。
答: 口述の内容はお話しできませんが、救命筏が使用されたかどうかも含めて調査中です。

(マレーシア航空機行方不明関連)

問: マレーシア航空機の行方不明事案については、運輸安全委員会の調査対象ではないですが、航空調査のトップとして、委員長はどのようにお感じになっていますか。当該機は、意図があってこういう状況になっているのかどうかは別として、洋上で行方がわからなくなってしまうことに関し、衛星回線によって一定の時間経過後にはそれなりにわかってくるのでしょうが、早い段階ではわからず、調査機関としては調査したくてもお手上げみたいな感じがあるのではないかと思うのですが、そのへんは航空機のシステムも含めどうすべきかというお考えが個人的にもあればお聞かせ願いたいのですが。
答: 最新情報によれば、信号発信を衛星で捉えてドップラー効果の偏りからどの辺から信号が来ているのを確認したというふうに聞いています。ICAO条約によれば事故の発生国が調査をすることとなっており、登録国、運航者国、設計国、製造国は調査に参加できる権利を有しており我が国はこれら運航国等となっていないので現時点では調査に参加することはありません。さりながら要請があれば調査への協力を検討することになると思います。

問: 今後捜索が進んでフライトレコーダーとかが回収できた場合、また何らかの痕跡があれば JTSBの役割はあるんだと思いますが、全くわからない状況のときは、調査機関は何ができるんだろうという疑問があります。生存者がいれば別ですが、機体等が回収されるまで事故調査機関は何もすることはないのですか。
答:事故調査の一端はどういう飛び方をしたかということですが、それは既に始まっています。先程言いましたように信号発信によってどの方向に飛んだかという推定をしたり、衛星が捉えた写真で当該機のものと思われる浮遊物が発見され、航空機や船舶がそちらへ向かっているとのことですが、天候が悪く、今後、人や物の情報がどの程度入ってくるかにもよりますが、たいへん難しい事案のように思います。

資料

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