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  冬柴大臣会見要旨(平成18年10月27日)
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平成18年10月27日(金)
9:42〜10:12
国土交通省会見室
冬柴鐵三

 

   

閣議・閣僚懇

 本日の閣議は、一般案件が4件、国会提出案件が16件、法律案の決定が4件、政令の決定が4件、と人事案件です。当省の関係では、一般案件が1件です。外務省と当省で「特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第5条第1項の規定に基づき、特定船舶の入港禁止の実施につき国会の承認を求める」の件についての決定がありました。また、政令の決定が2件、「海上汚染等及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令」、「海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律施行令の一部を改正する政令」の決定がありました。懇談の際、私から香港の活動家等による尖閣渡航活動についてご報告を致しました。それから、文部科学大臣から教育基本法について月曜日からいよいよ審議が始まりますということの報告がありました。私からは以上です。


質疑応答

 
(問) 香港の抗議船の件なのですけれども、大臣の方からどういうご説明をされたのか、それと、総理からどのようなご指示があったのか、お願い致します。
(答) 総理はうなずいておられましたが、別段の指示はありませんでした。私からはこのように発言致しました。本日午前5時15分、尖閣諸島向け航行中の香港活動家が乗船している船舶を海上保安庁の巡視船が確認しました。そして、同日午前7時51分、同船は我が国の接続水域、24海里に入域しました。海上保安庁巡視船により領海に入らないよう指導を開始しています。海上保安庁におきましては、現在、関係省庁、すなわち警察庁、法務省入国管理局と連携のもと、我が国の法令に基づき適切に対処しているところです。以上報告致しました。それに対する総理はじめ閣僚からの発言はありませんでした。
 
(問) これは想定の話になるのですが、領海内に入ってきた時の対応はどうされるのでしょうか。
(答) 領海に入りますと、海上警察権を行使しなくてはならなくなります。終局的には上陸ということにならないように、海上で船舶の航行の方向を変えるように指導をするということになります。なお、私はそのように発言しましたが、27日7時51分後のことを申し上げますと、同日8時11分釣魚島から257度、22.3海里において、船舶の進行方向を台湾の方に向けるよう巡視船による進路規制を開始を致しました。その後、同日9時21分、領海内に進入を致しました。すなわち、12海里内の中に入ったということです。抗議船の要目等ですが、船名は保釣二号、長さ約30メートル、甲板上には約5メートルのボート1隻が搭載されているということです。
 
(問) 公共事業の低入札の問題で、来週にも自民党が緊急対策会議を開いて、対策をまとめることになっているのですが、業界及び与党からこういう声が上がっていることについて、国交省としてどう受け止めていらっしゃるか、今後どう対応されていくか、お願い致します。
(答) 公共工事の受注におきましては、限られた予算の効率的な使用を図るために、適正な競争が行われているということが重要であるということは言うまでもありません。しかしながら、いわゆるダンピング受注につきましては、工事の手抜き、下請業者へのしわ寄せ、あるいは労働条件の悪化、安全対策の不徹底などに繋がりやすいということは当然のことです。したがいまして、公共工事の品質の確保とか、建設業の健全な発展の観点から、ダンピングは排除すべきであるというように基本的に考えております。そのため、従来から国土交通省におきましては、低い価格での入札があった場合には、その者が契約内容を履行できないおそれがないかどうかということを調査した上で、慎重に契約手続きを行っています。これに加え、去る4月に重点的なダンピング対策をとりまとめ、その推進を図っています。その内容を具体的に申しますと、1つは契約前の段階で、入札参加者の見積り内容を重点的に調査する対象工事を拡大しました。すなわち2億円以上の工事全てを調査するということにしました。それに加えまして、施工段階におきまして、下請業者への適正な支払い確認等のために立入調査をしたり、あるいはモニターカメラ等を活用して、手抜き等が無いかどうかの監督・検査を強化するということ等、様々な取組みを取りまとめたところであり、これらの着実な推進・定着を図っていきたいというように思っております。一方、お尋ねのように自民党で30日に、さらなるダンピング対策について緊急決議をまとめる予定であるというように承知しておりますが、国土交通省としてもそれらを踏まえながら、どのような対策を取りうるのか、様々な検討を行っていきたいというように今思っているところです。
 
(問) 先ほどの香港の抗議船の件ですけれども、領海内に入った場合には海上警察権を行使するというお話しがありましたけれども、9時21分にそれを確認されたということでよろしいわけですね。
(答) そうですね。
(問) 海上警察権を行使し、具体的にどのような上陸阻止に向けた動きをされるのか、現時点でのご判断をいただければと思います。
(答) 具体的な捜査、法の遵守を求める具体的行動がどうあるのかということは、私から今申し上げるということは適当でないというように思います。ただ、領海に我々の許可無しに外国の船舶や人が入ってくるということについては、海上保安庁が海上における警察権を行使して、法律を守るように勧告し、聞かなければ逮捕、拘束したり、捜索をしたりする権限は法令上あります。しかし、それをどこまでするかは、その時の担当官の判断で行われるわけです。終局的には上陸しますと領域侵害になりまして、入国管理法違反になりますので、そういうことにならないように勧告をするという活動が、領海内では行われるのではなかろうかというように思います。具体的には、海上保安庁の担当官もおりますので、もし必要であれば答えていただくことにします。
 
(問) 今後中国との関係への影響についてはどのようにお考えでしょうか。
(答) 影響はわかりませんが、外務省において外交ルートを通じて話し合いがなされるであろうというように思います。
  そうしましたら海上保安庁の対応について、担当の方に聞きますか。
(問) お答えできるものがあればこの場でお願いします。
(担当課) 海上保安庁警備課長です。今ご質問の領海の問題でございますけれども、皆さんご承知のように、現在海上保安庁におきましては、厳正かつ適切な領海警備ということで保釣活動の船舶に対して行っています。接続水域に入りましてからも領海に入らないようにという指導・警告であるとかを行ってまいりましたが、残念ながら先ほど大臣からお話がありましたように、9時21分に魚釣島周辺の我が国の領海内に入ってしまいました。海上保安庁といたしましては、先ほど申しましたように厳正かつ適切な領海警備を実施しまして、保釣二号という活動家の船舶が領域から出るようにしっかりとやっていきたいと考えています。今現在もそういう作業を実施中です。以上です。
(問) 大臣のご判断として上陸した段階で逮捕を行うことはやむを得ないということでよろしいでしょうか。
(答) 法律上はそうですけれども、上陸すれば海上保安庁の管轄外の話になりますので、入管なり警察なりの判断に従って行われるであろうと思います。
 
(問) その関連で上陸した後は、出入国管理法により強制的に摘発できますけれども、その手前の領海内においてそういう意図を持って航行していることが確認された場合というのが一つのポイントになるかと思います。その場合にそのような罪名を適用した強制的な行為に踏み切るのか、基本的にそこは勧告という行為を遵守したいと考えておられるのか、その辺はどうでしょうか。
(答) それは海上保安庁の担当官の判断によります。私には今どういう状況であるかということがわかりませんが、その現場の状況から勧告によって戻れと、出ろと、ここに入ってはいけないというようなことをやっているのであろうと思います。厳正にやっているということであります。それに対してどうするのかというのは現場の海上保安官がその時の状況を判断してどう対処するか。いずれにしても法令の厳格なる遵守ということを求めるということになります。
 
(問) 今、近畿地方整備局長の諮問機関である淀川水系流域委員会の休止の問題が取りただされています。その焦点となっている丹生、川上、余野川、大戸川、そして天ヶ瀬再開発の5つのダムの必要性、特に建設の緊急性について、大臣はどのようにお考えになってらっしゃるのか、お聞かせください。
(答) 今仰った5つのダムについて、近畿地方整備局が昨年の7月にこれまでの調査結果を踏まえて、叩き台として「淀川水系5ダムについての方針」を発表しています。これらの5つのダムについては、1日も早く淀川整備基本方針検討小委員会を再開して、河川整備基本方針を策定した後、引き続き実施する河川整備計画の策定過程において、住民や学識経験者、関係自治体等の意見をよく聴取した上で、その対応方針を決めていくというように承知をしています。したがって、お尋ねの、5つのダムについて大臣はどういう考えがあるのか、と仰ることにつきましては、昨年7月に発表された淀川水系5ダムについての方針というものが、今の私の考え方です。しかし、それをどうしていくかということは、先程も申しましたように、河川整備計画の策定過程において、いろいろな方の意見を聞きながら、どうしていくかということが決まるということです。
 
(問) 去年の7月に、一旦は近畿地方整備局が国土交通省のひとつの方向性を示したものだったはずなのですけども、その後、滋賀県知事などから元通りの計画にしろという発言が出たら、その後それは最終決定ではないというような、少し後退するような経緯もありました。今、大臣がどのような御所感を受けているかわかりませんが、河川管理者はダムの必要性とかそうしたものについて、きちんと説得力のある説明を流域住民、地元首長にもできていないのが現状だと思います。流域委員会というのは、そうした河川管理者が抱える矛盾について真正面から向き合い、議論し、河川管理者がなかなかできなかったようなこと、水需要抑制であるとか、あるいは今災害復旧に追われてなかなか将来の投資、今住んでいる住民をどう守るかという投資をできないという矛盾を抱えているなかで、非常に活発な議論を重ねてきたというように理解していますが、今回議論を中断するということは、大臣もその一人かどうか分かりませんけれども、1200万人という流域人口を抱える流域住民にとって損失ではないかというようにも考えるのですけれども、どのようにお考えですか。
(答) 全部やめるということではなくて休止をしているわけでして、来年の1月に委員の交代期を迎えます。河川整備計画については、先ほども言いましたように、関係者の意見をよく聞いて、最終的に方針を決めていくわけですが、その中でも流域委員会の意見というものは大変重いものだと思います。新しい委員が1月に決まりますから、その上でしっかりとした議論をしていただきたい。また関係者の意見も聞きながら早急にこういうものについてどう最終的に決めていくのか、それを決めていきたいと思っております。
 
(問) 少し確認ですけれども、近畿地方整備局長の会見では来年1月に新しい委員は決めないというようなことをもって一時休止ということを仰っているのですが。
(答) 任期が切れることは客観的事実です。ですから新しい委員をどういうように入れ替えるのか留任させるのか、これはその段階で決めていくということであります。任期は切れます。
(問) 何らかの中で判断、新しい形というのは1月までには決まるということでよろしいでしょうか。
(答) そうですね。委員は決まります。任期が切れるので次に誰がやるか決めなくてはいけない。ただ、最終的に水系をどうするのかということについて、先程も言いましたように、関係自治体や流域住民や学識経験者や利害関係者等、そういう方々の意見を聞きながら最終的に決めるということは、先のことになります。ただし、委員は決めなくてはいけないですね。
(問) どういう委員かはわかりませんが、議論は中断されないと。どういう形でも淀川水系流域委員会として流域住民、地元の首長の方々との議論は続いていくということでよろしいでしょうか。
(答) それはもちろんそうです。
(問) わかりました。ありがとうございます。
   
(問) 安倍政権発足から1カ月経ちましたけれども、この1カ月の大臣なりの政権の評価と見えてきた課題等があれば、それから国土交通大臣としてこの1カ月を振り返ってどうかと、お聞かせください。
(答) ちょうど1カ月経ちました。安倍政権としては、今まで懸案でありました中国、韓国との外交関係というものについて、1つの安倍政権独自の前進を見たということは非常に高く評価してもいいのではないかと思います。それから、その間には核実験を行ったという発表というようなショッキングな出来事が隣接した国で行われ、大変な脅威を受けました。これに対して総理の指導、あるいは外務大臣、あるいは国連大使等、外交関係の人達の一致した努力によって、適切にそれぞれ安全保障理事会の決議、あるいはそれに伴う近隣諸国への外交とか、私はこれは非常に迅速に、また的確に行われたと高く評価しています。
予算委員会も一応終わりましたし、それから私の所信に対する質疑も昨日は参議院、一昨日は衆議院で行われまして、私はほっとしたところです。その中で述べてきたところですけれども、国土交通省としては、2011年にプライマリー・バランスを黒字にしなければならないという内閣の基本方針、それは私も一員として守らなければなりません。そうするためには、厳しい歳出削減ということが行われるのですね。私の所管では、公共事業関係の予算が、補正も含めてですが、ピーク時14兆9千億円という平成10年度の予算に比べて本年18年度は7兆2千億円と半分になっているわけです。バブル崩壊年の7兆3千億円と比べても1千億円も切り込んでいるという厳しい状況があります。その上、来年度予算でも、なお3パーセント削るべきという方針等が財務省から示されています。しかし、そうは言うけれども泣き言は言えません。私どもには、やはり子供や孫達が自信と誇りを持てる国土、安全・安心な国土、あるいは国際競争力に勝ち抜くことができる国土、あるいは頑張る地方というものを応援をしていくという、そういう至上命題があります。したがいまして、私は、真に必要な社会資本整備、それは重点化あるいは効率化を徹底させて工夫をし、その様な厳しい財政状況の中でもその使命は完全に実行していかなければならないという決意に燃えています。現状はその様な感じです。
   
(問) その厳しい財政事情の中で、真に必要な社会資本整備の重点化、効率化を徹底させると言うことなのですけれども、道路特定財源を巡って、今週自動車業界などが集会などを開いたときに、かなり与党の議員も集まって一般財源化反対というような立場をとったのですが、そもそも閣議決定の中で一般財源化を図ることを前提に年内に具体案をまとめる方針が打ち出されている中で、与党の議員の中で反対という声が出ていることについて、大臣はどう認識していますか。
(答) 行政改革基本法あるいは骨太方針2006という閣議決定の中で一般財源化を図るという方針は決められているわけです。にもかかわらず与党議員等も含め反対と仰っている趣旨は、一般財源化するにしても、十分に納税者の御理解を得られるような使い方をしてもらわなければ困ると。すなわち道路特定財源とされた、特に暫定税率に相当する税収というものは、この決められた5年間の間にどういう道路整備に使うのかという目的の下に、暫定税率は決められているわけですから、その方向で使ってもらいたいという強い意志の表明であろうというように私は思います。今後この年末までに具体的な方策というものを決めなければならないですけれども、私としては、タックスペイヤーであるその人達の意向を十分に踏まえつつ、決めていかなければならないという大変重い仕事が待ってるという認識でいます。
 
(問) 苫小牧から大洗に向けて運航する東日本フェリーのリベラが、時化の影響で怪我人が出て到着時間が40時間位遅れたといういことなのですけれども、事故後20時間位経った後に海保の方に連絡するという対応に、若干どうかなという点があるのですが、大臣ご所感がありましたらお願いします。
(答) 私は天災による遅延だろうと思いますが、40時間も到着時間が遅れたということについてどうだったのか、報告がもし仰るとおり遅れたということであれば、それは遺憾な話だろうと思います。したがってそれは、法令違反があるのかどうかということを調査をした上で、その結果を踏まえて適切に対処しなければならないと思っています。大洗港に入港するまでの間に、乗客への対応が適切であったかどうかということも調査しなければならないと思います。乗客への適切な情報提供ということは、こういった事態における事業者の重要な業務、責務です。それを徹底すべく、本日中に海事局より、旅客船の業界に対して文書で指導したいと考えているところです。
 
(問) 下村官房副長官が個人的な見解として、先般、従軍慰安婦問題に対する平成5年の河野官房長談話について、事実関係を調査して見直すべきではないかとご発言されてますけれど、これにつきまして大臣はどの様に考えてますか。
(答) 総理もそれは認めると公の場で言っていますので、私の考え方も全く同じです。
 


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