国土交通省 Ministry of Land, Infrastructure and Transport Japan
冬柴大臣会見要旨(平成19年6月1日)

メニューを飛ばしてコンテンツへ進む

 

 

 


  冬柴大臣会見要旨(平成19年6月1日)
ラインBack to home

 

平成19年6月1日(金)
9:26〜9:45
国土交通省会見室
冬柴鐵三

 

   

閣議・閣僚懇

  おはようございます。本日の閣議は、一般案件が3件、国会提出案件が11件、法律の公布の決定が2件と人事案件です。当省に関係するもので特にご報告するものはありませんでした。私からは以上です。


質疑応答

 
(問) 昨日の物価安定政策会議で、東京地区のタクシーの議論がされました。その中でも、反対意見が大変多かったようなのですけれども、会議全体に対する大臣のご所感と今後のご対応について教えていただけますでしょうか。
(答) 経営努力が必要ではないのかとか、いろいろ意見があったと聞いています。特にタクシー業界は、売上歩合というものが非常に強いものですから、売上げが下がったりしましても、その影響が直接経営に反映することなく、労働者の中で吸収されてしまっているという事実があると思うのです。そういう点は直さなくてはならないけれども、急に出来るのかと言えば、我々にはそうしなさいという権限は全くありません。自由主義経済、雇用契約の範囲の話ですから。ただ、そういう労働慣行というものを改めたところを優良タクシーとするとか、我々もいろいろと知恵は絞らなくてはいけませんけれども、今は特効薬は見当たらないわけです。しかしながら、運転手さんの賃金というものが、他に較べて著しく低いということは客観的な事実でして、そしてまた、東京のタクシー事業者の90%近くが値上げ申請をしています。その理由として、労働賃金の問題、ガソリン等の燃料の値上げということを挙げているわけで、それは客観的な事実だと思うのです。昨日の会議の委員さんの中にも、「いろいろ改めるべきことはあるけれども、急に出来るわけはないので、特に流しの地域において、安全性とか乗客の利便というものに支障をきたすのであれば、おかしいのではないか」という意見もあったと伺っています。我々としましては、いろいろな人の意見を聞きながら、申請があれば処理しなくてはならないわけですので、粛々と手続きを進めていかなくてはならないと思っています。
   
(問) 昨年6月に港区の公営住宅で高校生が亡くなるエレベーター事故からまもなく1年になるわけなのですけれども、この間、日本オーチス・エレベータ、シンドラーエレベータでワイヤーの破断があったりとか、昇降機検査資格者の経歴詐称、あるいは、ジェットコースターの昇降機検査資格者のあり方についても問題になりました。1年という節目を迎えて、ご所感と、エレベーターをめぐるいろいろな課題の解決に向けてのご決意を伺いたいのですが。
(答) 今、マンションのストックも500万戸を越え、そして毎年20万戸ずつ増えていると。つまり、我々の生活、日本国民の生活の中にマンションというものが非常に根付いてきているということは、はっきりしているわけです。マンションは高層の建物で、必然的に昇降機、エレベーターを利用する生活というものが国民の生活の中に定着しているわけでして、そういうものが安全・安心でないということは許されないわけです。エレベーターの事故は、国民一人一人にとっても大きな不安をもたらした大きな事件だと考えています。したがって、エレベーターの構造、それに対する定期的な点検というものが適時適切になされて、こういう事故が絶対起こらないような仕組みというものが必要だと思います。今、社会資本整備審議会建築分科会建築物等事故・災害対策部会で、昇降機や遊戯施設の検査方法についての建築基準法上の位置付け、そして検査員の資格というものについても見直しをしようと。それから検査結果の報告についても、今のような結果だけではなしに、経過とかが分かるようなものにしてはどうかという議論をしていただいているところであります。早急にその結果を受けて、法令の改正も視野に入れた検討をすることにより、このようなことが起こらないようにしないといけないと思っています。私もお亡くなりになった高校生のご両親と直接お会いして、お話を聞く機会がありました。事故から1年ということで、本当に心からご冥福をお祈り申し上げたいという気持ちで一杯です。相当高層階に住んでおられるのですけれども、お母様はエレベーターはもう恐くて乗れないということで、日常も階段しか使えないということです。国交省に来られた時も、階段で上り下りされたということを聞くにつけですね、本当に心に深い傷を刻み込んだ事件だったと思います。そういう意味で、こういう悲しいことが二度と起こらないように、我々としては対処する責任があると自覚をしています。
   
(問) 昨日の航空局の航空分科会で中部国際空港の将来の完全24時間化、言い換えれば、2本目の滑走路をどうするかということだと思うのですけれども、その内容が盛り込まれました。この点は、先日のアジア・ゲートウェイの会議にも盛り込まれたのですが、今回のものは国土交通省の答申の中に盛り込まれたわけですが、今後の事業、予算の配分をどのようにするか、需要予測をどうするか等いろいろ課題はあると思いますが、大臣の中部国際空港に関するご所感をお聞かせ願います。
(答) 中部国際空港は、本来、24時間住民に対する騒音被害ということを考えることなく利用できる、海上の飛行場ではありますが、飛行場というのは、ほぼ1日おきに深夜約3時間かけて、滑走路に付着した着陸時のゴム等取り除いたり、あるいは誘導灯のメンテナンス作業が行われます。その間は、当然のことながら飛行場は閉鎖され、離着陸はできないわけでして、24時間供用できるとはいえ、そのような物理的な意味での制約があります。これは関西国際空港も全く同じだったわけですが、今年の8月2日に、第2滑走路が供用開始されますと、そのようなメンテナンスは交互に行うことができますので、空港全体としては24時間閉鎖されることなく離着陸が可能になります。国際標準の空港になるわけです。現在の首都圏空港の状況等を考えますと、我が国を代表する国際拠点空港という意味では、関西国際空港と中部国際空港が、アジア・ゲートウェイ構想でもそのような捉えられ方をされているわけでして、言われたように24時間供用できるような空港というものを目指すような意味も書かれています。ということは、私が今細かく言ったような、第2滑走路を造ることを含んだご意見であるというようにみるわけですが、これをどのようにやっていくかということは、これからの議論で、それには大きな国費が必要になります。そのようなものを入れたときのベネフィットとコストというものの計算も必要ですし、それを地元がどれほど求めてくるのか、地元の協力が重要ですから、そのようなものを総合考慮しながら前向きにやっていかなければならない、今後の大きな課題であるというように考えます。
   
(問) タクシーの関連ですが、物価安定政策会議の中で、タクシー業界の中の構造的な問題を見直すべきではないのかという意見が相次いだと聞いています。特にサービスが1回限りであまり良質なサービスができないですとか、規制緩和の関連で、業者が増えて競争激化による淘汰が進んでないというような意見のようですけれど、こういった構造的な問題があるという指摘に対して、今後どのような対応されるのかなどを含めてお聞かせいただけますでしょうか。
(答) 一番大きな構造的な問題というのは、相当な不況やコストアップなどの圧力があっても、経営本体として大きく赤字が出るとかそういうことにならない仕組みといいますか、労賃の問題が非常に大きいわけですけれども、そういうものがあるように思われます。しかしこれは、国の権限で改めることは出来ません、雇用契約上の問題ですから。要するに、売上げが減ると歩合給で運転手さんの取り分が減るということであって、普通の場合であれば売上げが減れば会社の経営が直接赤字になったりするのですが、タクシー業界ではあまり赤字にならないのです。そういう仕組みというものをどのようにしていけば良いのか、いろいろな人に意見を聞きながら、もちろん事業者の方やそこで働く運転手さんの意見も聞かなければなりませんし、専門家のご意見も集約しながら、やはり改めていった方が良いのか、どうしたら良いのか。少なくとも、私の知見では、タクシー業界では終戦後ずっとこのような事が続いています。数十年続いてきた労働慣行ですので、それをどうするか。そこが問題であることは事実だと思います。売上げがずっと下がったとか言っても、新規参入をする者もありますし、そんなに安い賃金でしたら、普通の業界でしたら従業員がみんな逃げていき、高く払わなければ人が集まらないのですけれども、タクシー業界はそうではなく増車しても運転手さんがおられるわけですし、不思議な所です。その辺りがどうしてそうなるのか、自動車局では検討はしているわけですけれども、やはりいろいろな方の意見を聞きながら、どうしたら良いのか考えていかなければならない時期に来ていると私は思います。
   
(問) そういう意味で、昨日の会議の中で、業界自身の努力がやはり足りないのではないかという意見もかなり出ていたと思うですが、実際に国交省は今のところ、上げ幅は別にして、値上げを認める方向で検討をされているのかと捉えているのですが、値上げは実際に本当に運転手さんの賃金に反映されてくるのかという批判もかなり、昨日の会議を聞いていて、出ていたように思うのですが、その辺りについてはどのようにお考えでしょうか。
(答) それは前回か、前々回の会見の時に申し上げましたけれど、我々は、今回上げることについては、労働条件の向上を取りはからってもらいたいということを、各地方運輸局からタクシーの事業者にきちんと申し入れをして、申請書自体の理由がそうなっているわけですから、そのとおりやってもらわなければならないということと、それをどうしたかということを、報告してほしいということと、それを外部にも公表するということを、きちんと申し上げて、この事業者がどのようにしてくれたのかということが、一般の国民にもよく分かるように、そのような手は打ちたいです。これは、当然のことだと思っています。
   
(問) 中部空港の件で伺いたいのですが、地元では非常に前向きな歓迎ムードが広がっているのですが、今、大臣が仰られた、「前向きにやっていかなければならない」という言葉の前に、需要と掛かるコストの便益についての計算が前提にあると思いますが、どのような状況が得られてくれば、国土交通省として前向きに取り組んでいけるのか、それらについて、現在の心境をお願いします。
(答) 当然、こういうものを整備するのならば、審議会にきちんと意見を聞いて、例えば、那覇空港は3年続けて、第1次、第2次、第3次と、いろいろな調査をしています。今年度、第3次の調査に入る予定ですが、そこでは具体的にどのような整備をするのか、どのくらいのコストが掛かるのか、ということも相当詳細な調査をしています。その上で、その所要の経費について財務当局との交渉とかが行われるのです。おそらく、国土交通省だけでやるのではなく、詳細な調査がされると思います。
   
(問) タクシー業界の構造問題、増車ですとか、総括原価ということになると思いますが、いろいろ意見を聞きたいと仰いましたけれども、具体的にどのような場を想定されていますか。
(答) そういうことがあってしかるべきだろうと、これだけ指摘されているわけですから。ただ、自由主義経済ですから、国がタクシー業界にその慣行は止めろとか、そういうことは出来ないわけです。どういう誘導をできるのか、そういうものは英知を絞らなければいけないし、関係者の意見を聞かなければいけないでしょう。そういうことを、一般論として申し上げただけです。
   

過去の大臣会見へ

ライン
All Rights Reserved, Copyright (C) 2007, Ministry of Land, Infrastructure and Transport