第4回小型船舶用救命胴衣の常時着用化に関する評価検討会の開催結果について


平成13年3月21日
国土交通省海事局安全基準課安全評価室

平成13年3月14日(水)に「第4回小型船舶用救命胴衣の常時着用化に関する評価検討会」(最終回)を開催しましたのでその内容をお知らせします。

1.救命胴衣試験について

○ 第3回評価検討会(平成13年1月15日)以降実施された、海上保安庁横浜海上防災基地における波浪中試験(1月23日)、船舶艤装品研究所での小児用救命胴衣に係る浮遊性試験(1月27日)の結果報告があった。

○ 波浪中試験は、ビューフォート風力階級3での波高にほぼ相当する波高0.5mで、体格の異なる大人3人による水着及び合羽着用時の浮遊状況について確認が行われた。供試体の浮力は4 .5kg、5.8kg、6.5kg及び7.5kgの4種類。この時の波周期は1.5秒と実海域での波浪(波周期3秒〜4秒)に比べて短く、波の山谷の角度が深いことから、実海域より厳しい環境下での試験となった。

○ 波浪中試験の結果、浮力4.5kgを除き、5.8kg、6.5kg及び7.5kgの救命胴衣着用において、波浪中の浮遊状況に大差がないことが確認された。また、漁業用カッパと共に着用する場合、救命胴衣のズレを最小限にして胴衣浮力を有効に利用できる構造であれば、浮力5.8kgでの浮遊可能性が確認された。

○ 小児用救命胴衣の浮遊性試験は、小学生低学年から高学年の合計6人で実施。この結果、小児用救命胴衣についてもISOの基準案が妥当であることが確認された。また、小児では救命胴衣のズレが生じやすく、浮遊性を高めるには救命胴衣のズレ防止のための股紐の効果が大きいことが判明した。

(参考:ISO(国際標準化機構)は、国際規格を制定するための非政府間機関であり、現在、救命胴衣に関する国際的な統一規格草案(ISO/DIS12402)について審議中である。同草案ではクラスA〜Fまで6種類の性能別規格が規定されており、本評価検討会で対象としているのはクラスEのものである。)

○ 過去4度に亘る救命胴衣の浮遊性に係る実証試験の分析結果として、以下が確認された。

1 大人用の常時着用型救命胴衣の浮力基準として、ISO/DIS12402クラスEの基準である50N(鉄片換算5.8kg)を採用して問題ないこと。

2 小児用救命胴衣の浮力基準として、ISO/DIS12402クラスEの体重別浮力基準を採用して問題ないこと。

3 なお、ISO規格クラスEでは、着用者が遊泳可能であり、迅速な救助が期待できる保護された水域での使用等、使用環境に関する条件が付記されていることから、それ以上の海域での使用等にあたっては、さらに浮力に余裕を持たせる必要があること。

2.検討会提言について

○ これまでの本検討会での審議を踏まえ、@常時着用型救命胴衣の導入、Aその他の転落事故対策、B啓蒙・啓発活動及びC着用義務化の検討、の四つを柱とする提言を取りまとめた。(提言内容の全文についてはこちら(PDF形式)を参照下さい。)

3.その他

○ 今後の救命胴衣着用率向上の啓蒙・啓発活動について、関係団体、関係行政機関等の横断的連携を図り、ライフジャケットの着用促進に関する共通認識を醸成し、それぞれが有する組織力、ノウハウ、ネットワーク等を相互共同活用し、合理的かつ効果的な機動力ある啓蒙・啓発キャンペーンを展開していくため、「ライフジャケット着用推進協議会(仮称)」を発足させることが合意された。

(参考)

「ライフジャケット着用推進協議会(仮称)」構成団体
関係団体等 :(財)日本海洋レジャー安全・振興協会
(社)日本海難防止協会
(社)日本舟艇工業会
全国漁業協同組合連合会
日本小型船舶検査機構
小型船舶関連事業協議会 他
関係行政機関 :  国土交通省
海上保安庁
水産庁

 

○開催経緯

第1回「小型船舶用救命胴衣の常時着用化に関する評価検討会」開催日:平成12年8月2日(水)
第2回「小型船舶用救命胴衣の常時着用化に関する評価検討会」開催日:平成12年10月19日(木)
第3回「小型船舶用救命胴衣の常時着用化に関する評価検討会」開催日:平成13年1月15日(月)
第4回「小型船舶用救命胴衣の常時着用化に関する評価検討会」開催日:平成13年3月14日(水)

○委員構成等(敬称略 順不同):

東京商船大学教授(委員長) 庄司 邦昭
東京水産大学助教授 宮澤 晴彦
北海道大学大学院教授(第3回評価検討会より参加) 天下井 清
日本小型船舶検査機構企画部長 渡邊 勝世
小型船舶関連事業協議会第一部会長 岡本 道晴
小型船舶関連事業協議会第一部会 高階 尚也
(社)日本船舶品質管理協会船舶艤装品研究所主任研究員 板垣 恒男
(社)日本舟艇工業会環境委員会委員長 市倉穂三郎
(財)日本海洋レジャー安全・振興協会振興事業部長 島田 尚信
(社)日本海難防止協会企画部長 菅野 瑞夫
全国漁業協同組合連合会漁政部長 宮原 邦之
(社)北海道漁船海難防止・水難救済センター専務理事 佐久間 猛
マリンイラストレーター 高橋 唯美
(株)舵社ボートクラブ編集部マリンジャーナリスト 岩瀬 佳子
レディーズ・フィッシング・クラブ・オブ・ジャパン会長 小島 和子
船員災害防止協会安全管理士(第2回評価検討会より参加) 阿部 勇紀
その他関係行政機関等

【ご意見募集】

 本評価検討会は最終回を終え、今回、救命胴衣の着用率を高めるための方策に関する提言がとりまとめられました。これまで本ページに対してお寄せいただいた皆様からのご意見等も評価検討の参考にさせていただきました。ここにお礼申し上げます。今後、提言に沿って具体的な作業に移って参りますが、さらに、本課題に対しお気づきの点等ございましたら、以下アドレスあてメールをお送りいただければ幸甚に存じます。
 なお、お寄せいただいたご意見に対して個別に回答はいたしかねますので、あらかじめその旨ご了承願います。
E-mail : MRB_AKK_AZH@mlit.go.jp
 


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