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委員長記者会見要旨(平成27年12月15日)

平成27年12月15日(火)14:00~14:27
国土交通省会見室
後藤昇弘委員長

発言要旨

 運輸安全委員会委員長の後藤でございます。
 ただいまより、12月の月例記者会見を始めさせていただきます。
 本日は、お手元の資料にありますように、3モードにおける事故調査の進捗状況一覧と、運輸安全委員会ダイジェスト第19号、英語版「運輸安全委員会年報2015」の発行についてご報告いたします。

1.事故調査の進捗状況報告

(調布小型機墜落事故関連)

 はじめに、先月の会見で御報告したとおり、調布市で墜落した小型機のエンジンは、米国ライカミング社に輸送され、米国の国家運輸安全委員会(NTSB)、ライカミング社、米国連邦航空局(FAA)及びプロペラ・メーカーのハーツェル社(Hartzell)が立会って調査を行うこととなっております。
 本エンジンの分解調査について、運輸安全委員会と関係者の間で調整を行ってきた結果、来年1月12日から当委員会の調査官も立会いの上、調査を行うこととなりました。
 なお、エンジンの分解調査による確認中に、更なる詳細調査が必要となることも考えられることから、現時点において、いつまでに調査が完了するとの確実なことは申し上げられません。

(専門委員の任命)

 次に、専門委員の任命がありましたので、ご報告申し上げます。
 個別調査において外部の専門的知見を得る必要がある場合、運輸安全委員会設置法第14条に基づき、学識経験者を専門委員として任命され調査に参加していただいております。
 平成27年7月31日に北海道苫小牧市苫小牧港に向けて航行中に発生した旅客フェリーさんふらわあだいせつ火災事故につきましては、現在、調査により収集した各種データ等の整理・分析を行っているところでありますが、今回、出火元の特定及び出火原因の分析を進めるため、車両火災及び電気火災の分野について、科学警察研究所法科学第二部火災研究室の渡邉憲道(わたなべ のりみち)室長が専門委員に任命され、12月より調査に参加していただくこととしました。
 詳細は、事務方にお問い合わせ下さい。

(進捗状況一覧)

 続きまして、現在、運輸安全委員会が調査を行っている事故及び重大インシデントの調査状況についてですが、説明は省略させて頂きますので、詳細は資料1をご覧ください。

2.運輸安全委員会ダイジェストの発行

 本日、「運輸安全委員会ダイジェスト第19号」として「船舶事故分析集 遊漁船事故の防止に向けて」を発行し、当委員会のホームページで公表しました。
 ご参考に、本号の掲載イメージを印刷した資料2をお配りしております。
 本号では、遊漁船業協同組合などに取材を行い、安全運航への取り組みなどのインタビュー記事やアンケートの集計結果を掲載し、現場の声を反映させていただきました。
 また、8つの事故調査事例、統計に基づく分析から、「船長や乗組員よりも釣り客の死傷が多いこと」、「船長の釣り客への対応などが事故に至る要因になりうること」など主な特徴が分かり、「落水に備えて救命胴衣を着用すること」、「見張りの励行など安全運航の注意事項の確認」など事故防止の教訓が得られました。
 遊漁船の船長の皆様には、出港から帰港までの間、釣り客の安全を確保し、楽しい釣りをサポートしていただき、遊漁船を利用される釣り客の皆様には、船長の指示に従って、釣りを楽しんでいただきたいと思います。
 本号はホームページでの公表のほか、メールマガジンやさまざまな安全講習会などを通じて関係者の皆様に周知いたします。
 また、遊漁船を運航される皆様、利用される皆様に向けて、本号の内容を簡潔にまとめたチラシを作成し、関係機関、関係団体への配布、周知も併せて行うことで、同種事故の未然防止に資することを期待しています。

3.英語版 運輸安全委員会年報2015の発行について

 続いて、本日、英語版運輸安全委員会年報2015(英語名称:Japan Transport Safety Board Annual Report 2015)を発行し、当委員会の英語版ホームページで公表しましたので、ご紹介します。
 お手元に資料3として、ホームページ上の英語版年報の内容の一部を紹介したものをお配りしておりますのでご覧下さい。
 英語版年報は、海外向けの情報発信を強化することを目的に、平成24年から作成しているもので、今年7月に発行した日本語版の「運輸安全委員会年報2015」を英訳したものです。
 なお、お配りした資料の裏面にも記載のとおり、当委員会では、年報以外に、各モードの事故分析をまとめた運輸安全委員会ダイジェストや船舶事故ハザードマップの英語版を作成、公表しております。
 英語版年報の印刷物をご希望される場合は、お配りしますので、後ほど、事務局にお申し出ください。

4.一年を振り返って

 さて、今年はこれで最後の会見となりますので、簡単に平成27年を振り返ってみたいと思います。
 まず、本年は、日本航空123便御巣鷹山墜落事故から30年、地下鉄日比谷線脱線事故から15年、福知山線脱線事故から10年を迎え、当委員会としても節目の年となりました。事故で亡くなられた方々のご冥福を改めてお祈り申し上げるとともに、ご遺族の皆様に対しまして心から哀悼の意を表します。
 運輸安全委員会は、このような事故が二度と繰り返されることがないよう、事故の再発防止、被害の軽減に寄与すべく、公正・中立な立場から客観的・科学的な事故原因の究明に取り組んでいるところです。
 今後とも引き続き、真に国民の皆様から必要とされる事故調査の実現に、取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、本年、公表した報告書は、今月の公表予定がありますので、最終的な数字ではありませんが、11月末までに、航空が27件、鉄道が17件、船舶は東京で扱った重大案件が17件の合計61件の報告書を公表し、原因関係者への勧告を2件行いました。
 また、本年の当委員会の事故等調査対象となった件数ですが、現時点でありますが、航空では26件の事故と9件の重大インシデント、鉄道では12件の事故と3件の重大インシデント、船舶では、東京で取り扱う重大な船舶事故は8件発生しております。
 ここ数年と比較して、鉄道、船舶については、ほぼ横ばいですが、航空は増加しており、特に、小型飛行機(9件)及び滑空機(8件)の事故が増加しております。
 27年に発生しました主な事故等を各モード挙げてみますと、航空では、4月14日に、韓国アシアナ航空機が仁川空港を離陸し広島空港に着陸した際、滑走路を逸脱し、機体が損傷し、乗員2名、乗客25名が軽傷を負う事故がありました。
 また、7月26日に、小型飛行機が調布飛行場の滑走路を離陸後、調布市富士見町の住宅地に墜落し、機長及び同乗者1名、住民1名が死亡、同乗者3名及び住民2名が負傷する事故がありました。
 鉄道では、4月12日に、JR東日本山手線・京浜東北線神田駅から秋葉原駅間において、架線設備の改良工事により撤去が予定されていた電化柱が倒れて、列車の安全に支障を及ぼす重大インシデントがありました。
 船舶では、7月31日に、大洗港から苫小牧港に向けて航行中の旅客フェリーさんふらわあだいせつが、苫小牧港沖において、車両甲板で火災が発生する事故がありました。
 これらについては、報道で大きく取り上げられたところでもありますが、現在、鋭意、調査を進めているところでございます。
 また、事故等調査以外の取組みですが、25年に公開した「船舶事故ハザードマップ」関係でございますが、近年、スマートフォンやタブレットなどモバイル端末による利用者が増えており、本年6月に「モバイル版」の運用を開始しました。
 8月から11月までのアクセス数を見ますと、2000人を超えるアクセスがあり、月平均500人ほどの方に利用頂いています。
 また、パソコンからの利用の方は、8月から11月までで別に約5000人おり、全体でモバイル版を利用されている方の割合を見ますと、3割弱の方に利用して頂いております。
 このように普及が進み、安全運航に役立っていると認識しておりますが、引き続き周知に努めてまいりたいと考えています。
 今後も、運輸安全委員会では、適確な事故等調査をはじめとする様々な取組みにより運輸の安全性向上に取り組んでまいりますので、よろしくお願い申し上げます。

 本日、私からご説明するものは、以上です。
 何か質問等があればお受けします。

5.質疑応答

(調布小型機墜落事故関連)

問: 調布の小型機墜落事故のエンジン調査ですが、日本から派遣する調査官の人数規模やどれくらいの時間がかかるか、あと調査の役割を教えていただきたい。
答: 派遣調査をするのは現在1名を予定しております。調査の内容として、エンジンの外観からの状態確認、プロペラ及びエンジンに付随した各装備品を取り外しての調査、エンジン本体の分解による調査等、各部分の詳細調査が実施される予定となっております。日本から派遣する調査官も立ち会う予定です。なお、エンジンの分解調査による確認中には、更なる詳細調査が必要となることも考えられます。調査にどれくらいかかるかですが、NTSBによる分解調査の結果が取り纏められるまでの期間も必要になると想定しております。したがいまして、当委員会として、いつまでにエンジンの調査が完了するかについては確実なことを申し上げられないことを御理解いただきたいと考えております。

問: 人選は終わっているのですか。どなたが行かれますか。
答: だいたい決まっていますが、公表するかは少々お待ちください。

(苫小牧カーフェリー火災事故関連)

問: さんふらわあだいせつの事故で専門委員の方の任命で科警研の火災研究室の方のようですが、どういった知見、実績のある方が選ばれて、どういった調査にかかわっていくか、もう少し詳しく教えていただきたい。
答: 火災発生の翌日の8月1日から調査官5名を現地苫小牧に派遣して初動調査を開始し、乗組員や乗客から口述聴取、関係資料の収集などを行い、8月12日の鎮火後からだいせつの船内の状況、積載されていた車両の調査を行いました。現在、だいせつは、函館の造船所において修理中でありますが、9月、10月にも調査官を函館に派遣するなど、船内や車両等について追加調査を継続して行っています。これまでに収集した情報の整理を行っているところでありますが、出火元の特定及び出火原因の究明については、実験の実施など含め、更に検討が必要と考えております。今後、専門委員に調査に参加していただき、実験の実施、出火元の特定及び出火原因の究明に向けて調査を進めてまいります。なお、渡邉専門委員ですが、電気火災や車両火災が専門の方として参加していただきます。まだ出火元等が特定出来ていませんので、これまでに収集した資料を専門委員に確認していただきます。また、フェリー船内の状況や焼損車両などの確認のために現地に行っていただくことも考えています。実験の実施については、出火元がはっきりしていませんので、これまでに収集した資料、出火元の可能性が考えられるのは車両甲板でありますので、船舶及び車両の電源、電気設備等の発火状況などを詳細に分析、整理し、どのような実験が効果的で必要であるのか、専門委員から知見をいただきながら進めてまいりたいと考えています。

問: 出火元の特定はまだとのことですが、勿論、慎重に調査されているのだとは思いますが、車両甲板の冷蔵車の機器から出火していたことは、これまでに海保ですとかからも出ていますし、国土交通省でも対策に乗り出していますけれど、冷蔵車を使った実験ということも考えていらっしゃるのでしょうか。
答: そういう報道がなされていることは承知しておりますが、まだ出火元は特定されていませんので、その点も含めましてあらゆる可能性を検討した上で、どのような実験が必要なのかを検討し、出火元の特定及び出火原因の究明を進めてまいります。

問: 専門委員の任命ということでは、ボーイング787のバッテリートラブルの時に任命されたのが記憶にあるのですが、それ以降も専門委員の任命はあったのでしょうか。
答: 鉄道の江差線の関係で鉄道総合技術研究所と茨城大学の先生の2名にお願いしておりますので、それ以来ということになります。

(群馬ヘリ墜落事故関連)

問: 安中市で先月起きたヘリコプターの墜落事故ですが、今日、現場で撤去作業が行われているということで、これによって今後、調査の進展があるといえるのでしょうか。また、当時は濃い霧が発生したという情報があるのですが、現時点でどの程度、分析が進んでいるのでしょうか。
答: 安中のヘリコプター墜落事故の件ですが、本日、NEXCO(ネクスコ)のほうで機体を撤去するとの情報は掴んでおります。昨日行う予定が今日になったと聞いておりますが、実際、機体の現地調査は既に済んでおりまして、機体そのものを移動することについては、担当調査官も同意しております。これを格納庫ではないかと思いますが、より調査しやすい場所に移すと聞いております。それから気象についてですが、当初から目撃者の方から雲が低かったようなことも報道されていますが、現在、我々も客観的なデータとして、事故現場近くで気象状況を記録していたところから、いろいろなデータを集めているところです。

問: 現時点で事故原因に関連する新しい情報はないということでしょうか。
答: 現在、いろいろな角度から調査しているというところです。

(アシアナ航空機事故関連)

問: 4月の広島空港のアシアナ機事故に関して、おそらく来年になると思うのですが、だいたいの事故調査報告書のでる目処はつきましたでしょうか。
答: 現在、調査した事実関係について内容を韓国のアシアナ航空と事故調査機関に照会中で、現実に起こったことの内容を確かめているところです。その回答を受け取った上で現在、進めている事故分析をさらに進め原因を突き詰めていきたいと思っておりますので、その時期については申し上げられません。

問: 来年の前半くらいにはどうでしょうか。
答: 急いではいます。

問: パイロットが何故、高度を下げすぎたかということに迫る調査結果はでているのでしょうか。
答: それはフライトレコーダーもありますが、ご承知のとおりあの時はマニュアルコントロールをしていて、何故、その様な判断をしていたのかも含めて現在、調査中であります。それがどうしてかということを今は申し上げられませんので、もう少し、お待ち頂きたいと思います。

資料

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