国土交通省 Ministry of Land, Infrastructure and Transport Japan
冬柴大臣会見要旨(平成19年5月8日)

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  冬柴大臣会見要旨(平成19年5月8日)
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平成19年5月8日(火)
9:32〜9:55
参議院議員食堂
冬柴鐵三

 

   

閣議・閣僚懇

  おはようございます。本日の閣議は、条約の公布の決定が1件、法律の公布の決定が6件と人事案件です。当省に関係するもので特にご報告することはありません。
  私から1つご報告を申し上げます。4月29日から5月2日までの間、インドのデリーを訪問しまして、シン首相と会談をさせていただきました。安倍総理にもご報告しましたけれども、総理にも是非インドへ来ていただきたいと招請されましたのでお伝えしました。また、日本からの多くの支援に対して、インド国民を代表して心から感謝申し上げるというようなお話もありまして、私からその言葉を国民に広くお伝え申し上げるという約束も致しました。その他、ソニ観光・文化大臣、レディ都市開発大臣、プラサド鉄道大臣との意見交換を行ってきました。シン首相への表敬では、貨物専用鉄道、観光交流、インフラ整備における日印協力関係の強化について意見交換をした次第です。また、日印観光交流年のオープニングと致しまして、官民の関係者約300名にお集まりいただきましたが、一堂に会して「日印観光交流年の夕べ」というものを主催しまして、トップセールスを行ってきました。大変な盛況でした。今回の訪問は非常に短期間でありましたけれども、大変に充実したものとなったと考えています。私からは以上です。


質疑応答

 
(問) エキスポランドのジェットコースターで女性が1人亡くなるという痛ましい事故ですけれども、そのご所感と、事故をめぐっては検査制度や管理体制はどうなっているのだという声も出ていますが、国交省としてどう対応を取っていかれるのか、お願いします。
(答) 5月5日、こどもの日という子供たちも大変楽しみにしていた祭日に、最も楽しかるべき遊園地であのような痛ましい事故が発生したことは、誠に遺憾です。亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族に対しても心からお悔やみを申し上げたいと思います。また、重軽傷を負われた皆様方に対しましてもお見舞い申し上げますとともに、一日も早くご回復なされますように心からお祈り申し上げたいと思います。事故の原因につきましては、現在、警察当局でも捜査が進んでいるものと思いますけれども、国土交通省と致しましては、特定行政庁であります吹田市等と連携を図りながら、正確な事実関係の把握に努めているところです。エキスポランドは、今年の1月30日に定期検査を実施し、2月の初旬に特定行政庁に報告書を提出しましたけれども、その際、探傷試験というものについては行わずに「指摘事項なし」という報告をしています。探傷試験は、連休明けに行う予定であったというように聞いていますけれども、その時点では行っていなかったことがはっきりしました。国土交通省と致しましては、今回の事故を受けまして、5月6日付で特定行政庁に対しまして、全国の遊園地等にあるコースターその他これに類する高架の遊戯施設について緊急点検の実施を要請するとともに、遊戯施設の所有者に対しまして適切な運行管理の徹底を周知するよう要請したところです。所有者は、このようなことが行われた場合には、設置保存の瑕疵ですので、無過失の民事賠償の責任を負うということになります。そのような意味で、所有者として事故を起こさないよう設置保存についての十分な注意義務を払うような趣旨の周知を図ったところです。今後とも、コースター施設を始めとする遊戯施設の安全性の確保に積極的に取り組むとともに、非破壊による金属疲労等を探知する方法としての探傷試験というようなものも含めた、遊戯施設に係わる定期検査の方法、内容のあり方等につきましては、今後、社会資本整備審議会建築分科会建築物等事故・災害対策部会等に諮り、どのような方法が適当か検討していきたいというように考えています。
   
(問) エキスポランドの事故なのですが、事故の原因については警察が捜査しているところではあるのですが、航空機等の公共交通機関の事故と同じように、行政の立場から事故調的なものを設けて調査すべきではないか、原因究明に当たるべきではないかと。単に責任の追及だけではなく、事故の本当の原因を探るような取組みがあっても良いのではないかと思うのですが、以前に北側前大臣にもお尋ねしたと思うのですが、建築物事故調、あるいは社会資本事故調的な組織を国土交通省が中心となって設けてはいかがかと。その点はいかがでしょうか。
(答) 建築物、エレベーターや遊具等につきまして、事故調査を行うような組織を作ることが必要なのかどうかにつきましても、先程申し上げました社会資本整備審議会建築分科会建築物等事故・災害対策部会に諮りまして、検討させていただきます。
   
(問) 吹田市の方に提出された定期検査報告なのですけれども、これについて、吹田市が虚偽報告ではないかという見解を示しているのですが、国土交通省としてはいかがでしょうか。
(答) 法的な点が現状では非常に分かりにくいのですけれども、国土交通省としては、今後の法制も含めて、今の部会に検討をお願いしようとしているわけです。現状については皆様方も十分ご承知だろうと思いますが、建築基準法自体は、特定行政庁が定める期間ごとに定期検査を義務付けています。そして、特定行政庁である吹田市では、それを1年に1回と決めているわけです。検査の内容については、建築基準法施行規則というのがありまして、それに定められた報告書に加えて、特定行政庁が規則で定める書類を添えて行うことと決めています。吹田市建築基準法施行細則というのがありまして、そこには、「市長が必要と認める書類」と書いてありまして、その内容が何なのかということはその中には書かれていません。ただ、運用として、(財)日本建築設備・昇降機センター作成の定期検査業務基準書類における標準様式を用いて定期検査が実施されるべきであるとされていると、私は聞いて初めて分かりました。また、その基準書の中で何が書かれているかというと、建築基準法令と日本工業規格の検査標準に基づいて検査を行うことと書かれてあります。その日本工業規格の検査標準の中には、「車輪、車輪軸、軸受け、台車及びそれらの取り付け部に錆び、腐食、摩耗、き裂、欠損等について確認する」とされ、特に、「車輪軸は、1年に1回以上の探傷試験を行うこと」とそこに初めて書かれていて、非常に分かりにくいと言いますか、特に吹田市の建築基準法施行細則というところで切断されてしまっていると私は思います。したがいまして、吹田市の市長が必要と認めた書類に、先程のJIS規格に基づいた探傷試験をしていないのに「異常なし」と書いたことは書きすぎではないのかと、吹田市長としてそうお考えになるのは当然だと思います。それを偽装と言うかどうかは別としまして、探傷試験を行っていなかったわけですから。国土交通省としては、申し訳ないですけれども、そこまでの規定になっていないものですから、その内容が虚偽だとか偽装だとかというところまで、コメントをすることができません。確かに、内容は流れからすればそうですけれども、法的な意味合いにおいて虚偽だとか偽装とまで言えるのかという問題はあります。
   
(問) そのような規定の不備については、問題意識というのはお持ちですか。
(答) 不備とは思いませんけれども、確かに分かりにくいですね。ですから、先程も言いましたところで検討をしていただいて、もっときちんと分かりやすくすると。分かりづらくて探傷試験をしてなかったということであれば、そういうことをはっきりすることによって、探傷試験をしてもらうということになるだろうと思います。
   
(問) そういう規則の問題もありますけれども、遊具を管理する側がこういう検査標準を知らなかったという、そういう認識であったということについて、安全を守る立場として、この問題をどう解決していくかというのは大きいと思うのですが。
(答) 非常に遺憾だと思います。それは先程少し触れましたけれども、所有者が最終的な責任の所在です。そういう遊具を設置した人達にはきちんと保存する義務があるわけです。設置して、保存し、運用していく人には事故を起こさないという責任があるのです。これは民法の規定に照らしても当たり前の話です。その義務をきちんと尽くしているのかどうかということを特定行政庁は監督をする、そういう仕組みになっているのです。したがって、所有者のそういう意識というものは、非常に多くの人々の生命を預かるだけに許されないと思います。
   
(問) 政府のアジア・ゲートウェイの話なのですが、16日にとりまとめと聞いているのですが、昨日の規制改革会議からも提言というか、むしろ議論は百出というか収束しているのかというようにも見受けられるのですが、大臣は一度、経済財政諮問会議で国交省の立場を説明されていますが、最終局面において、大臣のお立場、国交省の考え方をお願いします。
(答) 私の考え方は一貫しています。規制改革会議でどういうことを言われたのかということは、私も呼ばれていませんので、それは分かりません。しかしながら、客観的に首都圏の成田にしても羽田にしても満杯です。確かに、2010年3月になれば成田で2本目の滑走路が短いながら延伸されます。そして、羽田は4本目が10月には供用が開始されるということになっていますが、それまでは満杯なのです。それ以外はどうかと言いますと、関空が本年8月2日に2本目が供用され、24時間飛べると。これは日本で唯一、初めてのことです。そして中部国際空港は1本の滑走路で、24時間空けてますけれども、2日に1回は付着したゴミ等を取るために夜間3時間は閉鎖しなければならないという意味では、24時間完全オープンというわけにはいきません。そういう状況の中にあるわけです。そして一方、全国の23の地方空港には国際便がたくさん入ってきているわけです。98%まで外国の会社の飛行機が国際便として入ってきています。日本の飛行機は2%という状況ですから、完全にオープンになっているわけです。では、中部と関空はどうするのかといえば、少なくとも2010年に成田と羽田が完成して、首都圏で成田が2万と羽田が3万のたった5万回ですが、国際便枠が増えるまでの間は、関空と中部を戦略的に使って、我が国がどうしても飛ばしたい外国の飛行場を空けてくれるのであれば入れましょうという戦略的な利用をすることが国益に適うのではないでしょうか。それを全部自由に乗り入れてください、それは航空会社が判断してやってくださいといった時に、日本が本当に飛ばしたい路線を確保できないという特殊な事情を踏まえて、国土交通省としては、権限を握るために言っているわけでなく、国益のために言っているものです。どこに行ってもそのことは申し上げますし、最終的にまとめると仰るのであれば、そのことも申し上げると思います。
   
(問) 東京都内のタクシー運賃の引上げについてなのですけれども、大臣はタクシー業界に同情的なご意見で、前向きなお考えを表明されていますけれども、一方では、太田経済財政担当大臣とかは、運賃の引上げに対して疑問を投げかけている。閣内でも反対の意見を唱えられている方もいらっしゃいますが、それについてどう思われますか。
(答) 私は、タクシー業界に同情的ではなく、タクシーの運転手さんの今の労働賃金のことを考えていただいたら、もう本当に大変なことだと思います。年間303万円という収入で大体16時間くらい走っているのではないでしょうか。それは改めないと、事故が発生したり過労になり、生活できなくなると思うのです。ですから、そうした実態を踏まえた上でどう判断するのかと。別にタクシー会社を儲けさせるとか、全くそのような意思はありません。やはり、このような実態を踏まえてどうするのかということで、我々は手続きを粛々と踏んでやっているわけでして、ただ、物価についてどう影響するかということについても、司司で判断されますから、そうしたことをも踏まえて、今後も私の方は手続きをきちんと進めていきたいと思っています。
   

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