T.新たな政策体系への転換の背景

 

1.これまでの住宅宅地事情をめぐる背景と政策の変遷

(1)住宅宅地事情をめぐる背景の変遷

(2)住宅宅地政策の変遷

2.住宅宅地政策に関する現状と課題

(1)我が国の「居住」の現状と課題

 @持家を中心に着実に向上している床面積等

 A国民の居住ニーズの高度化、多様化

 B大都市圏の劣悪な住宅ストック・居住環境

  @)大量の高度経済成長期ストック等の存在

  A)大都市圏を中心とした低水準な居住環境

 C土地取得に強い関心を置いた住宅取得中心の住宅市場

 D少子・高齢化の急速な進行と居住に関する不安

(2)我が国の宅地事情の現況と課題

 @バブル崩壊以降の宅地事情

 A宅地ストックの活用と改善

3.住宅宅地政策をめぐる経済社会環境の変化

(1)経済社会の変化による住宅宅地需要構造への影響

 @住宅需要構造の変化

 A宅地需給の逼迫感の緩和

(2)土地神話の崩壊等による住宅宅地取得行動の変化

(3)居住ニーズの多様化

(4)環境制約の増大等

(5)都市構造の変化と地方の課題

(6)行政のあり方の変容

4.新たな住宅宅地政策の方向性

(1)成熟社会における住宅宅地政策の課題

(2)新たな住宅政策の基本的方向性

(3)新たな宅地政策の基本的方向性

U.新たな政策体系への転換のための具体的方向性

 

1.住宅政策体系再編の具体的方向性

(1)ストック重視、市場重視の住宅政策体系を支える計画体系の再編

 @住宅計画体系のあり方

 A住宅・住環境の整備目標

  @)新たな居住水準のあり方

  A)新たな住環境水準のあり方

  B)目標年次の設定等

(2)高度経済成長期ストックの更新等を契機とした住宅ストック・居住環境の再生

 @21世紀に向けた良質な住宅ストックの新規形成方策

  @)高度化・多様化した国民の居住ニーズに応えうる新築住宅市場の環境整備

   ア)良質な住宅の健全・確実な取得支援

   イ)良質な賃貸住宅の供給促進

   ウ)住宅品質確保促進制度の着実な実施

   エ)建設、維持管理、建替え等ライフサイクルを通じたコスト削減

  A)経済社会の潮流に対応した新たな住宅ストック形成の観点

   ア)環境問題の重要性の増大に対応した住宅ストックの形成

   イ)情報化技術を活用した新しいコミュニケーションを支える情報化住宅の整備の推進

 Aストック社会、循環型社会にふさわしい住宅ストックの新たな更新、維持管理のあり方

  @)公共賃貸住宅ストックの新たな活用方策

   ア)ストック活用に係る総合的計画体系の整備と計画に基づく的確な改善・更新

   イ)スーパーリフォーム等全面的改善事業に対する支援の充実

    ウ)居住水準設定の見直し等を踏まえた公営住宅家賃の算定方法の検討

   エ)改善事業の推進に係る技術開発と費用対効果を適切に評価するための手法の開発

   オ)地域整備との連携による地域に融合した団地の再生

   カ)公団既存賃貸住宅ストックの活用等

   キ)公営住宅と公団、公社住宅の併設等によるバランスのとれたコミュニティの形成

   ク)公営、公団、公社の各事業主体間の連携強化と統合的運用による居住者属性に応じた住替え促進

  A)マンションストックの新たな更新・維持管理方策

   ア)マンションストックの適切な維持管理に関する支援の充実

   イ)建替えに対する支援

  B)賃貸住宅のストックの更新

   ア)広くて良質な賃貸住宅への建替え促進

   イ)老朽木造密集市街地等における賃貸住宅ストック更新

 B都市・地域における居住地再生

  @)21世紀の都市居住再生に向けた住宅市街地整備の方向性

   ア)都心居住の推進と密集市街地の整備等による安全で快適な住宅市街地の形成

   イ)新たな居住ニーズに対応した住宅供給の推進

   ウ)人にやさしいまちづくりの推進

   エ)住民、NPOと連携した修復型の住宅市街地整備の推進

   オ)証券化手法等を活用した再開発の促進

   カ)居住環境整備のために必要な公共施設等の整備の推進

   キ)都市の居住環境整備のための公庫融資の充実

    a)密集市街地や商店街の再整備の促進

    b)郊外住宅地における住宅の流動化の促進

   ク)消費者の適切な居住地選択に当たっての環境整備

  A)地域活力の維持・増進に資する住宅整備の推進

   ア)地域活力の活性化に資する住宅供給の促進やまちづくりの支援

   イ)都市と地方の連携を促進する観点からのセカンドハウス等への支援促進

 Cストック誘導型税制・融資の構築

  @)税制のあり方

   ア)良質な住宅ストックの形成を誘導するための支援のあり方

   イ)国民の持家に対するニーズに対応した、住宅の取得に対する安定的な支援のあり方

   ウ)不足している良質な賃貸住宅の供給を促進するための支援のあり方

  A)新たな融資メニューを中心とした公庫融資のあり方

   ア)良質な住宅の健全・確実な取得の支援

    a)長期固定金利

    b)政策金利としての公庫金利のあり方

    c)返済負担の右肩上がりの見直し

    d)頭金の確保の支援

    e)完済時年齢を考慮した償還期間設定

   イ)新築・中古及び持家・借家のバランスのとれた住宅市場の整備

    a)良質な中古住宅に対する融資条件の改善

    b)中古住宅購入とリフォームの一体融資の創設

    c)耐久性の高い住宅ストックの形成と適切な維持管理の促進

    d)良質な賃貸住宅の供給促進のための融資の拡充

    e)持借流動化への対応

   ウ)都市の居住環境整備のための建替え等の促進(再掲)

(3)既存ストック循環型市場の整備による持続可能な居住水準向上システムの構築

 @中古住宅市場の活性化への取組み

  @)中古住宅の評価・情報活用システムの確立

   ア)中古住宅の評価体制の充実

   イ)リフォーム実施記録等の履歴情報を蓄積するシステムの整備

  A)中古住宅の適切な価格査定の実現に関する条件整備

   ア)価格査定のためのマニュアルの整備

   イ)実効ある価格査定作業体制の整備

  B)市場における住宅に係る情報の提供機能の整備

   ア)消費者が安心して取引が行えるための住宅の価格、課税、性能、履歴等に関する情報の整備

   イ)物件情報を的確に入手できるシステムの整備

   a)レインズ(不動産流通標準情報システム)の情報の充実

   b)業界団体独自の情報ネットワークの構築

   c)売り主が直接自己所有物件の情報を提供するシステムの構築

   d)データベース化等

  C)円滑な取引の支援

  D)新築・中古のバランスのとれた住宅市場整備を支える公庫融資の拡充(再掲)

 A賃貸住宅市場の活性化への取組み

  @)定期借家権の導入の促進

  A)賃貸住宅市場に関する情報機能の整備

  B)適正な賃貸住宅管理の確保、資産活用の多様化への対応

   ア)健全な賃貸住宅の経営、管理、改善等を行う産業の育成

   イ)賃貸住宅管理のあり方の検討

   ウ)貸主及び借主双方を対象とする第三者による相談機能の充実

   エ)取引コスト等への対応

 C)持家・借家のバランスのとれた住宅市場整備を支える公庫融資の拡充(再掲)

 Bリフォーム市場活性化への取組み

  @)リフォーム技術の向上のための条件整備

   ア)住宅の新築段階からの取組み

   イ)住宅設計の標準化、部材の規格化等の促進

  A)リフォーム市場における市場環境整備

   ア)消費者がアクセスしやすいリフォーム市場の確立

   イ)消費者が安心して利用できるリフォーム市場環境の整備

   ウ)リフォーム実施のためのインセンティブ向上

 C市場における円滑な住宅ストックの循環を促進するための税制上の支援のあり方

 D総合的な住宅サービス関連市場の育成

(4)少子・高齢社会に対応した「安心居住システム」の確立

  @福祉施策との連携に基づく良好な住宅ストックの形成

  A高齢期の居住の不安を取り除く環境整備

 B家族の子育て負担を軽減する良質な住宅ストック形成

2.新たな宅地政策の具体的方向性

(1)消費者・生活者志向型の宅地供給支援

 @「職住近接」ニーズに応える宅地供給支援

  @)消費者のニーズ   

 A)解決すべき課題

   ア) 都区部での低未利用地の高度利用化の不足

   イ)都心部での虫食い土地等の集約化、流動化の遅れ

  B)政策による支援

   ア)大規模工場跡地等の土地利用転換

   イ)虫食い状の土地の流動化

   ウ)再開発の推進、円滑化

   エ)不動産インデックス情報の整備等

   オ)郊外部の宅地の利便性の向上

 A「ゆとりある居住空間実現」ニーズに応える宅地供給支援

  @)消費者のニーズ

  A)解決すべき課題

   ア)宅地化農地の宅地化の進展

   イ)開発困難地の発生

   ウ)SOHOやテレワーク就業者のニーズへの対応

  B)政策による支援

   ア)宅地化農地の計画的宅地化

   イ)定期借地権付住宅等の供給の促進

   ウ)戸建賃貸住宅の供給

   エ)新たな就業スタイルへの対応

(2)アフォーダブルな住宅宅地取得等への支援

 @ライフステージに応じた買替え、住替え

 A解決すべき課題

 B政策による支援

  @)流通市場における宅地周辺の環境等に関する情報提供の充実

  A)流通費用の低減、適正化

  B)宅地の性能に関する評価手法の検討

C)定期借地権付住宅市場における流通の促進

(3)環境と安全性の重視

 @環境と安全性の重視

 A解決すべき課題

  @)緑地・オープンスペースの不足と環境の悪化

  A)安全性・防災性の低下

 B政策による支援

  @)緑地・オープンスペースの確保と環境保全

  A)安全性・防災性の向上

(4)既存の宅地の有効利用

 @既存宅地の有効利用

 A解決すべき課題

  @)敷地分割や農地の無計画な転用等による宅地ストックの劣化の進行

  A)現行制度に宅地の小規模化を促進する要素が内包

 B政策による支援

  @)良好な宅地ストックの維持・形成

  A)良好な宅地環境の形成

(5)高齢社会への対応

 @高齢社会

 A解決すべき課題

  @)一斉高齢化

  A)高齢者の買替え等に対する意欲

 B政策による支援

  @)高齢社会に対応したコミュニティの維持・形成

  A)高齢者の生活パターンに即した居住条件改善のための支援

(6)地方部における宅地供給

 @地方部における宅地供給

 A解決すべき課題

  @)まちの顔である中心市街地の衰退

  A)宅地需要の減退による計画的開発の衰退

 B政策による支援

  @)中心市街地活性化

  A)自然環境等と調和した宅地供給の実現

(7)宅地政策における税制のあり方

 @我が国土地税制の経緯と現状

A今後の土地税制のあり方

 @)住宅宅地供給に直接関わる税制のあり方

 A)宅地政策との関連で見た資産課税のあり方

3.新たな住宅宅地政策を支える公民の役割分担

(1)基本的考え方

    21世紀の豊かな居住は、市場における

(2)公的主体の役割の考え方

 @市場の環境整備

 A市場の誘導

    市場の環境整備を行った上でも、なお、市場に委ねただけでは適切な供給がなされないと考えられる、

 B市場の補完

(3)地方の独自性、自主性の発揮

(4)総合的な行政領域における政策展開

(5)住宅宅地政策を担う多様な主体等

 @住宅金融公庫改革の必要性

  @)民間住宅融資との協調

   ア)併せ貸しの促進

   イ)民間住宅金融の円滑化の方策

   ウ)民間住宅ローンの証券化の支援

  A)ALMの徹底

  B)資金調達の多様化

  C)公庫の住宅ローン債権の証券化

 A都市基盤整備公団の活用

 B今後の地方住宅供給公社業務の展開

 CNPOとの連携

 D宅地政策における公民のルールづくり等

  @)事業期間の短縮と金利負担の軽減

  A)国と地方公共団体の役割分担の見直し

  B)公共公益施設整備費負担の見直し