国土交通省 Ministry of Land, Infrastructure and Transport Japan
冬柴大臣会見要旨(平成19年4月27日)

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  冬柴大臣会見要旨(平成19年4月27日)
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平成19年4月27日(金)
9:30〜9:55
国土交通省会見室
冬柴鐵三

 

   

閣議・閣僚懇

  おはようございます。本日の閣議は、一般案件が4件、国会提出案件が10件、政令の決定が1件と人事案件です。当省に関係するもので特にご報告することはありません。
 私の方から2点申し上げたいと思います。本日の閣議におきまして、「平成18年度国土交通白書」を提出し、ご報告申し上げました。今回の白書では、観光立国や安全・安心な社会の構築を始めとする各般の主要施策の動向を紹介しています。次に、本日の閣議においてご了解いただきましたが、4月29日から5月2日の日程で、インドのデリーへ出張を致します。インドとの文化や経済の交流の重要性は日増しに高まっています。国土交通大臣及び観光立国担当大臣として、鉄道、観光、都市開発を始めとする国土交通・観光分野での日印交流・協力関係の一層の強化を図るために、鉄道大臣、観光・文化大臣、都市開発大臣との間で意見交換を行う予定です。また、今年は日印観光交流年と位置づけていますので、4月30日には、日印観光交流年のオープニングを記念して、官民の関係者が一堂に会するイベント、「日印観光交流年の夕べ」を主催し、トップセールスを行う予定です。私からは以上です。


質疑応答

 
(問) 4日に、東京の六本木ヒルズ森タワーで、数百人が避難したエレベーターの火災があったのですけれども、昨日、製造元の日本オーチス・エレベータ(株)が記者会見をして、全国調査を実施するということで、ワイヤーの破断よる原因なども示しています。これについての大臣のご所見と今後の対応がありましたらお願いします。
(答) 4月4日に六本木ヒルズ森タワーで発生したエレベーター火災を受けまして、事故機及び同型機、これは国内では六本木ヒルズ森タワー内の11機のみのようですが、緊急点検を指示したところ、4月25日に森ビル (株)から、事故機を除く10機中9機において、事故機と同様のワイヤーロープの一部破断が確認されたため、9機の運転を停止し、ワイヤーロープの交換を行うとの報告がありました。今回、大事に至る前に対応できたことは誠に幸いであったと思いますが、ビル所有者である森ビル (株)に対して六本木ヒルズ森タワー内の事故機及び同型機以外の全てのエレベーターについても緊急点検を指示するように、特定行政庁である東京都に要請したところです。また、建築基準法第12条第5項に基づきまして、日本オーチス・エレベータ (株)に現在保守点検している全てのエレベーター、これは乗用が約5万3千台、荷物用が約3千台ありますが、このロープにつきまして、緊急点検の実施及び結果の報告を求めるとともに、超高層ビル、高さが60mを超えるようなビルなどの大規模建築物の所有者や管理者に対しまして、エレベーターを始め建築物を適正に維持・管理するための体制の確保を徹底するよう、全国の特定行政庁にも通知を致したところです。今後とも建築物の適切な維持・保全が図られるよう、関係者に対する指導や情報提供に取り組んでまいりたいと思っています。
   
(問) 昨日、一部で報道がありましたが、国交省の元職員が再就職を禁止されている大手の海洋土木会社の下請け会社に再就職して、事実上、大手の海洋土木会社の方に勤務をしていたということで、天下り規制逃れではないのかという見方も出てきているのですが、このことについての事実関係を含め大臣のご所感と、国交省として今後、同じような事態はないのか、処分も含めて、どのような対応を行われるのか教えて下さい。
(答) このような脱法行為の疑惑を受けたということは、誠に遺憾です。水門談合、橋梁談合等があったときにも、自粛処置というものを我々としては率先して行いました。そのようなものが、この脱法行為によって尻抜けになっているということに、もしなっているのであれば、誠に残念な話です。我々としては、それについてきちんとした対応を取らなければならないということが基本的な見方です。本件は、そのような疑惑を受けましたけれども、どのような事実関係だったのかは、我々は本当に分からないわけですので、確認をしなければならないと思っています。記事にもありますが、国交省の当該OBがたにもと建設 (株)という所へ就職をしたわけで、これは国家公務員法第103条第3項の人事院の承認によって就職をしたもので、この部分については適法です。ただ、東亜建設工業 (株)へ就職するということは、103条3項により禁じられています。退職後2年間の再就職は許されないという規定があるわけです。たにもと建設(株)に勤務しながら、就職してはいけない東亜建設工業 (株)に事実上勤めていたのではないのかということが今回の疑惑です。東亜建設工業(株)とたにもと建設(株)の間では資本関係はないのですけれども、業務委託契約が締結されていたようです。業務委託の一環として、技術指導に当該国交省OBがたにもと建設 (株)から派遣をされて、技術指導に参画していたという事実らしいのですが、派遣された先での勤務状況等もきちんと確認しなければいけないと私は思っています。例えば、机があったのか、週に何日くらい勤務していたのか、具体的な仕事は何をやっていたのかなどを確認しなければならない。この2年後にたにもと建設 (株)を辞めて、東亜建設工業(株)に勤めたと。概略ですけれど、こういう事実があるようです。この一連の事実を捉えて、脱法ではないのかという批判を受けたことは誠に残念だし、また、外形事実を見れば、疑うのに十分な理由はあると思います。したがいまして、この事実関係を確認しなければならない。もし、脱法ということになりますと、人事院の管轄だと思いますけれど、103条違反だということになるのではないかと思います。そうであれば、1年以下の懲役又は3万円以下の罰金という刑罰規定がその法律の中にありますので、ここまで大きく取り上げられている事件ですから、関係する人事院、あるいは警察や検察がこれにどう対処されるのか、注意深く見守っていかなければならないと思います。また、事実関係を確認すると言いましたけれども、そういう資料を求められれば、そういう所に提出して協力していかなければならないと思います。
(問) 確認ですけれど、今日までの段階で、調査自体は国土交通省としては開始はしているのですか。
(答) はい。
(問) ただ、あらゆる事実関係については、まだ確認中であるということですか。
(答) そうです。私もきちんと報告を受けようと思っています。
   
(問) 昨日、JR東海が、リニアモーターカーを首都圏と中京圏で結び2025年に営業を開始すると、正式に発表しましたが、JR東海からそういう相談というかお話は事前に国土交通省にあったのでしょうか。
(答) 記者発表するという報告は受けていません。
(問) リニアで営業を開始したいと、そういうことを踏まえてご相談はあったのでしょうか。
(答) 前からリニアをやりたいという話はありますけれど、整備新幹線として俎上に上げている訳でもないので。そして、リニア自体についての我々の公式的な立場は、超伝導磁気浮上式鉄道実用技術評価委員会というのがありまして、この委員会の提言を踏まえて、技術開発の期間を平成28年度までとする技術開発の基本計画等を本年1月に承認しました。したがいまして、平成28年度までに実用化の技術を確立するということを目指して、技術開発を今進めているところです。これについては関係者も皆納得をしています。それが今の我々の公式的な立場です。相当お金もかかると思います。JR東海だけでの資金負担で全部やられるというのであれば、それは別としても、整備新幹線についてはまだ北陸もあれば北海道もあり、九州もありますので、そういうものを政府・与党で進めていこうということを決めているところです。そこには資金の余裕がないわけです。例えば、北海道であれば函館から札幌まで延伸して欲しいという強い地元の要望があります。これが1兆8百億円かかる予定です。このような莫大な資金をどういうようにするのかという資金手当ができないと、踏み込むわけにはいかないのです。
   
(問) それはリニアに関してということですか。
(答) 整備新幹線ですらそうです。また、中央新幹線をまず整備するかどうかということを決めなくてはならず、その上で、それはリニアにするのか、在来線でするのか、それを検討しなければならないわけです。ですからリニアの技術は平成28年までに実用化を目指そうということは決めてますが、中央新幹線をリニアでするということは別問題です。そういうことについて、水をかけたり、JR東海の言っていることを批判したりする意思は全くありません。けれども、私にそのように聞かれると、私の立場としては今申し上げたとおりです。まだ、中央新幹線を整備するということも国家意思としては決めていません。そして、それはリニアにするのか、新幹線にするのかということもまだ決めていません。資金手当も国として負担するか決まっていないという状況であるということを申し上げざるを得ないのです。
   
(問) 批判や水をかけるということはしないと仰いますが、率直なところ、大阪・東京を1時間で結ぶというのは、飛行機もあるわけですし、羽田も整備されているところですし、必要性というのはどれくらいあるとお考えですか。
(答) それは専門家に分析してもらわないと。何の資料もなく、私がここで申し上げるべき事項とは違うのではないでしょうか。まあ、大量輸送時代ですから、東海道新幹線は6分おきに出ている程、すごく乗客需要はあるわけです。飛行機と言いますが、飛行機に乗りたくない人もあるでしょうし、それは需要としてはあるのでしょう。それから、東海地震等の確率が非常に高いということになると、それに対する予備を造っておくという必要はあるであろうと。ですから、その東京・大阪という二つの大都市を結ぶ大動脈ですから、例えば、高速道路が1本あるのにもう1本新たに東海自動車道を造るのと同じように、そういう考え方は十分あるとは思います。しかし、国のレベルでの検討は、遅いかどうかは別として、今申し上げたところです。
   
(問) 日本オーチス・エレベータ(株)の件ですけれども、全国の日本オーチス・エレベータ(株)の点検をするということは、同社の保守点検に問題があるというご認識があるということでよろしいでしょうか。
(答) それは森ビルのものを見る限りは問題があったと思います。エレベーターはここにもありますけれども、皆、心配です。我々は、国民にエレベーターに安心して乗ってくださいと言わなければならないわけで、そのためには万全を期さなければならないと思います。日本オーチス社は万全を期していなかったのだと思いますよ。こういうことが起こったわけですから。
   
(問) 実際に写真とかを見られたかと思うのですけれども、それを見て、ご感想があればお聞かせください。
(答) 驚きました。エレベーターのワイヤーロープというものは、常にグリース等できちんと整備されて黒く光っていないといけないと思うのですけれども、そうでなかったということに驚きました。
   
(問) エレベーターの関連なのですが、エレベーターの定期検査を適正に行っていなかった場合、昇降機検査資格者に対しては資格の剥奪ですとか、建築物の所有者に対しては建築違反に基づく罰則等があるのですけれども、エレベーターの保守・管理・点検を生業とする者に対しては今罰則がないということで、これについて、生活の安全・安心を守る上で何か新たな規制が必要ではないかと思うのですけれども、その辺はいかがでしょうか。
(答) それは今仰ったような問題点があると思われますので、これから検討をしていかなければならないと思っています。
   
(問) 天下りの問題なのですが、まずこの件の事実解明ということだと思うのですけれども、他にも同様なケースがないか、調査するお考えというものはないのでしょうか。
(答) まずは本件ですが、もうあまり時間はかからないと思います。その上で、問題点が把握できれば、国家公務員法103条で禁じられているような会社との関係で、調査しなくてはいけないことになるだろうと思いますが、とりあえずは、今の事件についての事実関係はどうだったのか、本当に脱法であったのか、そうであれば103条違反ですからね。そういう観点で、まず事実確認をしなくてはならないと思います。有権的に調べなくてはならないのは人事院や警察だと思います。
   
(問) インド訪問について教えてください。インドは、政府が今進めているビジット・ジャパン・キャンペーンの、中国や韓国と違って重点国にはカウントされていなかったと思うのですが、そうであるインドに対して、大臣が自ら観光をPRするということは、どういう意図があるのか。中国、韓国にある程度道筋が見えて、目標に向かってもう少し次のステップを踏み出したということですか。
(答) あらゆることを一生懸命やっていくということです。もう1つは、インドはビジット・ジャパン・キャンペーンだけではなく、向こうの貨物列車用の鉄軌道について、去年からJICAの開発調査をやっています。今年10月頃には結論が出るわけですが、向こうも大変期待していまして、具体的な話し合いをしたい。ニューデリーの地下鉄についても、日本の援助でやったわけで、日・印のシンボル的なものだと言われています。国土交通省としては、インドに対して、その他にも例えば上下水道、都市計画、あるいは環状道路など、相当いろいろなことについて相談に乗ってほしいと言われています。この間、インドの閣僚がこちらに来られて私どもがお会いしましたけれど、是非来てほしいという招請もありまして、先程の冒頭報告で申し上げましたように、オープニングセレモニーにも出席してほしいと。当然我々が開くわけですから、こちらからも100名位観光関係者が行きます。もちろんインドもそれ以上の方が参加して、盛大にやるわけです。したがって、それはそのような意味で行くわけです。
   
(問) 先週のことなのですが、海洋基本法が通りましたけれども、1週間経ちましたが、あの法律の中で新しく海洋政策の担当大臣を置くことになっています。いろいろな省にまたがる中で、国土交通省はかなり政策的な関与をしているのですけれども、あの大臣について、今までの形で兼務されるのかどうされるのかということは、閣内、もしくは党内で議論が始まっているのでしょうか。
(答) まだ始まっていません。
(問) 大臣自身はどのようにお考えでしょうか。
(答) それは官房長官とともに担当大臣が、本部長は総理ですが、副本部長に就任することになっていますので、海洋関係については7省庁が関係がありますけれども、国土交通省はその中でも圧倒的に事務量が多いわけです。海上保安をはじめとして、海事局もありますし、あるいは海上輸送もありますし、海底調査もやっています。そのような意味で、総理が任命されるわけですが、国土交通大臣がそれに就くべきであるということになれば、国土交通省としても省を挙げて協力をしなければならない事柄であろうというように思っています。しかし、立候補するとか、そのような問題ではありません。総理がお決めになるという問題です。
   

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