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 大臣会見要旨(平成17年12月13日)
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平成17年12月13日(火)
10:40〜11:09
国土交通省会見室

 

閣議・閣僚懇

  おはようございます。本日の閣議ですが、一般案件が3件、国会提出案件が4件、政令の決定が2件、人事案件が5件です。国土交通省に係るところは今日はありません。私の方から1点御報告申し上げます。構造計算書偽装問題に関する緊急調査委員会を設置させていただきます。今回の問題に関しては、制度上の課題につきましては、社会資本整備審議会建築分科会において審議をお願いします。一方、この制度上の課題の他、行政対応上の課題につきまして検討を行うため、私の私的諮問機関として、構造計算書偽装問題に関する緊急調査委員会を設けることとしました。この緊急調査委員会におきましては、構造計算書偽装問題に関するこれまでの行政対応について検証をしていただき、課題が特定できましたならば、その対応策について取りまとめていただきたいと考えています。委員会の構成は10名の方々に就任をお願いしたいと考えています。第3者の目を通じまして、建築行政に係る緊急時の行政対応のあり方について取りまとめていただければということで、期待しているところです。年度末までに5回から6回程度、精力的に開催していただきまして、取りまとめを行うこととしています。第1回の委員会は今月の16日の16時から開催いたします。この委員会は公開としていまして、皆様はもちろんのこと、一般の方の傍聴も可能という取扱をさせていただいています。私から以上です。


質疑応答

 
(問) 最初にこの緊急調査委員会の件なのですけれども、これから議論をなさるということだと思うのですが、現時点での大臣がお考えになっている行政の問題というのは、やはり初動対応のような問題ですか。
(答) これは国だけではなくて、特定行政庁、さらに指定検査機関、この建築確認という事務に携わっている、またその制度を設計している私どもを含めまして、今回のこの事案に対する行政対応上の課題について、御議論いただければというように思っています。今回の一連のことは、今も状況は変化しているという事案です。国民の皆様、住民の皆様の正しく生命、財産にかかわること、そういう安全に係るところが、当初から一番問題になっているわけでして、そういう意味では、正しく危機管理対応そのものだと思っています。そういう意味で、この建築行政に関して、これまでこういう事例というのは無かったわけでして、ただ、これから起こらないようにしないといけないわけですが、今後、万一こういうことが起こったときの対応のあり方ということは、検証されて然るべきだというように思っています。
(問) 最初、1年半くらい前に、ある民間の検査機関に通報があって、それがそのときは大きな問題にならなかったという問題もあると思うのですけれど、そういうところも含まれる話ですか。
(答) もちろん、そうです。だから、この間の参考人質疑を私も聞かせていただきましたが、その当時は偽装だと認識していなかったというお話はされていたのですが、例えば、そういう偽装かどうかという認識は別として、そうした重大な建物の構造に関する欠陥、客観的な欠陥というものがあった場合に、これは特定行政庁なり、また国なりにきちんと通報していただくだとか、建築士という大きな社会的な役割をお持ちの方々ですので、そういうことも大事なことなのかなと私は思います。そういうことも含めて、是非、第3者の方々から御議論いただければと、検証していただければというように思っています。
(問) 先般取りまとめた公的支援策なんですけども、そろそろ退去勧告の12月半ばに迫っていますけど、今現時点では住民とか自治体交えた協議の状況と先のスケジュール観というものを年内に退去できるようなところまで持っていけるのかどうか、そのあたりについては。
(答) 今日も関係特定行政庁の自治体の皆様との協議会が開かれます。何故、あの支援対策を急いだのかというのは、まさしくその一点にあるわけでして、もちろん7棟の居住者の各世帯の方々にとりましては、当然様々な事情がおありだと思います。しかし、一方で非常に危険なマンション、建物があるわけでして、その危険なマンションからできるだけ早く退去していただき、そして、できるだけ早く建物を解体していくということが、緊急性があり、また、近隣住民の方々にとっても非常に安心を回復するという意味で大事なことですので、まさしく急いでいるのはその一点なわけです。ですから、あの緊急支援策を取りまとめさせていただいて、まさしく今、当該の地方公共団体と住民の皆様との間で話し合いが続いておりますが、これは精力的にやっていただかないといけないと思っています。現時点で使用禁止命令が既に出ているのは、川崎と横浜の2物件。残りの5件、5棟については、各特定行政庁から自主退去勧告が今出ている状況です。私といたしましては、国交省の事務方に対しましても、是非一つの目途を示していく必要があると思っておりまして、これは行政側の努力という意味ですが。行政側、特定行政庁、国の努力をしっかりとしないといけないのですが、その住民の方々が様々な事情がおありかと存じますが、やはり年内に退去ができるように、精力的に住民の方々との話し合いを進めさせていただきたいと思っています。年内と申しましたけども、早ければ早いほどいいわけでして、遅くとも年内を目途に退去ができますように行政側もしっかりと努力をさせていただきたい。住民の皆様にも様々ご事情があるかと思いますが、御協力をお願いしたいというように思っています。
(問) 年内という目途は、特定行政庁から既に伝えられたと。
(答) もともと12月中旬というように申し上げているわけですから、そこのところは今日また協議会がございますので、具体的な形で特定行政庁の皆様とそういうことで呼吸を合わせていきたいというように思っています。建替えの問題は、我々様々なスキームを提案させていただいておりますが、個別の棟毎に様々な事情があります。そういう意味で一挙に合意形成を図っていくというのは、容易なことではないと思います。しかしながら、その合意が形成される前に退去ができないというのでは、これは現実の危険な建物というのがあるわけですので、その危険性を早く除去していく必要性がありますので、ここは是非住民の皆様にも御協力を賜りたいと思っているところです。
(問) 今お話になった緊急調査委員会の件なんですけど、昨日、社会資本整備審議会の方で今後の再発防止策、制度設計を見直すということがスタートしましたけど、この緊急調査委員会でまとめられる緊急対応のあり方について審議会の方に諮って、制度責任に生かすとか、そのようなお考えはあるのでしょうか。
(答) 先ほど申し上げましたように、年度末までに集中的に開催していただきまして、取りまとめを行っていただきます。もちろん、第1回は16日から始まりますから、その都度御議論いただいて、例えば、ここは早くこういう制度の見直しにつなげた方がいいねという提案であるならば当然のこととして社会資本整備審議会の方に反映させていくということになるかと思います。
(問) 今回のこの調査委員会では、マニュアル的なものは作られる予定なのですか。もし作られるのであれば、現時点でどういう想定をしているのか。
(答) マニュアルといいますと。
(問) そういう問題に対応するマニュアルみたいなものは作られるのですか。
(答) 私としては、何か規程をするのではなくて、行政対応上の課題ということで少し自由に御議論いただきたいと思っています。
(問) 対応を検証するために、例えば担当部署の聴き取りとか、具体的にどんな作業をして検証されるのでしょうか。
(答) それは当然、国、特定行政庁、指定検査機関の今回の事件に関わる方々からヒアリングをするということは当然あるというように思っています。
(問) 国の責任についてなんですが、今回は国費を公的支援であてました、そのための理由というのが必要だと思うのですが、いろんな理由があると思いますが、一点ですね、国が今回の確認検査事務について、まず一つは制度上の設計について問題があったという点と、もう一つは監督上、きちんとした監督をしていなかったという点で、国の責任があるのではないかと思いますが、これについてしっかりと国は責任があったと明確に反省すべきではないかと思いますが、この点について大臣はどのようにお考えですか。
(答) 前も同じお答えをしましたが、その責任というのはどういう意味の責任をおっしゃっているのですか。
(問) 監督上の責任と。
(答) いや、私が言っているのは、例えば国賠法上の民事上の責任の有無というのをおっしゃっているのですか。
(問) 法的な民事上の責任というよりは、行政のあり方としての責任です。
(答) 行政責任ですね。
(問) 監督上の責任です。もしくは制度設計上の責任です。
(答) ですからそういう意味では、制度というのは、完璧な制度というのはないわけでして、一般論ですよ、一般論として制度を改善をしていくという責任は当然行政にはあると思います。本件についてもさまざま制度上の問題点、課題ということについては、さまざま御指摘を頂戴しているわけです。またこれは建築確認の有りようの問題、それからそもそも建築士制度の有りようの問題等々、さまざまな問題点は私はあると思います。そこをしっかり社会資本整備審議会で御議論いただいて制度の見直しをさせていただきたいと申し上げているわけです。例えば監督責任ということもおしゃっているのですが、現実に建築確認検査の件数というのは、去年の場合ですと年間75万件あります。75万件のうちの半分強が指定検査機関でなされています。これは建築確認、それ以外に中間検査しなくてはいけない場合があります。完了検査もしなければならない。この国の監督といって、個々の建築確認申請の中身まで立ち入って、それを検査していくというのは、事実上これはたぶん不可能だと思います。では不可能であったらどうやって監督をしていくのですかというところです。今まではこの監督については、指定検査機関を指定する際に要件があります。その要件というのは指定検査機関がちゃんと人数留めているかどうか、経営的なちゃんとした基礎をもっているのかどうか等々、当初の指定要件について、きちんと維持がされているかどうかをチェックしています。国が指定する場合も同様ですし、県が確認する場合も同様です。ですから個々の建築確認申請について、国が事後的にチェックしていくのは事実上不可能だと思います。おそらく特定行政庁だとしても、例えば民間の建築確認が建築確認した個別の案件について全て再チェックしていくと、これもまた事実上不可能なことだと思います。問題は今申し上げた指定の際の要件だけチェックしていけばいいのかどうか、もう少し有効な監督のしようがないのかどうか、そこは是非議論をしていく必要があると思っています。指定検査機関を指定したからといって、その指定検査機関が行っている個別の建築確認なり中間検査なり完了検査なりを、逐一、また指定した国なり県なりがチェックをする。更には、特定行政庁が自分の事務だとはいえ、再チェックするということを全て求めていくというのは事実上不可能ですし、それを求めて出来るならば民間にする必要もないわけでして、そういう中で、有効に建築確認検査等についてチェックをしていく、監督をしていくために、どのような手法が考えられるのか、そこは是非議論していく必要があると思います。
(問) ちょっと話は変わるのですが、今回の公的支援についてですけれども、今回の公的支援は必要であるとご認識されていると思うのですが、この公的支援が、例えば大地震の被災者であるとか、台風等の自然災害の被災者との支援よりは手厚いだろうと。今後、そういう自然災害の被災者に対しても、例えば建て替え費用について、ある程度の支援するとか、もう少し災害被災者に対する支援についても、もう少し手厚いものを考えていくというお考えはありませんでしょうか。
(答) 今回の支援スキームというのは、新たな制度を設けたわけではありません。また、超法規的にこういう支援スキームを作ったわけでもないわけです。現行ある制度を活用して、今回の支援制度というものは作らせていただいているということも是非ご理解をお願いしたいと思います。そして、居住者の方々に全くリスクを負わせていないかと言うと、大変申し訳ない話ですが、マンション居住者の方々にもきちんとリスクを負っていただいているわけでして、全く現行制度を超えて何か支援制度を作っているわけではないのだという点については、よくご理解をお願いしたいと思っています。
(問) もちろんそうなんですが、ただ、過去の被災者からすれば、今回の方が建て替え費用を出している点では手厚いだろうと。別にこれを批判しているわけではなくて、更に被災者に対しても同様の支援が出来るか出来ないかを検討する余地がないのかということなのですが。
(答) 今回の問題を通してということではなくて、元々そういう問題があると思うのです。ですから、当初、阪神の震災後に被災者生活再建支援法が出来ました。その後、改正もなされてきて、充実もされてきているわけです。元々そういう災害等の場合の行政、国の支援のあり方というのは、どうあるべきなのかという議論は元々あると思うのです。今回の問題に関連づけて議論する必要は私はないと思っています。今回の制度、支援スキームは、あくまで現行制度を活用してやっているわけです。現行制度ですから、災害の場合でも適用できるわけです。阪神淡路の震災でも、今回の制度を活用して建て替えした事例もあります。ですから、全く災害の際に、今回の制度が使えないのではなくて、現に使っている例もあります。
(問) ということは、同様の支援が受けられる可能性は十分現行制度であるということですか。
(答) 実績もあるということです。ですから、全く超法規的に今回支援制度を作ったわけではないということ。現行ある制度を活用して作っているということについてご理解いただきたいということと、災害時等の対応問題については、これは別個、非常に重大な問題で、阪神大震災以来ずっと国会でも議論を続けてきている問題であると思っています。私は、現行の今のままで十分であるとも思っていません。しっかりと議論をこれからもしていかなければいけないと思っています。また、今回の支援制度、様々な制度を使っています。建て替えの関係では、優良建築物整備事業等。それから、地域住宅交付金は平成17年度予算から創設されたものですが、この地域住宅交付金制度そのものも当然のこととして、今後、災害時等には、地方公共団体との連携の下ですけれども、当然、活用できるということになります。ですから、全く何か違った制度、災害では使えないような制度を使ってやっているわけではないというも是非御理解お願いしたいと思っています。
(問) 緊急調査委員会についてなんですが、行政の対応上の問題を検証する必要はあるとは思うのですけど、それは今の建築行政のあり方とか建築確認制度と表裏一体というか非常にリンクしているところもあるかと思うんですが、それは社会資本整備審議会ではなくてどうしてわざわざ別に委員会をつくる必要があるのかというところを教えていただきたいのですが。
(答) 私は社会資本整備審議会の建築分科会で建築確認制度、また建築士制度等の制度上の問題点についてはしっかりと議論をお願いしたいと思っています。急いで制度改善すべきところと、少し腰を据えて議論をすべきところと両方あると思うのですが、基本はこの審議会の部会でしっかり議論をお願いしたいと思っています。そういう意味で、屋上屋にならないようにしっかり議論してくださいということは、事務方の方にも強く言ってあります。それでこちらの緊急調査委員会の方は、そういう意味では入っているのは専門家の先生方とは限りません。マスコミの皆さんにも代表の方とも入っていただいていますし、消費者の方々にも入っていただいています。そういう意味では全く違った視点で、今回の非常に国民の皆様の御関心も高い、また非常に不安を感じていらっしゃる方がたくさんいらっしゃる。また建築行政そのものに対する信頼が大きく揺らいでいる。そういう中で、違った視点から今回の一連の経緯等を御覧になられて、特に国、特定行政庁、そして指定検査機関、さらには当然建築士等の問題でもあるかもしれません。自由に御議論いただきたいと思っているところです。あくまで制度の改善・見直しについて御議論いただくのは社会資本整備審議会と考えています。
(問) 立て替えは先ほど様々な事情があるということをおっしゃられましたが、例えば川崎のマンションの方で、容積率等の緩和をお願いして建て増しをして、その建て増しで出来た部分を分譲することでできるだけ追加負担を減らそうという動きがありますけども、そういう個別の案件を見ていく場合に、必ずしも国の公的支援のスキームから外れてくるようなケースも出てくるかと思うのですが、その辺はどのように対応されるのでしょうか。
(答) 国の支援スキームで何が何でも立て替えの件について、地方公共団体が買い取って、例えば機構等を通して建て替えていくという手法、一つの例で挙げさせていただいているわけでして、住民の皆様方がそれとは違った考え方にたって建て替え計画というのを検討されるのであれば、それは是非そういう御議論もしていただきたいと思っています。ただ問題は、川崎の物件だけに限った話ではないのですが、容積率を見直していくこの辺の問題が、この7棟の物件、私が聞いているところでは全ていっぱいいっぱいにつくっています。そうすると都市計画そのものを変えていかないといけない問題でして、そうすると地域の住民の方々の御理解も当然いただかないといけないわけです。そういう手法も当然検討されると思いますが、課題も様々あると。また余裕があればいいのですが、残念ながら7棟とも余裕がある物件ではないというように私は聞いています。そうするとそれを見直していくためには、都市計画そのものを様々な制度を使って見直していく必要がある。そうすると地域住民の方々も当然全体の御理解、御協力を得ていかないといけないという別の問題点もある、課題もあるということと思っています。
(問) そうするとその辺は地方自治体と住民との間の話し合いでやっていくということですか。
(答) そうですね。
(問) 既存の枠内でやっていくということでしょうか。
(答) そうだと思います。


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