技術協力
運輸安全委員会は、大規模でかつ複雑な事故調査に対応できるよう、諸外国の事故調査機関との間で情報交換し、学び合い、交流を深めると共に、近隣アジア諸国に対し航空事故調査技術の移転等の協力を行っています。
1 インドネシアへの技術移転
インドネシア共和国では、近年重大な航空機事故が相次ぎ、その安全管理体制に問題があるとされ、インドネシアの航空会社の航空機に対してEU域内乗り入れ禁止措置がとられていたため、事故の原因究明及び再発防止に向けた体制の充実が急務となっています。このような状況から、インドネシア国家運輸安全委員会(NTSC)は、我が国に対し航空事故調査能力向上に関する協力を依頼し、それを受けて当委員会から航空事故調査官1名をJICAの長期専門家として派遣し、一般的にブラックボックスとも呼ばれている飛行記録装置(DFDR)や操縦室用音声記録装置(CVR)の解析等の技術移転を行いました。
平成20年7月には、この取り組みの一環として、航空・鉄道事故調査委員会の航空事故調査官2名が短期専門家として派遣され、ジャカルタにおいて、NTSCの航空事故調査官、学生、航空会社等を対象としたセミナー及びワークショップを開催し、技術指導・意見交換を通じて、事故調査の必要性・航空安全の重要性を強く訴えるとともに、インドネシアの事故調査体制の問題点、日本が協力できる点に関して現状の把握を行いました。
2 アジア諸国へのDFDR/CVR解析等の技術支援
アジア諸国の事故調査機関には、DFDR/CVR等の解析に関する技術、機材を有していない国も多く、当委員会では、我が国が登録国や運航国として事故調査義務を負わない場合であっても、アジア諸国で発生した航空機事故等に関し、発生国の調査機関から要請があった場合、DFDR/CVRの解析等、技術支援を行っています。
平成20年3月には、フィリピン共和国事故調査当局から、同国で発生した航空機事故に関する解析支援依頼があり、同国の航空事故調査官がDFDR/CVRを当委員会に持参し、当委員会の航空事故調査官がその内容を解析しました。また、以前にも同様の依頼がラオス等の外国調査機関からあり、当委員会ではアジアにおける運輸の安全のため、積極的な支援を行っています。
また、過去に数回、ベトナムの事故調査官が事故機のレコーダーを持参し、そのデータ読み出しの協力を実施しています。平成22年7月にも、ベトナム航空局職員11名が来日し、当委員会のデータ解析室を見学したほか、事故調査全般に関する意見交換会議を実施しました。