建築基準法に基づく告示に関する意見と回答(免震建築物関連告示関係)

 

(告示名及び根拠条文はパブリックコメント実施段階のものですので、実際に公布されたものと異なる場合があります。)

根拠条文

コメント(意見)

回答(案)

令第80条の2関連

(構造方法)

 

 

全体

○仕様部分が多く、性能規定化されていない。

○構造計算を必要としない建築物に適用する規定として第四を定めました。このうち多くは第六の構造計算により適用が除外されることとなっています。

 

○第二の仕様規定に適合しつつ第三の構造計算以外の評価方法を適用することが可能か。

○時刻歴応答解析による建設大臣の認定として性能評価を行うことができます。ただしこの場合には、免震建築物の告示の仕様規定のうち耐久性等関係規定のみが適用されます。

 

○告示に示されている数式や係数の根拠を説明するべきである。

○後日技術資料等の解説を用意する予定です。

 

○住宅等軽量の建築物用とそれ以外の建築物用とで規定を分離するべきである。

○法文上の整理として、構造計算を必要としないもの、必要とするものそれぞれの仕様規定の適用関係を明確に規定することとしました。

 

○構造計算なしで免震建築物を建てるべきではない。

○基準法(第6条及び第20条)の規定により構造計算を必要としない建築物が存在し得ることとなります。

 

○中間階免震の位置付けを示すべきである。

○この告示の適用範囲を外れるものとして時刻歴応答解析による性能評価を行うこととなります。地下階の直上に免震層を設けることは可能です。

 

○告示で示される安全性のレベルが不明確である。

○免震以外の建築物と同様に、最大級の荷重及び外力に対して倒壊・崩壊等せず、中程度の荷重及び外力に対して損傷しないことを要求性能とするものです。

 

○一律に等価線形化で評価することには疑問がある。

○計算基準を規定するに当たり、検討委員会において時刻歴応答解析に基づく係数等のキャリブレーションを実施しています。

 

○免震材料として復元材を位置付けるべきである。

○ご指摘を頂き表現について修正いたしました。

 

○「その周囲の構造物等」を詳細に定義するべきである。

○ご指摘を頂き表現について修正いたしました。

 

○用途で制限することは止めるべきである。

○構造計算の必要ない免震建築物に対して必要な規定として、積載荷重の変動が小さいことを考慮し、その代表的な例示として位置づけています。

 

○風に関する滑動防止措置は軽量の建築物に対する措置であり、一律には必要ない。

○中程度の風荷重による過大な変形を防止するための規定として位置づけていましたが、他の仕様規定で安全性が担保されるものとして記述を削除いたしました。

 

○「積雪時に上部構造の変形を阻害しない」の意味を明らかにするべきである。

○直接もしくは落雪等による積雪が免震材料の周囲に存在した場合に危険となることを防止するための規定です。

 

 

 

第一(用語の定義)

○「免震材料」という用語をより一般的な「免震部材」「免震装置」等と改めるべきである。

○法第37条に基づく告示における表現と整合させたものです。

 

○異なる材料が混用された支承の取扱を示すべきである。

○それぞれの特性を分離して取り扱うこととなります。

 

○摩擦ダンパーを位置付けるべきである。

○本告示の適用範囲外の材料として時刻歴応答解析に基づく建設大臣の認定を必要とすることになります。

 

 

 

第二(技術基準)

○独立基礎、布基礎を位置付けるべきである。

○構造計算をしない場合の規定として、安定性の観点からべた基礎を規定として位置付けたところです。この規定は告示中の構造計算を行うことでその適用を除外することが可能です。

 

○基礎の底盤の厚さ30cmは過大である。

○構造計算をしない場合の規定として、免震層の変形を確保する観点から底盤の厚さを制限したものです。この規定は告示中の構造計算を行うことでその適用を除外することが可能です。

 

○基礎ぐいを用いた場合には、底盤の地盤種別の制限を除外するべきである。

当該規定は建設地盤の地震時の周期に対する制限を設けるためのものであり、基礎ぐいの使用の有無と関係なく必要な規定と位置づけています。当該規定は令第81条の2に基づく告示にしたがった性能評価を実施することで適用を除外することが可能です。

 

○下部構造の片土圧を原則禁止とするべきではない。

○下部構造に対して過大な変形を抑制するために必要な規定と考えています。

 

○立面形状のうち「張り出し部分」の定義と、それを制限している理由を明確にするべきである。

○バルコニー等を想定しているところです(表現については修正致しました。)。規定の趣旨は過大な転倒モーメントの発生を抑えることを考えています。

 

○周囲の構造物等との距離だけでなくクリアランスも規定するべきである。

○仕様基準のみによる場合の免震建築物の変形量を35cm程度と想定した上で必要な距離を規定しています。

 

○「異なる種類によるものを併用しない」とあるが、その理由を明確にするべきである。

○構造計算を必要としない建築物に対しては、あらかじめ定められた免震材の組み合わせを用いることとしたものです。(組み合わせについては法第37条に基づく指定建築材料としての認定の際に表示されます。)

 

○免震材料による支配面積として10平方メートルは非現実的である。

○ご指摘をいただき修正(15平方メートル)致しました。

 

○降伏荷重等を床面積で除する規定にした理由を明確に示すべきである。又、数値についても根拠を示すべきである。

○構造計算を必要としない建築物に対して、地震時の変形量を想定値(35cm程度)に収めるためにこの規定を設けました。(数値については修正しています)

 

○減衰定数30%とあるが、過大であり、理由を明らかにするべきである。

○構造計算を要しない建築物の地震時の変形を想定値(35cm程度)に抑えるために必要な規定と考えています。制限値は20%と修正しています

 

○設備について「上部構造の変形に対して安全上支障がない」とあるのを「免震層の変形に…」と改めるべきである。

○設備関係の規定で担保されうることから、当該記述を削除しました。

 

○建築面積の上限(1,000平方メートル)を緩和するべきである。

○ご指摘を頂き建築面積の上限の規定は削除いたしました。

 

○地盤の長期許容応力度(地耐力)が50キロニュートン未満の地盤に建築することを可能とするべきである。

○告示中の構造計算を行うことでその適用を除外することが可能です。

 

○第三種地盤に建築することを可能とするべきである。

○告示中に規定される構造計算のために必要な規定となります。時刻歴応答解析による建設大臣の認定として性能評価を行った場合には建築することが可能です。

 

○液状化の加速度レベルを規定するべきである。

○これまでの取り扱いと同様技術資料に基づき判断することとなります。

 

○支承の混在を認めるべきである。

当該規定は構造計算の必要ない免震建築物に対してあらかじめ定められた組み合わせの免震材料を使用することを求めるものです。(当該規定については法第37条に基づく告示(別表第2(ろ)欄第9号)に規定することとしました)

 

○平面形状の辺長比制限(1:4)を緩和するべきである。

○構造計算を必要としない建築物に対して、地震時の過大なねじれを防止するための規定です。告示中の構造計算を行うことでその適用を除外することが可能です。

 

○免震材料の配置を柱又は耐力壁の中心線の下以外にも認めるべきである。

○ご指摘を頂き表現を修正(釣合いよく配置)いたしました。

 

○安全限界変形の制限値(35cm)を緩和するべきである。

○構造計算を必要としない建築物に対する地震時の変形量をこの数値と位置づけています。告示中の構造計算を行うことでその適用を除外することが可能です。

 

 

 

第三(構造計算)

○偏心率の制限値0.05を引き下げるべきである。

○ご指摘を受け修正(0.03)致しました。

 

○「設計周期」という用語は「等価周期」と改めるべきである。

○免震層の「設計限界変形」に対応する周期であり、「設計限界固有周期」という用語に修正致しました。

 

○すべり・転がり支承の等価粘性減衰をより精緻に評価するべきである。

○法第三十七条に基づく指定建築材料としての認定の際に評価することとなります。

 

○等価粘性減衰の算出式の係数の根拠を明らかにするべきである。

○時刻歴応答解析結果とキャリブレーションを行い決定したものです。

 

Fhの下限値を0.4とした根拠を明確にするべきである。

○過大なダンパー量となるのを抑制するため、Fhの下限値として0.4を設定しました。ただし書きの規定により適用を除外することが可能としています。

 

○各免震材料ごとの設計限界変形に関する係数(弾性支承0.6、転がり支承0.7、ダンパー0.75)の差異について根拠を示すべきである。

○材料ごとの経年劣化・温度変化の影響、鉛直荷重を支持しているかどうか、荷重−変形関係におけるハードニングを考慮して定めたものです。(最終的な規定においてはそれぞれ独立の係数として分類し考え方や取扱を明確にしたところです。)

 

○上部構造の層せん断力係数に一律に係数1.3がかかっている理由を明らかにするべきである。

○免震層の特性の経年劣化・温度変化の影響、製品のばらつき等を考慮した安全率です。

 

Qh、Qeはどの部分の水平力を表すのか明確にするべきである。

Qhは降伏荷重、Qeは降伏荷重を上回る部分を表しています。

 

○減衰性能を持つ支承材に関してQhとQeを分離する手法を明確にするべきである。

○上記コメントの考え方に従い支承材の特性をバイリニアとして取り扱うこととしています。

 

○応答速度Vrの係数1.8の根拠を示すべきである。

○等価周期をもとにした速度の算定を行っているため、実際の時刻歴応答解析による速度応答の最大値とキャリブレーションを行い決定した係数です。(2.0と修正しています)

 

○層間変形角の制限を厳しくするべきである。

○免震建築物の上部構造の挙動を確保する上で十分な制限値と考えています。

 

○最適なダンパー量を確認する項目を設けるべきである。

○最低限の規定として、最大級の地震に対して免震層が安全に変形し、上部構造が短期許容応力度以内に収まることを検証しているため、最適なダンパー量については規定としては位置付けておりません。技術資料を参考に定めることとなります。

 

○接線周期Ttの2.5秒をもっと長いものとするべきである。

○最低限の規定としては十分な数値と考えています。

 

○第六号の地震力は1.3倍として評価されているため変動軸力を過大に算定している。

○安全側の評価としてこの規定でよいと考えています。

 

○免震材料に引張りを許容するべきである。

○本告示の適用範囲外として、時刻歴応答解析に基づく建設大臣の認定を必要とすることになります。

 

○仕様規定にすべて適合した場合には令第82条の6の最大級の荷重による検討は除外するべきである。

○ご指摘を頂き修正いたしました。

 

○接線剛性の規定はすべり支承などでは適用を除外するべきである。

○すべり支承等で接戦剛性が微小なものについても算入した上で接戦周期を算定することが必要となります。

 

○等価粘性減衰係数等の算定にあたり告示の式以外の評価を認めるべきである。

○ただし書を設け必要に応じて適切な式を選定できることとしています。

 

○安全率等の係数は適切に影響を考慮した構造計算で異なる値をとれるようにするべきである。

○ご指摘を頂き修正いたしました。

第四及び第五(許容応力度等)

○免震材料の評価基準として許容応力度・材料強度を使用することを改めるべきである。

○安全性の検討にあたり、常時荷重、中程度及び最大級の積雪・暴風に対する検証を実施する際に許容応力度等を定義して評価することが必要となります。

 

○支承材に対してもFyを規定するべきである。

○ご指摘を頂き修正いたしました。

 

○鉛直基準強度及び水平基準変形を告示中に定義するべきである。

○法第三十七条に基づく指定建築材料の認定の際に規定される値として告示中に定義を追加しました。

 

○ベアリング支承等における許容応力度、材料強度の考え方を明らかにするべきである。

○材料の有効断面積を定義し、材料の耐力を元に設定します。

 

○支承のうち鋼球を用いたものの許容応力度等の係数を鋼材と合わせるべきである。

○鋼球を含めた支承材全体を考慮した許容応力度として位置付けています。

 

 

 

37条関連告示

(指定建築材料)

○「免震材料」は、「免震部材」とするべきである。

○本告示においては、「建築材料」を指定することと規定されているため、材料という用語を用いています。

 

○鉛直剛性の評価は±0.3×基準面圧ではなく、基準面圧±0.3×基準面圧の領域で行うべきである。

○ご指摘を頂き修正いたしました。

 

○鉛直限界面圧の定義にある「安全に」を定量的な表現とするべきである。

○ご指摘を頂き、「座屈し、又は破断することなく」と表現を補足いたしました。

 

○鉛直限界面圧の上限値50N/mm2を削除するべきである。

○ご指摘を頂き修正いたしました。

 

○基準面圧として鉛直限界面圧の1/3をとる根拠を示すべきである。

○材料の各種の性能値を導出するための基準として、通常の使用状態を想定した係数を設定したものです。(数値は修正を加えました。)

 

○鉛直剛性や水平剛性等の性能評価にあたり、サイクル数を限定するべきではない。挙動が安定していることを条件として付すべきである。

○ご指摘を頂き「定常履歴」として修正いたしました。

 

○水平剛性等は、一律にせん断ひずみ±100%でなく実際の応答変形で評価するべきである。

○材料の各種の性能値を導出するための基準として、通常の使用状態を想定した係数を設定したものです。(数値は修正を加えました。)

 

○摩擦係数の評価に際しても水平変形量を規定し、あわせて試験速度を規定するべきである。

○正負の規定変形を元にすることを明記いたしました。試験速度については、定常履歴が得られることが条件となります。

 

○免震構造の告示で使用しない性能値を求めるべきではない。また、37条の認定を受けた材料はすべて免震構造の告示で使用可能とするべきである。

○免震建築物の告示に適合しない免震材料を用いた場合には時刻歴応答解析を行い建設大臣の認定を受けることとなります。

 

○材料の評価法(加振周期、回数、スピード等)が統一されていないが、根拠を示すべきである。

○ご指摘を頂き定性的な表現として明確になるよう修正いたしました。

 

○減衰材の評価に速度依存性を適切に考慮するべきである。

○必要に応じて速度に関しても定常履歴を要求することとしました。

 

○限界変形は限界面圧時においても試験するべきである。

○圧縮限界強度を評価する際に試験されることとなります。

 

○各支承材ごとの限界変形のとり方が不明確である。

○R欄第三号にてそれぞれ規定しています。

 

○経年変化や温度依存性の性能確認が不充分である。(面圧、試験速度等を追加するべき)

○「規定載荷」「定常履歴」等の試験及び評価条件を追加いたしました。

 

○粘性体減衰材の経年変化率の試験方法は、より一般的なものに改めるべきである。

○ご指摘を頂き試験時間等の限定については修正いたしました。

 

○「規定の式」とは何か示すべきである。

○当該表現を用いない表現に修正いたしました。

 

○免震材料は実機及び全数検査を基本とするべきである。

○材料のばらつきを考慮した検査法として適切な日本工業規格を引用しています。

 

○鉛製の減衰材は弾性限界変形が極微小であり告示の性能評価試験が不可能である。

○ご指摘を頂き表現について修正いたしました。

 

○建築物の性能の一環として必要な性能値の範囲を記述するべきである。

○各種の性能値の算定に当たり使用する定常履歴が代表的な使用条件を代表することとなり、これを建築物の構造設計において適切に考慮することとなります。

 

○個々の性能値がどのように建築物の安全性と関係するのか明確にするべきである。

○材料の特性を評価するための告示であり、建築物の安全性は令第80条の2の規定に基づく告示又は令第81条の2の規定に基づく告示の規定に従って評価されることとなります。

 

○オイル減衰材についても老化(経年変化)試験法を示すべきである。

○R欄に掲げる規定は、最低限の試験法を定めたものです。

 

○流体系減衰材の「降伏速度」の意味を示すべきである。

○減衰力と速度との関係がバイリニアとなる場合における速度を、降伏速度と定義しています。

 

○温度変化に対する性能の確認を装置全体で行う必要がない場合を考慮するべきである。(オイル粘度等)

○R欄に掲げる規定は、免震材料全体を考慮した最低限の試験法を定めたものです。

 

○流体ダンパーの減衰係数Cviと等価粘性減衰との差異を示すべきである。

○令第80条の2関連告示の第六の規定において、両者の関係を式で示しています。