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 大臣会見要旨(平成17年12月20日)
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平成17年12月20日(火)
9:49〜10:22
国土交通省会見室

 

閣議・閣僚懇

  おはようございます。本日の閣議は、一般案件が5件、政令の決定が5件、人事案件が4件です。17年度の補正予算が決定になりました。また、18年度予算につきまして、財務省原案が提出されました。18年度予算ですが、国債発行額が29兆9千730億円ということで、30兆円を下回る水準を達成しました。30兆を切りましたのは5年ぶりです。公債依存度が37.6パーセント。これも4年ぶりの30パーセント台の復帰です。一般歳出につきましても2年連続で減額、46兆4千億円。約9千億円の対前年度減額になります。基礎的財政収支も3年連続で改善ということでして、財政の健全化、また今、政府が取り組んでいます2010年代初頭のプライマリーバランスを黒字化していくという大きな目標に向けての非常に大きな一歩になったというように思っています。17年度補正につきましては、国交省関係で申し上げますと、構造計算書偽装問題を踏まえました安全上問題のある建築物の緊急除却等としまして、居住者支援に約50億円、それから耐震診断の緊急実施等に30億円、計80億円の措置がなされました。それからアスベスト対策関係としまして186億円、そして災害復旧関係で2千184億円、さらに災害防止関係としまして1千305億円、総額3千935億円の補正予算が計上されています。18年度の予算案は、これから具体的な内示が出てくるわけです。国交省としましては、非常に厳しい財政状況の中、事業の重点化、効率化を図っていかなければならないと、その中でできる限りの最大限の効果を発揮していく必要があるという観点から、防災・減災対策の推進、また公共交通の安全、少子高齢化への対応、地域再生・都市再生の推進、また国際競争力の強化、環境対策の推進等につきまして、重点項目としまして、予算要求をしてきました。これから内示がありますが、こうした考え方が充分反映されているものというように期待しているところです。私から以上です。


質疑応答

 
(問) 2点程お伺いさせていただきます。本年度の予算の方なのですけれども、かなり厳しいというように仰ったのですけれど、全体としてどのようになりそうなのかと言いますか、国交省としては今回の予算をどのように受けておられるかということが1点。それから、道路財源の一般化が恐らく含まれるであろうと思われるのですけれど、それに対して大臣がどのようにお考えになられるか、その2点をお願いします。
(答) 18年度予算の話ですね。
(問) はい。
(答) 今、申し上げたとおりで、一方で財政を健全化していくということは、これは至上命題だと思います。今もこの18年度末で、今回、国債発行額が30兆円以下になったとはいうものの、18年度末の国債残高は542兆円なのですよね。そういう意味で、これは将来の世代にこうしたつけをできるだけ残さないようにしていこうということからも、また我が国経済の今後のことを考えましても、一番心配されることは、この国債残高がどんどん増えて、国際市場で国債価格が暴落するようなことがあって金利が上がってしまう、これが最悪のことですから、そうならないようにするために、財政を健全化していくということは、またそういう努力をしっかりと示していくことは、極めて大事なことだと私は思います。そういう意味で、国土交通省も全く例外ではありません。国土交通省の予算においても、そういう財政健全化、抑制された予算の中で重点的、また効率的に予算を配分していくしかないと思うのですね。そういう意味では、先程申し上げた防災・減災、国際競争力の強化、公共交通の安全等々重点分野をきちんと決めさせていただいて、そうしたものについては、そういう中でしっかりと予算がついたというように考えているところですが、詳細はこれから内示がありますので、それを見てみたいというように思います。それと道路特定財源の件ですが、道路特定財源の見直しに関しては、先般、政府与党で合意をみたところでして、一般財源化を前提として納税者である自動車利用者の理解をしっかりと得るように今後、具体的な論議は始まってくるわけですが、18年度予算につきましては、従来使途拡大をやってまいりました。更に、景観だとか、都市の再生だとか、環境だとか等々更なる使途の拡大を18年度予算でもお願いをしているところです。そのうえで、これから挙がってくる内示で明らかになってきますが、その内の472億円につきましては、これは考え方としましては、現行の道路整備というのは5カ年計画でやっております。そして、その5カ年計画の中で必要な道路整備の量、それに必要な税収、そして税収について不足だから暫定税率を設定するというようなことで、5ヵ年計画でやっているわけです。平成15年度からこの5カ年計画が、16、17、18、19とあるわけですが、この15年度から17年度までに補正予算における災害復旧費など今回の補正でもありますが、一般財源で行った道路整備があります。その分を特定財源により返済する、清算するといった方がいいかもしれません。そして、その一部を実質的に一般財源として活用すると、こういう考え方にいたって予算編成がなされているものというように考えています。ちなみに、平成15年度から17年度、今回の補正予算、今日決定をみましたので、それを含めて申し上げますと、一般財源からこの15年度以降で道路整備に充てられているものが、2,500億円近くの一般財源から道路整備に充てられているものがあります。そういうことで、この18年度予算の予算編成におきましては、私どもは自動車利用者の御理解を得られる範囲内で、受益者負担の関係の中での予算編成であるというように考えているところです。
(問) 今日、構造計算書の偽装問題で、関係各所に合同捜査本部の捜索が入っていますけれども、これに対する大臣のコメントをいただきたいのですが。
(答) 告発をしましたのが今月の5日です。以来約2週間経ったわけですが、本日捜査当局におきまして強制捜査、捜索に一斉に今朝から入っておられます。私どもといたしては、もちろん国土交通省といたしても今後ともしっかり事実関係の調査をしなければならないというように思っておりますが、そこはやはり限界というのがあります。現に建築基準法違反であることは、明らかですし、また、一般刑法の犯罪に該当する疑いも十分あるわけでして、是非事実関係を捜査当局の手で明らかにしていただきたいというように思っているところです。私どもも事実関係の解明にこれからも努めてまいりますが、また捜査機関にもできる限りの協力をしてまいりたいというように思っております。こうした事件を二度と起こさないようにするためにも、やはり事実関係をできるだけ解明していくということが、再発防止に向けての大事な点だというように認識をしております。捜査機関によってその事実関係について更に解明されることを期待しているところです。
(問) 80億円の補正予算ですが、先日、大分の方でも御発言がありましたけれども、地方との責任論は後回しにして住民救済へというお話だったと思いますが、あらためてこの80億円について御所見をお聞かせいただければと思います。
(答) 80億円のうち、50億円が分譲マンションの居住者支援等に係る補正予算です。30億の方は、何度も申し上げていますとおり、むしろ一般の皆様、国民の皆様にも大変不安が広がっている中で、耐震診断の緊急実施をしっかりやっていこうということで、この30億円が計上されています。ここでも何度も申し上げていますが、今回のこの耐震強度偽装問題というのは様々な課題が投げかけられていると思います。建築行政、また建築確認、また、そもそも建物の安全性に対する信頼が大きく揺らいでいるわけでして、その信頼の回復に向けてしっかり取組をしなければならないと考えています。そうした様々な課題の中でも、やはり優先順位、急いでいることがあります。それは、特に分譲マンションにおいて、震度5強で倒壊するおそれがあると言われるような危険な分譲マンションが現時点で10棟あるわけです。この10棟にお住まいの方々の居住の安全を速やかに図っていくこと。そして危険な建物があるわけですから、近隣住民の方々の安心、安全を確保していくためにも、早くこの建物を解体しなければならない。ここが、一番急がれることだと思います。本来、売り主である建築主が瑕疵担保責任、契約責任として、しっかり責任を果たしてもらわないといけないわけですけれども、御承知のような経過の中で、そうした責務が果たされるような状況になっていない。それを放置しておきますと、どんどん時間だけが経ってしまって、冒頭申し上げた居住者の安全確保等が図れない。そういう緊急性、また公益性等があるというように私どもは判断していますし、また、そもそも今回の事件というのは、建築確認という公の事務において、重大な欠陥があることを見抜けなかったということもあるわけでして、行政の関与もそこではあるわけですから、行政の責任としてしっかりとこの分譲マンションの居住者の方々の安全確保等を図るために、総合的な支援対策、支援スキームを提示させていただいたところです。それについて、補正予算として50億を計上させていただいたということです。これに基づいて、しっかりと居住者の安全等を図るために、特定行政庁の皆さんと更に連携を密にして、取り組んでいきたいと思っています。
(問) 道路特定財源の一部を一般財源として活用すると、その考え方として、5箇年で見た中で、これまで一般財源から道路整備に充てていた分の帳尻を合わせるということなのですけれど、来年以降の基本方針に基づいた一般財源化の議論というものにも関わってくる話なのでしょうか。
(答) 先程申し上げたことは、暫定税率を決めた時点で、この5年間でこれだけの道路整備をしなければならない。ついては、税収が不足をする。そして暫定税率をお願いをするということで5年計画が決まっているわけです。あくまで、その範囲の中で、今回の18年度の予算編成においても、そういう納税者のご理解を得られる範囲ということを大前提として、今回のような考え方に立って、予算措置をさせていただいたということです。19年度予算以降の話については、これは、まさしく、これから本格的な論議が始まってくるわけです。そこでは、先般の基本方針にある通り、一般財源化というものを前提としながらも、やはり、納税者である自動車利用者の方々の理解を得られないといけないわけです。また、その納税者たる自動車利用者、ユーザーの理解を得るためには、その前提のもとで、どういう見直しをしていけばいいのか。更には、消費税との関係をどう考えていくのか等の様々課題があるわけでして、これから詰めた論議をさせていただきたいと思っています。ただ、申し上げておきたいことは、道路特定財源の一般財源化への見直しの問題がどう展開してこようと、必要な道路はしっかりと整備をしていかねばならないわけです。それは、歳入の方で一般財源であろうと道路財源であろうと、歳出の方では、必要な道路整備は、これからも優先順位を明らかにしながら、しっかりと整備していくということは何ら変わりはないと私は思っています。道路整備に対するニーズというのは、本当に、どこに行っても強いということは痛感をしているところでして、そこは、優先順位を明確にしながら、しっかり整備をさせていただきたい。また、今回の議論の是非参考にしていただくためにも、各整備局管内ごと位に今後10年間位で、これまでの予算の流れの中で、どの程度の道路整備ができるのかということも提示をさせていただきたいと思っています。
(問) そうすると、計算上、先程、2500億円位一般財源から入れた部分があると。来年度その470やろうとすると、計算上2000億円分位調整しなければならない部分が残ると思うのですけれども、必ずしもそれは19年度予算では金額には拘らずに議論するということですか。
(答) しかし、いわゆる道路特定財源はもっとでかい話ですから、これから先の一般財源化を前提とした見直しをやっていこうという議論でありまして、もっと高貴な議論になってくると思っています。
(問) 耐震偽装の関係でお尋ねしますが、国の支援策に対して、一部負担を強いられる地方の方が、主に東京都知事ですけれども、全て国の方がやるべきではないかというご発言もあるみたいですけれども、大分、国と地方の溝のようなものが一部露呈しているような感じですが、ここをどのように埋めていくというお考えはお持ちでしょうか。
(答) これも何度も申し上げていますが、居住者の方々から見れば、国も地方も行政に変わりないわけです。今、急ぐことは、先程来、優先順位をしっかりと付けないといけないと私が申し上げましたのは、まずは、急ぐべきことは居住者の安全を確保すること。これは石原都知事もそう仰ってられます。近隣住民の安全、安心を確保すること。そこを最優先に、そこは時間との競争ですので、今、特定行政庁である地方公共団体の皆様と精力的に協議をし、住民の方々と協議をさせていただいている真っ最中ですので、その点においては、国も地方も大きな齟齬があるとは思っていません。そのうえで、特定行政庁である地方公共団体の皆様の例えば言い分というのは、恐らく、こういうことなのでしょう。確かに、建築確認という事務が、指定確認検査機関であろうと特定行政庁であるにせよ、これは特定行政庁の事務であるということに制度上なっているわけです。指定確認検査機関が行った確認であろうとも特定行政庁の事務という取扱に制度上なっている。ところが、指定確認検査機関を指定しているのは、国であったり、整備局であったり、また県であったりと。特定行政庁である市町村そのものは、その指定には全く関与できないわけです。制度的には、建築確認が指定確認検査機関でなされた後に、その報告書類が上がってくるわけですが、そんな詳細な報告が上がってくるわけではない。概略的なものが書類として提出されるに過ぎない。制度的には、その後、問題があるならば、指定確認検査機関がやった建築確認を無効にするような手続きも建築基準法上は入っているわけですけれども、実際上、特定行政庁から見た場合に実際そういう権限行使をするための、その前提となるような権限が自分たちにはないではないかという議論があるわけです。そこのところはまさしく国の方も大きな課題であるというように考えていまして、今後の建築基準法の見直しの中で、大きなテーマとして是非議論をさせていただきたいというように思っています。制度の改善はしていかねばならないというように思っています。ただ、御承知のとおり去年ですと75万件の建築確認件数があります。その内の半分強が指定検査機関の建築確認。半分弱が特定行政庁において自ら建築確認をしている。その75万件の半分以上の指定検査機関でやっているものを、例えば特定行政庁であれ、ましてや国であれ、そういうところを全く同じように全ての審査についてやるとなったら、何のために指定検査機関がやっているのかわからなくなるわけでして、よくこれは本当に議論していかなくてはと思っているのですが、指定検査機関が行う建築確認のチェックをいかに効率的に有効にやっていけばいいのか。例えば特定行政庁さんに権限を渡しますから全部チェックしてくださいと言われても、特定行政庁の方も大変な事務になってしまうわけです。そこをいかに民間というのを使いながら、場合によっては民間というのを活用しながら、また抜き取りみたいなこともあるかもしれません。いかに有効に効率的に、この建築確認という事務のチェックをしていけばいいのか、そこは是非社会資本整備審議会、今もう議論が始まっていますが、そこで御議論を御願いしたいと思っています。全く同じことを繰り返すというのでは、指定検査機関を作った意味がないわけですので、またそういう事務ができるような現実的な人員というのは無いわけです。また、国がやっている指定検査機関に対する監督と言っても、これまではその指定検査機関の要件、人員がちゃんと確保されているかどうか、能力があるのかどうか、財務的な基礎があるのかどうか、こうした指定要件について、きちんと持続されているかどうかということをチェックしてきて、個別の建築確認そのものについて、チェックしてきたわけではないのです。それを国が全部やれというのも、これまた現実には無理な話です。そこをまた如何に有効にその指定確認検査機関に対する監督ができるのか、ここも是非、御議論をお願いしたいと思っています。改善しなければならないところは、もちろんあると思っています。しっかり実効性ということも踏まえた上で、見直しを図っていきたいと思っています。
(問) 木村建設が提出した31件のホテルなのですけれども、その後、姉歯以外の各構造設計会社が鉄筋が少なくても安全なんだということを言っているようなのですけれど、その調査については優先的に重点的にやるというように聞いていますけれど、その進捗状況とその各構造設計会社の主張について、大臣の感じるところがあればお聞かせください。
(答) 今、正しくそのことは調査している真っ最中です。その設計事務所の方で何と仰っているかということもさることながら、現実にそのホテルが耐震性についてどの程度あるのかということを、しっかりと調べる必要がある。今、特定行政庁の方と連携を取りながら、その辺の調査を進めさせていただいているところです。報告できる時期になりましたら、きちんと皆様に御報告をさせていただきたいと思っています。
(問) 一部報道で、三菱ふそうの子会社について、不正車検の問題が報じられましたけれども、それについての御所見というか、省の方針、今後の対応がありましたら。
(答) この件につきましては、これは株式会社パブコという三菱ふそうの100パーセント子会社ですが、昭和40年代から平成16年の5月までの間、貨物自動車の新規検査の受検の際に、車両重量を実際の状態よりも軽くして自動車検査証の交付を受けていたという事案です。私も担当部局から報告を受けています。これについては、昭和40年代から平成16年まで、極めて長期に亘り、また会社ぐるみで道路運送車両法違反を行っていたということでして、極めて悪質な案件であり、遺憾であると言わざるを得ません。本日中にもこの株式会社パブコに対しまして、警告書を発し改善措置を求めていきたいと思っていますし、また近日中にも道路運送車両法違反ということで、告発をすべく当局の方と今、調整をしているところです。


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