防犯に配慮した共同住宅に係る設計指針

 

第1 総則

1 目的  

 この指針は、「共同住宅に係る防犯上の留意事項」を踏まえ、防犯に配慮した共同住宅の新築(建替えを含む。以下同じ。)、既存の共同住宅の改修の企画・計画・設計を行う際の具体的な手法等を指針として示すことにより、防犯性の高い良質な住宅ストックの形成を図ることを目的とする。

2 適用の範囲等

(1) この指針は、新築される共同住宅及び改修される既存の共同住宅を対象とする。

(2) この指針は、防犯性の向上に係る企画・計画上の配慮事項等を具体化するに当たって参考となる手法等を示すものであり、事業者、所有者又は管理者等に対し、何らかの義務を負わせ、又は規制を課すものではない。

(3) この指針は、「共同住宅に係る防犯上の留意事項」を踏まえ、具体的な手法等を一般的に示すものである。対象とする住宅の諸条件によっては、

(4) この指針は、社会状況の変化や技術の進展等を踏まえ必要に応じて見直すものとする。

 

第2 共同住宅の企画・計画・設計に当たっての基本的な考え方

1 防犯性の向上のあり方

・防犯性は、住宅の安全性を確保する上で重要な要素である。特に最近は、犯罪の増加や居住者の関心の高まり等から、その重要性が高まっており、共同住宅の企画・計画・設計に当たっては防犯性の向上に十分配慮する必要がある。

・防犯性の向上に当たっては、居住者の防犯意識の向上とともに、住宅に必要な他の性能や経済性等とのバランスに配慮しながら、建築上の対応や設備の活用等により、効率的で効果的な対策となるように企画・計画・設計を行うことが必要である。

・防犯性の向上に当たっては、当該住宅の居住者及び周辺住民による防犯活動の取組み、警察との連携等につなげることに留意して企画・計画・設計を行うことが必要である。

2 防犯に配慮した企画・計画・設計の基本原則

 住宅の周辺地域の状況、入居者属性、管理体制、時間帯による状況の変化等に応じて、次の4つの基本原則から住宅の防犯性の向上のあり方を検討し、企画・計画・設計を行う。

(1) 周囲からの見通しを確保する(監視性の確保)

(2) 居住者の帰属意識の向上、コミュニティ形成の促進を図る(領域性の強化)

(3) 犯罪企図者の動きを限定し、接近を妨げる(接近の制御)

(4) 部材や設備等を破壊されにくいものとする(被害対象の強化・回避)

3 防犯上配慮すべき部位

・アクセス形式や住棟階層、各部位の存する階等に応じて防犯上配慮すべき部位が異なるため、企画・計画・設計に当たっては、これらの共同住宅の計画条件を十分踏まえること。

 なお、参考として別表を示す。

 

第3  新築住宅建設に係る設計指針

1 新築住宅の計画

(1) 計画・設計の進め方

(2) 敷地内の配置計画・動線計画

(3) 住棟計画

(4) 住戸周りの計画

2 共用部分の設計

(1) 共用出入口

(2) 管理人室

(3) 共用メールコーナー

(4) エレベーターホール

(5) エレベーター

(6) 共用廊下・共用階段

(7) 自転車置場・オートバイ置場

(8) 駐車場

(9) 通路

(10)児童遊園、広場又は緑地等

(11)防犯カメラ

(12)その他

3 専用部分の設計

(1) 住戸の玄関扉

(2) インターホン

(3) 住戸の窓

(4) バルコニー

第4  既存住宅改修の設計指針 

1 既存住宅改修の計画

(1) 既存住宅改修の計画・設計の進め方

2 共用部分改修の設計

(1) 共用出入口

(2) 管理人室

(3) 共用メールコーナー

(4) エレベーターホール

(5) エレベーター

(6) 共用廊下・共用階段

(7) 自転車置場・オートバイ置場

(8) 駐車場

(9) 通路

(10)児童遊園、広場又は緑地等

(11)防犯カメラ

(12)その他

3 専用部分改修の設計

(1) 住戸の玄関扉

(2) インターホン

(3) 住戸の窓

(4) バルコニー

 

 
 
 
 
別表











 

共用部分

専用部分









 









 









 









 


















 









 









 









 









 

階段室型










片廊下型

※1







※2

※2

中廊下型
・コア型


 


 


 


 


 


 


 

※2
 

※2
 

ツインコリドー
ル型・ボイド型


 


 


 


 


 


 


 

※2
 

※2
 





 

低層・中層










高層








※2

※2

超高層








※2

※2










 

接地階と
その直上階


 


 


 


 

※3
 


 


 


 


 

中間階








※4

※4

最上階と
その直下階


 


 


 


 


 


 


 

※4
 


 

地階
 


 


 


 


 

※3
 


 


 


 


 
注1 この表は、住宅を構成する各部位について、主に自然な監視性と外部からの接近性を勘案し、各項目(アクセス形式・住棟階層・部位の存する階)毎に、その分類間で相対評価したものである。
注2 「階段室型」及び「片廊下型」は、屋外空間に対し開放型のタイプ、「中廊下型・コア型」及び「ツインコリドール型・ボイド型」は、閉鎖型のタイプを想定したもの。
注3 「階段室型」及び「低層・中層」は、エレベーターのないタイプを、その他はエレベーターのあるタイプを想定したもの。
注4 「住戸の窓」は、バルコニー、共用廊下又は共用階段に面していないものを対象とし、これらに面する窓は、それぞれバルコニー、共用廊下又は共用階段の項目において対象とする。
 
凡例 ◎:特に配慮すべき部分 ○:配慮すべき部分 −:関連性の少ない部分