事故等調査実施要領通則

平成20年10月 1日 委員会決定

一部改正 平成22年12月17日 委員会決定
平成24年 3月23日 委員会決定


1 事故等調査の目的
事故等調査(運輸安全委員会設置法(以下「法」という。)第15条第1項に規定する事故等調査をいう。以下同じ。)は、事故及びその兆候(以下「事故等」という。)に関する事実調査を実施することにより事実を認定し、これについて必要な解析を行い、これらに基づいて事故等の原因(事故については、事故に伴い発生した被害の原因を含む。以下同じ。)の究明を行い、もって事故等を生ずるに至った要因及び事故に伴い被害を生ずるに至った要因の排除に資し、事故等の防止及び事故が発生した場合における被害の軽減を図るものとする。
なお、委員会の事故等調査は、事故等の責任の追及(apportion blame or liability)のために行うものではない。
2 事故等調査の開始
委員会は、法第20条及び第21条の規定による事故等の発生の通報があったとき、その他事故等が発生したことを知ったときは、直ちに当該事故等の調査を開始しなければならない。ただし、運輸安全委員会運営規則第5条第1項ただし書に規定する軽微な船舶事故等については、遅滞なく調査を開始するものとする。
3 主管調査官の指名
(1) 委員会が事故等調査を行う場合には、当該事故等を所掌する首席事故調査官又は地方事務所長は、当該事故等調査を担当する事務局の職員(以下「調査官」という。)を指名するとともに、調査官のうちから事実調査を主管する者(以下「主管調査官」という。)を指名するものとする。ただし、特に重大な事故(運輸安全委員会運営規則第1条第2項に規定する特に重大な事故をいう。以下同じ。)の主管調査官は、原則として首席事故調査官とする。
(2) 首席事故調査官は、(1)の規定による指名の後、速やかに委員会又は当該事故を担当する部会に報告しなければならない。ただし、地方事務所長にあっては、遅滞なく首席事故調査官を経由して行うものとする。
4 専門委員の指名等
委員会は、特に重大な事故が発生した場合その他特に必要があると認める場合は、当該事故等について調査すべき分野を指定して、専門委員となるべき者を指名し、国土交通大臣に申し出るものとする。
5 主管調査官の現場派遣
委員会は、事故等が発生した場合には、主管調査官及び調査官を現場に派遣するものとする。ただし、特に重大な事故以外の事故等であって、委員会が当該事故等の態様等にかんがみ必要がないと認めるもの及び2のただし書に規定する軽微な船舶事故等については、この限りでない。
6 委員長等の現場派遣
(1) 委員会は、特に重大な事故が発生した場合その他特に必要があると認める場合は、委員長又は委員を現場に派遣するものとする。
(2) 委員会は、法第14条第2項の規定により国土交通大臣が専門委員を任命した場合であって、必要があると認めるときは、専門委員を現場に派遣するものとする。
7 日本国の領域外で発生した航空事故等の調査
(1) 調査の実施
委員会は、日本国の領域外で発生した航空事故及び航空事故の兆候(以下「航空事故等」という。)について、国際民間航空条約及びその附属書又は二国間航空協定(以下「条約等」という。)の定めるところにより、当該航空事故等の調査を実施するものとする。
(2) 調査への参加
委員会は、日本国が調査実施国でない航空事故等であって、次に掲げるものについて、委員会が必要と認めるときは、条約等の定めるところにより、代表を指名し、当該航空事故等の調査に参加させるものとする。
@ 日本国が登録国、運航者国、設計国又は製造国である航空機に係るもの
A 調査実施国の要請に応じて、日本国が情報、施設又は専門家を提供するもの
なお、条約等の定めるところにより、調査実施国から調査に参加するよう特に要請があった場合は、代表を指名し、当該航空事故等の調査に参加させるものとする。また、日本国が公海における事故の現場に最も近い国であった場合は、可能な支援を行うとともに、登録国の要請に応じるものとする。
(3) 顧問の指名
委員会は、代表を補佐するため、顧問を指名するものとする。日本国が登録国又は運航者国であった場合は、運航者から提案された者を顧問に指名するものとし、また、日本国が設計国又は製造国であった場合は、航空機の型式設計又は最終組立てについて責任を有する組織から提案された者を顧問に指名することができるものとする。
(4) 日本国民が死亡又は重傷を負った航空事故調査への参加
委員会は、日本国が調査実施国でない航空事故であって、日本国民が死亡又は重傷を負ったものについて、委員会が特に必要と認めるときは、条約等の定めるところにより、専門家を指名し、当該航空事故の調査に参加させるものとする。
8 航空事故等調査への関係国の参加
(1) 関係国から要請があった場合
委員会は、日本国が調査実施国である航空事故であって、次に掲げるものについて関係国から要請があったときは、条約等の定めるところにより、当該関係国の代表又は顧問を当該航空事故等の調査に参加させるものとする。
@ 当該関係国が登録国、運航者国、設計国又は製造国である航空機に係るもの
A 日本国の要請に応じて、当該関係国が情報、施設又は専門家を提供するもの
(2) 委員会が必要と認める場合
委員会は、特に必要と認めるときは、条約等の定めるところにより、登録国、運航者国、設計国、製造国、その他関係国へ調査の参加を要請し、当該関係国の代表、顧問又は専門家を調査に参加させるものとする。
(3) 自国民が死亡又は重傷を負った国の航空事故調査への参加
委員会は、日本国が調査実施国である航空事故であって、自国民が死亡又は重傷を負った国から要請があったときは、条約等の定めるところにより、当該国の専門家を当該航空事故の調査に参加させるものとする。
9 航空機事故共同調査委員会の委員等の指名又は委嘱
委員会は、在日米軍に係る航空事故であって、「航空交通管制に関する合意」(昭和27年6月25日、日米合同委員会承認)に基づき共同調査を行うべきものが発生した場合には、委員長、委員、専門委員、事務局の職員又は関係行政機関の職員のうちから、この合意に基づく航空機事故共同調査委員会の委員及び顧問となるべき者を指名又は委嘱するものとする。
10 事故等調査報告書等の公表
委員会は、原則として1年以内を目標に、可能な限り速やかに事故等調査報告書を公表するものとする。
また、事故等調査を終える前においても、当該事故が特に重大な事故であること、事故等が発生した日から1年以内に事故等調査を終えることが困難であると見込まれること等の事由により必要があると認めるときは、事故等調査の経過を公表するものとする。
11 事実調査
(1) 事実調査の内容
1の事実調査は、当該事故等に係る情報の入手、物件の収集及び損壊状況の調査を行うとともに、必要に応じ事実を認定するための試験研究を行うものとする。
(2) 現場調査
@ 委員会が事故等の現場において行う事実調査(以下「現場調査」という。)は、次に掲げる者が行う。
・ 現場に派遣された委員長、委員、専門委員及び事務局の職員
・ 法第22条第1項の規定により援助を行う国土交通省の職員
・ 関係行政機関の職員で委員会が委嘱するもの
・ 事故等調査に関し学識経験を有する者で委員会が委嘱するもの
・ 法第19条第1項の規定により事務の委託を受けた者
A 現場に派遣された委員長、委員又は主管調査官は、現場調査を行う場合において必要があると認めるときは、@に規定する者及び8により調査に参加する関係国が指名した代表若しくは顧問又は提供した専門家のうちから現場調査団を編成することができる。
B 主管調査官は、委員長又は委員の指示に従い、当該現場調査団を統轄するものとする。
C 委員長、委員又は主管調査官は、現場調査が終了したときは、当該現場調査団の編成を解くものとする。
(3) 運輸事業者による支援
@ 現場調査の実施に当たって、特に必要と認められる場合には、事故原因の究明に係る参考人又は事故現場における調査活動に対する役務提供者として、運航会社又は運行会社(以下「運輸事業者」という。)の支援を受けることができる。
A (1)の運輸事業者による支援は、委員会の監督の下に置くとともに、委員会が要請した事項に限るものとする。
(4) 現場調査の発表
@ 現場調査により知り得た事実は、可能な限り発表するよう努めるものとする。
A 現場調査の経過の発表については適宜これを行うこととし、当該調査により知り得た事実についてはその終了後行うことを旨とする。
B 委員会が行う@及びAに規定する発表は、委員会において行うことを原則とするが、状況に応じて、委員長、委員又は主管調査官が現地においても、可能な限り行うものとする。
(5) 事実調査に参加した者の報告等
@ 事実調査に参加した者は、知り得た情報を速やかに委員長、委員又は主管調査官に報告しなければならない。
A 事実調査に参加した者は、委員長、委員又は主管調査官の許可を受けなければ、その知り得た情報を漏らしてはならない。
12 関係行政機関への情報提供
委員会は、事故等調査の過程において、事故等の防止並びに被害の軽減を図るために有益な情報を認めたときは、関係行政機関の長に対し、速やかに当該情報を提供するものとする。
13 関係行政機関等に対する意見照会
委員会は、その所掌事務を遂行するために必要があると認めるときは、関係行政機関の長等に対し、事故等調査報告書案等に関する意見を求めるものとする。
14 死亡者・重傷者
(1) 死亡者の考え方は以下のとおりとする。
@ 航空事故
航空事故により当該航空事故の発生後7日以内に死亡したもの
A 鉄道事故
鉄道運転事故等報告書等の様式を定める告示(平成13年国土交通省告示第1387号)及び軌道事故等報告規則(昭和62年運輸省・建設省告示第1号)に定めるもの
B 船舶事故
船舶事故による死亡者
(2) 重傷者の考え方は以下のとおりとする。
@ 航空事故
国際民間航空条約第13附属書に定めるもの
A 鉄道事故
鉄道運転事故等報告書等の様式を定める告示及び軌道事故等報告規則に定めるもの
B 船舶事故
海上事故又は海上インシデントの安全調査のための国際基準及び勧告される方式に関するコードに定めるもの
15 この要領に定めるもののほか、事故等調査の実施について必要な事項は別に定める。
附 則
この要領は、平成20年10月1日から施行する。
前 文(抄)(平成22年12月17日運委参第468号)
平成22年12月17日から施行する。
前 文(抄)(平成24年3月23日運委参第623号)
平成24年3月23日から施行する。

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