大規模建築物の除却工事現場に関する危害防止措置等実態調査結果

 

平成15528

<問い合わせ先>

国土交通省総合政策局建設業課(内線24743)

住宅局建築指導課(内線39564)

TEL:03-5253-8111(代表)

 

 

1.        調査概要

 「大規模な建築物の除却工事の現場に関する報告について」(平成15年3月18日付国住指第8549号)により、各特定行政庁に対し、富士市の事故と同様の除却工事の状況について、次の内容の報告を求めた。

 @ 対象除却工事

   5階建て以上の建築物の除却工事で、平成15年3月31日において、敷地境界線から5m以内において当該建築物の5階以上の部分の工事を行っているもの。

 A 報告を求める除却工事の状況

  ・ 増改築の記録や、メンテナンスの記録の有無

  ・ 作業工程、調査事項等

  ・ 除却工事の危害防止措置の実施に関する施工状況

  ・ 建築基準法第90条関係規定への対応状況

 

2.        対象除却工事の件数

対象除却工事の件数の都道府県別分布において、静岡県富士市で発生した事故と同様の建築物解体工事は、東京都、大阪府といった大都市圏で多い傾向が見られる。


3.        調査結果の概要

3.1. 建築物の概要

【平均階数・床面積】

平均階数    6.8階

平均床面積 約5,000u

 

【主要用途】

 

【構造種別】

鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造のものが多いが、混構造のものも多い。なお、一部が木造のものが、ホテル等を中心に約13%あった。

 

【除却理由】

除却の理由は、建替えによるものがほとんどである。

 


3.2. 事前調査の実施状況

【設計図書、増改築の記録等の有無】

対象工事の約6割で、増改築に関する図面等の資料がなく、竣工時の図面にたよらざるを得ない状況がうかがえる。

また、建築基準法第12条に基づく調査などのメンテナンス記録は、残されていないケースが多い。

 

【事前調査の方法】

 構造計算を行っているものは、重機を載せる工法を採用している場合に必要との回答が多い。

 


【事前調査の内容】

 

3.3. 施工計画等

【工期】

 平均的な工事期間は3.6ヶ月。また各階ごとの解体に要する日数は平均約6日であり、ほとんどばらつきが見られない。

 

【作業計画】

作業計画は、内容・密度等については不明であるが、全ての現場で作成されている。

 

【周辺への安全対策】


3.4. 建築基準法第90条に基づく安全対策

建築基準法第90条への対応状況については、特定行政庁の行った現地調査において法への不適合が指摘されたものはない。

その他の安全対策として、既存躯体補強をしながらの作業計画を立てているものや、擁壁や排水計画に対する特別な配慮をしているものなどがあった。

 

3.5. その他

工事中に想定外の耐圧盤が見つかったために工程計画どおりに解体工事が進んでいない例も報告された。

調査対象の中で一件、3月末に鉄筋片が落下して歩行者を負傷させた事故事例が報告された。