(契約の締結)               
第1条 貸主(以下「甲」という。)及び借主(以下「乙」という。)は、頭書(1)に記載する賃貸借の目的物(以下「本物件」という。)について、以下の条項により高齢者の居住の安定確保に関する法律(以下「法」という。)第56条に規定する終身建物賃貸借契約(以下「本契約」という。)を締結した。
 
  (契約の始期)
第2条 本契約の始期は、頭書(2)に記載するとおりとする。  

  (契約の存続及び終了)
第3条 本契約は、乙の死亡に至るまで存続し、かつ、乙が死亡した時に終了する。

 
  (使用目的)
第4条 乙は、居住のみを目的として本物件を使用しなければならない。 
 
  (賃料)
第5条(A) 乙は、頭書(3)の記載に従い、賃料を甲に支払わなければならない。
2 1か月に満たない期間の賃料は、1か月を30日として日割計算した額とする。
3 甲及び乙は、次の各号のいずれかに該当する場合には、協議の上、賃料を改定することができる。
  一 土地又は建物に対する租税その他の負担の増減により賃料が不相当となった場合
  二 土地又は建物の価格の上昇又は低下その他の経済事情の変動により賃料が不相当となった場合
  三 近傍同種の建物の賃料に比較して賃料が不相当となった場合
第5条(B) 乙は、頭書(3)の記載に従い、賃料を甲に支払わなければならない。
2 頭書(3)の前払いに係る賃料は、終身にわたる家賃の全部として次の算式により算定して得た額とする。
  1か月分の賃料    円×乙の想定居住月数+[想定居住月数を超えて契約が継続する場合に備えて甲が受領する額]
3 甲は、前項に規定する想定居住月数を経過するより前に乙の死亡があったとき又は当該居住月数を経過するより前に本契約の解除若しくは解約があったときは、遅滞なく、次の算式により算定して得た額を乙に返還しなければならない。
1か月分の賃料  円×(乙の想定居住月数−現に経過した月数= か月)
4 甲は、法第58条第7号の規定に従い、前払家賃の返還債務を負うこととなる場合に備えて以下の保全措置を講じなければならない。
  〈具体的な保全措置〉
5 甲及び乙は、賃料の改定は行わないこととし、借地借家法第32条の適用はないものとする。
第5条(C) 乙は、頭書(3)の記載に従い、賃料を甲に支払わなければならない。
2 1か月に満たない期間の賃料は、1か月を30日として日割計算した額とする。
3 甲及び乙は、次の各号のいずれかに該当する場合には、協議の上、賃料を改定することができる。
  一 土地又は建物に対する租税その他の負担の増減により賃料が不相当となった場合
  二 土地又は建物の価格の上昇又は低下その他の経済事情の変動により賃料が不相当となった場合
  三 近傍同種の建物の賃料に比較して賃料が不相当となった場合
4 頭書(3)の前払いに係る賃料は、終身にわたる家賃の一部として次の算式により算定して得た額とする。
1か月分の賃料    円×乙の想定居住月数+[想定居住月数を超えて契約が継続する場合に備えて甲が受領する額]
5 甲は、前項に規定する想定居住月数を経過するより前に乙の死亡があったとき又は当該居住月数を経過するより前に本契約の解除若しくは解約があったときは、遅滞なく、次の算式により算定して得た額を乙に返還しなければならない。
1か月分の賃料  円×(乙の想定居住月数−現に経過した月数= か月)
6 甲は、法第58条第7号の規定に従い、前払家賃の返還債務を負うこととなる場合に備えて以下の保全措置を講じなければならない。
  〈具体的な保全措置〉
 
  (共益費)
第6条 乙は、階段、廊下等の共用部分の維持管理に必要な光熱費、上下水道使用料、清掃費等(以下この条において「維持管理費」という。)に充てるため、共益費を甲に支払うものとする。
2 前項の共益費は、頭書(3)の記載に従い、支払わなければならない。3 1か月に満たない期間の共益費は、1か月を30日として日割計算した額とする。
4 甲及び乙は、維持管理費の増減により共益費が不相当となったときは、協議の上、共益費を改定することができる。
 
  (敷金)
第7条 乙は、本契約から生じる債務の担保として、頭書(3)に記載する敷金を甲に預け入れるものとする。
2 乙は、本物件を明け渡すまでの間、敷金をもって賃料、共益費その他の債務と相殺をすることができない。
3 甲は、本物件の明渡しがあったときは、遅滞なく、敷金の全額を無利息で乙に返還しなければならない。ただし、甲は、本物件の明渡し時に、賃料の滞納、原状回復に要する費用の未払いその他の本契約から生じる乙の債務の不履行が存在する場合には、当該債務の額を敷金から差し引くことができる。
4 前項ただし書の場合には、甲は、敷金から差し引く債務の額の内訳を乙に明示しなければならない。
 
  (禁止又は制限される行為)
第8条 乙は、本物件の全部又は一部につき、賃借権を譲渡し、又は転貸してはならない。
2 乙は、甲の書面による承諾を得ることなく、本物件の増築、改築、移転、改造若しくは模様替又は本物件の敷地内における工作物の設置を行ってはならない。
3 乙は、本物件の使用に当たり、別表第1に掲げる行為を行ってはならない。
4 乙は、本物件の使用に当たり、甲の書面による承諾を得ることなく、別表第2に掲げる行為を行ってはならない。
5 乙は、本物件の使用に当たり、別表第3に掲げる行為を行う場合には、甲に通知しなければならない。
 
  (修繕)
第9条 甲は、別表第4に掲げる修繕を除き、乙が本物件を使用するために必要な修繕を行わなければならない。この場合において、乙の故意又は過失により必要となった修繕に要する費用は、乙が負担しなければならない。
2 前項の規定に基づき甲が修繕を行う場合は、甲は、あらかじめ、その旨を乙に通知しなければならない。この場合において、乙は、正当な理由がある場合を除き、当該修繕の実施を拒否することができない。
3 乙は、甲の承諾を得ることなく、別表第4に掲げる修繕を自らの負担において行うことができる。
 
  (契約の解除)
第10条 甲は、乙が次に掲げる義務に違反した場合において、甲が相当の期間を定めて当該義務の履行を催告したにもかかわらず、その期間内に当該義務が履行されないときは、本契約を解除することができる。
  一 第5条第1項に規定する賃料支払義務
  二 第6条第2項に規定する共益費支払義務
  三 前条第1項後段に規定する費用負担義務
2 甲は、乙が次に掲げる義務に違反した場合において、当該義務違反により本契約を継続することが困難であると認められるに至ったときは、本契約を解除することができる。
  一 第4条に規定する本物件の使用目的遵守義務
  二 第8条各項に規定する義務
  三 その他本契約書に規定する乙の義務
3 甲は、乙が年齢を偽って入居資格を有すると誤認させるなどの不正の行為によって本物件に入居したときは、本契約を解除することができる。
 
  (甲からの解約)
第11条 甲は、次のいずれかに該当する場合に限り、都道府県知事の承認を受けて、乙に対して少なくとも6月前に解約の申入れを行うことにより、本契約を解約することができる。
  一 本物件の老朽、損傷、一部の滅失その他の事由により、家賃の価額その他の事情に照らし、本物件を法第58条第2号に掲げる基準等を勘案して適切な規模、構造及び設備を有する賃貸住宅として維持し、又は当該賃貸住宅に回復するのに過分の費用を要するに至ったとき。
  二 乙が本物件に長期間にわたって居住せず、かつ、当面居住する見込みがないことにより、本物件を適正に管理することが困難となったとき。
 
  (乙からの解約)
第12条 乙は、次のいずれかに該当する場合には、甲に対して少なくとも1月前に解約の申入れを行うことにより、本契約を解約することができる。
 一 療養、老人ホームへの入所その他のやむを得ない事情により、乙が本物件に居住することが困難となったとき。
 二 親族と同居するため、乙が本物件に居住する必要がなくなったとき。
 三 甲が法第72条の規定による命令に違反したとき。
2 乙は、前項各号に該当しない場合にあっては、甲に対して少なくとも6月前に解約の申入れを行うことにより、本契約を解約することができる。
3 前2項の規定にかかわらず、乙は、第1項の場合にあっては解約申入れの日から1か月分の賃料(本契約の解約後の賃料相当額を含む。以下この項において同じ。)を甲に支払うことにより解約申入れの日から起算して1月を経過する日までの間、前項の場合にあっては解約申入れの日から6月分の賃料を甲に支払うことにより解約申入れの日から起算して6月を経過する日までの間、随時に本契約を解約することができる。
 
  (明渡し)
第13条 乙は、第10条の規定に基づき本契約が解除された場合にあっては直ちに、第11条又は前条の規定に基づき本契約が解約された場合にあっては本契約が終了する日までに、乙の死亡があった場合にあっては乙の同居人のうち乙の配偶者又は60歳以上の親族(本物件の借主である者を除く。以下「同居配偶者等」という。)が本物件に引き続き居住することに反対の意思を表示したとき又は同居配偶者等が第18条第1項本文に規定する期間内に同項本文に規定する申出を行わなかったときから1月を経過する日までに、本物件を明け渡さなければならない。この場合において、乙は、通常の使用に伴い生じた本物件の損耗を除き、本物件を原状回復しなければならない。
2 乙は、前項前段の明渡しをするときには、明渡し日を事前に甲に通知しなければならない。
3 甲及び乙は、第1項後段の規定に基づき乙が行う原状回復の内容及び方法(次条に規定するものを除く。)について協議するものとする。
4 乙の死亡があった場合であって、同居配偶者等が第18条第1項本文に規定する期間内に同項本文に規定する申出を行ったときは、乙は、本物件の明渡しを行うことを要しない。ただし、敷金の返還については、明渡しがあったものとして第7条第3項に規定するところによる。
 
  (残置物の引取り等)
第14条 乙は、乙の死亡により本契約が終了した後に乙の残置物がある場合に備えて、あらかじめ、当該残置物の引取人(以下「残置物引取人」という。)を定めることができる。
2 前項の規定により残置物引取人を定めた場合にあっては、甲は、乙の死亡により本契約が終了した後遅滞なく、乙又は残置物引取人に本契約が終了した旨を連絡するものとする。
3 乙又は残置物引取人は、同居配偶者等が本物件に引き続き居住することに反対の意思を表示したとき又は同居配偶者等が第18条第1項本文に規定する期間内に同項本文に規定する申出を行わなかったときから1月を経過する日までに、当該残置物を引き取らなければならない。
4 甲は、乙又は残置物引取人が、同居配偶者等が本物件に引き続き居住することに反対の意思を表示したとき又は同居配偶者等が第18条第1項本文に規定する期間内に同項本文に規定する申出を行わなかったときから1月を経過する日までに当該残置物を引き取らない場合にあっては、当該残置物を乙又は残置物引取人に引き渡すものとする。この場合においては、当該引渡しの費用を敷金から差し引くことができる。
5 甲は、乙が残置物引取人を定めない場合にあっては、同居配偶者等が本物件に引き続き居住することに反対の意思を表示したとき又は同居配偶者等が第18条第1項本文に規定する期間内に同項本文に規定する申出を行わなかったときから1月を経過したときは、当該残置物を処分することができるものとする。この場合においては、当該処分の費用を敷金から差し引くことができる。
 
  (立入り)
第15条 甲は、本物件の防火、本物件の構造の保全その他の本物件の管理上特に必要があるときは、あらかじめ乙の承諾を得て、本物件内に立ち入ることができる。
2 乙は、正当な理由がある場合を除き、前項の規定に基づく甲の立入りを拒否することはできない。
3 本契約終了後において本物件を賃借しようとする者又は本物件を譲り受けようとする者が下見をするときは、甲及び下見をする者は、あらかじめ乙の承諾を得て、本物件内に立ち入ることができる。
4 甲は、火災による延焼を防止する必要がある場合その他の緊急の必要がある場合においては、あらかじめ乙の承諾を得ることなく、本物件内に立ち入ることができる。この場合において、甲は乙の不在時に立ち入ったときは、立入り後その旨を乙に通知しなければならない。
 
  (債務の保証)
第16条(A) 乙は、別に定めるところにより、高齢者居住支援センターに自らの家賃に係る債務を保証させるものとする。
第16条(B) 連帯保証人は、乙と連帯して、本契約から生じる乙の債務を負担するものとする。
 
  (同居人の一時居住)
第17条 甲は、乙の死亡があった場合においては、乙の死亡があった時から乙の同居人(本物件の借主である者を除く。以下この条において同じ。)がそれを知った日から1月を経過する日までの間(同居配偶者等が次条第1項本文に規定する期間内に同項本文に規定する申出を行った場合は、乙の死亡があったときから同項本文の規定による契約を締結するまでの間)は、乙の同居人を引き続き本物件に居住させなければならない。ただし、当該期間内に、乙の同居人が死亡し、又は甲に反対の意思を表示したときは、この限りでない。
2 前項の場合においては、乙の同居人は、甲に対し、本契約と同一の家賃を支払わなければならない。
 
  (同居配偶者等の継続居住) 
第18条 甲は、乙の死亡があった場合において、同居配偶者等が乙の死亡があったことを知った日から1月を経過する日までの間に甲に対し本物件に引き続き居住する旨の申出を行ったときは、同居配偶者等と法第56条に規定する終身建物賃貸借契約を締結しなければならない。ただし、この申出に併せて法第61条の規定による申出があったときは、同居配偶者等と法第61条の規定による期間付死亡時終了建物賃貸借の契約を締結しなければならない。
2 前項の建物賃貸借契約の条件は、本契約と同一のものとする。
 
  (協議)
第19条 甲及び乙は、本契約書に定めがない事項及び本契約書の条項の解釈について疑義が生じた場合は、民法、借地借家法その他の法令及び慣行に従い、誠意をもって協議し、解決するものとする。
 
  (特約条項)
第20条 本契約の特約については、下記のとおりとする。

@ 賃料の増減額にスライドさせて敷金などを増減額させる場合、その内容
A 駐車場、自転車置場、庭などがある場合、その使用方法など
B 契約終了後の乙の不法な居住の継続に対し違約金を課す場合、その内容
 

<条項の変更> 

@ 第5条(賃料)(A)・(C)関係[法第67条に基づき「借賃改定特約」を定める場合] 
<第3項の変更>
 (記載例)
 【契約の存続中に賃料改定を予定していない場合】

  甲及び乙は、賃料の改定は行わないこととし、借地借家法第32条の適用はないものとする。  
 【契約の存続中に賃料改定を予定している場合】
  毎月払いに係る賃料は、○年毎に、以下に掲げる算定式により改定し、借地借家法第32条の適用はないものとする。
  (算定式を記載)  

A [夫婦で共同賃貸借契約を締結する場合]

本標準契約書中「乙の死亡」とあるのを「本物件の借主である乙のすべての死亡」と、第3条中「乙が死亡した時に終了する。」とあるのを「本物件の借主である乙の一方が死亡した時にその者に係る契約が終了し、他方が死亡した時にその者に係る契約が終了する。」と書き換えて使用するものとする。