国土交通省 Ministry of Land, Infrastructure and Transport Japan
冬柴大臣会見要旨(平成19年2月23日)

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  冬柴大臣会見要旨(平成19年2月23日)
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平成19年2月23日(金)
9:30〜10:00
国土交通省会見室
冬柴鐵三

 

   

閣議・閣僚懇

  おはようございます。本日の閣議は、一般案件が1件、国会提出案件が10件、法律の公布が1件、法律案の決定が2件、政令の決定が4件と人事案件です。当省に関係するもので特にご報告するものはありません。私からは以上です。


質疑応答

 
(問) 一昨日、中部国際空港の2本目の滑走路の早期実現ということで、大臣や官房副長官のところに地元の知事などから要望があったと聞いております。限られた予算ですけれども、緊急性とか必要性について現時点では大臣どのようにお考えでしょうか。
(答) 中部国際空港は、国の基本計画に基づきまして、1本の滑走路の空港として整備され、平成17年2月に開港いたしました。開港後、国際線は引き続き、概ね好調に推移しています。ただ国内線は、万博効果というものの反動もありまして、なお一層の利用促進活動の強化が重要だという状況に現在あるように思います。地元におきまして、今後一層の需要の喚起に努めていただきたいということであります。そのように申し上げました。
   
(問) 日銀の利上げの関係でですね、まず所管する業界で建設と運輸と両方あるのですが、その2点で伺いたいのですが、マンションとか不動産業界は、例えば利上げによってこれから業界全体がどのような影響を受けるのかと。特にマンションとかは今のところ好調なのですが、影響があるのかないのか。運輸の方ですと、この間再建に関する計画を出したJALの方も利上げの関係で有利子債務とかがそれなりにあると思うのですが、そういったところで何か影響が出てくるのかというところを伺いたいのですけれども。
(答) 日本銀行がオーバーナイト物で0.5%になるように利上げを行いました。これが所管の業界にどういう影響があるかというお尋ねでありますが、総論としましては、株価が一番よくわかると思うのですけれども、利上げ後、日経225銘柄平均株価が1万8千円を超えました。それは一般市場として、今回の利上げが小幅であり、しかもしばらくはこれが維持されるであろうということ。したがいまして、日銀がいつどれ位上げるのかという不安定な状況を脱して、むしろ安定的な状況が今後も続くであろうという見方が総論として言えるのではないかと。それを受けて所管の部分はどうかといいますと、住宅ローンについてはローンの金利が若干上昇する。それは当然呼応するだろうと思いますけれども、もう少し状況を見てみないといけないだろうと。それから建設業に対する利益が若干圧縮するというのは、これはどこの業界も一緒だろうというように思います。それがどれ位転嫁できるかというだけの問題であろうと。それから不動産投資市場に今までの金融からの金が回ってくるのがどうなるかと、これもしばらく動向を見ておかないといけないだろうと。最後のJALの話については、個別企業の話ですから、あまり論及はしたくないのですが、有利子負債が確かにありますけれども、固定金利部分が多いのです。ですから変動金利の部分がどれだけ影響するかという問題ですけれども、私はこの再建計画を揺るがすようなものではないと思いますし、再建計画を見ていただいたらわかりますけれども、利上げも含めた案になっていると思うのです。したがって、私は今回の利上げが大きな影響を及ぼすことはないのではなかろうかという見方をしています。
   
(問) 日本航空なのですが、国交省出身で海上保安庁長官、国土交通審議官を歴任された縄野さんが、代表取締役副社長という要職に就かれることになりましたけれども、そのことへの期待と、これから国交省と連携を深めていくということはあるのかということをお聞かせください。
(答)

皆さん方もご案内の通りでして、縄野さんは立派な業績で、国交省在職中も輝かしい仕事ぶりが高く評価された人でして、この方が民間企業に就職されてしばらくになるのですが、その中でそのような能力、識見というものに、日本航空は相応の処遇をしたのだろうというように私は思います。したがいまして、それによって国交省との関係を深めるとか、仰ったようなことはありえないし、その方がどういう処遇を受けようが、私どもは変わりません。
 
(問) 国会議員の糸川議員の国会質問を巡って、糸川議員を脅したとして、昨日建設会社の相談役ら2人が逮捕されました。都市再生機構の再開発事案を巡ってのことなのですけれども、このことについて大臣としてのご感想を伺いたいのですが。
(答)

その土地というのが非常にまとまった土地で、超一等地ということで、都市再生機構としましては、これを取得して再開発をすることにより、賑わいを確保しようという目的でやっていると思うのです。今いろいろと問題になっている土地を巡る問題は、その周辺の未買収地を巡る問題だと理解していますけれども、その点についても、都市再生機構で当初取得できるような話が進んでいたように聞いていますが、それを持っていた株主がそれを処分したということで、現状のような状態になっているわけですが、報道によれば会社側が暗躍したということのように承知しています。しかしながら、都市再生機構の狙いは正しいわけでして、非難されるところは全くないというように思います。
 
(問) この問題を巡っては、糸川議員を脅した現場に自民党の閣僚経験者の秘書の方や暴力団員の方がいたという報道もあります。このことについて、都市再生機構の事業にも何らかの関与があったのではないかという推察もされるわけなのですけれども、そのことについて、与党の一員として、あるいは所管する大臣としてご感想を伺いたいのですが。
(答)

報道ですから、私は確認はできていません。どこの秘書がどういたのかはわかりません。ただ、暴力行為等処罰に関する法律によって逮捕された人が多数で脅したということになれば、暴力団組員ですか、そのような人はいたのかなということは高度の蓋然性を持って読み取ることができますが、私は確認していませんのでそれはわかりません。それが都市再生機構にどうかということについても、私はまだ全く知りません。
 
(問) 大臣として都市再生機構に、この事案の南青山の土地の買収を巡って、政治家なり暴力団関係者から何らかの圧力、関与等があったのかについて正すお考えというのはいかがでしょうか。
(答)

今のところは具体的に考えていません。報告があるかどうかは別として、私からはありません。
 
(問) これまでも何度か質問があったかと思うのですが、長野県のあずみ野観光バスの関係なのですけれども、警察の捜査の中で、次々にずさんな安全管理の違法実態が明らかになっていますが、こうした中小のバス会社というのは規制緩和以降どっと入ってきて、あの会社だけの問題ではないと思うのですが、国交省として業界の実情の把握や対策というのは改めてどういうものがあるのかお聞かせください。
(答)

前から言っていますように、去年、労基法などに違反した勤務実態があるのではないかという情報に接しまして、2月5日に監査に入って、その分析等でどうするかというところで、今回の18日の事故が起こったということでして、私は直ちに、今は警察により捜索、押収等をされているだろうけれども、しかし国交省としてできるだけの監査はやってほしいということを指示をしました。20日に現場に赴きまして、社長、あるいは専務から事情聴取をしました。ただ、これについては、大阪府警の方で捜索して書類等を押収していますので、そういう意味では、この労働時間がどうだったかなど詳細な部分については確認することはできなかったのですけれども、大阪府警のご協力も得ながら、いわゆる業法違反等がそこにあったのかどうかということを、当省としてもきちんと確認をしていきたいというように思っています。それから、ご指摘のように、規制緩和以降、あずみ野のような貸切バス事業者が、5年前に比べて1.6倍に増えているのです。したがいまして、我々の方もそれに対する監査体制を強化しなければならないということで、人数を増やしています。平成14年7月には地方運輸局の組織再編をしたわけですが、その当時は地方運輸局45名、運輸支局63名の計108名の監査要員で当たっていたわけです。しかし現在は、地方運輸局で45名だったところを60名に、そしてまた、運輸支局では63名を106名にまで増やし、合計166名体制で、バス、タクシー及びトラックの自動車運送事業者に対する監査を実施しているわけです。このように公務員の減員とかいう中で、我々としては精一杯割いて、ここへ力を注いでいるわけですけれども、いずれにしましても、相手もどんどん増えるものですから、あずみ野観光を含む貸切バス事業者に対しては、監査を精一杯やっても確率的に5.3年に1回ということになってしまっているわけです。しかしながら、そういう通報があった部分については優先してやっていますので、先程申しましたように、あずみ野については、2月5日、2月20日にやっていますが、今後も監査だけが指導ではありませんので、いろいろな意味で、こういうことがないようにやっていきたいと思っています。
 
(問) 昨日、航空・鉄道事故調査委員会の委員長が大臣の辞令を受けられて、交替があったわけですけれども、(JR福知山線事故に関し)一昨年の夏の経過報告の時点で、佐藤前委員長は今年度末を1つの目標という形で、最終報告の時期を明言されていたのですけれども、その時期まであと1カ月と僅かというような時期になってきているのですが、この時期に委員長が交替ということで、最終報告の時期ということについて、若干の影響があるのではないかというようにも思われるのですが、新委員長のお考えもあるとは思うのですけれども、まず国交大臣として、最終報告の時期や調査への影響などについて、ご所感を教えていただきたいのですけれども。
(答)

人事異動によって、大切な行政が渋滞したりということはあり得ないというように思います。新委員長のもと、きちんとやっていかれるだろうと私は期待しています。それが遅れるというような報告は受けていません。
 
(問) 先程のあずみ野観光の話なのですけれども、そもそも今になって監査の人を増やすというのは、規制緩和で業者がここまで増えるというのは予想できなかったという裏返しと捉えてよろしいのですか。最初から業者がここまで増えるとわかっているのであれば、当然予算の問題もあるのでしょうけれども、最初から監査のスタッフの充実を図るべきだったと思うのですけれども、何か後手に回っているような気もするのですが、ここまで増えると予想できなかったということなのだろうかと思うのですが。
(答)

監査要員は今になってすぐ増やしたわけではなく、徐々に増やしてきたのです。この事故があったからすぐ増やしたという意味ではありません。発足当初108名であったのが、徐々に増やして、現状166名まで増やしていますという趣旨でして、もちろん平成19年1月の地方運輸支局における30名の増員というのは大きく効いていますけれども、この事故があったから増やしたわけではありません。
 
(問) ただ、規制緩和して5年くらい経つわけですが。
(答)

徐々に増やしているわけです。108名から166名ですから約5割増ししているわけです。公務員は減らす方ばかりでして、ですから、ここは我々は軽く見ているのではなく、重要であるという視点は持っていたわけですけれども、残念な事故が起こってしまったということです。ただ、お客さんの方で規制緩和をして良かったという評価をくださる人と、タクシーなどの流しをやっている大都会の東京や大阪のようなところでは、道を知らない運転手がいるなどの不満もあります。しかし、概ねサービスが良くなった、料金が下がったという評価は頂いているわけです。規制緩和の流れの中で起こった問題として、非常に残念ですけれども、あずみ野観光のような一家でやっておられるようなところも営業ができるということは、良い面もあるのでしょうけれども、反面、このような事故を起こしてしまったという非常に大きなマイナス面もあったなというように思います。今後もそういうことも踏まえながら、監査体制や業法遵守についてのコンプライアンスの確立に向けて頑張っていかなくてはならないというように思います。
 
(問) そこについてもう少し伺いたいのですが、あずみ野観光の事実関係の把握というのは一番やらなくてはいけないと思うのですけれども、中小のこういった業界の会社の実態の把握というのは、監査をやっていくしかないとは思うのですが、その監査が5.3年に1回という割合、あと運輸安全法に基づく安全監査も4月以降にならないと監査を行える状態ではないと思うのですけれども、次にこういったようなことが起きないように、早く業界の実態というのを把握しなくてはいけないと思うのですけれど、そこについては今後どういうように。
(答)

やはり、業界の団体に我々の方がもっとコンタクトをとって、そういうことが起こらないように業界の団体を通じて指導していただくとか、そういう方法もあると思うのです。ですから、あらゆる手段を用いながら、事故が起こらないようなことを醸成していかなくてはならないと思います。国の方が監督をしていますけれども、申し訳ないのですが、なかなか手が回らないので、知恵を働かせて重点的に。それから、いろいろな情報が寄せられます。そういうものを頂いたときには優先的に監査をしていくとか、いろいろな工夫をしていかなくてはならないのだろうと思います。
 
(問) その関連で、制度設計の問題にも係わると思いますが、現在の規制緩和に伴う業界の仕組みというものは基本的に自由競争によって、より適正なサービスや適正運賃などが図れるだろうということを前提としてやっていると思うですが、実際には、中小零細の貸切バスの事業者が非常に増えてしまっていて、そういったところまで全部が自由競争のような概念を使った制度設計で良いのであろうかと、安心・安全の観点からすると、ある一定以上の競争力のある体力のある事業者については、それが適正かもしれませんが、零細についても同じ考えで良いのかどうか、私は若干の疑問を持っていますが、大臣のお考えはどうでしょうか。
(答)

規制緩和とは大きな政治の流れだと思います。ただ、これがいき過ぎますと今仰ったようなことにもなるわけですが、今までのような規制、事前規制でなにもかも免許などに全て係らすのではなく、もう少し自由にそして官から民へという思想も考えると、大きな流れだろうというように思います。しかし、自由競争の中で自然淘汰を待つということも、安心・安全に係わる仕事だけにそれで良いのだろうかという反省も最近出ているのも事実だと思います。今のご質問は本当に私も重く受け止めて、どのように考えていったら良いのかもよく考えたいと思います。
 
(問) 先程の利上げの話しの追加なのですが、日本経済全体に与える影響についてと、建設業界、不動産などについては、短期では追加でこれからどんどんと上がっていくわけではないと捉えていて、影響はあまりないとお考えですか。
(答)

当面です。日銀総裁も適時適切に金利政策を執っていくと。今の金利がゼロに近い状況は世界から見ましても異常なのです。金利が上がるということは預金金利も上がっていくでしょう。そうすれば貯蓄をしているお年寄りの方や退職金を本当に虎の子のように持ってる人達が、元本を使わずに利息で奥さんと一緒に旅行をしようだとか、そういったインセンティブが働くのですよね。虎の子に手をつけて遊びに行くという気にはなかなかなれない。利息が0.35%というのは仮に一千万円あれば年間3万5千円です。1億あって35万ですか。これはちょっと実際まだ低いですよね。高いときなどは利息というものは大体、年6%くらいというのが長い間普通だったです。そういったことを考えたらもの凄く低いですし、そして円ももの凄く安いと批判されてますが、金利というものは、それによって経済というものをある程度加熱させないなど金利政策をやれるわけです。そういったものがゼロでしたら全くできないわけですし、私としては、なるべく早く中央銀行が利上げをしても良いという判断ができるような経済の力をつけたいと、それによってお年寄りの方も退職金等蓄えているものがあるのならば、それに対して若干でも利息が付けば、それがやはり消費を拡大する非常に有力なものだろうと思います。利が上がったから何か心配なことばかりではなしに、そういう意味では相応の経済効果はあると思います。
 

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