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  冬柴大臣会見要旨(平成18年12月15日)
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平成18年12月15日(金)
9:21〜9:55
参議院議員食堂
冬柴鐵三

 

   

閣議・閣僚懇

  おはようございます。本日の閣議は、一般案件が5件、国会提出案件が19件、法律の交付決定が5件、政令の決定が6件と人事案件です。当省の関係では、一般案件が1件で、「第1回アジア・太平洋水サミットの開催について」の決定がありました。
 私の方から1点申し上げます。タウンミーティング問題に関し、13日に調査委員会の調査結果報告書が発表されたところでありますが、残念ながらこの中に国土交通省に関係するテーマで当省から発言を依頼したものが1件含まれておりました。
 このタウンミーティングは、広く国民から自由な意思のもと、政府に対する様々な意見を述べていただくという狙いであったわけですが、その中に伝えられているようなことがありました。国民の政府に対する不信というものを醸成してしまったことは誠に遺憾であると思います。私は政治を担当する者として、政治責任を取るべきであると判断を致しました。したがいまして、国土交通省から支給される大臣として受け取る給与の全額を2ヶ月間返納申し上げるという決断をしまして、そのように取り計らうということに致しました。私共の事務方の責任はどうするのかということにつきまして申し上げますと、報告書には私共の関係するものということで2つ挙げられていますが、1つは、地域再生を取り上げた長崎で行われたものですが、これにつきましては、報告書の21ページに書かれているとおりでして、国土交通省はいわゆるやらせという部分には全く関与していません。内閣府のタウンミーティング室から長崎県にお願いをしたということでして、我が方は名実共に何も関与していないということです。もう1つは、32ページに書かれている部分が問題の箇所で、海洋国家日本を考えるタウンミーティングin横浜と、18年9月2日に行われたものでした。そこに書かれているように、タウンミーティング室で一般応募参加者から事前意見を確認したところ、本タウンミーティングのテーマ、すなわち海洋国家日本を考えるというテーマと、異なる外交問題の質問が出るのではないか、テーマが漠然としており参加者がどのような内容の発言をして良いのかわからないのではないか、というようなタウンミーティング室のご判断があったようでして、このためにタウンミーティング室から国土交通省に対して、どの様なことを取り上げて良いのか、その様な問題をできれば作成し、発言をしてもらう人を依頼して欲しいという依頼があったようです。その様に書いてあります。開催に当たりましては事前に発言者の氏名や属性が把握されており、一部の発言者の座席は指定されていたようです。このタウンミーティングでは全部で11人が発言しましたが、依頼が行われた11人の内7名が発言をされ、一般からも4名が発言されたようでした。いずれも一般参加者と同じように指名され、7名の発言内容は全てこちらの方が依頼した内容と同種であったと、この様なことが書かれています。これが報告書の全てです。私はどんなことを取り上げたのかということで調査をしましたところ、発言された7問の内容ですが、「海の日の意義を国民に浸透させることにより、海への関心を高めていくべきではないか。」、「東京湾などの多くの船舶が航行する海域の安全をどのように確保していくのか。」、「港や海を活用した観光振興にどのように取り組むのか。」、「横浜港などの港湾の国際競争力の強化にどのように取り組むのか。」、「巡視艇などが深夜でも現場に直ちに向かうことができる体制を整備すべきではないか。」、「海洋環境の保全にどのように取り組むのか。」、「海に親しみを持つことができるような環境づくりにどのように取り組むのか。」という7問でありました。これが事実の全てですが、海洋国家をどう考えるかというのは非常に漠然としていますし、政策的対立の問題でもないので、活発に議論するためには導入部分として、そういう提案があっても良いのではないかと思います。私共も何回もタウンミーティングをやっていますけれども、このようなことをやったのはこれ1回限りです。また発言を依頼した人に対する報酬というものは一銭も払っていません。このようなことを考えると、私は政治責任を取るわけですから、それはそれで政治家としての判断で良いと思いますけれども、もし事務方の人を処分するとするならば、それ相応の責めらるべき点がなければならないというように思います。今挙げた事例を国民がどのように判断されるかはわかりませんけれども、冬柴鐵三個人の、あるいは大臣としての規範意識に照らして、私は職員を責めるべき点がないというように判断をしました。もし、このようなことで処分するということになれば、他の省庁からの依頼があったときに、それに素直に応えたり共助したりするということもできにくくなるのではないかと思います。そのようなことから、私は、国土交通省の案件については私の政治責任だけにとどめて、職員に対する責めは行わないということで決断をしました。その問題については国民の皆様方のご批判は甘受しなければならないと思いますけれども、私はそのように判断しましたので、ご報告申し上げます。私からは以上です。


質疑応答

 
(問) 今の関連で1つ教えていただきたいのですが、直接大臣がいらっしゃらなかった頃のお話かと思いますけれども、改めてタウンミーティングのあり方とかどうやって見直すべきかということを、今の段階で大臣はどのようにお考えかということを教えてください。
(答) タウンミーティング自体は、100回以上も熱心にやられて、今行政が取り組んでいることを直に国民に問いかけるという意味では、非常に優れたものでよくやられているなと評価していたのですけれども、その裏で、もし発言をリードしたり、あるいは政策的対決・対立があるような問題に対して、一方に偏ったような発言を依頼したりするということは厳に慎まなければならない、世論をリードするということことになってしまいましたらいけないと、私は思っています。報告書に詳細が書かれていますけれども、お金の使い方も乱暴な感じがいたしました。いい制度、いい政策だと思いますけれども、やり方、方法を、もう一度考え直すべきだろうと思います。狙いは正しいと思いますけれども、方法がご批判を受けるというようなことはまずかったという感じがしています。
 
(問) 先日三菱ふそうトラックの関係で無罪判決が出ましたが、それについて大臣のご所感を改めてお願いします。
(答) 今月13日に横浜簡易裁判所におきまして、三菱自動車製大型車のハブ破損に関し、道路運送車両法に係る虚偽報告事案に対する判決が言い渡されました。本事案は、平成16年5月6日に、国土交通省から神奈川県警本部に告発をしたものです。13日の判決では、報告要求が存在したとは証拠上認められないため、被告人3名及び三菱自動車工業株式会社に対し無罪の言い渡しがあった、とのことでした。私はこの判断に対して不服があります。いくら読んでも納得できません。道路運送車両法だけでなく、国土交通省は非常に大きな官庁ですので、たくさんの法律を担当していますけれども、その中には国土交通大臣の所掌する事務がたくさん規定されております。この判決が言うように、国土交通大臣そのものが報告を求めたという証拠がないという話ですけれども、自動車交通局の担当職員が報告を求めた事実は認定しているわけです。裁判所は、法律上大臣が報告を求めると書いてあった、そして職員をして立入りをさせ、質問することができるというような規定が立て分けてあるから、報告は大臣本人がやらなければだめだというような書きぶりですけれども、現実問題それでは行政は動かないと思います。私はそのような法律上与えられた権限を、その担当する職員をして私に代わってやっていただくという仕組みになっているわけです。ですから国土交通省の職員で担当する責めを持っている職員が、この法律の定めに従って報告を求めれば、これは国土交通大臣が行ったものとしなければ、行政は動かないですよ。そういう実態を考えたときに、例えば立ち入りを国務大臣がするということはさすがに書けません。したがいまして、それは職員をして立ち入りというように、どこでも決めてあるわけでして、そういう意味で、この判決のその部分については、現実に行われている行政というものの動きとはかいりしているのではないかと、私は思いますが、その点が不服です。したがいまして、これは上級審の判決を求めるべきだと思います。検察当局が第一義的にはそういうことをやることになっていますから、その判断を待たなければなりませんが、私の意見を聞かれれば、私は不服である、上級審の判断を仰ぐべきである、このような判決は確定させるべきではないというような思いです。
 
(問) 羽田の4本目の問題の関係なのですが、千葉県も東京都も埋立承認を近々認めるという見通しが立ったということらしいのですが、その件について大臣のご所感を。
(答) そのことについては私はまだ聞いていません。当然、東京都知事と千葉県知事が、1日も早く公有水面埋立法に基づく承認をしていただきたいという思いで一杯です。申請を6月に出したものですから、やがて半年になりますので、これは早くやっていただきたいと。そして、早く着工もしたいというように思っています。
 
(問) 承認は出る見通しになったものの漁業補償の交渉ということになると、まだまだ随分難航しているみたいなのですが。
(答) 私はそうも聞いていなですけれどね。漁業者とのお話し合いは順調に進んでいます。24あるうち、一部の方はアプローチがなかなかできない要素はありましても、大多数のところは交渉をさせていただいています。話し合いをずっとやらせていただいているというように報告を聞いていますので、円満に終結するために全力を尽くそうという話をしているところです。
 
(問) なかなか交渉事で難しいと思いますが、その着工の目途と2009年の供用開始というのは、どのようにお考えですか。
(答) それは年内にもご承認いただければ。着工と言いましてもすぐに大掛かりなことはできないので、いろいろな調査とか作業があります。そういう手順を粛々と踏みたいというように思っています。そして供用開始ですが、当然、全力を尽くして、今まで申し上げているとおりに供用開始をしたいという思いで一杯です。
 
(問) タウンミーティングの問題なのですけれども、北側前大臣の時代のことでありながら、冬柴大臣が責任をとるということは、うまく理解できないのですが。何故、北側前大臣が責任をとらずに、冬柴さんなのかということ。それとあともう1点は、職員を処分されないということですけれども、この横浜のタウンミーティングに関して、職員の落ち度、不手際、不備、そういったことがなかったとお考えなのかどうかということについてです。
(答) 1つは、行政の仕組みは、問題が起こった時にそこの席にいる者が、これが例え前任者時代のことであったとしても、政治責任は現任者が取るのは当然の話だと私は思います。決して不思議な話ではないと思います。もう1つは、私が報告書を詳細に読み、また関係者から聴き取ったことから見ても、全く政治的に対立しているテーマではなくて、先程少し皆様方に長い時間かけて7問とも読み上げましたけれども、この問題は全く中立的な問題で、特定の政策に誘導するというような趣旨、内容ではありません。それはやはり海洋国家を考えるというような漠然とした、しかしこれは我が省にとっては重要なテーマですけれども、一般国民にとっては日常性のない問題を取り上げるわけですから、タウンミーティング室ではそのテーマに基づいて発言される人が少ないではないかという判断をされたわけです。事前調査ではむしろ外交問題とかを取り上げるというような人が多かったと。それではタウンミーティングがうまく動かないので、協力をしてもらいたいと。具体的には質問を作成して欲しいということだったらしいです。そして私の方は先程言ったような質問を11問作ってタウンミーティングにお渡ししたと。それではそれを発言する人をそちらで手当てして欲しいという依頼がありました。したがって、そのような形でお願いをしたと。発言をそのとおりして欲しいと。その内7名の方が、こちらがお願いしたとおりに発言されたということです。それを中心にいろいろな大臣からの話もありましたと。それに対して、タウンミーティングは見たら分かりますけれども、国土交通省も随分沢山していますが、そのようなことをしたのはこれ1つだけです。反復継続したことはありません。それから、言われているようなお金をもし渡したとかすれば処分するつもりですが、お金も一切渡していません。ということになれば、私の規範意識からは、これを処分ということは、懲戒処分ですね、それは酷ですよ。私は、これを担当した人、職員にそのようなことをすれば今後、他省庁から依頼があった時に共助として協力することに臆病になってしまいます。私はそのようなことを考えた時に、もし本人にどこか悪いところがあるということであれば、処分しますけれども、報告書を読む限りにおいて、また私が事情聴取をした限りにおいては、処分をする程の責めるべきことがないと、私の規範意識ですけれども、そのように判断をしたわけです。それが皆様方の規範意識と差があるかどうかは分かりませんが、懲戒処分権者である私の規範意識としては、この程度のことで処分をするということはできないという判断に至っているわけです。
 
(問) 特定の政策への誘導ではないというのは、なんとなくそうだなと思いますが、であればなおさら、国交省から依頼されたのですがという形で、その点を明らかにすれば問題にならなかったのではないのか。結果として、一般人を装って質問をしたというところが問題だと思うのですが、いかがでしょうか。
(答) そう言われたらそうかもしれません。主催者からも依頼されたので発言しますがと。しかし、その会合を運営する立場からすれば、頼まれて言っていますということまでどうでしょう。それは皆様方の常識に任せます。それは駄目だという批判もあるかも分かりませんれども。最初はそういうことはなかったと思うのです。ただ、開催して東京から大臣も来て、たくさん人が集まっていただいて、誰も発言者がないとなったら主催者はぞっとするでしょうね。そういうことがないように、誰かが口火を切れば、後に続いて発言するということがありますし、会を主催する場合はそういうことは思うのではないでしょうか。
 
(問) 羽田の関係で、今、年内のことについて調査や手順を粛々としたいと思うというご発言がありました。半月ほど前は、年内着工はまだ諦めておらずというご発言でしたけれども。
(答) まだ諦めていません。条件が整えば工事したいです。通常、海を埋め立てるには公有水面埋立法に基づいた知事の免許が必要ですけれども、我々の場合は国ですから承認ですけれども、やってよろしいということがないとできないです。
 
(問) 着工は、あくまでも、全ての漁業者の同意がないと始められないというのが、これまでの航空局の認識だったのです。免許が出ても、免許と着工は別で。
(答) 法律上どうなのかということと、事実上どうなのかという問題があると思います。全ての漁業者の同意がなければ、法律上駄目なのか、それともその同意を得るために努力をしなくてはならないということなのか、二つあります。法律上は漁業者の同意はいらないのです。しかし、我々は事実上、同意を得るべく最後まで努力をすると、誠心誠意努力するということです。着工していいかどうか、それは両知事の承認が法律上必要です。それがないと始まらない。ですから1日も早く承認を頂戴したい。併せて漁業者にも誠心誠意承諾をいただけるように毎日努力させていただいているわけです。そういう流れです。
 
(問) 確認なのですけれども、その調査は、例えばボーリング調査が始まればですね、それは国交省としては、着工と見るのですか。それはあくまでも調査ということなのでしょうか。調査と工事の関係を説明してください。
(担当課) 調査と着工は別のものであり、調査をもって着工ということはありません。実際にボーリング調査を12月20日から開始する予定です。それをもって着工ということではありません。   
 
(問) それでは、何をもって着工なのですか。
(担当課) 工事を請負うJVに対して、契約に基づいて工事を始めてくださいというタイミングがあります。それをもって着工という。
 
(問) 依頼のタイミングをもってということですか。そういう状況で、年内着工ということが国交省として現時点でも可能だと考えているのでしょうか。
(答) それは諦めていません。
 
(問) もう一つお願いします。供用開始の時期の問題もあるのですが、二つ心配していることがありまして、一つはここまで遅れて見通しが立たない中で、総工費などが膨れ上がる恐れはないか、これ以上の総工費、国民とか利用者の更なる負担が増えるおそれはないか。関空や成田や空港建設にはありがちなのですけれども、税金という面で、さらなる負担はないかということと。もう一つは安全上の問題で、羽田空港という大混雑空港で運用しているわけです。例えば2009年に間に合わせるために運用時間を削ったり等すると、そういうしわ寄せは当然現場の管制官やパイロットに行くことになるのですが、去年のようにただでさえ何もない状況でさえ、安全上のトラブルというものが頻発しているわけですけれども、その辺への影響はないのかという心配があるのですが、その辺いかがお考えでしょうか。
(答) そのようなことがないよう努力します。全力を挙げて努力します。当たり前の話です。それで工期も工夫をして短縮をするように、遅れた分を取り戻すように努力をしますし、それによって税金を、いわゆる経費が膨れ上がることがないようにも努力しますし、事故が起こらないようにというのは、もちろんこれは運輸に携わる者にとって安全ということは至上命題です。どんなことよりも安全。当然の話です。ですから、とにかく諦めずに努力しようと、一所懸命やろうと、誠心誠意やろうという態度でありますので、もう無理じゃないかとか放棄したのではないかということを言わないでください。頑張っているのですから。
 

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