Q1 油濁損害賠償保障制度とは?
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タンカーから油が流れ出したこと等により発生した汚染による損害の賠償を保障する制度です。本制度は、国際的な条約に基づき、油濁損害賠償保障法により国内法化されています。
油濁損害賠償保障制度の概要
- ・船舶所有者は、原則として無過失責任を負う。
- ・船舶所有者は、船舶の大きさ等により、一定金額を限度としてその賠償責任を制限することができる。
- ・船舶所有者は、責任限度額をカバーする保障契約の締結を義務づけられている。国際油濁補償基金から一定金額を限度として保障を受けられる。
- 油濁2条約の概要
条約名 概要 発効
年月日締結状況
(2000年1月)我が国
の締結1992年の油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約(1992年責任条約) (1)船舶所有者は、タンカーの事故により排出した油によって生じた全ての汚染損害について無過失責任を負うとともに、その責任を一定の額に制限できる。
(2)2,000トン以上の油を輸送するタンカーの所有者は、上記の責任を担保するため、責任保険契約の締結を義務づけられている。1992年11月27日 42カ国 リベリア・スウェーデン・イギリス・ノルウェー・ドイツ 等 ・1994年8月24日締結
・油濁損害賠償保障法(昭50法95)1992年の油による汚染損害の補償のための国際基金の設立に関する国際条約(1992年国際基金条約) 油濁民事責任条約に基づく制限のもとで、船舶所有者から十分な賠償責任を受けられない油濁事故の被害者に対して一定の額までの補償を行うとともに、船舶所有者に対してその負担を制限するための補てんを行うための国際基金を設立する。 1992年11月27日 40カ国 リベリア・フランス・スウェーデン・イギリス・ノルウェー・ドイツ 等 ・1994年8月24日締結
・油濁損害賠償保障法(昭50法95)
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国際基金は、タンカーからの油の流出等により生じた油濁損害額が、船主の賠償責任限度額を超えた場合等に補償を行うことを目的としています。
国際油濁補償基金の概要
- 1.根拠
国際油濁補償基金(1978年設立)
- ・ 1992年の油による汚染損害の補償のための国際基金の設立に関する国際条約(締約国:日本、フランス、イギリス等計40ヶ国)
- 2.本部
- ロンドン
- 3.業務
- 締約国において生じた油濁損害額が責任条約に基づく船舶所有者の責任限度額を上回る場合において、被害者に対する補償を行う。
- 4.拠出金
- 年間15万トンを超える油を受け取った者(石油会社等)は、その受け取った油の量に応じて拠出を国際基金に納付する。(日本の拠出割合は約4分の1)。
1971年の国際基金条約に基づく国際基金の仕組み
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タンカー等の船舶から流出し、又は排出された油による汚染により生ずる損害に対して補償されます。具体的には、油の防除・清掃費用、漁業損害、旅館、ホテル等の被害等の損害が補償され得ます。
国際油濁補償基金が補償する損害等の範囲
- ◎以下の基準はあくまでも原則であって、ある損害や費用について補償が認められるかどうかは、当事者間の交渉で決まるものであり、決まらない場合には最終的に国内の裁判所が決定する。
一般基準
・費用・損失は実際に発生したもの
・費用は、適切な範囲
・油の汚染と損害・費用との間に相当因果関係があること
・金銭的に計算できる損失
・証拠により証明できるもの主な例 油の防除、清掃費用 ・人件費
・資機材の費用(残存価格は除く。)
・防除等の措置は効果的なものに限る(費用と効果との関係が適切なもの)調査・研究費 ・油流出の対応策、損害の程度を調べるためのもの 漁業被害
旅館・ホテルの損害等・収入の減少
(漁ができなかったための収入減、ホテル・レストランの客の減少)
過去の数年間の収入実績を参考として収入減を補償
・収入減を防止するための費用
(風評被害を防止するためのキャンペーン費用)請求の提出のための顧問料 ・弁護士費用等(妥当な範囲に限る。) 環境復元費用 ・適切な費用は認められるが、過去認められた事例はない
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- 油回収のために運行された船舶の運航費、オイルフェンスの展張費用、散布した油処理剤の費用、清掃作業に参加した人の人件費、清掃作業を行うための機材購入(賃借)費用、回収した油の処理費用等が対象となることが考えられます。
実際に補償を受けるためには、防除・清掃の措置が必要かつ合理的であるものであることが要求され、効果と比べて過大な費用を要した措置等については、補償交渉において問題になる可能性が高いと言えます。いずれにしても、具体的な補償の範囲は、当事者間の話し合い等民事上の手続きにより決定されます。
- 油濁損害賠償補償とは?
油濁損害賠償保障法は、「油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約」及び「油による汚染損害の補償のための国際基金の設立に関する国際条約」を国内法制化するために、昭和50年に制定された法律です。
この法律は、船舶に掲載されていた油によって油濁損害が生じた場合における船舶所有者の責任を明確にし、及び油濁損害の賠償を補償する制度を確立することにより、被害者の保護を図り、あわせて船舶による油の海上輸送の健全な発達に資することを目的としています。
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- 油汚染により漁ができなかったことによる収入減について、過去数年間の収入実績を参考にして補償され得ますが、損害と油の汚染との間に相当の因果関係があること、損害が実際に発生したこと等の要件を満たすことが求められます。具体的な補償の範囲については、当事者間の話し合い等民事上の手続きにより決定されます。
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- 海岸に油が流れ着いた結果、景観が損なわれたり、油の悪臭が漂うこと等により宿泊者数等が減少した旅館、ホテル等の損害について補償の対象となり得ますが、損害と油の汚染との間に相当因果関係があること、証拠により証明できる損害であること等の要件を満たすことが求められます。具体的な補償の範囲については、当事者間の話し合い等民事上の手続きにより決定されます。
Q7 補償の限度額はいくらか。また、損害額がこれを上回った場合はどうなるのか?
- 補償限度額は国際基金条約により定められており、1億3500万SDRです。SDRというのは国際通貨基金協定に定める特別引出権であり、日々変動していますが、平成12年1月末現在で約144円です。これにより日本円に換算すると補償限度額は約194億円となります。
民事上の手続きにより確定した損害額が、この約194億円を超えた場合には、その超えた割合に応じて、各請求者は平等に按分配当されます。例えば、損害額が388億円だと仮定した場合、各請求者は国際基金との間で確定した債権額の50%ずつ均等に支払を受けることとなります。
●現行条約限度額
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- 条約によれば油濁損害が船主の故意又は損害が生じることを認識して行った無謀な行為により生じたものである場合には、船主は損害賠償責任を制限することができなくなります。このため、この場合には、全ての油濁損害について船主は賠償する責任が生じます。
なお、船主の故意等の有無の確定には一般に時間がかかるものであることから、故意等の有無が確定しない間であっても、国際油濁補償基金からの補償が行われることが多く、ナホトカ号の場合も早期の補償がなされる見込みです。その後、仮に民事上の手続きにより故意等が認定された場合でも、国際油濁補償基金は既補償額について船主に請求していくことになります。![]()
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- 油濁損害に対する補償は、民事上の手続きによりなされるものであり、一般的には被害者と船主(保険会社)、国際基金との話し合いにより解決されています。被害者が損害賠償請求した損害について、船主(保険会社)からの賠償及び国際基金からの補償がなされ得るものですが、示談が整わない場合には裁判上の手続きとなる場合もあります。具体的には、まず初めに、被害者の方は損害状況の把握を行い、その損害について船主(保険会社)及び国際油濁補償基金の双方に請求していく必要があり、そこから話し合い等民事上の手続きが進行し、その結果として賠償、補償がなされるのが通常です。
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- 船主及び国際油濁補償基金に対する損害賠償及び補償の請求権は、油濁損害が生じた日から3年以内に裁判上の請求がされないとき、または、油濁損害の原因となった最初の事実が生じた日(事故発生日)から6年以内に裁判上の請求がなされないときは消滅します。
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- 条約締約国各国で生じた油濁損害に対し、国際基金からの補償がなされています。主な例として、具体的には次の表のとおりです。
大規模なタンカー事故における油濁損害額について(国際油濁補償基金による補償例) (損害の単位:百万円)
船名(船籍国・総トン数) 発生年数 発生場所 事故原因 流排出油量 油濁損害額(基金補償額) ANTONIO GRAMSCI号(ソ連・27,694トン) 1979年2月 スウェーデン 座礁 5,500t 4,415(4,305) TANIO号(マダガスカル・18,048トン) 1980年3月 フランス 船体損傷 13,500t 10,354(9,830) ONDINA号(オランダ・31,030トン) 1982年3月 西独 荷役ミス 200〜300t 2,470(1,308) BRADY MARIA号(パナマ・996トン) 1986年1月 西独 衝突 200t 301(273) THUNTANK5号(スウェーデン・2,866トン) 1986年12月 スウェーデン 座礁 150〜200t 652(585) 第1春日丸(日本・480トン) 1988年12月 日本 沈没 1,100t 436(434) VOLGONEFT263号(ソ連・3,566トン) 1990年5月 スウェーデン 衝突 800t 490(412) RIO ORINOCO号(ケーマン島・5,899トン) 1990年10月 カナダ 座礁 185t 1,729(1,583) VISTABELLA号(トリニダードドバゴ・1,090トン) 1991年4月 カリブ 沈没 ? 252(238) 泰光丸(日本・699トン) 1993年5月 日本 衝突 520t 1,122(1,100) 豊孝丸(日本・2,960) 1994年10月 日本 衝突 560t 778(696)
(注) 1)国際油濁補償基金の年次報告書(1995年)より作成。 2)船舶所有者の賠償額及び基金の補償は、事故発生年のレートにより円に換算した推定額である(日本の事故例については実額)。 3)下記は、国際油濁補償基金の設立以降における大規模事故の例。なお、現在も数件の大規模事故が係争中である。