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委員長記者会見要旨(平成27年9月15日)

平成27年9月15日(火)14:00~14:20
国土交通省会見室
後藤昇弘委員長

発言要旨

 運輸安全委員会委員長の後藤でございます。
 ただいまより、9月の月例記者会見を始めさせていただきます。
 本日は、お手元の資料にありますように、3モードにおける事故調査の進捗状況一覧と、運輸安全委員会ダイジェストの発行についてご報告させていただきます。

1.事故調査の進捗状況報告

 現在、運輸安全委員会が調査を行っている事故及び重大インシデントの調査状況についてですが、説明は省略させて頂きますので、詳細は資料1をご覧ください。

2.運輸安全委員会ダイジェストの発行

 本日、「運輸安全委員会ダイジェスト第18号」として「航空に関する事故関連事項紹介 航空分野における「ヒヤリ・ハット」について」を発行し、当委員会のホームページで公表しました。
 ご参考に、本号の掲載ページを印刷した資料2をお配りしております。
 航空分野における「ヒヤリ・ハット」は、国への報告の義務はありませんが、「航空安全情報自発報告制度」により、情報収集されています。
 本号では、航空事故等と「ヒヤリ・ハット」の比較や、操縦士の方へのインタビューとアンケートを実施し、その内容を紹介するとともに、後方乱気流および滑走路誤進入関係の事故等調査事例を2件、その類似の「ヒヤリ・ハット」事例を2件紹介しています。
 「ヒヤリ・ハット」の報告件数は現時点では多くはないですが、事故調査事例と「ヒヤリ・ハット」事例を比較して分析したところ、事故等の発生を抑えるために、常に不測の事態を想定し、冷静に対処するための心構えを持っておくことや、ひとりひとりの安全意識を高め、業務の基本動作を徹底することなどが、重要であることが分かりました。
 ホームページでの公表のほか、メールマガジンや各種講習会、国際会議の場などを通じて関係者の皆様に周知することにより、一歩間違えれば重大な事故につながる「ヒヤリ・ハット」の重要性を、認識していただくことを期待しています。
 本日、私からご説明するものは、以上です。
 何か質問等があればお受けします。

3.質疑応答

(調布小型機墜落事故関連)

問: 7月にあった調布の小型機墜落事故ですが、残る1人の同乗者の方の口述聴取が残っていたと思いますけれど、それも含めて現在の進捗状況と、併せてアメリカの製造元に送る予定であるということだったエンジンの調査状況について伺えればと思います。
答: 調布飛行場を離陸した小型飛行機が調布市の住宅地に墜落・炎上した航空事故というものでありまして、8月18日に事務局より、機体及び家屋の損傷状況、事故機の性能データなど、これまでの調査内容等についてご説明したところでありますが、本日はそれに追加する内容は特にございません。
 今後の調査としては、機体・エンジン本体の詳細調査、機体の整備及び管理状況の調査、整備関係者および残りの同乗者からの口述聴取、交信記録の詳細分析等を行っていく予定でありまして、引き続き、早期の原因究明に努めてまいります。
 それからエンジンの件でありますが、現在、関係機関と調整中でありますが、米国の事故調査機関である国家運輸安全委員会(NTSB)の協力を得てエンジン・メーカーであるライカミング社でエンジン本体等の詳細分解調査を行う予定としておりますが、輸送の日程等は相互の人数及び日程の調整等がありまして未定であります。
 なお、ライカミング社での分解調査の際には、運輸安全委員会の事故調査官が立ち会う予定としております。そのような経過をたどっていますので、ご了承いただきたいと思います。

問: 口述聴取がまだ1人はできていないということですか。
答: すみません、古い情報をお伝えしました。1点訂正させていただきます。残っていた1名の方から先週の金曜日にお話を伺うことができています。内容についてはお話しできませんが、あまり飛行中のことについては見ていなかったと、その辺のことはお話になっています。

問: エンジンをライカミング社に送ることについて時間がかかっている印象がありますが、何か難しい点があるのですか。
答: エンジンを取り外して送るだけではなく、補器関係で、焼けてしまっているものもありますが、残っている部分を集めてどういうものが必要なのかを確認しなければならないのでその調整に少し手間取っているところです。ライカミング社でどういうものがほしいか、どういう状態かを予め知識を与えておいて、それに対応する人員を用意してもらわなければならないので、その辺の調整に手間取っているということです。

問: 警視庁からエンジンの引き渡しがあったのはいつですか。
答: 引き渡しという形ではなく、警察の方からは分析のためにエンジンを移動させることに問題ないと聞いています。どちらが所有しているというわけではありません。

問: 警視庁の方が先に分析を進めていたのではないのですか。
答: 警察側の捜査はとりあえず一段落していて、エンジンについては調査にかかっています。

問: 運輸安全委員会の調査官が本腰をいれてエンジンの調査を始めたのは、ライカミング社に送る前にいろいろやることがあるということですが、いつごろですか。
答: 記憶上の答えになりますが、少なくとも今月に入ってからは、調査官はエンジンの状態を見ています。先月からはある程度調査を進めていました。

問: 警視庁の捜査を待って運輸安全委員会が本格的にエンジンの調査に着手できたのは9月からということですか。
答: エンジンを現在の保管場所に移してからは、警察が先に見るという訳ではなく適宜それぞれが調査を進めていました。確かに8月の後半からはエンジンの外見調査や、灰や煤の除去などを始めとして順次進めてきています。

問: 今年に入ってから航空事故が多い状況で、特に小型機の事故が突出して多いという国交省のまとめもあり、多くの方が調査に出ていらっしゃるかと思いますが、航空事故調査官の方の人員ですとか、ご苦労されている点はあるのでしょうか。
答: そうですね、人員について大変苦労しております。最近、小型飛行機の事故が多発している件につきましては、航空事故全体を見てみますと長期的には低減傾向にありますが、今年はすでに23件の航空事故が発生し、そのうち小型飛行機の事故が6件となっており、先程、お配りした資料を見てもらうと分かると思いますが、昨年の年間5件及び一昨年の年間4件を越えております。事故は6件のうち5件が個人機によるもので、胴体着陸、離陸後の墜落、オーバーランによる航空事故が発生しております。これらの事故等について、運輸安全委員会としては、早期の原因究明および調査結果の公表を行うことにより、同種事故等の再発防止および事故件数の低減に寄与してまいりたいと考えております。事故調査官も個々に得意な分野もありますので、だれを派遣しても良いというものでもありません。そういう面では派遣する調査官の組み合わせに苦労しているところではありますが、今のところ何とかなっています。小型機の事故に関しましては、ご承知かと思いますが、昨年の4月1日からは特定操縦技能審査制度というものがはじまり、2年に1回受けることになっています。その効果が出てくれば、今後は少しずつ減ってくることを期待していますが、今年に関してはおっしゃるとおり大変多いため、全体的な事故の傾向や解析により今後のためになれば良いなと考えているところです。ただし、1件1件の事故の解析が出来ないことには、全体的なまとめは難しいところがあり、その辺の取りまとめをどのようにやるか調査官と相談しながら進めてまいりたいと思っております。

(カーフェリーだいせつ火災事故関連)

問: 7月の下旬に北海道の苫小牧沖で起きましたフェリーだいせつの火災事故ですけれど、調査の進捗状況を教えていただきたいのと、もう1点、中間発表などの予定があればその日程の目途について教えて頂きたい。
答: 8月1日に調査官5名を苫小牧に派遣して初動調査を行いました。その後、火災の鎮火を待ちまして、船内の状況、車両の焼損状況等を主に調査しました。その他にも乗組員や乗客からの聞き取り調査、気象海象資料の入手、火災が発生したので船内の消火設備の状況等詳細な調査を行い、現在も引き続き調査を続けているところです。
 先ほどの中間発表につきましては、現在まだ調査中ということで、入手した資料を調査官が精査しており、どういう資料があるのか、どこまでわかってきたのかというのも整理、分析しまして、その中で出せるものがあるのかどうか、今後検討していきたいと思います。いつ中間発表を予定しているとかについては、この場で申し上げることはできません。

問: フェリーの事故で、国交省の方でも出火原因等はわかっていないけれども、冷凍車の冷凍機の中から火が出ていて、消火器の噴射が難しかったとか、車が密に詰まっていて放水しても届かなかったとか、問題点がいくつか見えてきて、それを専門家の知見を得て、対策調査委員会を開くとしていますが、運輸安全委員会の方と情報を共有するとか情報を提供することはあるのですか。
答: 海事局の方でフェリー火災対策検討委員会を設置して、第一回の会合が開催されることは承知しています。我々は独立した事故調査機関として、調査を進めているところでありますし、先ほど述べましたとおり、詳細な状況については今のところお話しできる状況ではありません。検討委員会はフェリーの火災対策という視点から行われるようですが、航海士の方が亡くなられており、被害の拡大や被害の軽減についても、原因の究明だけではなく、幅広く、再発防止のための調査を進めています。どういう情報を共有できるかどうかについては、これから入手した資料の整理、分析を始めるところですので、コメントは差し控えさせていただきます。

問: 事故調査報告書を公表するまでは何ものにも左右されないということはあるでしょうが、オブザーバーで運輸安全委員会の誰かが入るということはないのですか。
答: 今のところありません。

(東海道新幹線火災事故関連)

問: 6月に東海道新幹線で焼身自殺と言われている火災事故がありましたが、3ヶ月ほど調査され、その進捗状況を伺えればと思うのですが。
答: 現在、関係者からの聴取も終わり、資料も含めて整理・分析しているところですが、公表までには暫く時間がかかる状況です。

問: 関係者からの聴取は終了したのでしょうか。
答: 聴取は一旦、終わっていますが、必要な場合は、再度、聞き取りを実施しなくてはならないと思っています。
 鉄道事故に関しては、6月30日の東海道新幹線列車火災事故、8月8日の山陽新幹線鉄道人身障害事故については、委員会の調査対象事故となっていて調査を実施しているところです。そのほかにも委員会の調査対象ではない幾つかの事象が起こっておりまして、最近、事故・トラブルが多いと思われますので早期に調査を実施することにより事故等の低減に寄与していければと思います。

資料

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