国土交通省
 IMO第51回海洋環境保護委員会(MEPC51)の結果について
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平成16年4月5日
<問い合わせ先>
総合政策局環境海洋課

(内線24374)

海事局安全基準課

(内線43922)

 造船課

(内線43712)

TEL:03-5253-8111(代表)


 

 平成16年3月29日から4月2日まで、ロンドンの国際海事機関(IMO)本部において標記会合が開催されたところ、主な審議結果は、以下のとおり。

  1. 強制要件に関わる改正の検討及び採択(議題5)

    (1)附属書4の全面改正
     海洋汚染防止条約(MARPOL)附属書4(船舶からの汚水による汚染の防止)を全面改正する改正案が採択され、発効予定は2005年8月1日。なお、同付属書は、昨年9月27日に発効したが、今次改正の内容については、国際的合意に基づき、既に国内法に取り入れられている。

    (2)附属書5の一部改正
     MARPOL条約附属書5(船舶からの廃物による汚染の防止)の付録(船上廃棄物記録簿)の様式及び注釈の改正案が採択され、発効予定は2005年8月1日。

  2. バラスト水中の水生生物(議題2)

     本年2月に採択された「船舶のバラスト水及び沈殿物の規制及び管理のための国際条約」の実施に必要となるガイドライン作成の作業計画について審議され、バラスト交換、処理、沈殿物の処理などのガイドラインを2005年7月に開催予定のMEPC53までに作成することが決定された。
     作業計画では、バラスト水処理装置の型式承認、及びバラスト水処理装置に使用される活性物質(ケミカル物質や微生物などが想定されている)のガイドラインの作成に重点をおいて作業を進めること、さらに、次回10月に開催されているMEPC52の1週間前にバラスト水中の水生生物に関する会合をIMOで開催することが合意された。

  3. シップリサイクル(議題3)

     IMOリサイクルガイドラインの実施を促進する方法について、ガイドラインを採択した第23回総会において、強制化を主張する国があったことを踏まえ、日本は、
    1ガイドラインには多数の関係者の要件が含まれており、全体を一括して強制化する手法は適切ではない、
    2各種の要件にそれぞれ適した方法でその遵守を促進すべき、
    旨の文書(2の遵守促進方法の例示を含む)を提出していた。
     日本提案は多数の支持を受け、その方法論に従ってWGにて検討が行われ、遵守促進方法の詳細については、MEPC52に向けコレポン・グループで検討することとなった。
     また、IMO/ILO/バーゼル条約事務局の合同作業部会の設置が承認され、IMOから選出された作業部会のメンバー国については、日本、米国、蘭、ノルウェー、バングラデシュの5カ国に決定した。

  4. 船舶からの大気汚染の防止(議題4)

    (1)MARPOL条約附属書6
     1997年に採択された、船舶からの窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)等の排出抑制に関するMARPOL条約附属書6については、これまで13カ国が同附属書を締結し、発効要件である15カ国まであと2カ国になったことが報告された。なお、同附属書は、発効要件を満たしてから1年後に発効する。

    (2)船舶からの温室効果ガス(GHG)の排出抑制
     国際航海に従事する船舶から排出される、二酸化炭素(CO2)等の温室効果ガスの抑制については、1旗国、寄港国、荷主国等のどこの国からの排出とすべきか明らかでないこと、2世界全体での温室効果ガスの排出量の把握が簡単でないこと等の理由から、気候変動枠組条約ではなく、専門的知見を有するIMOで実施方策が検討されてきている。
     昨年12月に開催された第23回IMO総会において、海洋環境保護委員会に対し、世界全体の温室効果ガスの排出量を把握するとともに、それぞれの船舶からどの程度の温室効果ガスが排出されるかの指標(インデックス)を作成するよう指示があった。
     しかしながら、中国、インド、バングラデシュ及びサウジアラビアは、先進国だけの取り組みとすることを明確にしなければこれらの検討を行うことは受け入れられない旨強硬に主張した。
     一方、我が国及び欧州諸国は、国際海運の実態を勘案すれば、すべての船舶を対象に温室効果ガスの排出抑制を実施しなければ、世界全体の温室効果ガスの効果的な排出抑制は実現できず、総会からの指示に従い作業を進めるべき旨主張した。
     結局、今次会合においては、本件に関する結論は得られず、次回会合で引き続き検討を行うこととなった。

  5. その他

    (1)総合ビルジ処理システム(IBTS)
     機関室で発生するビルジを根本的に減少させる総合ビルジ処理システム(IBTS)を導入し、「船舶の機関室内での油水の取り扱い方法に関するガイドライン」に組み入れて改正すべきとの我が国からの提案については、DE(設計設備)小委員会の優先事項として新規作業項目に採りいれることが承認された。

    (2)シングルハルタンカーのフェーズアウトにかかる状態評価(CAS)
     昨年12月のMEPC50において採択されたCASについては、日本より、1甲板縦通肋骨の隅肉溶接部の健全性を評価するための甲板上からの板厚計測方法、2不適切な修理例の提示、の2種類のガイドライン案、及び(同ガイドラインをCASに位置づけるための)CASの改正案を提案した。
     各国からは、概ね良好な感触が得られたが、詳細な技術的検討を要することから、次回DE48小委員会の優先課題として検討を行うこととなった。

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