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  大臣会見要旨(平成18年1月6日)
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平成18年1月6日(金)
10:56〜11:25
国土交通省会見室

 

閣議・閣僚懇

  新年明けましておめでとうございます。また本年もよろしく御願いいたします。本日の閣議ですが人事案件が4件です。特に国交省に関わることはありません。私から何点か御報告をさせていただきます。まず1点目は、羽越線の事故の対応についてです。事故原因につきましては、現在、航空・鉄道事故鉄道事故調査委員会におきまして調査を進めているところですが、12月31日を以ちまして、事故現場における現地調査を終了いたしました。現在車両につきましては、秋田総合車両センターに搬送し、調査等を行っているところです。国交省といたしましても12月30日に開催いたしました事故対策本部におきまして、鉄道の強風対策について、検討するための協議会の設置を決定したところですが、1月13日に第1回の鉄道強風対策協議会を開催することといたします。詳細は事務方の方から御報告をさせていただきます。今回の脱線事故を受けまして、既に12月26日に鉄道局から全国の鉄道事業者に対しまして、鉄道輸送の安全対策の徹底を図るよう通達を出しているところですが、更に今回の大雪等を踏まえまして、1月の12日、来週の12日に主な鉄道事業者の安全担当の役員に来ていただきまして、国交省の方に招集をさせていただきまして、鉄道局から厳冬期における強風や大雪、雪崩等に対する鉄道の安全運航の再徹底について、改めて指示をさせていただきたいと考えています。
 次に現在の大雪の状況につきまして御報告をさせていただきたいと思います。昨日の午前9時現在ですが、この冬の降雪量、全国平均ですが、245pとなっています。例えば、平成16年度、昨年は現時点で69p、過去10年平均でも83p。また、これまで戦後豪雪でありました昭和58年度の現時点では130pでして、かつて無い大変な降雪の状況となっています。ちょっといくつかの県で申しあげますと、例えば福島県は過去平均が158.9pですが、既に今年度は475pということで、大変な量が降っています。その他、広島県、群馬県、山形県、岐阜県、長野県、秋田県、青森県等で日本海側を中心に大変な雪が降っている状況です。この大雪の人的な被害ですが、死者が既に53名出ています。現在、鉄道につきましても秋田を中心にいたしまして、東北地方の日本海側を中心に不通となる路線が相次いでいまして、道路につきましても断続的に全国各地で通行止めとなっている状況です。雪崩が全国で多数発生もしているところでして、国交省では昨年末より本省に豪雪情報連絡室を設置しまして、関係地方整備局に豪雪情報連絡本部を設置し、大雪による被害情報の収集、把握に努めているところです。道路や空港の除雪体制について徹底するとともに、雪崩等の危険箇所に対しても点検を実施するなど各施設管理者に指導しているところです。また鉄道事業者に対しましても、先ほども言いましたが、降雪地の安全運航の確保について指導しているところです。今後とも大雪に関する防災気象情報の提供、被害の防止、交通の確保のため国土交通省として全力で取組をさせていただきたいと思っています。今日もこの大雪対策につきましては、官邸で関係の省庁の幹部が集まりまして協議をすることとなっています。
 次に構造計算書の偽装問題について御報告をさせていただきます。現在の分譲マンションにお住みの方々の退去状況ですが、数字を言いますと、最初の7棟の退去状況ですが、全体個数が235戸あります。そのうち20戸が未入居ですので、残り215戸、そのうち退去済みのところが113戸です。退去予定がはっきりしているというのが、それ以外に94戸ありまして、まだ未定の個数が8戸というところまできました。それから後発の分譲3棟ですが、これは全体戸数が73戸あります。こちらの方は退去者がまだ1戸ですが、既に退去予定が明らかになっているのが49戸ありまして、残り23戸がまだ未定という状況でして、できるだけ早く居住者の方々に退去していただけるよう、国、地方しっかりと連携をとりまして居住者の皆さんと協議をさせていただきたいと思っております。最後にもう1点、来週11日から13日まで「国際交通セキュリティ大臣会合」を東京都内で開催をさせていただきます。この会合につきましては、交通セキュリティについて先導的な役割を果たします主要国の担当大臣が一同に会しまして、今後の国際的な取組をリードしていきます、世界発の大臣会合となります。交通セキュリティの強化、そして一方で、円滑かつ効率的な交通との調和に向けまして意見交換、協議を行わせていただきまして、今後の国際的な強調、連携の推進をして参りたいと思っています。大臣宣言も採択をしたいというように考えているところです。お忙しい中14カ国、それから欧州委員会、さらには3つの国際機関からハイレベルの方々が参加されます。閣僚級では、アメリカのミネタ運輸長官を始め10名の閣僚級が参加される予定です。全体の会合とともにバイの会合も私との間でさせていただきたいと思っていまして、各国代表の方々と率直に意見交換をして、この交通のセキュリティ確保のために国際的な連携がしっかりとれる実り多い会合に是非させていただきたいと考えているところです。私から以上です。


質疑応答

 
(問) 今年初めての会見なので、いろいろ課題も多いと思いますけれども、改めて大臣の2006年の抱負をお願いします。
(答) まず第1点目は何と言っても、今年この2006年は、安全に対する信頼を取り戻す1年に是非させていただきたいと思っています。全力で取組をさせていただく決意です。昨年は様々、安全に対する信頼が大きく揺らいだ1年でした。公共交通につきましては、事業者の皆さんが経営トップから現場の皆さんまで一体となって、是非、安全管理体制を強力に構築していただきたいというように思っています。国土交通省としましても、大臣官房に運輸安全政策審議官を設け、また安全マネジメント評価の仕組を導入するなど、安全に対する監視体制というものの強化をしていきたいと思っているところです。また、この耐震偽装事件につきましても、徹底してこの事実関係、実態というものを点検、解明し、検証をしていきたいと思っています。再発防止に全力を挙げていきます。そのためにも建築基準法、また建築士法などの見直しをしっかりと進めていきたいと思っていますし、以前に申し上げましたが、そもそも耐震改修促進法を見直し強化し、そして耐震診断、耐震改修についての、助成制度、補助制度も大幅に充実させていただきました。取得税、また固定資産税について、税制上の措置も執らせていただくということでして、前も申し上げましたが、今年1年は耐震元年と本当に言える、そういう年に是非させていただきたいと思っているところです。昨年1年間の様々な事件を通じて感じていますことは、民間でできることは民間に、官から民への流れ、また市場を重視していくと、こういう流れ自体は、私は非常に大事なことであると、これからも、それをしっかりと進めていく必要があると思うわけです。そういう官から民への流れ、効率性を重視していくという流れでの中で、一方で安全性の確保だとか、また消費者とか、利用者だとか国民の皆さんをどう保護していくのかという仕組み、セーフティネットをしっかり盛り込んでいくということが、非常にやはり重要であるということを痛感した1年でした。しっかりそういう視点に立って、安全に対する信頼を取り戻す1年に是非させていただきたいと考えているところです。これが一番大きいところですが、もう1つは今、日本の国自体が本当に大きな転換点に立っています。人口減少時代の到来、そして本格的な高齢社会の到来。そういう中で様々、国土交通省としましても、今後の社会資本整備のあり方について、やはり見直しをしていかないといけないというように考えています。もちろん、もっと安心してお子さんを産み、育てられる日本の社会にしていくことが最も大事なことでして、国交省で言いますとまちづくりだとか住宅政策等でそうした子育て支援という観点から、どういうことができるのか、しっかり施策を推進していく必要があるわけですが、一方でこの人口減少の流れ自体は、これはもう持続的に継続的に続いていくものです。また、ある程度の人口減少というのは、私はそんなに否定的に見る必要なないと思います。むしろ、これからの日本の安定した国づくりということを考えると、ある程度の人口減少は私は、決してそんなに否定的に見る必要はないと思うのですが、ただこれまでのような社会資本整備のあり方は転換をしなければならないと思っています。開発を基調とするところから、やはりこれからは既存ストックを如何に有効に活用して、リニューアル、再生していくのかというところにシフトしていかないといけないと思っていまして、そういう観点から次の通常国会では、まちづくり3法の見直しだとか、仮称ですが住宅基本法の制定だとか、そうした見直しもさせていただきたいと思います。また本格的な高齢社会が正しくこれから到来するわけでして、従来、交通バリアフリー法とかハートビル法という法律があったわけですが、これを一体化しまして、また充実しまして、ユニバーサルデザインに基づいたまちづくりを強力に面的に進められるような法律についても、是非この国会で成立させていただきたいというように考えているところです。そうした社会資本整備の今後のあり方の大きな転換点になる1年に是非させていただきたいと考えているところです。以上です。
(問) 羽越線の脱線事故なのですけれども、まだ原因調査の途中段階なのですけれど、その一方で地元の利用者の方々のいち早い再開を望む声もあるのですけれど、会社の方では再開に当たってどういう条件整備をすればいいかということを検討中だとは思うのですけれど、国交省、大臣としては、どのような条件が必要だという認識を持っておられますでしょうか。
(答) 今、仰りましたようにこの運転再開につきましては、現在JR東日本の方でどういう条件の元で運転を再開していくのか、正しく検討されているというように聞いています。まだ具体的には私のところには何も聞いていませんけれども、いずれにしましても、JR東日本において運転再開にかかる安全面の対策も含めた検討を今行っていらっしゃるところでして、所要の安全対策が講じられるということがやはり運転再開の条件になってくるというように私は思っています。まだ具体的には承知をしていません。
 
(問) 構造計算書偽装の関係で、住民退去の今の状況を教えていただきましたが、退去完了の努力目標というようなものは、大臣の中ではどのようにお考えになっているのでしょうか。
(答) これは本当にできるだけ早くしなければならないと思っています。住民の皆様にとりましても様々事情があるわけですね。また建物・棟によっても状況が違っています。そういう中で、なかなかすぐに退去できないという理由がそれぞれあると思いますが、そうした障害になっているところを国と地方公共団体がしっかり連携をとって、できるだけ早く退去ができるように、我々行政の側がしっかり努力をしなければならないと思っています。具体的なメドというよりも、これはできるだけ早くということで是非お願いをしたいと思っています。
 
(問) 羽越線の方なんですが、先ほど運転再開についてJR東日本に然るべき安全対策がというお話がございましたけれども、要するに国交省の方でも協議会等で風対策をこれから検討されるわけですけれども、その辺で一定程度の目途がついてからということになるのか、それともある程度の目安がつけばいいとお考えなのか、長期的なものなのか、それとも短期的なものなのか、その辺はどのようにお考えですか。
(答) 今回の強風、突風が、これはまだ事故調査委員会が科学的に原因究明をしている最中でございますが、おそらく突風、強風が大きな要因の一つなんだろうというように想像されます。これにつきましては、先ほど申し上げましたように突風、強風対策について気象の専門家に入っていただいて今後の対策は、議論をさせていただきたいと思っているんですが、その結果が出てくるまでというわけにはいかないと思っています。これから本格的な冬が始まるわけでして、当面の安全対策をどう捉えるのか、まさしくそこをJR東日本は、現在検討されていると思います。その当面の安全対策について、私どもの方にお話があると思いますので、それを受けて私どもも判断してまいりたいというように思っています。
 
(問) 時期的には例えば月内とか、そういうことで。
(答) 時期は特に定めていません。
 
(問) 耐震偽装の関係で建物を除去した後の建替えの補助の関係で都や横浜市の方から国が示したスキームについて激論が出ているようですけれども、国としては今後どのようにして理解を求めていこうとお考えですか。
(答) 特定行政庁である地方公共団体の立場から言いますと、一番何を仰っているかと言いますと、民間の指定確認検査機関が建築確認事務を行っている場合、その場合に、その指定確認検査機関を指定しているのが国であったり、若しくは都道府県であったりするわけです。特定行政庁である市町村には、その指定確認検査機関の指定については、何の権限も与えられていないわけです。そして、その民間の指定確認検査機関が行った確認事務に過失があって損害が生じている。指定確認検査機関に過失があり、相当因果関係があって損害が生じた場合には、特定行政庁である市町村に責任が及ぶというのが、何度も申し上げていますが、最高裁の考え方、決定なわけです。特定行政庁からすると、自分達には指定確認検査機関に対する指定について何ら権限も持っていない。そして、指定確認検査機関で確認事務が行われたら、概略書が1部だけ送られてきて、その概略書では何も分からないではないですかと。確かに建築基準法上は、特定行政庁が指定確認検査機関が行ったことがおかしいということであれば、その建築確認そのものを取り消すことができるわけですが、失効させることができるわけですが、その前提となる様々な権限が自分達には与えられていないではないですかということを言われているわけです。ここは、やはり私は大きな問題点だと思っています。仰っているとおり、ここは大きな問題点があると、ここについては、まさしく今、社会資本整備審議会でご議論をいただいて、早急に見直しをさせていただきたいと思っています。ただ、その見直しの方向が中々難しい。では、特定行政庁に指定確認検査機関が行っていることをもう1回ダブルチェックで全て行ってもらうのかと。例えば、指定確認検査機関が行った建築確認の様々な一件書類をどっと特定行政庁に送って、特定行政庁がそれをチェックする。それはもう事実上できない。できないということで、むしろ指定確認検査機関制度というものがスタートしたわけでして、恐らく特定行政庁、地方公共団体側もそういうことは望んでらっしゃらないと思います。ここから先は私も余り言い過ぎると、社会資本整備審議会の方でまさしく今ご議論されているところですので、そういうこの制度そのもののあり方について、地方公共団体側も理解ができる見直しをしなければならないと思っています。
 
(問) そうしますと、その辺の結論の方向性は審議会で議論するとしても、そういった特定行政庁が納得できる方向で見直しをするということについて理解が得られれば、建て替えの支援スキームの方についても、同意といいますか理解が得られるというように大臣としてはお考えになっているということですか。
(答) これも何度も申し上げているのですが、今回の危険な分譲マンションの居住者の皆様に対する支援スキームというのは、超法規的にやっているわけではありません。既存の様々な制度を活用してやっているわけです。従来も、こうした例ではありませんが、使っている事業について活用しているわけでして、超法規的にやっているわけではありません。きちんと制度・法律に乗っかって、今回の支援スキームというのは作らさせていただいているわけです。その点を、まず、是非、地方公共団体の皆様には、ご理解をいただきたいのと。それから、何よりも今急ぐべきことは、居住者の方々や近隣住民の方々も含めまして、居住の安全、安定を確保していくということが、最優先で行わなければならないことだと思うのです。私はずっと一貫して言っていますが、万が一、大きな地震が本当にあった場合、それこそ行政の責任を問われると思います。今急ぐべきことは、居住の安全、安定を確保していく、そこを最優先にして、既存の制度を活用して支援スキームというのを作らさせていただいたわけでして、そこはしっかり地方公共団体の皆様にもご理解をいただきたいと思っています。
 


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