国土交通省 Ministry of Land, Infrastructure and Transport Japan
冬柴大臣会見要旨(平成19年5月25日)

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  冬柴大臣会見要旨(平成19年5月25日)
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平成19年5月25日(金)
9:02〜9:28
国土交通省会見室
冬柴鐵三

 

   

閣議・閣僚懇

  おはようございます。本日の閣議は、一般案件が2件、国会提出案件が12件、法律の公布の決定が8件、政令の決定が4件と人事案件です。
 私の方から1点ご報告致します。本日の閣議で、成田国際空港株式会社の代表権を有する社長を森中小三郎住友商事鞄チ別顧問とする人事について、ご了解を頂きました。この人事は、正式には、6月22日に開催される同社の取締役会で決定され、国土交通大臣が認可するということになりますが、認可に先立ちまして、閣議でご了解を得られたものです。私からは以上です。


質疑応答

 
(問) 先般、ジェットコースター等に関する緊急点検の結果がまとまったと思うのですが、探傷試験の徹底など、問題点が明らかになったと思います。そうした結果について、今後の国交省の対策と大臣のご所感をお願いします。
(答) 緊急点検の結果、5月18日現在で、7施設に問題があったものの、うち6施設は是正済みで、1施設は部品の交換中であり、50施設は引き続き点検中との報告を受けています。点検中の施設については速やかに点検を実施し、安全の確保を確認していただきたいと考えています。また、コースター等の車輪軸について1年以内に探傷試験を行っていなかった施設が約4割にのぼるなど、日本工業規格の検査標準に基づく探傷試験の実施が徹底されていなかったことが判明していまして、極めて問題であると考えています。このために、5月23日付で、全国の特定行政庁を通じてまして、遊戯施設の所有者等に対し、日本工業規格の検査標準に基づく適切な定期検査の実施について周知徹底を図るとともに、コースター以外の遊戯施設、観覧車等の回転するような施設等についても緊急点検の実施を要請したところです。なお、定期検査は、検査項目ごとに日本工業規格の検査標準に基づいて検査を行い、特に車輪軸につきましては、1年に1回以上の探傷試験を行うこととされていますが、この検査標準については、建築基準法上の位置付けが間接的で分かりにくいことから、より明確に位置付ける必要があると考えています。このため、去る5月10日に社会資本整備審議会建築分科会建築物等事故・災害対策部会を開催しまして、検査標準の建築基準法上の位置付けや、遊戯施設の種類や走行速度等の違いに応じた検査手法を含め、定期検査の方法や報告内容のあり方等について検討を始めたところです。
   
(問) 今のコースターに関してなのですけれども、およそ4割にのぼる施設で定められた基準に則ってやっていなかったということが分かったと思うのです。それと、7施設については、緊急点検をしたところ、車輪にひび割れ等が分かったわけですけれども、そのまま放置していれば事故に繋がった可能性があると思うということを担当課の方が仰っていましたが、今回明らかになった事実についてどう思われますか。
(答) 先程述べましたとおり、建築基準法上の探傷試験の位置付けが、非常に間接的になっていると。特定行政庁がこのようなことを報告しなさいというようなものを定めることになっているわけですけれども、間接的になってしまっているため、所有者等がそういう問題について深く意識をしなかったということが問題点ではなかったのかなと私は思います。したがって、間接的ではなく、建築基準法令の中で探傷試験を1年に1回以上行わなければならないとかということを定めてもらうと。そして、それに違反した場合には、建築基準法上の改善や罰則を適用するなど、そういうような法体系が望ましいのではないかというように感じております。その詳細については、遊戯施設といっても、時速70キロ以上で走るとか、相当な角度がついて走るものから、我々が歩く速度位で動くものまでいろいろなものがあります。したがってそういうものについて、専門委員会に検討をしていただきまして、間近に夏休みも控えておりますし、なるべく早くそういう施設を安心して使用していただけるようなものにしていきたいと思っています。法整備まではなかなかいかないにしても、所有者や管理者の方々に対して、あるいは特定行政庁に対して、非常に深く注意を喚起していきたいというように思います。
   
(問) 成田空港の人事なのですが、次期社長についてどういうことを期待するのか。特に初めての民間からの社長になるわけですから、民間人になることによって、どういうことを期待されるのかお聞かせください。
(答) 民営化ということが言われておりまして、成田国際空港公団が平成16年4月に成田空港株式会社ということで株式会社組織になりました。現在は一人会社ということで、株式は全て国が持っているわけですが、将来は全株を市場に放出して、名実ともに民間会社にしていこうという流れの中で、その代表権を有する社長を民間から起用するということは、大きな流れの中の一つの区切りと言いますか、そういうものであろうと思います。そういう民間人にどういうことを期待するかということですけれども、国土交通省で長く航空という部署に携わり、また公団総裁や株式会社の社長として現におられる方ですが、この方はOBとはいえ、平行滑走路の設置、それに対する近隣の補償交渉等、そういう手続きを進めてこられました。こうした非常に実務的な手続き的な話も多いと思うのですが、そういうものとは別に、民間の会社経営というものは大変厳しいものがあります。例えば関空について私も知っておりますけれども、民間から起用された現社長や会長というのは大変な辣腕家でありまして、本来業務以外の営業外収益が非常に大きく、利益に裨益してですね、1兆2千億円という有利子債務をかかえながら、98億円の利益を上げているということは、本当に民間人としての才覚だなあという面があると思います。したがいまして、今回、森中社長が就任されますが、そういう意味で、成田国際空港についてもいろいろな考慮をされて、約30年かかってここまで来ているわけですから、利用者の利便、そしてまた国の利益というようなものが期待できるような、すばらしい国際空港としてやっていっていただきたいという期待を持ってます。
   
(問) 今大臣が述べられました現在の黒野社長ですが、今日の人事で代表権のある立場から退かれることが決まったわけですが、これまでのご評価と今後の期待について改めてお願い致します。
(答) これ以外の役員人事については、6月6日の取締役会で今後の役員を構成する候補者がまず決まり、それが22日の株主総会で確定的に決まり、そして総会後の取締役会で社長とか全部が決まってくるという順序になるわけですが、その中で黒野社長をどういうように処遇するかということはその取締役会で決まっていくことであり、今私からどうこうする問題ではないと思います。ただ評価はどうかといいますと、私が知る範囲では、大変すばらしい社長であったというように思います。今後平行滑走路を2500mに延伸するにしても、近隣住民との問題、あるいは関係する地方公共団体との交渉等多くの手続きが残っていますが、そういう問題について処理をやってこられた方であり、今まで本当に良くやられた方であると高い評価を私はしています。
   
(問) 民間の手腕に期待したいということですが、大臣はかねてから今までの経緯を踏まえた行政マンが重要だと仰っていましたが、逆に民間になられたことでそのご心配、ご懸念はありますか。
(答) それは株式会社の中の取締役会がそういうものを総合考慮して、誰がどういう部分を担当してやっていかれるかということを、賢明に決めていかれるだろうと思います。
   
(問) 手続き論としては総会後の取締役会ということでしょうけれど、大臣のご希望はやはり黒野さんに中に残って欲しいと、特別顧問という報道はされてますけれど、特別顧問という形で国交省とあたっていただきたいとお思いでしょうか。
(答) それは株主総会・取締役会という流れの中で決めることであって、私がコメントすることはできません。決まればコメントさせていただきます。
   
(問) 先日も少しお伺いしたんですが、広島の福山の鞆港ですが、県と市が埋立申請に踏み切りましたけれども、地元の不同意が残っているという意味では、過去にほとんど例のない異例なことではあるのですが、改めてご所感をお伺いできますか。
(答) 私はその時に申し上げましたように、本当に難しい問題だと思います。400年前の朝鮮通信使が来られた頃の面影を残す、瀬戸内海の中でも最も美しいと言われている景色を残した貴重で歴史的なものであるわけです。しかし、そこに住む人にとっては毎日見ている風景でもあり、それよりも、もの凄く狭い道をどうするか、江戸時代のようにみんながそこを歩いて行き来するということであれば良いのでしょうけれども、そうはいかないと、通過する車もあるでしょうし、そこをどのように調整して皆様のコンセンサスを得てやっていくかと。それに対しては、全国的にもものを申す人もいるでしょうし、内外からもこれはどうしても欲しいと言う人もいるでしょうし、しかし、そこで生活する人達にとっても重要な問題ですから、そこは良く話し合っていただきたいと思います。広島県と福山市が公有水面埋立法に基づき、免許庁である広島県に対して埋立免許の申請をしたわけです。申請をしたということは、少なくとも事業者としての行政庁はそのように埋め立てて、道路を通したいという意思なのです。しかし、その中で、一部の地権者が困ると仰っているという状況です。これを免許庁である県がどのように公有水面埋立法に基づく判断をされるのか、これは注意深く見ていかなければいけないと思います。
   
(問) 不同意を残したままの申請というのが、非常にさかのぼるケースしかなく、40年近く前の長崎諫早湾干拓以来という珍しいケースでして、国土交通省として認可という形で関わるだけなのですが、不同意を残しての免許というのは可能かどうかということについてはどうですか。
(答) それは法律の仕組みを考えていただいたら良いのではないでしょうか。
   
(問) 中部国際空港に絡んで、自民党が今朝方に2本目の滑走路、完全24時間化を含めて拡充議連というものを立ち上げました。それに関連して、地元自治体や財界の方も、ここのところ盛り上がってきているのですが、こうした動きを大臣はどう受け止めていらしゃって、2本目の滑走路について社会資本整備計画を含めて、どのように位置づけていらっしゃるのでしょうか。
(答) 首都圏空港が本当に満杯になっていまして、2010年まで現状で推移せざるを得ないという現状の中で、関西国際空港や中部国際空港というのは、我々にとって貴重な日本の基幹的な空港として位置付けていかなければならないと思います。海上埋立空港でありますので、騒音の問題では理論的には24時間使えます。ただ、滑走路が1本ですと、週に3日程は、深夜約3時間程は、付着した車輪のゴム等を取り除くメンテナンスをしなければならないために、その時間、離着陸ができない、空港を閉鎖しなければならないという意味では、1本では完全24時間供用というわけにはいかないのです。関空もそうだったわけですが、8月2日以降は2本になりますから、1本でそういうものを作業している間も、別のところで、かなり離着陸ができるという意味では、完全24時間国際規格に沿った国際空港ということになります。日本では関空だけです。中部空港を完全に24時間供用するためには、もう1本いるというのは、当然の話です。したがいまして、大きな財政上の問題とかありますから、そういうものを今後、どうクリアしていくのか、それから、中部国際空港の発着回数が今後どのように推移していくのか、満杯になるのが近いということであれば、そのようなことも考えなければなりません。要するに、このように大きな投資をするわけですから、ベネフィット、利益と掛かるコストについて、十分検証しながら国民的合意を得ていかなければならないという問題だと思います。そういうことにしても、地元が声を挙げて、そして、そういうものに進み出すというのが、いつの場合でも第1歩であろうと思います。
   
(問) 昨日の午後、JR東日本の山手線神田駅ホームで、乗降中のベビーカーが赤ちゃんを乗せたままドアに挟まれ、数十メートル引きずられて、あわや大惨事だったと思いますが、その、ご所見と国土交通省としての今後の対応をお願いします。
(答) 私も、「わぁっ」と思いました。車掌なり駅員なり、まあ、駅員は居ないそうですけれど、そのようなものを見て、ドアを締めて、それで出発となるわけですけれど、ベビーカーの足の太さですか、そういうものを検知するものが、太さが2センチ以上のものであれば、検知できます。ところが、ベビーカーの足が2センチも無かったということであれば、そういう面も改善をしてもらう必要があるだろうし、もっとさかのぼれば、駅員が、そういうものをきちんと確かめた上で、ドアを閉め、出発を運転手に指示するということでなければならなかったと思うのですけれど、この事実関係はこれから調査をして、その再発防止策をとっていかなければならないというように思います。いずれにしても、大惨事にならなくて良かったと思いますが、一つ間違えれば大変だったと思います。ひやっとしました。二度とないようにしていかなければならないと思います。
   
(問) 談合に関する取組みについて伺いたいのですが、スーパーゼネコンが脱談合を宣言してから約1年半経つのですけれども、大手のゼネコンの間では、脱談合の取組みが実際に進んでいると思われますけれども、一転地方に目を向けますと、今でも談合事件の摘発とか、実際に談合の情報が報道されています。この1年半の世の中の脱談合の取組みを大臣はどのようにご覧になっているのかということと、もう1つは、脱談合のための入札改革が進むと、地方の建設会社は新規参入によって、それでなくても公共工事が減っている中でさらに厳しい状況だと。それについてどのようにお考えか。この2点をお願いします。
(答) 談合はあってはならないことでして、やはり公平、公正にやらなければならないと思います。貴重な税金で公共工事をするわけですから、談合は許されないと思います。いろいろな事件を通じて、大手はそのようなことはやらないと宣言したことは、大いに歓迎すべきことです。我々としましては、一般競争入札ということで、一時は7億2千万以上ということでやっていたものをずっと下げてきまして、今年は1億円以上と。来年は6千万円以上のものについて一般競争入札を採用するということで現にやっているわけですが、その中で、総合評価方式というものも取り入れて、私としてはそのように指示もしています。地方の工事にありましては、その地方で多くの雇用の機会を与えているということとか、あるいはいろいろな地方のその土地で、多くの公共工事に携わってきているとか、あるいは災害等の時に自らの危険も顧みることもなく応急復旧に腐心をしていただいたというようなことも、評価の1つのメルクマールとして採用していただきたいと。そのようなことにより、その地方でがんばっている高い技術、あるいは堅実な経営をやっておられる建設業者が伸びていけるような環境を整えていかなければならないと思っています。昨日も石川県知事にお会いしましたけれども、本当に国土交通省にはよくやっていただきましたと、また地元の業者の方も本当によくやっていただきましたと。あんなに早く復旧することができるということは、当初は考えていなかったけれども、おかげで連休前には相当の被害を受けた所もご商売を始めることができたし、何よりも道路が全部開通したと、本当にありがとうございました、ということを仰っていました。そのように、国土交通省もがんばるけれども、やはり地元の建設業者が現実に仕事をしてくださるわけですから、そのような人達がいろいろな入札で受注できる機会が与えられるようにしていかなければならないと思っています。
   

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