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  冬柴大臣会見要旨(平成18年10月20日)
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平成18年10月20日(金)
9:34〜10:06
国土交通省会見室
冬柴鐵三

 

   

閣議・閣僚懇

 おはようございます。本日の閣議は、一般案件が5件、国会提出案件が19件、条約公布の決定が1件と人事案件です。当省の関係では、一般案件が2件です。その内1件としては、「2008年のサラゴザ国際博覧会に対する公式参加」についての了解、2件目としましては、「2010年の上海国際博覧会に対する公式参加」についての了解がありました。私からは以上です。


質疑応答

 
(問) 北朝鮮についての件なのですけれども、先日、中国が特使を派遣して、金正日総書記と会合されたということで、中身は明らかになっていませんが、1つは2回目の実験を自粛してほしい、もう1つは、6者協議に復帰して欲しいということを要請されたと思いますが、このことについての受止めと、今後どう事態が展開していくことを望まれるか、改めてお願いします。
(答) 私は歓迎すべきことだと思います。何といっても、北朝鮮の最大の貿易相手国、援助国は中国と承知しています。したがいまして、国連安保理決議によって相当の圧力を受ける状況の中で、最大の支援国といいますか、援助国、貿易相手国である中国の、しかも唐家璇という外交担当の高い地位にある人が胡錦涛国家主席の親書を携行したという報道があったと記憶していますけれども、最大限の外交努力だと思います。それに対して、金正日総書記がその会見の場に現れたということは、私は相当重い意味があるのではないかというように思います。お尋ねのように、会談の内容はつまびらかにされていませんけれども、想像するに、核実験を再度行うような暴挙は止めてほしいということが1つ、それは必ず言っているだろうと思います。それから、対話の場ですけれども、国際的にも6者会議に戻れということが言われているわけでして、そこでの対話で解決するということが最も重要であります。したがって、そういうことを話し合われただろうと思います。
もし北朝鮮がいずれにも全く耳を傾けない、否定的だということであるならば、唐家璇と金正日の会談というのはセットできなかったのではないかとも、政治家として推測します。そういう意味では、期待をしたいというように思います。
 
(問) 先日、大臣は水資源機構の方に移転補償を巡って厳重注意されたと思うのですが、1月にも厳重注意があったばかりで相次いでいるという形になるわけですが、この辺の受止めと今後の対応について御説明下さい。。
(答) 全く遺憾だと私も感じまして、早速に水資源機構の理事長を大臣室に呼びまして、書面による厳重注意を、警告を発したわけです。事案は報道等でご案内の通りですけれど、私もその場で理事長に詳しく聞きました。木を切り出した時にワイヤーを伝わって木材を下の方に運び出す施設があり、満水にしますと水没するということですが、誰が権利者なのかということが分からなかったと。財産権があることは見えるわけですが、誰の持ちものなのかということを相当調べたけれども分からなかったと。ただ、それに対して自分に補償すべきだということを言う方が出てきまして、その人が権利者だという立証できない状況の中で、担当者が困り果てた末、正規の手続きを経ずに、文書偽造というようなことをやって、7百数十万円をその人に支払って、納めたという事案だったようです。これを見まして、所定の通りやらなかったことについては厳しく問われることであるということで、どういう処分をしたのかと。先ほど言われたように昨年1月にも同じような事件があり、それに対して厳重注意を受け、再び起こらないようにするということを約束しながら、またこういうことが起こってしまったということに対して理事長は非常に深く反省するとともに、理事長本人は報酬の20パーセントを3ヶ月間返納する。以下、それぞれ監督責任から現場の責任者まで他19名について、社内の懲戒手続きなどを執りました。再びこういうことが起こらないように、社内の体制も厳重に組み替えますという話がありました。各現場は昼夜を分かたず、ある場合には権利者と口論になり、権利者から持っていたカメラをぶつけられて怪我をするというようなこともあるぐらい緊迫した状況の中で、土地等の買収交渉というのは行われている。この7百数十万円も、そういうことをした職員が、一部といえども領得をしたり分けて使ったとかいうことでは全くないわけでして、職務を忠実にしようということから起こってしまった事件ですよね。私は弁護士ですから、そういう人達について、理事長はじめ水資源機構全体が、このような困難な収用をするためのことで現場が苦しんでいることを一体として受け止めて、水資源機構全体としてそれをどう解決するかということを、苦しみを共有するという雰囲気が無いのではないかということを、私は理事長に強く申し上げたわけであります。下だけが苦しんで、そういうことまでやるというような、前の事案もよく聞くとその様相がある、そこを改めなさいということを、私は強く申し上げました。そして、英知を絞って、わたしは弁護士ですから、もしそういうことであれば、債権者不明ということでそのお金を供託して、そしてそのワイヤーは別のところに保管すると。そういった知恵だって出てくるのではないかと。ただそういうことを全体的にやる風土をつくらなければ駄目だということを申し上げたということであります。少し長くなりましたけれども、水資源機構の件についてはそういうことであります。
 
(問) 日本の核保有について、中川政調会長に続いて麻生外務大臣から議論されるべきではないかというような御発言がありました。外務大臣という外交のトップとして、問題視する意見があるのですけれども、これについて内閣の一員として、大臣はいかがお考えでしょうか。
(答) 内閣のトップであり閣僚の任免権を持っている安倍内閣総理大臣が、非核三原則は日本国家の国是であって、これは堅持するということを仰っているわけであります。内閣の方針としては非核三原則を見直したりするということはしないと。それから私は直接聞いたわけではありませんけれども、今日の新聞では、自由民主党の中の組織でもそういうことの議論はしないということを総裁としても仰ったということを聞きますと、これはもうはっきりしているわけです。核というのは通常の兵器とは全く違いまして、60数年を経た今日でも、広島あるいは長崎で被爆した人が60年苦しんだ末に毎年亡くなっているのです。これは何かというと、通常の爆弾と違って放射線が出ます。それが体内の臓器を蝕み喉頭ガンや白血病等を引き起こすという恐ろしい兵器です。そういう非人道的な言わば悪魔の兵器というものを二度と再び地球上で使用してはならない、核を保有している国はありますけれども、これが使用されては絶対ならないという人生観を私は持っています。したがいまして、非核三原則を国是とするというこの立場は、私がどんな立場にあっても堅持する、強く主張する、そして行動するという信念を持っていますので、それを以て私のコメントとさせてもらいたいと思います。
 
(問) 先程、北朝鮮のところの御発言の中で、中朝の会談がセットされたというのは北朝鮮が全く否定的ではなかったからだと述べられましたけれども、これはつまり金正日総書記が出てきてあのような会談をされたというのは、大臣としては今後6者協議への復帰であるとか、核実験をもう二度と行わないといったことについて何らかの進展が見られるという見方をされているということか、そこだけ確認をさせていただきたい。
(答) 今仰ったところまで私も確信をもって言っているわけではありませんが、周囲の状況から考えて、私の政治経験からして、もし全く中国の言うようなことを聞くことがなく、また核実験を行うんだとか、6者協議の場には戻らないんだという、もちろん状況が変われば別でしょうが、このままの状況では戻らないんだという堅い意志を持っているというのならば、普通の感覚からいえば会わないだろう、会わないのではないか。それが会ったということで私は非常にはっと思ったのです。写真もあるから会ったのでしょう。中国という国には、日本人でもそうですが東洋人というのは、メンツがあります。もしもう一度核実験を行ったとしたら、メンツ丸つぶれという言葉もありますが、そういうことになりかねないのではないでしょうか。しかも中国は歴史もあり、誇り高い民族です。そういう国が外交の手段としては最高の手段を執ったと思います。唐家璇国務委員が胡錦濤国家主席の親書を持参したというようなことも読んだのですが、「持参したのであろう」ですかね、そこのところはつまびらかではありませんが、そういうことは覗えるわけです。そういった最高の外交儀礼を踏んでるわけで、それを全く無視してメンツを潰すということはしにくいのではないかと。もしやった場合は、最大の援助国、あるいは貿易相手国としては、今後の扱いを考え直さざるを得ないのではないでしょうか。私はそのように思います。これは全く、政治家としての判断です。
 
(問) 何らかの進展があるということを期待したいという。
(答) 期待したいということです。それで、私は冒頭から歓迎するということを申し上げたのはそういうことです。
 
(問) 西日本鉄道で、飲酒検知を巡る差し替え、替え玉という事案が発生しました。社内処分をしたということを昨日発表しているのですけれども、これについての御所見と国としての対応について伺えますでしょうか。
(答) 私の知る限りでは、運転士が飲酒をしていたと。乗務前に飲酒検知器をというものに息を吹くのですが、許される基準を超えるものが出る可能性があるということで、代わりに車掌に吹かせたと。車掌は飲んでないわけですから、出ないわけです。しかも、監督する立場の人がそれを是認して、飲んだという人に運転をさせたというような事案だったというわけです。これは誠に遺憾な話でして、運転士はこれをしてはいけないという省令もあり、そういう法規にも違反するわけです。これに対して会社側としては、その上司と運転士は懲戒免職にすると。それから、代わりに吹いたという人も、一応これは幇助犯になるわけですね。ですから、その人に対しても10日間の無給の休職という処分をしたということですけれども、もってのほかだと思いまして、9時半ですからちょうど今頃の時間だと思いますけれども、九州運輸局長から西日本鉄道の社長に対して、厳重注意の文書による警告と、再発防止に対して、どうするのだということを今やっておられると思います。そして、それに対して会社側としてはいろいろな対策を執るということですけれども、その1つとして、検知器を吹くときにカメラと連動させて誰が吹いているかということが分かるように、記録がきちんと残るというような処置も執りましたということで、今後そのようにしていくということを言っています。これも、自分の名前をきちんと書いた内部告発で分かったということですから、そういうことは大変な勇気がいると思うのですが、社内でそういうことができるということは僕は良かったと思うのですけれども、ただ会社としては非常に遺憾である。このようなことが起きてはいけないということで、我々としてもそのような法令違反行為ということについて重く受けとめて、これは運輸安全一括法も成立させて、そして安全マネジメント評価をやっていこうという中で起こった事故ですから、はなはだ遺憾だし、再度こういうことが起こらないように今後も厳しく指導していきたいと思っています。
 
(問) その関連で、今回初めての個々の事案として具体的にこのような飲酒検査の現場において不適切な事例が出ていましたけれども、今、飲酒検知というのは運送事業者の各モードで非常に広く行われています。義務化されているところもあれば、されていないところもありますけれども、このような実態について、省として何か把握されたり、また統括的な対応を執られるようなお考えは今のところお持ちではないのでしょうか。
(答) 内部で検討してもらいます。
 
(問) 羽田空港の4本目の滑走路について、千葉の漁協と交渉に入るということが決まりましたが、現在のスケジュールでいうと、年内着工を目指しているという状況においてはかなり遅れていると思いますけれども、その辺の見通しと御所見をいただければと思います。
(答) 千葉県の方はお陰様で、各漁協単組と補償についてやっていただいて結構ですという話ができまして、精力的に各単組との間で交渉を重ねていき、なんとしても年内に着工できるように努力をして欲しい、しましょうと国交省一丸となってやっていこうということです。なんとしてもやりたいと、最後まで努力したいと思っています。
 
(問) 先程の水資源機構の処分に絡んで、大臣は、職務に忠実にしようというあまり、あるいは職場で苦労の共有がないというような現場の苦労について触れられましたけれど、ダム事業とは非常に厳しいものであるということは百も承知なわけで、昨年1月にやはり同じ様な補償に対する要求について、既に補償は済んでいた機構としては補償はできないというところで、あろうことか受注したゼネコン、共同企業体からお金を引っ張るという様なことが行われているわけです。それを踏まえて、青山理事長の方から共有財産管理会との関係について、どの様な再発防止措置をこれまで執られていたのかということを、どうお聞きになられたのでしょか。
(答) 昨年1月に北側大臣から書面により、今御指摘の事案について厳重注意があり、その時も再発防止ということを誓っていながら、今回また、今度は国のお金で七百数十万円も、そういうことが行われたことについて、私どももどうしてこの様な、その時も再発はしないようにやると言ったのではないのか、と問いただしました。それなりに努力したわけですけれど、企業風土といいますか、現場で苦労しているということを、全員が共有していないというところが問題だろうと私自身は思いました。ですから、様々なことを社内の規律がどうだとか、処分をしたとか、訓示したとかと言いましても、やはり現場で今何が起こっているのかということを、理事長始め、もちろん担当者を含め、それ以外の人も共有をして、それに対してどういう解決があるのか、その様な知恵を出し合う様な風土を作っていって欲しいということを、私は強く申し上げました。問いは、前にあった時以降どういった改善策を執ったのかというお尋ねですけれども、それは社内にこの様なことがないようにと、きちんと通知したとか、指導したとかあるいは処分したとかいう話に終止したわけで、私はそれでは何が足りなかったのかと言えば、こういったことではないのかと言ったわけです。各現場でどの様なことが起こっているのかということに、例えば交渉で激高した人がカメラをぶつけたとか、大変な暴言を吐かれるとかそういったことはしょっちゅうなんですということですから、それであればなおのこと、みんなが痛みを共有していかないと、現場だけが苦労していたのでは、またどんな事が起こるかわかないではないかと私は申し上げました。理事長自身はそれについては深く反省して、今言われたようなことを社内として実行できるように体制を組みますという返答でした。
 
(問) 西日本鉄道の話に戻りますが、本来そういう飲酒の検査を乗客の安全のためにやってるわけで、今回の場合は少なくとも助役までグルで形を整えるためだけに、自分たちが処分されないためだけに、体裁を整えていたということで、肝心の安全が全く疎かになっているという事案だと思いますが、このことについて西日本自体の体質と言いますか、それを現在厳重注意ですが、さらに厳しく調べて、あるいは事業改善命令等で対応するおつもりはございますでしょうか。
(答) 予告せずにきちんとした検査に入ろうと思っています。会社自身がやったわけですが、真の発端は内部告発、名前を明らかにした勇気ある人の投書が発端で、調べたらそのとおりだったということからやっているわけです。私は、企業体質として問題があると、今御指摘のとおりだと思います。ですから、検査をきちんとしようと思います。
 
(問) 国が訴訟当事者になっている都立林試の森公園の訴訟の関係で、東京都が現計画を取り下げるような動きがあるというように聞いているのですが、都との協議がどうなっているか、進捗状況をお聞きになっているかどうか、もし取り下げということになったら国としてどのように対応されるのか御所見をお聞かせください。
(答) 私も新聞報道は知っていますし、これを発端として国交省としての判断をしなくてはいけないと思います。訴訟当事者ではありませんが、知事さんが事業認可の申請をしたのを受けて、我々の方が事業認可をしたということに対する取消訴訟で、1審は我々の方が敗訴、2審で勝訴、3審の最高裁で差戻しということでもう一度高裁に審理をやり直せということが出たことを受けて、肝心の知事さんが自分の方で認可申請の取下げをするということ、まだされていませんからどうなるか分かりませんが、してもよいというような発言をされたという報道に接しています。そういうことがあれば、訴訟の目的が消滅するわけですから、原告となった住民の方が取り下げたいということであれば、我々は同意するのにやぶさかではないというように思います。東京都が公園を広げたいと、周辺に官舎があるではないかということを理由に住民の土地を買収しなくてもよいのではないかというようなことがその訴訟の中では争点になっているようです。今の公園全体の構造から見て住民のお持ちの民有地を買収することが最適だということで判断されたと思いますけれども、今、行政財産の処分等が進んでいまして、周りの官舎も22年以降には処分される対象の中に入っているようで、そういうことも含めて知事が高度の政治判断をされているのではないかと思います。今後は東京都がどのようにされるのか、我々が一旦下ろした認可というものについて、それ自身の取下げを求める申請をしてこられれば、我々は結構ですということになると思います。そうすると、訴訟の目的物がなくなるので、訴訟の取り下げにも我々の方は同意をしてもよいと思います。ただし、各利害関係のある所ともちろん相談しながらですが、急に聞かれたので私なりの判断をしたわけで、そのような方向で私としては進めていきたいと思っています。
 


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