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 臨時大臣会見要旨(平成17年12月22日)
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平成17年12月22日(木)
16:47〜17:14
国土交通省会見室

 

閣議・閣僚懇

  復活要求折衝の内容について、御報告を申し上げます。財務大臣との間で次の2点について復活折衝を行いました。一つは、海上の安全・安心を確保するために不可欠な海上保安庁の1千トン級巡視船4隻、それからヘリコプター3機の緊急整備です。もう一つは、新たな中心市街地再生策である暮らし賑わい再生事業の内、病院や文化施設等の立地を支援する、都市機能まちなか立地支援事業の創設です。折衝の結果、いずれも要求が認められました。ちなみに海上保安庁関係の巡視船等の緊急整備の予算額ですが、内示額から51億円の増額となります。海上保安庁の関係については17年度の先般決定されました補正、そして内示分、今回の復活分ということで、巡視船については計21隻、航空機については7機の代替整備に要する経費を確保することができました。巡視船艇、航空機の老朽化・旧式化に伴う捜査、また救助活動の支障を解消するという課題に向けまして、大きな一歩を踏み出すことができたと考えています。これは海上保安庁の業務・役割が近年非常に大きく注目をされている中で、その重要性というものが認められたものと考えています。現場の海上保安官の方々の士気も大きく上がるものと考えています。今後ともこれを契機に海上の安全・安心の確保のため、一層努力をしていただきたいと考えています。また、都市機能まちなか立地支援事業の創設に関しましては、まちづくり三法の見直しの論議を今させていただいているところですが、来年の通常国会にその法案を提出したいと考えていますが、その中で中心市街地に不足しています都市機能を導入する手法として、この支援事業の創設が一つの手法として認められたわけでして、中心市街地の再生に向けた課題に対処できるように努めてまいりたいと考えています。


質疑応答

 
(問) 今年は例年になく厳しい状況の中で復活が認められたわけですが、どういうところが一番苦労されましたか。何かそれにまつわるエピソードがあったら披露していただきたいのですが。
(答) やはり一方で財政を健全化しなければならないという至上命題があります。これは国土交通省の予算も例外では当然ないわけでして、限られた予算の中でいかに重点化していくか、優先順位を明確化していくか、いかにコスト削減して効率化していくか、こうしたことに今年もしっかり取組みをさせていただいたと思っています。防災・減災対策。これについては一貫して最重要事項であるということは言ってまいりました。また、公共交通の安全確保、さらには国際競争力の維持・向上等々、そうした重点分野については然るべき予算がとれたのかなと思っているところです。税の問題も含めて申し上げますと、冒頭の防災・減災に関連しますけども耐震改修ですね。地震対策としての耐震改修についての補助事業の充実。さらには支援税制等、大きく拡大をすることができたと思います。昨年の税制改正では、私は実を言うと自民党税調会長のところまで乗り込みまして、なんとかつけてくれよということをお願いしたのですが残念ながら去年の年末は、機熟さず検討事項になったんです。それが今年の税制改正、また予算編成においては耐震診断・耐震改修については非常に大きな予算また税制改正ができたと思っていまして、耐震改修促進法も改正させていただきましたが今、耐震化の基本方針について、年明け早々にはとりまとめをさせていただいて発表させていただきたいと思っています。また各都道府県においては、来年の夏過ぎを目途に基本計画をつくっていただきたいなと思っているところでして、私は今回耐震偽装という大きな事件もあったわけですが、それも踏まえて是非来年を耐震元年とでも位置づけるようなそういう年に是非させていただきたいと思っています。予算もかなり充実してきました。税制改正も私どもが想像した以上に実現ができたと思っています。制度もあります。さらには建築基準法、建築士法等の見直し作業も、一方で平行して進むわけですけども、制度、そして今回の耐震偽装を受けて、改善すべきところ、見直すべきところはしっかり見直しをして、明年は我が国において住宅や建築物の耐震化に向けて大きく前進をした一年に是非させていただきたいというように思っています。
(問) 耐震元年ですか、いいネーミングだと思うのですが、それについて何か政策面で具体的なアイディアをお持ちでしたら披露していただきたいと思うのですが。
(答) 政策面というもののメニューが、一応出揃ったと思っているのですね。耐震改修促進法の改正を特別国会で成立させていただきました。そして、予算についても、大幅に他の予算が非常に厳しく抑制される中で、予算も充実してきました。税制改正についても実現できました。そういう意味では、メニューは揃ってきた。尚かつ、今回の事件を受けて、建築基準法、建築士法もしっかりと見直しをさせていただきたいと思っています。そういう中で、後はしっかりと国としての基本方針を定めて、国としての基本方針には、かなり具体的に書き込みたいというように思っているのです。国の基本方針もしっかり定めさせていただいて、地方公共団体の皆さんと一緒になって、是非、この住宅建築物の耐震化促進に向けて、具体的な行動をしっかりと起こしていくときだというように思っています。今回のこの事件を受けて、国民の皆様も御自身のマンションや住宅が本当に耐震性大丈夫なのという不安、また関心を持っていただいているわけです。私は、その不安を信頼に変えていかなくてはいけないのはもちろんですけども、これをきっかけにして、これ程、国民の皆様から住宅建築物の耐震化の問題について関心を持たれたことというのは無いと思うのですよ。私は、このことをバネにして、是非、耐震化促進に大きく前進できる明年、1年にさせていただきたい。そのための具体的な対策をしっかり執らせていただきたい。きめ細やかな対策も執らせていただきたいと思っているところです。
(問) もう一つのまちづくりの方なのですけれど、特に地方の方では中心市街地がかなり衰退しているような状況で、それをテコ入れするための予算であり、そして、まちづくり3法であると思うのですけれど、午前中にも出た人口減少も絡んでくると思うのですが、今後、国土づくりのあり方として、大きく変わってくると思うのですけれども、どのように今後、国土づくりがあるべきか。改めて地方の中心市街地を中心にお話し願えればと思うのですけれど。
(答) 正しく国土形成計画を今これから立案をしていこうという中にあります。そういう中にあって、人口減少社会、そして世界に類例を見ない超高齢社会、また一方で財政面での制約等々という様々なファクターがあるわけです。そういうものを前提に今後の国土形成計画、国土計画はどうあるべきなのかをしっかりと議論させていただきたい。また、広域計画も今後作られてくるわけでして、各方面ごとにこうした国土計画の御議論をお願いしたいと思っています。いずれにしましても、戦後、昭和30年代から高度経済成長がなされ、都市に人口が集中していく中で、ある意味では急いで、その地域のそれまでの文化とか、歴史とかそういうものも後に回して、一気にインフラ整備をしてきたと思うのですね。昭和30年代、40年代。だから、例えば日本橋の上に高速道路が走ったり、北の丸公園と皇居の間に高速道路が走ったりとか、景観としてはどうなのでしょうね。これからは、やはりそういう景観とか環境とかその地域の文化とか、そういうことがものすごく重視される時代だと思いますね。まちづくりも当然、同様だと思うのです。これからは、そういう郊外にどんどん街ができていくという時代では、もう間違いなくありません。従来、作られた既存ストックを如何に有効に活用し、今の時代に相応しいリニューアル、再生をしていくかと、そういう時代だと思うのですね。世代も昔は若い人達がいっぱいいたわけですけど、これからは熟年世代がいっぱいいる時代ですから、当然、その見方も価値観も全然違ってくるわけです。そういう意味で、来年のこの都市計画法の見直し、また国土形成計画の策定、さらには住宅基本法の制定等々、非常にこれも大きな今後の社会資本整備のあり方の転換点である年に明年はなるのかなと思っているところです。
(問) 海上保安庁の定員上は増員するということですけれど、今中国と韓国の間でガス田の問題を始め、いろいろ微妙な問題を抱えていると思いますが、そういった問題への影響というのはどのように考えていますか。
(答) 影響?
(問) はい。
(答) 今回の予算と?どうなんですかね、そうした影響があるとは私は思っていません。むしろこれまで海上保安庁の役割というかそれに対して国としての問題意識が十分ではなかったのではないかと思います。日常に海上交通の安全を確保し、海上警備を行い、また海上権益の確保をしていく。また災害時においても海から防災活動に取り組む、非常に大きな役割を果たしています。日常は海上保安庁が海の安全を確保しています。決して海上自衛隊じゃないというとまずいのかな。海上保安庁が本当に大きな役割を果たしているわけですし、その割には、海上自衛隊に対する評価ほど、海上保安庁に対する評価というのは十分ではなかったのではないかと、これは反省です。我々議会にいる人間としてももっと海上保安庁の役割というものを正確に認識し、本当に少数の、海上自衛隊から見たら本当に少数ですよ、人数も装備も。そういう中で日常は彼らが我が国の海上の安全の確保をしてくれているわけでして、その辺の認識が「海猿」という映画が上映されるような時代になってきたことも本当にそのシンボルだと思います。非常に海上保安庁に対する認識が変わってきたのではないかと思います。決して、対中国に対してどうこうということは全くないと私は思っています。むしろ日中関係、日韓関係、それから東南アジアの各国とは、海上保安の関係では連携をしっかりとらなくてはいけないですね。これは平時の安全確保は相互に連携とってやらなくてはいけません。そういう意味でもまさしく、その辺は自衛隊とは全く違うわけです。現に日中間、日韓間でも非常に海上保安関係では、しっかり連携をとらせていただいているのではないかというように思っています。
(問) 小池環境大臣が今朝の閣議後の会見で復活折衝について、「こういう形のものはやめた方がよいのではないか、だんだんセレモニー化している」というふうに述べたということなんですけれど、この見解についてのお考えとあるいは復活折衝についての御所見を伺いたいのですが。
(答) 私も大臣になる前に4年半、党の政調会長をしていましたので、ずうっと関わっているんですよ。ですからこの6,7回ずっと予算編成、復活折衝に関わっています。そういう中で確かにこの復活折衝のありようについて、そろそろ検討してもいいのかなと議論してもいいのかなというような気持ちは以前から持っていました。だから小池さんはそういう意味で一石を投じたのではないでしょうか。
(問) 大臣はその議論にお乗りになるお考えはありますか。
(答) 小池さんの発言は十分理解できます。年末の忙しい時ですからお互いに、皆さんも忙しいし、我々も忙しいし、もう少し合理的にできるものは合理的にした方がいいのかなと思います。ただそういう意味では内示の以前に、今は政治的な折衝の大事なところというのはやってしまっています。今回で言えば道路特定財源の問題や去年であれば整備新幹線の問題だとか関西空港の問題だとか、非常に政治課題になりそうな予算項目については、内示前にむしろ大臣間でやったりしてきているわけでして、そういう意味では今の流れは内示前にそういう大事な問題をしっかりオープンにしながらやっていこうということでして、確かに昔に比べるとそういう政治課題について、何か復活で残っているということがあまりないですから、その辺の見直しというのは今後議論していって良いのではないかと思います。
(問) 先ほどの地震、耐震元年ということですが、来年からいろんなことが今までの長年の懸案が動き出すというような期待も高まるんですけど、一方でこれまではどうだったかということで、先日の16日の大臣の私的諮問機関の緊急委員会でいろんな建築確認の制度等が仕組みは例えば何十年も前のままで、それがいろいろ技術の高度化によって時代に合わなくなったんではないかというような指摘もあったりして、非常に根源的な議論があったと思いますが、それまでの制度とかそういう耐震改修の取組みというものの現状認識というか反省みたいものがもしあるんであればお話お伺いしたいのですが。
(答) これまで今回の耐震偽装のような悪意に満ちたこのような犯罪はありませんでした。私は、だから今回の今国民の皆様に広がっている不安というものをしっかり信頼を回復していくことが、大切だというように思っていまして、そのために今までおっしゃったようにもっと早く改善すべきであったことについて、一気に論議をさせていただいて制度の見直しというものをさせていただきたいというように思っています。こういう大きな見直しというのは、こうした事件が起こらないとできないというのは、本当に反省しなければならないと思いますが、ただ、これを契機に国民の皆様も住宅建築物の安全というものに対する意識も非常に強くなっていらっしゃると思います。私は、そういう意味では、こういう大きな制度改正というのは、そういう意味では国民世論の皆様がやはりそういう意識を持っていただかないとなかなか実現できないというのも現実だと思います。そういう意味では、まだまだこの事件そのものは、現在進行形でございますけれども、これからしっかり対応をしていかないといけないのはもちろんですけれども、これを大きなきっかけに是非日本の建築、建設行政の大きな転換点になったというようにすることが私の責任かなというように思っています。
(問) 巡視船1千トン級4隻認められて、これから配置されるということなんですが、これによって海上警備の基本的なことなんですが、どういう面でどう有効に働いてくるというのか、具体的なこれの4隻の意味合いというのはどのように。
(答) 具体的な装備の機能については、また海上保安庁の方からお聞きになっていただければと思いますが、速度とか、船そのものの持っている巡視船艇の能力、操作をやり、海上交通の安全を図り監視をしていくという意味で、今まで逃げていく船の方が早いだとかかつてあったわけです。それでは本来の海上保安庁の役割が果たせないわけでして、そういう機能面について十分そうした目的を達せられるような機能を持った船に代替することができるということだと思います。詳細は海上保安庁の方から聞いていただきたいと思います。
(問) その意味というのは、例えば北朝鮮の不審船対策の意味もあれば、例えばさっきも質問が出ましたけれども、東シナ海の油田をめぐっていろんな日中間の問題があったり、尖閣をめぐる日韓の問題があったり、そこは漁業の問題もありますが、そういったものに対して日本としてもう少し今までよりもきちっとした対応を執っていくと、そのインフラであるというような御認識なんでしょうか。
(答) 具体的なことは想定していません。しかし、海上での安全確保、セキュリティの確保、またテロ対策等もあるかもしれません。そうした海上における安全、また安心の確保のために、今の装備では機能が不十分であると。そういう認識をしっかり持っていまして、これも来年のこの予算案で十分だと、我々考えているわけではありません。装備の4割が古くなっているということでして、これから例えば19年度以降の予算要求においても計画的にこうした要求をし、(老朽化した)巡視船艇、航空機の解消というものをできるだけ早く図っていかないといけないというように思っています。


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