建築基準法施行令改正案(追加部分)の概要

 

 

T 型式適合認定関係(令第136条の2の9、令第144条の2関係)

1.必要性

 現行制度では、建築物が建築基準法令に適合するかどうかは、建築確認及び検査において建築主事(又は指定確認検査機関。以下同じ。)が個別に審査することとされており、エレベーターのように同一の型式で量産される建築設備や、標準的な仕様書に基づき同一の構造方法による複数の建築物を建築する場合など、建築基準への適合性をあらかじめ定型的に判断できる場合であっても、申請者は個々の建築確認申請にあたり構造計算書等の図書を添付しなければならず、また、建築主事も個々の建築確認申請についてこれらの図書を毎回審査しなければならない。

 このため、建設大臣があらかじめ一定の建築基準に適合することを認定した構造方法等に従った建築物については、認定において適合すると認められた建築基準に適合するとみなすことにより、個々の建築確認申請・検査において申請図書の軽減等により申請者の負担の軽減を図ることとしたものが、型式適合認定制度である。

 これにより、建築主事は、個々の建築計画が認定を受けた構造方法等に従ったものかどうかを審査すれば足りることになる。

 

2.制度の概要

@建設大臣は、申請により、一定の型式の建築材料又は構造方法が、建築基準法第1章から第3章までの規定のうち当該型式に関する一連の構造上の基準その他の技術的基準(一連の規定)に適合するものであることの認定を行うことができる。

A型式適合認定を受けた建築材料又は構造方法は、建築確認・検査の特例として、その審査にあたっては、当該認定に係る一連の規定が審査対象から除かれるものとし、適合認定を受けた仕様に従っているかどうかを確認又は検査すればよいこととなる。

B型式適合認定を受けた建築材料又は構造方法のうち、一定の水準が確保された製造設備・検査設備と適切な品質管理体制を有する者であるものとして、建設大臣の認証を受けた者(認証型式部材等製造者)により製造された規格化された型式の部材(エレベーター等)については、建築主事による個別の審査が不要となり審査が大幅に簡素化される(型式適合認定を受けたもののうち、建設省令で別に定めるものが対象となる。)。

 

3.政令案の趣旨

型式適合認定制度(法第68条の10)が創設されたことを受け、認定の対象となる型式及び当該型式が適合することが必要となる一連の規定について政令で定める。

4.対象となる型式について

型式適合認定は、建築材料、建築物の部分の設計仕様について、あらかじめ建設大臣が構造上の基準等の技術的基準に適合することを認定することにより、個々の建築物ごとの性能の検証のための計算や仕様規定との適合等を省略し、申請者の負担軽減、建築確認又は検査時の審査の簡略化を図るものであることから、規定への適合の検証に時間を要するもの等、建築確認・検査時の審査が省略されることの効果が高いものを対象とする

 

この考え方により、型式適合認定の対象を次の3種類とする。

@建築物の部分の設計仕様(プラン)が、構造、防火、設備等の一連の規定に適合することについて型式適合認定を行うもの。(対象:プレハブ住宅等)

A建築設備、防火設備等で、構造、防火、設備等の一連の規定に適合することの認定を受け、かつ、型式部材等製造者認証を受けることが想定されるもの。(対象:エレベーター、防火設備(防火戸)等)

B準用工作物の部分で、準用される構造、防火、設備等の一連の規定に適合することの認定を受け、かつ、型式部材等製造者認証を受けることが想定されるもの。(対象:観光のためのエレベーター、遊戯施設等)

 

5.一連の規定について

 認定する一連の規定としては、当該型式に関する規定のうち、その規定への適合性について事前に審査することが可能な規定とする。

 

 

U 確認の特例関係(令第13条の2、令第138条の2関係)

1.趣旨

確認の特例となる規定については、@建設大臣が指定した規格化された型式住宅、A法6条第1項第4号に掲げる建築物で建築士の設計によるもの、を対象としていたが、型式適合認定の制度が設けられたことに伴い、法第6条の3において、確認の特例の対象となる建築物のうち@の型式住宅については、認定型式に適合する建築物の部分を有する建築物等へと改正された。

これを受け、令第13条の2において、型式適合認定を受けた規定を確認の特例対象規定として定める(法第88条第1項の工作物において準用する場合も同様とする)。

2.改正の考え方及び内容

(1) 認定型式に適合する建築物の部分を有する建築物の場合

(令第13条の2第1号、第2号、令第138条の2関係)

法第68条の10の型式適合認定により認定された型式を有する建築物の場合、その型式で認定の対象となる一連の規定については当該認定により基準に適合していることが明らかであることから、確認において改めて審査の対象とする必要はないものと考えられる。

このため、認定型式に適合する建築材料又は建築物の部分を有する建築物の場合は、それぞれ認定を受けた建築物の部分について、その認定に係る規定を確認の特例の対象とすることとする。型式適合認定の対象となる建築物の部分及び一連の規定は、令第136条の2の9において規定しており、令第13条の2ではこの規定を特例の対象として定めることとする(法第88条第1項の工作物において準用する場合も同様とする)。

 

(2) 建築士が設計した建築物の場合(令第13条の2第3号、第4号関係)

法第6条第1項第4号に掲げる建築物については、構造、防火関係規定をはじめとする単体規定の一部については建築士の能力に委ね、確認の特例としてきたところであるが、今回の改正にあたっても、技術的基準の水準については現行規定のレベルと変わるものではないことから、基本的には確認の特例対象とする規定は現在と同様の規定とすることとする。

ただし、従来法第6条第1項第4号に掲げる建築物にあっては必要がなかった構造計算について、今回の改正により、高さ13m又は軒高9mを超える組積造等の建築物にあっては構造計算が義務付けられ、また、限界耐力計算により安全性の検証を行うことが可能となるが、これらの構造計算については、審査省略の対象としないこととする。

 

 

V 準用工作物関係(令第139条〜令第143条関係)

※第144条の遊戯施設については、平成12年2月15日付けのパブリックコメントを参照して下さい。

 

1.趣旨

 法第88条第1項に基づき、煙突、広告塔、擁壁等の工作物に関し、建築物の規定を準用する規定等の改正を行う。

2.改正の考え方及び内容

特殊な構造方法に対応し、建設大臣が新たな構造方法を定められるよう措置するとともに、構造計算を要することとし、その他条項の移動に伴う改正を行う。