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委員長記者会見要旨(平成26年12月16日)

平成26年12月16日(火) 14:00~14:15
国土交通省会見室
後藤昇弘委員長

発言要旨

 運輸安全委員会委員長の後藤でございます。
  ただいまより、12月の月例記者会見を始めさせていただきます。  

1.事故調査の進捗状況等報告

  現在、運輸安全委員会が調査を行っている事故及び重大インシデントの調査の進捗状況についてですが、モード別にみますと、航空は調査中の案件が38件ありまして、そのうち審議中のものが23件、鉄道は調査中の案件が19件、審議中のものが4件、船舶は調査中の案件が23件、審議中のものが7件となっています。
詳細は資料をご覧ください。

2.一年を振り返って

 さて、今年はこれで最後の会見となりますので、簡単に平成26年を振り返ってみたいと思います。
 はじめに、運輸安全委員会の新たな取り組みとして、昨年、公開した「船舶事故ハザードマップ」に加え、本年4月に「グローバル版」(英語版)の運用を開始しました。
 これは、海外で発生した船舶事故について、当委員会が公表した調査報告書(英語版)に加え、外国の船舶事故調査機関が公表した調査報告書を世界地図から検索し閲覧できるようにしたものです。現在、賛同を得られた7か国の報告書を含め、約400件が閲覧できます。今後も国際会議等の機会を通じ、拡大していきたいと考えております。
 また、本年4月1日より鉄道事故の調査対象を拡大し、第3種及び第4種踏切において死亡者が生じたものを踏切障害事故として調査対象に追加しました。調査事例を積み重ね、再発防止の提言をしてまいりたいと考えております。
 次に、事故等調査の関連ですが、本年の事故等発生件数は、現時点でありますが、航空では16件の事故と4件の重大インシデント、鉄道では13件の事故と1件の重大インシデント、船舶では東京で取り扱う重大な事故が10件発生しております。
 この中で、鉄道の新たに調査対象となりました3種4種踏切での死亡事故は4件発生しております。
 続きまして、本年、公表した報告書ですが、今月の公表予定がありますので、最終的な数字ではありませんが、11月末現在、航空が18件、鉄道が21件、船舶は東京で扱った重大案件が30件の合計70件であります。そのほか、鉄道で経過報告を1件公表しております。また、勧告・意見等については、勧告4件、意見1件、安全勧告8件を発出いたしました。
 これらの中には、社会的に関心が高い事案もございましたので、ご紹介させて頂きます。
 航空では、平成25年1月16日に全日本空輸株式会社が運航するボーイング787型機がメインバッテリーの不具合を示す計器表示と異臭がしたため、目的地を変更し高松空港に着陸し非常脱出を行った重大インシデントの報告書を9月に公表しました。
 本件は、メインバッテリーの6番セルの内部短絡による熱暴走と推定しております。
 調査においては、本件バッテリーが従来の航空機のバッテリーとは違い、リチウムイオンバッテリーを使用しており、専門的な知見が必要なため、バッテリーの専門家を専門委員に任命しました。また、セルの内部短絡により熱伝播するかを確認するため、6番セルに釘を刺す方法で熱伝播の再現試験などを行いました。
 本調査結果を踏まえ、リチウムイオンバッテリーの技術基準の見直しなどについてFAAに安全勧告を行いました
 鉄道では、平成24年4月26日に、JR貨物の列車が江差線泉沢駅から釜谷(かまや)駅間の左カーブを走行中に脱線した事故の報告書を7月に公表しました。
 本件は、コンテナ内の積荷の偏積により、貨車に大きな静止輪重アンバランスが生じ脱線したものと考えております。
 調査報告書を踏まえ、鉄道局において、コンテナ内の積荷の偏積を防止するための有効な方策を検討するため検討会を設置し、検討されているところです。
 船舶では、平成24年9月24日に、パナマ籍貨物船NIKKEI TIGERと漁船堀栄丸が宮城県金華山東方沖930㎞付近において衝突し、漁船の乗組員13名が亡くなられた事故の報告書を6月に公表しました。
 本件は、貨物船の航海士が、雨天の中、漁船の映像を確認できずに両船が接近し衝突したものと考えております。
 昨年10月に調査途中段階でありますが、AISの普及促進について国土交通大臣、水産庁長官に意見を述べたところ、ご検討いただき、水産庁においてAIS搭載に係る費用について無利子融資制度を導入するなど普及が図られているところです。
 今後も、運輸安全委員会では、適確な事故調査により運輸の安全性向上に取り組んでまいりたいと考えております。
 本日、私からご説明するものは、以上です。
 何かご質問等があればお受けします。

3.質疑応答

(ボーイング式787型機関連)

問: アメリカのボストンでの事案に関して先日NTSBが報告書を出しておりますが、その前にJTSBの方では既に出されていますけれど、NTSBから今回出されたことについての所感をお願いします。
答: 我々も一通り検討したところでありますが、ボストン事案と高松事案では、APUバッテリーとメインバッテリーという違いはご存じだと思いますが、今回公表されたNTSBの調査報告書の主な分析結果としては、1つのセルの発熱からバッテリーの熱暴走が発生し、セルの発熱の原因は内部短絡であったとしており、当委員会の高松事案に関する分析結果と、概ね同様の内容となっていると承知しております。
 NTSBの報告書には、フランス事故調査当局(BEA)からの意見が添付されておりますが、報告書案に対し当委員会から提出した意見は全体としては概ね反映されていること、高松事案の報告書における原因分析と概ね同様の内容となっていることから、最終的に報告書に添付すべき当委員会の意見はないと判断したことによるものでありまして、NTSBの報告書には、我々が出した意見は書かれておりません。

問: 高松事案の安全勧告ですが、FAAからの対応というのは来ていませんでしょうか。
答: 我々も回答を待っているところでありますけれど、現時点では来ておりません。安全勧告に対する措置に関する回答を受け取った場合には、こちらからお知らせしたいと思っています。

問: 見通しとかは先方から言ってきたり、連絡はあるのでしょうか。
答: 一応90日というのは国際的な取り決めでありますので、その前後ということで、今月中あるいは来月にかかるかもしれません。

問: 発表されるとしたら、いつ、例えば、もし今月中あるいは年明けだったら、1月の委員長会見でという形になるのでしょうか。
答: そういうこともありますし、もし会見まで時間がある場合には我々のホームページでお知らせするということもありうるかと思いますけれど、公表する場合には記者会にお知らせします。

資料

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